聖書
古代写本における神のみ名旧約聖書の中で、神のみ名 יהוה (アルファベットでYHWHに相当する、エホバもしくはヤハウェを意味する神のみ名) は重要な位置を占めています。それは、いかなる名前よりも多く (7,000回ほど) 用いられていることからも、その重要性をよみとることができます。
ユダヤ人たちは宗教信念ゆえに、写本を作る際、神のみ名 יהוה を除いたり、“神”や“主”といった代用語に置き換えたりはしませんでした。
彼らは神聖なる神の名前に手をつけずにおきたいとの気持ちが非常に強かったため、旧約聖書をヘブライ語からヘブライ語に写筆する際はもとより、ギリシャ語に翻訳する場合においてさえ、神のみ名を表わす語をそのままギリシャ語本文に書き入れました。その幾つかが現代でも残っています。
以下に紹介する旧約写本は、一世紀の原始キリスト教 の人々も、そしておそらくイエス・キリストご自身も目にしていたであろう内容が収められた、ギリシャ語セプトゥアギンタ訳 (七十人訳。LXX) の初期の写本です。
とくに、新約の14の書を記した 使徒 パウロ は、旧約から引用句を書き写す際、ギリシャ語セプトゥアギンタ訳を用いました。
尚、写真は以下のサイトから流用しています。
◆ 七十人訳 VTS 10 a
ユダヤ砂漠、ナハル・へベルにある洞くつで発見された、西暦前 50年から西暦 50年頃のものとみられるギリシャ語訳による十二小預言者の巻物の断片。上は ハバクク書 (ハバクク書 2:15-20 と 3:9-14)、下は ゼカリヤ書の部分 (ゼカリヤ書 8:20 と 9:1-4) で、それぞれ古代ヘブライ文字によって神のみ名が書き込まれています。
◆ 七十人訳 パピルス写本 266号(P.Fouad Inv.266)
これは1940年代にエジプトで発見された、西暦前 1世紀にまでさかのぼる、申命記 (17−33章) を記したパピルス紙の断片です。ギリシャ語本文を伝えている 100以上の断片の中に、方形 ヘブライ文字 で記された YHWH が 31 確認できます。この写真はそのうちの7例です。
◆ クムラン第4洞窟
古代七十人訳の初期の写本では、ギリシャ語本文の中にヘブライ文字を用いて神のみ名を書き入れる以外に、ギリシャ文字を用いることもありました。これはその実例です。レビ記が記されたパピルス断片で、ΙΑω というかたちで音声的に神のみ名を示しています。イオタ、アルファ、オメガ…ですから、その発音は ヤオ (イォアオ) といったところかもしれません。
このように、ギリシャ語セプトゥアギンタ訳 (七十人訳) の初期の写本では、神のみ名 יהוה が記されていました。
ですから、ユダヤ人から成っていた原始キリスト教の人々 (後には異邦人が加わる) は、ヘブライ語で読む場合でも、ギリシャ語で読む場合でも、いずれの場合でも神のみ名 יהוה を目にしていたことになります。 |



