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第2話 「神戸の夜は冷たくて!」
港町、異国情緒の漂う町、そんなお洒落な町の神戸。
先日ルミナリエが終了し、今年はたくさんの募金が集まり、
赤字が解消という喜ばしい記事を新聞で見かけたが。
しかし、そんなお洒落な町である神戸を、私はなかなか好きに
なれないのだ。
その事件を私が起こしてしまってから。
本当は、神戸という町に何の責任もない事は重々承知している。
私がただその町で大きな過ちを犯しただけなのである。
そんな自分勝手な理由と分かっていながらも、神戸という町を
愛する事ができない可愛そうな馬鹿者がここにいる。
私が社会人となって3年目に転職をした。
理由は敢えて言うこともないので割愛させていただくが、
私はその年に英会話学校に転職をする事になった。
そして、そこで私は今まで1度きりの、そして自分の
ポリシーを曲げてしまい、一緒に働く女性と職場恋愛に
陥ってしまった。
彼女は、どう見ても普通のOLには見えず、誰がどこから
いつ見ても水商売風の顔立ち、そして服装をしていた。
私が、そんな彼女に恋に落ちてしまったのは、
私のその悪い嗜好のせいであった。
私は、今は若干自信のない部分はあるものの、今はそうでは
ないが、今まで豹柄の似合う女性には本当に弱いのだ。
そうなのだ。彼女も時々豹柄のコートや、衣装を身につけて
いたのだった。
私: 「知子ちゃん、付き合ってくれる?」
彼女:「私今別にカレいないし。それにこうやって男性に必死に言われると
何か断るとすっごーく悪い気がするし。別にいいよ!」
彼女は、まるで以前から私に恋焦がれていたかのように、興奮気味に
喜んで承諾してくれたのだ。
彼女:「こうくん、今皆お昼行ってるし、2人だけだねー!」
私: 「そうやんなぁ!」
彼女:「こうくん、私の事好き?」
私: 「そらぁ、大好きやで!ほんで、俺って今知子ちゃんが身につけてる
下着みたいなもんやで!」
彼女:「何かエッチーだけど。でも、どういう意味なの?」
私: 「だって、知子ちゃん。毎日下着つけるやろ?つけてへんかったら
落ち着けへんやろ?ちゅうことで、俺は知子ちゃんとはいつも
ずっと一緒にいたいし、それにいいへんと知子ちゃんが落ち着か
へんくらい安らぎを与えてあげたい、っちゅーこと!」
彼女:「こうくんらしいよ!クサいけど。じゃぁ、こうくん。そんなに私
の事好きだったら、今キスして!」
私: 「ここはまずいやろ!」
私は、彼女を上司の部屋へ連れて行き、そこで彼女を抱きしめ、キスを
してやった。
私と彼女は、こんな明るく健全な楽しい恋愛を半年ほど続けていた。
半年ほど経過したある週末であった。
彼女:「今日、こうくん。私んとこ泊まってもいいよ!」
私: 「ほんま?でも、妹は?」
彼女:「あの子、今日から3日ほど実家の千葉に帰るの!」
私: 「ほんま?そしたらお泊りセット用意するわ!ってそんな
もんいらんし、別にないか?」
彼女:「それとー、こうくんとまだ神戸でデートしたことないよね?」
私: 「そやんなぁ!」
彼女:「実は、妹がお洒落なバー見つけてきて、私もそこに行きたいの!
一緒に行ってくれていい?」
私: 「ええよ。」
私は、彼女と一緒にハーバーランドでショッピングをし、
中華街で夕食を一緒にとって、彼女の行っていたバーに
入ったのだ。
彼女:「ほら、こうくん。お洒落でしょ、この店?」
私: 「そやなぁ!」
彼女:「それに、結構外人のお客さんが多いみたいなの。」
私は、あまりウイスキーをはじめ洋酒と呼ばれるものは
あまり好きではないので、既にビールを大ジョッキ8杯ほど
飲んでいたが、コロナビールを注文し、彼女はバーボンを
注文した。
彼女は、仕事の話や自分の好きなロックの音楽の話を
私にたくさん休む間もなくしていた。
彼女:「どう思う、こうくん?その曲のギター・ソロって
すごくしびれない?」
私: 「...そ、そうやなぁ!」
私は、流石にビールを飲みすぎたらしく、ここへ来る前も
行ったのだが、またトイレがしたくなった。
彼女:「でもやっぱり、ピッキング・ハーモニクスって
ちょっと難しいの?」
私: 「...知子ちゃん、あのト、トイ...」
彼女:「でも、それもそうだけど、ボーカルの声も渋い・・・」
私: 「と、知子ちゃん、ト、トイレ...」
彼女:「こうくん、どうしたの?トイレって!?そうそう、それに
あのライブでもあれだけの声でさぁ・・・」
私は既に我慢の限界を超えていた。
そして、とうとうやってしまったのだ。。。
彼女:「こうくん、何か臭わない?」
私は、な、何とおしっこを漏らしてしまった!
この日はカーキー色のチノパンだった。
もう、びしょ濡れで色が変わっていた。
彼女が、それに気づいた。
彼女:「馬鹿じゃない!こうくん、それは駄目だよ!
そして、さようなら!」
私にとって、真夏のこの神戸の夜が本当に冷たかった。
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