今井美樹・制作スタッフ日誌

スタッフが制作現場からの情報をお届けします。

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ヴァーチュオーゾ=virtuoso・・・
「芸術、特に音楽の優れた演奏技巧上の名人,大家,巨匠、名手。
 イタリア語で『熟練した』という意味を持つ。」

ジャズ・ピアニストにおいて、
真のヴァーチュオーゾの一人に間違いなく挙げられるのが、
アート・テイタム/ART TATUM(1909-1956)

先天的な白内障のため複数回の手術など様々な治療を試みますが、
片目は完全に失明し、もう片方も部分的にしか見えなくなる重大なハンデを負いつつ、
幼い頃より様々な楽器に親しみ、
特にピアノ演奏では、他の追随を寄せ付けない独特の圧倒的なテクニックを身に付け、
ジャズ界のみならず、
あらゆるジャンルの音楽家に多大な影響を与えた、まさに巨人の中の巨人です。

人間業とは思えない超絶技巧+正確無比のテクニックで、
どんな曲も、圧倒的なスピードで弾きこなし、
しかも、とても軽やかに表情は常に穏やかそのもので、
彼のピアノ演奏は、まさに音楽の喜びに溢れています。

今週はピアノに親しむことが多かったので、
この偉大な音楽家をご紹介したいと思います。


47才の若さで亡くなった彼の全盛期は、
1930年代から40年代といわれていて、
残されている演奏の映像は極端に少ないのですが、
ここではクラシックの名曲、ドヴォルザーク作曲の「ユーモレスク」を演奏しています。

彼の手にかかると、あの有名曲も、このようなチャーミングな味わいに変化します。
それにしても、この軽やかさ・・・


ロシア出身のクラシックのピアニストで、
豪快で個性的で、さらに魔的な魅力を兼ね備え、
やはり圧倒的な超絶技巧を誇った巨匠ホロヴィッツが、
友人のあるジャズ・ピアニストに、
アート・テイタムが演奏しているクラブに連れて行かれたときの話。
きっと1930年代のエピソードでしょう。

神とも讃えられたピアニスト・ホロヴィッツは、
彼の目の前で、圧倒的なスピードであらゆる曲を弾きこなすテイタムの演奏に圧倒され、
「彼がクラシックのピアニストだったならば、自分の仕事は無くなってしまう!」
と語ったと伝えられています。

さらに、すっかりテイタムの演奏のファンになったホロヴィッツは数日後、
義父でもある、イタリアが生んだ20世紀を代表する大指揮者、
トスカニーニをテイタムの演奏するジャズ・クラブに誘い、テイタムの演奏を見せたところ、
トスカニーニは、
「もう一台のピアノが見えない!誰がどこで弾いているのか?!」と尋ねたとも言います。

彼らのような偉大な音楽家ですらテイタムの演奏を聴くと、疑いなく、
”最高のピアニストによる、二人がかりのピアノ連弾”と思いこんでしまうくらいだったそうです・・・


この曲は残念ながら映像は残っていませんが、
アート・テイタムといえば「タイガー・ラグ」というくらいの、
彼の代名詞的名演。

これは、生涯に何度もこの曲をレコーディングをした中で、
ベストと言われている、1935年の録音だそうです。

トラを追いかけているのか、トラに追いかけられているのか、
まさに、生死を賭けたようなスピード感!


彼をアイドルとして崇拝した後輩ピアニストの筆頭で、
テイタムのスタイルの後継者でもあったオスカー・ピーターソンは、
「鍵盤の皇帝」と讃えられた、もう一人のヴァーチュオーゾですが、
彼でさえ、初めてアート・テイタムの演奏に接した後は、
しばらくピアノを弾けなくなってしまったそうです。

イメージ 1

名曲「Misty」を作曲したジャズピアニスト・エロール・ガーナーと共に、
ジャズクラブ・バードランドにて(1952年)


ジャズ・クラブで演奏するピアニストは、
通常、自分の楽器は持ち込めず、
そのジャズ・クラブにある劣悪なピアノでも演奏しなければならないので、
当然そのピアノのコンディションの善し悪しに大きく影響されますが、
アート・テイタムは並外れた記憶力も持っていて、
ジャズ・クラブのピアノを一度試奏したら、
そのピアノのダメな音(音程がずれていたり、出なかったり)をすべて記憶し、
その音を使わなくて済むように、
瞬時にすべての楽曲を移調して弾きこなしたと言われています・・・

数々の伝説に彩られたアート・テイタム、
彼を天才と呼ばずして、誰を天才と呼ぼうか・・・


(IRc2 佐藤一司)

イメージ 2

今日のお薦めは、
1949年、当時ハリウッドの新興レコード会社として急成長しつつあった、
キャピトル・レコードの為に吹き込んだ、
アート・テイタムのピアノ・ソロと、
ピアノ・トリオのLP2枚分を1パッケージにしたもの。

アート・テイタムは数々のレコード会社にたくさんのレコーディングを残していますが、
僕は、シナトラやナット・キング・コールも在籍した、
このキャピトルというレコード会社のお洒落で上品なセンスが好きなので、
あえてこの作品を個人的にお薦めします。

ラインナップも、
ガーシュインやコール・ポーターなどの魅力的なスタンダードナンバーを中心に、
クラシックの有名曲も、彼独特のアレンジと演奏で楽しめるアルバム。


こちらとバージョンは違いますが、
このアルバム収録の「Tea For Two」も素晴らしいです。

彼の圧倒的なテクニックは、
先の「タイガー・ラグ」を始め、ピアノ・ソロの数々の超人的名演が有名ですが、
スラム・スチュワート(b)とタイニー・グライムス(g)と組んだトリオでは、
とても寛いだ雰囲気のなかで、テイタムのピアノが味わえます。

僕は特にスラム・スチュワートのベースが好きです。
彼はソロの時、ハミングしながら同じフレーズを弓で弾く独特の奏法で有名で、
ここでもテイタム・トリオの一人として、
とても気持ちの良い彼のベースプレイを楽しむことが出来るので、お得です!

・・・記事右上の「すべて表示」をクリックすると全文表記され、
   下記に「私のおすすめ」ページが表示されます。


以前のブログでもご紹介した、
全てのジャズ・レコード中のベストの1枚とも言える名盤、
ライオネル・ハンプトン・オールスターズ「スターダスト」でも、
スラム・スチュワートのチャーミングなベースソロがたっぷりと味わえます!

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