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『日本民家園』の漫歩 川崎市は工業の町で有名であるが、そんな多摩区に生田緑地がある。 公園敷地が179.3haと広大で、岡本太郎美術館、伝統工芸館、日本民家園、枡形山展望台、青少年科学館、プラネタリウム、菖蒲園、公営ゴルフ場、ばら苑等がある。 11月3日、文化の日に生田緑地「日本民家園」を訪れてみた。 樹木に囲まれた傾斜地に茅葺屋根がぽつりぽつり見える。 古民家の土間に立つと急に薄暗くなる。 粗削りの太い柱、黒い梁がいたるところ組まれている。 土間にある半球形の竈(かまど)が可愛い。 居間は随分と高い。土間よりの高床式の構造だ。 板張りの中に方形に切られた囲炉裏がある。 薪が燃えている。 薪火から煙がたちのぼり居間じゅうを燻している。 立ち上った煙は茅葺小屋を燻しながら出てゆく。 僕は空いた囲炉裏に胡座をかいて座ってみた。 曲がった秋風が吹いてきて僕の鼻に煙が巻ついた。 日本人は煙突を発明しなかったらしい。 つい最近まで日本人はこの煙突のない家で燻さて生活をしていた。 文化の日、特別公演の農村歌舞伎が行われていた。 民家はみな使われていたものを民家園にそのまま移築したものである。 全部で23軒展示されている。 ときに故きを温ね新しきを知る。もいいだろう。 短歌 古民家の囲炉裏に胡座す 燻されて江戸農民に近づく我は
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かながわ漫歩
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『川崎大師』 第1回 川崎駅を降りるとくすみを感じる。 ここは京浜工業地帯の中心の町である。 市役所通りにでる。 欅並木の青葉が赤信号を隠さんばかりに揺れる。 大通りを過ぎると商店、事務所、ビル、住宅の雑居する準工業地区になる。 町のくすみがさらに感じられる。 表参道 厄除門から川崎大師へ向かう。 お土産屋が軒を並べる。ここは門前町のようだ。 仲見世に入る。 だるま屋、くずもち屋、まんじゅう屋、せき止め飴屋が隘路に並ぶ。 僕は頼まれたせき止め飴を500円で買う。 小母さんの店員が帰りも寄れと3、4個のばら飴をくれる。 立派な大山門をくぐると川崎大師である。 疎らに参詣者がいる。 7、8人の男子高校生がいる。 石畳をゆっくり進む。 大本堂がたおやかに屋根を広げる。 五円玉を賽銭箱に投げ入れる。 何となく祈ってみた。 川崎大師は神社、それともお寺 ? 。 冊子を読むと「川崎大師平間寺」とある。 初詣客は全国で第三位だそうだ。 こんな臨海工業地帯に人の心を癒すところがあるとはいかなることか。 境内をそぞろあるいてみる。 八角五重塔、遍路大師、信徒会館などが多くある。 奥まったところに「自動車交通安全祈祷殿」がある。 自動車は工業都市にふさわしいではないか。 ばら飴を貰った飴屋に寄らずに仲見世を抜けて帰った。 この町を歩いている人の雰囲気がどこか素朴である。 気負いがない。 工場から抜け出してきたような服装で気負いなく歩く。 くすで見えたのはこの人のせいだったかもしれない。 晴天の秋の日だった。
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