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1981年、東京岩波ホールに行列が出来た。
「ルードヴィヒ/神々の黄昏」を見るために。
2006年11月ヴィスコンティ生誕100年祭の新宿タカシマヤも、満員であった。
今回は完全版で4時間という長さにもかかわらず。(オリジナル版は3時間)
1864年バイエルン国王となったルードヴィヒ二世は、従妹のエリザベート(R・シュナイダー)と再会する。
彼女はオーストリア皇后。姉のようなしっかりとして、気品もある彼女にルードヴィヒはぞっこんだ。
でも彼女の方は、彼の気持ちを知ってながら、人妻としての毅然とした態度をとる。
かなわぬ恋に逃避するかのように、心酔していたワーグナーのパトロンになり、
オペラ劇場を作ったり、国費を湯水のように使う。
調子に乗ったワーグナーがもっとお金を“せびる”ようになると、国外追放とする。
ルードヴィヒの次の興味はお城の建設。
お城の中に池を作り本物の白鳥を浮かべたりする。
同性愛的傾向もある彼は、男性だけの“パラダイス”を作ったりして好き放題だ。
 1866年、ルードヴィヒの反対にもかかわらず、バイエルン王国はオーストリアの盟友として戦争に参加するが、敗戦に終わる。
弟のオットーが精神に異常をきたしたり、ますますつらいルードヴィヒは自分の作った城に逃避する。
歯はぼろぼろ、政治には見向きもしない。こうした彼に、有力貴族たちは偏執狂として、お城に幽閉してしまう。
彼は本当に精神に異常をきたしていたのか。
最後は自殺なのか、謎の死をとげる。

とまぁ、ざっとこんな感じのストーリーである。
25年前観た時の感想と、現在では随分感じ方が違ってきている。

ルードヴィヒがなぜに(いかに)自分の趣味の世界に没頭し、お城にひきこもり、好き放題したかという映画。

ルードヴィヒの場合、貴族趣味で芸術を愛し詩を愛し、そのためにはお金を惜しまないというタイプ。
劇場も自分一人の貸切だ。気に入った役者に自宅で延々と役を演じさせたりする。
ワーグナーを身近に置いておきたいというのもその一つ。
(ワーグナーのシーンでは、「トリスタンとイゾルデ」が何度も会話に出てきてこれも見ていて楽しい。)

どんなに贅沢をしても彼の孤独は癒されない。
ますます閉じこもるばかり。彼は人生を生きることができないのだ。
戦争には反対、指揮をとるのも嫌。
自分の趣味の世界に没頭していたい。
まったくオトナコドモ、アダルトチルドレンだ。
現代の引きこもりとちっとも変わらないではないか。

自分にはコンプレックスがある。傷つきたくない、だから引きこもる。

25年前に観た時は、狂人王として見ていたのが今見直すと、ちっとも狂人ではなかったことを知った。
繊細で傷つきやすく、芸術には目がない。
現代では、彼は普通の人物かもしれない。ただ国費を湯水のように使える立場にあったのだが。


監督ヴィスコンティはこの映画に膨大なエネルギーを使ったらしい。
宝石、小物から絵画に至るまで全て本物を使わないと気がすまない。
こんな贅沢な映画はもう二度と観られないかもしれない。
ルードヴィヒのヘルムート・バーガーは彫刻のような美男子。
ロミー・シュナイダーは自信に溢れてて、燐とした美しさ。
お城は、金色にまばゆき圧倒的にすごい!

イメージ 2今回、「山猫」「ルードヴィヒ」「イノセント」の3作品が公開され、記念本が販売されていた。2100円である。パンフレットより読み応えもありとても良い。「山猫」こちらは何度か観ているのだが、「イノセント」は未見で今回見逃して本当に残念。
昔のパンフレットが高値で売られていた。
あーぁ、捨てなきゃ良かった・・。















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本の中の写真
右上 エリザベートのR・シュナイダーと、ルードヴィヒのヘルムート・バーガー
右下 晩年の虚ろなまなざしのルードヴィヒ
左  ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」の一場面の雰囲気。山小屋でのシーン
   彼の同性愛趣向がわかるシーンだ。

11月20日からBSでヴィスコンティの映画の特集が放映されるらしい。
楽しみだ。

閉じる コメント(8)

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「山猫」は去年名古屋のミニシアターでも上映があり、見逃してしまったのですが・・またほかの作品とともに上映されるらしいので、見に行ってみようかな〜。前に見たときと感じ方が違う作品ってありますよね。

2006/11/6(月) 午前 6:51 [ のら(ぶんちょう) ]

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ぶんちょうさん、ヴィスコンティの映画、あまり万人受けしないかも。 でも映画館で観ると損はしないと思いますよ〜。 何年か経つと見方が変わる映画、結構あります。「リプリー」とか。

2006/11/6(月) 午前 7:39 iruka

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25年前ですか!すごいです!そうして時間を経てみられるirukaさんの情熱と見る魅せてくれる映画がすごいです。またまた観てみたいです。

2006/11/6(月) 午前 9:38 ony*kod*su

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おにゃこさん、あの時からもう25年も経ったと思うと早いなって気がします。若い時と今とでは感じ方が違ってくるものだなって思いました。 本もそうだけどいいものは2,3回味わいたいです。でも時間が・・ですね。

2006/11/7(火) 午前 1:54 iruka

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やはりタカシマヤで2年前に『山猫』、今回『イノセント』を見ましたが、『ルートヴィッヒ』は見逃しました。長時間だし。。ああでも最近他の映画見ても物足りなく思ってしまうくらいヴィスコンティ作品はひきずります〜『イノセント』TBさせていただきますね。

2006/11/7(火) 午前 11:19 car*ou*he*ak

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Cartucheさん、ほんと長時間でしたよ。(笑)途中まぶたが重くなる時も。でもやはりラストは泣けてきます。今回は彼にかなり同情しました。 『イノセント』もいつか劇場で観たいです。

2006/11/8(水) 午前 1:04 iruka

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劇場では見逃したルードヴィッヒですが、NHKで再見できて、嬉しかったです〜〜。そうそう。彼にはアダルトチルドレンという言葉がぴったりですね。ただ、それが世界最高のレヴェルであったため、文化の世界遺産級のものになり、今それでバイエルン地方が潤っている。。というのは皮肉でもあり、素晴らしいことでもありました。又、TBさせてくださいね。

2006/12/3(日) 午後 6:12 car*ou*he*ak

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Cartucheさん、今頃コメントすみませんm(__)m。世界最高レベル、そうですね。最高レベルの贅沢でしたね。もっと長く生きていたらたくさんの芸術家たちがまた誕生していたかもしれませんね。ラストは気の毒でした。

2007/1/8(月) 午後 11:03 iruka

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