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「おばちゃんも恋するで!」
第2話 「自己紹介」
カメラが再び盃健二にズームアップされた。
「皆さん、今年も多くの韓流スターが登場しましたが、
今年最も活躍され、今や世界のスーパースターにまで
上り詰めた人いますよねぇ?では、早速登場していた
だきましょう。世界のスーパースター、パク・チルチル!」
姫子は思わず笑いそうになっていた。
『きっと何も知らないで今丁度この番組見始めた人は、
格闘技の試合だと思うだろうなぁ!』と思った。
姫子自身もこれから始まる展開がまったくわからず
疑問を感じていた。
姫子がそのように思ったのには理由があった。
この番組がなぜかしら、名古屋ドームからの生中継だった。
司会の盃健二と蟹原ゆりはドーム球場中央に
作られた特設リングに立っていた。そして、今花道をゆっくりと
パク・チルチルが歩いてきているのだった。
パク・チルチルはたくさんのおばさまたちに握手を
求められたり、体を触られたりのとめどない攻撃を
受けていた。また中にはあろう事か、抱きついたり、
彼の頬にキスするものまでいた。
それでも、パク・チルチルは笑顔で皆に愛想を
振りまいていた。
怒涛の嵐のようなおばさまたちの攻撃を体いっぱい
感じてようやくの事、パク・チルチルはリングに上がった。
「皆様、もう一度改めてご紹介しまーす!パク・チルチルさん
です。大きな拍手をお願いしまーす!」
蟹原ゆりが再度パク・チルチルを紹介し、観客に拍手を
求めた。
「パクさん、今日はほんとに忙しい中有難うございます。
それにしても、パクさんの人気はほんとすごいですねぇ?」
蟹原ゆりがパクに共感を求めた。
「ありがとございます。私皆さん応援ほんと嬉しいです」
盃健二がパクに話しかけた。
「パクさん。さて、今日はパクさんとどうしてもお付き合い
したい方が5人来てくれています。そしてその内の1名、
つまりチャンピオンをパクさんに選んでいただきます。
その方がパクさんとお付き合いができるのです。
パクさん、本当にそれでいいんですか?」
「よろこんで、おつきあいさせてもらいます」
「皆さん聞きましたか?パクさんはお付き合いして
くださいます。間違いなく!皆さん大きな拍手を!」
会場の一部では拍手が起こったが、ほとんどの人たち、
つまりおばさまたちは、ブーイング一色だった。
「盃さん。ではそろそろ予選通過5名の女性に入って
もらいましょうか?」
「そうですね。では、予選通過の5名の女性の方々の
入場です」
盃健二がそう伝えると、会場からは「♪エンダーーイ♪」
とよく聞きなれたラブソングが流れ始めた。
音楽とともに、5名の女性が花道からリングへと登場
してきた。
姫子はまた思わず吹き出しそうになった。
登場した5名の女性は皆それなりに美しいのだが、
化粧の具合、顔立ち、服装などを見ていると、まるで
生命保険のトップ・セールス・ウーマンの大会の
ように思えたのだ。
「では、早速参加者5名の方に自己紹介をお願いします。
まずは、1番の方からお願いします」
盃健二が声高らかに話した。
「1番、近藤あえるです。いやぁ、盃さん。私あなたも大ファン
なんですー!」
近藤はそういって、自己紹介も終わらぬまま盃に抱きついていった。
「こ、近藤さん。有難うございます。自己紹介はもういいです」
「では、続いて2番目の方お願いしまーす!」
蟹原が可愛い声で話した。
「2番、代田もえこです。優勝して、絶対パクさんを私のものに
してみます!年齢は42歳。趣味はパクさんの歌を聞いたり、
パクさんの映画を見ることです」
「では、続いて3番目の方どうぞ!」
盃がそう告げた。
「アンニュンハセヨ。チョヌン・木鞭アンヌ・イムニダ。
絶対パクさんと幸せになって、いい子供作ります。ざまぁ
みやがれ、皆!年齢は39歳です」
会場からふたたび大きなブーイングが起こった。
「4番、草井陽です。私は。。。パクさんと結婚する為に
生まれてきました。だから。。。まだ。。。独身!
よろしく、パクさん!年齢は43歳です。」
会場からは『帰れ!』『頭おかしいんじゃない!』などの
非難が轟々であった。
「5番、わては浪花あきんこいいますねん。今日はパクさん
みたいなええ男つかまえて、お父ちゃんに自慢してやるん
で、よろしく頼んます!年齢は39歳です」
姫子は国籍が違うから多少の感性の違いはあるとは
思っていた。しかしながら、これだけ有名人となっている
パク・チルチルがこの5人の中から本当に1名を選ぶとは
到底思えなかったのだが。。。
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