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架かって来る電話には原則出ない。
家人が留守、深夜はしようがないから出る。私の楽しみは、間違い電話なのだが
それも最近ほとんどなく寂しい。以前には「蕎麦屋」へのザル蕎麦2とカツ丼の
受注に成功したことがある。叉、サカリが憑いて勃起だけは一人前で言葉を知らない青
年君(若い頃の私でもある)の彼女への深夜の電話には「オンドリャア ココヲドコダ
トオモッテイル デテコイヤ!!」と丁重に答えたら慌てて切られた。この恋の行方は
知らない。
私の家の電話は、無論、電話帳に掲載していない。
家人の友人、知人、家人宛ての美容、健康食品の勧誘電話が多い。私宛のはせいぜい
図書館から「本が入りました」位である。普通、電話は「ハイ、××です」「××さん
の御宅ですか ○○と申します」で始まる。私は、「ハイ」としか云わない。これで
家人の友人等は十分通じる。勧誘の電話対策でもある。その筋だと解ると「ここは
長崎県警の秘密電話だ! 御宅の社長を出してくれ!」とやるとほとんど切られる。
先日、面白い電話が架かってきた。例によって「ハイ」と出ると「モシ モシ」
と云うのでこちらも「モシ モシ」と答えたら叉「モシ モシ」と返事があったので
こちらも叉「モシ モシ」と返したら叉叉「モシ モシ」云うので叉叉こちらも「モシ
モシ」と返事をしたら叉叉叉「モシ モシ」と返事があった。・・・結局、この方
は滅多に架けて来ない家人の友人と解った。それ以来私は、この方を「モシモシ婆
さん」と呼んでいる。東京に「恐怖のオバサン」という人がいる。この方とは
同じマンションで生活していたことがあり無論私もよく知っている。温厚な優しい顔立
ちで2人のチビッコだった姉妹はお姉ちゃんは美人系、妹はかわいい系、こんな微笑ま
しい姉妹はそれ以来見ていない。この方が低音でドスの効いたフランク永井を上回る
声で架けて来る。それも男性的な電話で余計なことは云わない。私は、この電話は
今でも緊張する。まさしく「恐怖のオバサン」である。
帰宅した家人に「恐怖のオバサン」から電話があったと伝えると「ウッ フッ」と
嬉しそうな顔をする。次の上京の機会に食事の約束でもしているに違いない。
それにしても間違い電話が待ち遠しい。
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