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乗りなれた通勤電車の中から毎日のように見る外の景色が記憶の中に
沈殿していくことは少ない。頭の中は別のことを考えている。意識が目的を持って
視線を注がないと見えている風景は流れているだけだ。
4月の中旬過ぎあたりから都心を出て郊外へ向かう電車の中から家の庭先に咲いて
いる白や薄いピンクの花が眼に入るようになる。屋根を越えている木もあれば垣根越し
の木もある。花みずきの開花である。私が車内からこの花を探すようになったのは
そんない古いことではない。今は、この時期には視線は確実にこの花みずきを探してい
る。
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