種類も豊富で、毎回いろいろなサプライズがあって、 とても美しく楽しいケーキです。もちろん、とても美味しい。 今年も、ライチやフレッシュ・ラズベリーの爽やかな酸味と、 香り豊かなバラの花びらのクリームの甘み、 そしてマカロンの食感などのバランスが絶妙でした。 先週末より、休日はずっと、 今井美樹「I Love a Piano」にもご参加いただいた、 3人のピアニストのコンサートに伺いました。 ・小曽根真・クリスマスコンサート(12/20・オーチャードホール) 「世界の小曽根」永遠のアイドル=オスカー・ピーターソンが逝去して1年、 毎年恒例の小曽根真さんのオーチャードホールのクリスマスコンサートは、 ズバリ、鍵盤の皇帝・オスカー・ピーターソンに捧ぐコンサートとなりました。 小曽根さん、ピーターソンのピアノが好きで好きで、好き過ぎて、 ピーターソンのようにピアノを弾くことだけを目標に生きてきて、 でも、日本人で初めてアメリカCBSレコード本社からの世界リリース・デビューが決まった時、 自らピーターソン・スタイルを封印し、 自分だけの音楽を模索し構築し、小曽根さんならではの幅広い活動を続けて来ました。 その小曽根さん、遂にピーターソン・スタイルの封印をほどき、 好きで好きでたまらないピーターソンへの最大のリスペクトを持つコンサートを開催。 もちろん小曽根さんにはかなわないのですが、 僕も、美樹さんも、ピーターソンのピアノは大好き。 親日家でもあったピーターソンのコンサートは、 ほとんど来日する度に、もう数えられないくらい見に行きました。 中でも、移転前の今より一回り小さかったブルーノート東京で、 演奏後、巨体のピーターソンご本人から、LPにサインをいただいたのが忘れられません。 あのときは、ベースが巨匠レイ・ブラウン、ギターがハーブ・エリスという、 1950年代初期の伝説のオスカー・ピーターソン・トリオ&カルテットの復活コンサートで、 ドラムスはボビー・ダーハム。 同時期にニューヨークのブルーノートで行ったコンサートが、 4枚のライブレコーディングCDとして残されていて、 それを聴く度に、あのブルーノート東京での感動を思い出します。 彼のトレードマークの一つでもある、 両手の全ての指を同時に駆使した、圧倒的なスピードのソロも健在で、 その人間業とは思えない、 まさに現代のヴィルトーゾの驚愕の超絶技巧も目の当たりにしました。 その翌年には、ドラムスがジェフ・ハミルトンとなったカルテットで再来日。 世界一のビッグバンド・ドラマー・メル・ルイスの後継者でもあるジェフのドラムが大好きで、 いろいろな話をジェフ本人ともさせていただく機会にも恵まれました。 世界一好きなベーシスト・レイ・ブラウンからも、 彼がリーダーのオールスター・ビッグバンドのアルバムにサインを頂きました。 その作品は、伝説的サックス奏者キャノンボール・アダレイが参加している名盤でもあり、 きっと、レイ・ブラウンにとっても誇らしい作品だったのでしょう、 「このアルバム、オスカーに見せたいから楽屋に持って行っていいか?」と、 レイ・ブラウンがアルバムを持って、嬉しそうに楽屋に行く姿も忘れられません。 そのレイ・ブラウンも2002年、鬼籍に入りました。 大好きなゴルフの途中に倒れ亡くなったその日も、 彼のトリオのコンサートの予定だったそうです。 美樹さんとも一緒に、 オスカー・ピーターソンのブルーノート東京での最後の公演を見ました。 もちろん、それが日本での最後のクラブ公演になるなどとは思っていませんでした・・・ その巨体故、初来日のJATPのステージでは、 ピーターソンの演奏中に、ピアノ椅子の脚が折れた逸話が有名で、 晩年になると、車椅子での移動も多くなっていました。 美樹さんと見た公演は、 既に脳梗塞の発作の影響で、左手が不自由になっていたものの、 それでも彼独特の、明るく力強い華やかな音に、涙が出そうになりました・・・ ピーターソンに捧ぐ今回の小曽根さんのコンサート、 これまた涙もので、 第1部の小曽根真カルテットは、 ピーターソンの愛したベーゼンドルファーのピアノが置かれていて、 彼と同じ位置にピアノをセッティングし、 ギター宮崎さんが、ハーブ・エリスさながらのブルージーなサウンドを加え、 小曽根さんは、上向き加減の楽しげな横顔までオスカー・ピーターソンそっくり。 第2部は彼のビッグバンド No Name Horses がこれまた最高の、 ホットでクールでダイナミックな演奏を聴かせてくれて、 小曽根さんらしい音楽の楽しさに溢れた、素晴らしいコンサートでした。 ・大野雄二&ルパンティック5(12/21・Motion Blue 横浜) ブルーノート東京系列のMotion Blue 横浜は、 ギター小沼ようすけさんのゲストとして今井美樹も出演した事があり、 お伺いするのはそれ以来でしたが、 さすがクリスマス前の休日、お店のある赤れんが倉庫はどこも大変な賑わい。 この日も20度近い気温の暖かい日で、海風がとても気持ちよかったです。 ライブはもちろん最高で、 今回のサプライズは、 大野雄二さん作曲による、日本映画史上に残る名曲、 一つは映画「犬神家の一族」より「愛のバラード」、 もう一つは映画「人間の証明」より「テーマ」という2曲。 それぞれ、日本映画界にメディアミックスによる衝撃的な革命を起こした、 角川映画の第1弾と第2弾の主題歌。 記念すべき第1弾、 お馴染み金田一探偵が大活躍する横溝正史原作の「犬神家の一族」は、 市川崑監督ならではの流麗でスタイリッシュな映像と、 大野さんによる、哀愁を帯びた切ないテーマ曲がとても印象的で、 今年市川監督が亡くなった際は、どのテレビ番組も必ず、 この「愛のバラード」を使っていました。 角川映画の第2弾となる森村誠一原作の「人間の証明」も、 主演に松田優作&岡田茉莉子、 共演に三船敏郎、鶴田浩二、そしてアメリカからジョージ・ケネディを招くなど、 人気実力共に日本映画界を代表する豪華な面々を揃え、 華やかな宣伝もあって、大ヒット。 その宣伝に大いに活用されたのが、 大野雄二作曲&このドラマのモチーフとなった西條八十の悲しい詞を英訳し、 映画にも出演したジョー・山中が唄い、 ベストテン入りした大ヒット主題歌の「人間の証明のテーマ」です。 この映画のテーマ曲に相応しく、 大きな悲しみをたたえた、スケールの大きなメロディがとても印象的でした。 原作と映画の舞台となったのが、ホテル・ニューオータニ。 子供の頃より家族と利用していたホテルだったので、 初めて映画「人間の証明」を見て感激し、 後日、あのニューオータニが映画の舞台となった事を母より教えてもらい、 自分がいつも連れて行ってもらっているニューオータニと映画がつながり、 よりこの映画が特別なものになりました。 映画を見た人だけが、この秘密わかりますね。 終演後、皆さんと楽しく記念撮影! どうもありがとうございました。 ・塩谷哲・Saltish Night / Volume 12(12/23・中野サンプラザ) そして今年のゲストは・・・ 佐藤竹善、柴田淳、田島貴男、絢香、Kiroro玉城千春、ベース井上陽介 塩谷さんのトークも絶好調で、 度々スタッフより「短くして」と指示が入るものの、 たっぷり3時間の、楽しいライブでした。 どのゲストとのコラボレーションも素晴らしく、 中でも、同世代の田島貴男さんの「接吻」や、 初めて生歌を聴いた絢香さんは、個人的にとても印象に残るパフォーマンスでした。 絢香さんについて、 塩谷さんも、佐藤竹善さんもステージで言っていたように、 全身から歌のエネルギーを発散し、 「歌が好きで好きで仕方がない!」という感じが観客にビシビシと伝わり、 最年少ゲストながら、熱い熱い演奏でした。 以上、3人のピアニストによる、三者三様の素敵なクリスマスコンサート。 今年のコンサートライブはこれで見納めかと思いますが、 皆さんも、温かく、楽しく、 そして素敵な音楽に満ち溢れたクリスマスをお過ごし下さい! (IRc2 佐藤一司)
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