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震災発生から2ヵ月以上も経過すると、福島第一原発で当初は公になっていなかった様々な事案が明らかに
されて来ている。政府は24日の閣議で事故調査・検証委員会の設置を決定し、委員長に失敗学の研究で
知られる畑村洋太郎東大名誉教授を起用するとした。原子力関係者との接点もなく、菅総理始め政府関係者
との面識も無い点が考慮されたと共に、失敗の本質を分析する能力に期待しての人選だろう。この人選に
自民党の小池総務会長は「菅総理が失敗の本質そのもの。」と手厳しく批判している。同じく24日には国際
原子力機関(IAEA)の調査団が来日し、25日には原子力安全・保安院から説明を受け、26日には東海第二
原発、福島第二原発、27日には福島第一原発を視察を行っている。今後の予定は来月1日に日本政府に調査
概要を提出し、その後に事故の教訓や再発防止に向けた安全対策等を報告書として纏め、6月20日のIAEA
閣僚会議で発表するとしている。双方の報告書には大変、興味深い物になるであろう。そのポイントは大きく
二つ、情報把握と伝達、指揮の在り方についてだ。
3月11日の14時46分に地震が発生し、原発は自動停止をするのだが、15時42分には津波に襲われて全電源を
喪失する。16時45分には原子炉の冷却装置への注水が不能となり、19時03分に原子力緊急事態宣言が発令
される。翌12日の0時49分には原子炉の格納容器内の圧力が異常上昇と判断され、3時5分には海江田経産相
から放射性物質を含む水蒸気を排出するベントの実施方針が発表されるも、ベントは一向に行われない。
業を煮やした菅総理は6時14分に官邸から自衛隊のヘリで福島第一原発に向い、7時11分に到着する。しかし
僅か20分程前の6時50分頃、1号機がメルトダウンを起こしていた。
一国の総理がメルトダウンを起こしたばかりの原発に1時間近く滞在した事態が、正常とは思えない。おそらく
東京電力も政府もメルトダウンの事実を認識していなかったのだろう。当初、菅総理の視察でベントの開始が
遅れたとの批判が有ったが、ベントが開始されたのは10時17分、8時4分には総理は原発から出発している
ので、その批判は当たらない。東京電力本社が賠償問題に発展しかねない放射性物質の放出を渋ったとも
されているが、後に政府の意向や東京電力本社の指示に従わず海水注入を続けた、吉田昌郎原発所長が
指揮を取っていた事から考えると、その可能性も無い。有るのはベントを行う機器の不具合という物理的な
問題が生じていたという事か。その事実は総理が原発に着いて初めて知らされたのだろう。また政府のベント
実施の指示に対し、上場企業でもある民間企業の東京電力が一方的に従うべきか否かは、議論の余地が
有る様に思える。
もう一つの象徴的な事案は、昨週末からメディアや国会を賑わせている海水注入の中断における各者の
遣り取りと、実際に取られた処置についてだ。1号機は12日の15時36分に水素爆発を起こしている。東京電力は
19時4分から海水注入を開始したが、19時25分に政府の意向を受け一旦、中止し、20時20分に再開したと
していた。政府の意向とは海水注入に関し班目春樹原子力安全委員会委員長が再臨界の危険性を指摘し、
総理が海水注入を承認していないらしいとの事で、官邸に派遣されていた東京電力社員が本社に連絡、本社は
原発とテレビ会議を行い、注水中断を指示した。ところが斑目委員長は危険性ではなく可能性がゼロでは無いと
言っただけだと異を唱える。ならばその場で正すべきだったのだが、彼が外れてから原発に明るくない政治家達
だけで検討したのか、ホウ酸投入の検討も行われていた。原子力安全委員会は政府に対し適切なアドバイスを
行うのが業務、学者言葉で素人を翻弄した斑目氏の罪は重い。亀井国民新党代表は「修羅場で言うべき言葉
ではない。」と更迭するよう菅総理に進言したが、斑目氏は「此処で辞めたら末代の名折れだ。」と続投宣言。
既に適任者とは言い難く、辞めずとも名は折れてしまっているのだが。
そして更なる新真実は、吉田原発所長の判断により海水注入は継続されていたという点で、本社の業務命令を
無視した形に処分も検討と東京電力は会見で表明したが、菅総理以下、世間は処分に当らずというのが、
一般的だ。此処で問題とされるのは、東京電力本社には官邸や安全委員会を説き伏せるだけの原発の
専門家が居ないという点で、これでは政府から独立した一民間企業の座は守れないだろう。それを見透かし
てか現場の造反、結果的に判断や処置は正しかったのだが、常に現場が正しいと言い切れるだろうか。ならば
本部など存在する意味など全く無く、現場の指揮官以外の責任者は必要無くなる。それで組織は円滑に運営
されるものなのか、その様な形態を取る組織が無いだけに疑問の余地は残る。今回は原発所長だったが、
これが自衛隊の部隊長だったら如何だろう。シビリアンコントロールが効かない状態が想定されるが、原発
同様、専門家では無い政治家を指揮官に仰いで、有事に適切に対応出来るのか如何かという疑念も一方では
生じたりもする。一作戦に素人が事細かく首を突っ込んで指図をして成果は得られるだろうか。無論、戦中の
例を出す迄もなく、制服組が全てを取り仕切ったからと言って、望んだ成果が得られる訳でも無いのもまた事実
なのだが。
事故調査・検証委員会とIAEAは何を指摘してくれるだろうか。
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昨日の「週刊ニュース新書」でジャーナリストの田勢康弘氏が20日に内閣不信任案提出の動きが有ったと明言
した。更に18日に読売新聞への寄稿、19日に記者会見を開いて菅総理に退陣を求めた西岡参議院議長に
関し、連動しているだろうと言及した。26日からのフランス、ドービルサミットに新総理が出席する為には、20日が
デッドラインだったという事らしいが、その後のニュースでは日中韓首脳会談の為、中国の温家宝首相、韓国の
李明博大統領の来日と、東日本大震災の被災地訪問を取り扱っていた。仮に金曜日に内閣不信任案が可決
していれば、土曜日に来日する中韓両首脳は誰と何を話すのだろう。総辞職を決意した日本国前総理と昔話に
花を咲かせる(前総理はともかく両首脳はそれほど暇では無い。)のか、それとも衆議院を解散し、勝てもしない
総選挙を決断した総理を激励し、選挙活動のパフォーマンスに手を貸す羽目になったのだろうか。国内の恥とも
言えるいざこざを海外に知らしめる必要など何処にも無い。サミットも菅総理が出席して、震災に対する数々の
支援に対し感謝の念と、原発事故への対処を巡っての心配と迷惑に対する謝罪の念を、当事者である彼が国際
社会に対して述べれば良い迄の事だ。時間の無い引き継ぎでの新総理では、各国首脳からの言葉に返事に
窮する場面も出て来るだろう。恥の上塗り以外の何物でも無い。良識派の方々に踏み留まって頂いたのは、
不幸中の幸いと言える。
自民党内では派閥の領袖を中心に谷垣総裁始め執行部を非難する動きも見え始めた様だ。今月2日の1次
補正予算案可決時に不信任案も提出すべきだったとの声が大きい。民主党は統一地方選で惨敗しており、
機は熟していたと言うのだが、三連休を挟んだ6日には菅総理が浜岡原発停止要請を行い、世間の雰囲気は
一変した事を悔んだ後付けの理論と言って良いだろう。実際、民主党の反主流派も菅下ろしはGW明けと明言
してもいた。またポスト菅には民主党と自民党の大連立を前提に谷垣総裁ではなく、福田康夫元首相の名前が
挙がっていると言う。初めて総理に就く人物では慣れが無い故に不要な時間を費やす恐れが有り、森元総理は
衆院選で自民党単独過半数割れ、安倍元総理は参院選で与党過半数割れ、麻生元総理は衆院選で自民党
単独過半数割れをそれぞれ経験しており、国民の審判で否とされているが、福田元総理は政権下で国政
選挙は無かったが故の消去法から来る物らしい。(この理論だと菅総理も参院選で与党過半数割れで資格は
無い事になるのだが、鳩山前総理は逆に資格を得てしまう事になる。)無論、福田氏が歴代官房長官最長就任
記録保持者としての実務に長けている面を評価しての事だと思うが、然したる理由もなく突然、政権を投げ
出した精神面の弱さは、この国難を乗り切るに相応しい人物だとは思えない。だがこれも自民党内で谷垣総裁を
見限る風潮の一環かもしれない。元々、各派閥相乗りで支持された谷垣氏だけに、派閥の言う事を聞かなく
なれば、直ちに切り捨てられる可能性は否定出来ない。菅下ろしの前に谷垣下ろしなのだろうか。
昨日、民主党の横粂勝仁衆議院議員が離党届を提出した。岡田幹事長は受理せず今日も慰留に努めたが、
横粂氏の意志は固いらしい。震災や原発事故への民主党の対応が離党理由と言われている。彼は鳩山政権
下で、鳩山総理と小沢幹事長の政治とカネの問題が表面化した際にも、1年生議員ながら党執行部を批判する
姿勢を取った。当時は選挙区を同じくする小泉進次郎氏というスーパー1年生議員への対抗上、止むを得ないと
思っていたが、次の菅政権でも党執行部を批判する形となり、党を捨てる道を選んだ。無所属では彼の次の
当選はほぼ無いと考えて良い。にも拘わらず党を出たのは、彼が国会議員の身分よりも国民感覚を優先したに
他ならない。多くの国民が政権交代で民主党に期待し、そして失望した。彼もまたその一人だったのだろう。
正直、託す国民ならまだしも託される国会議員がそれで良いのかとも思うが、少なくとも目に国民など全く映って
いない他の国会議員の先生方よりはましに違いない。
政局が玄人の先生方は沢山、いらっしゃる様だが、望まれているのは政治の玄人だ。素人が寄って集って、
右往左往するだけでは、国家も国民も救われる事は無い。
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多くのメディアが週末、世論調査を行った。動向を見たかったのは菅総理の浜岡原発停止要請に伴い、中部
電力が稼働を停止させた事への評価なのは明らかだ。
●浜岡原発の停止要請
NHK 評価する 71 % 評価しない 24 %
NNN 評価する 71.2% 評価しない 17.3%
ANN 評価する 72 % 評価しない 17 %
朝日新聞社 評価する 62 % 評価しない 23 %
読売新聞社 評価する 68 % 評価しない 25 %毎日新聞社 評価する 66 % 評価しない 25 %
共同通信社 評価する 66.2% 評価しない 29.7%
先週、福島第一の1号機がメルトダウンしていたとの報道も有り、想像通りの高評価になっている。では実質的に
行政命令を発した菅内閣の支持率はと言うと、
●内閣支持率
NHK 支持する 28 %(↑1 %) 支持しない 55 %(↓4 %)
NNN 支持する 30.1%(↑6.1%) 支持しない 55.7%(↓5.9%)
ANN 支持する 24.0%(↓1.1%) 支持しない 52.0%(↑0.8%)
朝日新聞社 支持する 26 %(↑5 %) 支持しない 51 %(↓9 %)
読売新聞社 支持する 30 %(↓1 %) 支持しない 60 %(↑4 %) 毎日新聞社 支持する 27 %(↑5 %) 支持しない 54 %(→0 %)
共同通信社 支持する 28.1%(↑1.3%) 支持しない 57.4%
時事通信社 支持する 21.9%(↑1.4%) 支持しない 59.5%(↓2.1%) 下げ止まった事になる。何ら政権浮揚策を見出せない菅内閣としては正に浜岡原発様様だろう。支持率20%を
下回った数値を示す調査結果は1社も無く、不支持率も最高60%に留まった。これでは野党は内閣不信任案を
提出出来ない。その与野党の政党支持率はと言えば、
●政党支持率
NHK 民主党 17.6%(↓1.6%) 自民党 22.6%(↓0.7%)
NNN 民主党 22.7%(↑1.3%) 自民党 30.5%(↓0.7%)
ANN 民主党 28.7%(↑4.5%) 自民党 31.0%(↓1.4%) 朝日新聞社 民主党 19 %(↑2 %) 自民党 19 %(→0 %)
読売新聞社 民主党 20 %(→0 %) 自民党 20 %(→0 %)
毎日新聞社 民主党 15 %(↑1 %) 自民党 19 %(↓1 %)
共同通信社 民主党 20.3%(↑2.9%) 自民党 26.5%(↑1.1%)
時事通信社 民主党 10.2%(↑0.2%) 自民党 16.5%(↓1.1%) お蔭で政党支持率も民主党と自民党の差は縮った様に見える。これだと民主党の反主流派も造反し難い
雰囲気と言える。では今後も菅下ろしは国民の支持を得られないのだろうか。
●震災から復興への菅内閣の取り組み
NHK 評価する 49 % 評価しない 48 %
ANN 評価する 31 % 評価しない 50 %
朝日新聞社 評価する 29 % 評価しない 51 %
読売新聞社 評価する 33 % 評価しない 59 % 毎日新聞社 評価する 50 % 評価しない 44 %
共同通信社 評価する 47.5% 評価しない 50.4% ●震災復興の為の増税
ANN 賛成 42 %(↓10%) 反対 49 %(↑11%)
朝日新聞社 賛成 45 %(↓14%) 反対 40 %(↑ 9%) 読売新聞社 賛成 50 %(↓10%) 反対 46 %(↑14%)
毎日新聞社 賛成 48 %(↓10%) 反対 41 %(↑ 8%)
共同通信社 賛成 50.3% 反対 46.6%
復興の取り組み評価については賛否が分かれている。一方、増税の方は前月と比較して依然として賛成の方が
多いものの、逆転を示す結果も有り、そうではない結果でも賛成の割合が10ポイント以上下がり、反対の割合も
10ポイント前後上がっている。この1ヵ月で意識変化が起きる様な物事は何も起きていないはずだが、可能性が
有るとすればやはり原発事故補償が震災復興に含まれると解釈された事か。事故補償を国民負担にしない
スキームで政府は動いている様に見せてはいる。だが東京電力が求めている様に国から何らかの資金が
渡れば、それは国民の税金で有るが故に国民はそれを許さないだろう。また電気料金に何時の間にか上乗せ
される様な事態も国民は認めないに違いない。閣議決定前に民主党内でも揉めた原発事故補償のスキーム、
これが国会審議を経て如何なる決着を見せるかで情勢は変わるだろう。東京電力の経営責任、企業年金を
受け取るOBと現役社員、出資している株主、貸し付けている銀行など、国民より先に負担を負うべき方々が
如何なる扱いを受けるか、注目して行きたい。 |
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連休明けに本格化するとされた菅下ろしだが、浜岡原発停止要請で気勢を削がれたか、表立った動きはあまり
感じられない。その中、党派を超えた二つの議員連盟が発足しようとしている。
●国難対処のために行動する議員連盟
民主党と自民党の中堅、若手(5回生以下)の議員で構成される議員連盟で、復興増税への反対を唱え、来週
17日に初会合を開く予定になっている。今は10人の呼び掛け人が参加者を集っている最中で、その呼び掛け人
とは、
○民主党
樽床伸二元国対委員長 5回生 樽床グループ 日本新党出身
松野頼久元官房副長官 4回生 鳩山グループ 日本新党出身
笠浩史文科政務官 3回生 小沢氏に近いか 保守派
長島昭久元防衛政務官 3回生 野田グループ 保守派
北神圭朗 2回生 前原グループ 保守派
○自民党
菅義偉元総務相 5回生 無派閥 自由主義(小泉構造改革路線継承者)
河野太郎元法務副相 5回生 麻生派 自由主義(小泉構造改革路線継承者)
岩屋毅元外務副相 5回生 無派閥 新進党出身
梶山弘志元国交政務官 4回生 無派閥 自由主義(小泉構造改革路線継承者)
平将明 2回生 無派閥 自由主義(小泉構造改革路線継承者)
で、民主党サイドは民主党の持つ左派のイメージを嫌う方々、自民党サイドは小泉路線継承者が多数を占めて
いる。経済成長を重視し、税収の自然増で国家財政の再建を図ろうとしている方々には、如何に震災復興とは
言え、消費を冷やす増税を行い、景気低迷に拍車を掛けるのは避けたいとするのが、主旨だろうか。一説には
反菅=親小沢とされるのを嫌う小沢外しとも言われているが、小沢隠しになる可能性も無い訳では無い。
●増税によらない復興財源を求める会
こちらは西岡武夫参議院議長を中心とする超党派の有志議員によるデフレ脱却国民会議の拡大版だ。三権の
長である議長が呼び掛け人となって議連を立ち上げるのは異例だが、常日頃から菅総理の政策批判を行って
来た西岡議長としては当然とも言える行動なのだろうか。増税せずに震災国債を発行し、日銀が全額買い
オペレーションする事や、日銀が安定物価目標政策を導入する事を求める方針らしい。11日に議長公邸で
行われた打ち合わせ会合へは、
・民主党 松原仁国会対策副委員長 新自由クラブ出身で西岡氏とは縁が深いか
・民主党 石田勝之財務金融委員長 自由改革連合出身で西岡氏とは縁が深いか
・自民党 中川秀直元幹事長 自由主義、経済成長優先
・公明党 遠山清彦元外務政務官 各党の手前、頭数揃えか
・みんなの党 渡辺喜美代表 自由主義、経済成長優先
・社民党 阿部知子政審会長 社会民主主義、国民に負担を強いる政策を嫌う
・国民新党 亀井亜紀子政調会長 社会民主主義、国民に負担を強いる政策を嫌う
らが出席し、たちあがれ日本の平沼赳夫代表もメンバーに名を連ねている。(増税財政再建派の与謝野氏が
出て行った後は路線転換か。)だが各党各会派の均衡参加の為、増税反対以外の主張が揃うのは難しい
だろう。その矛先は菅内閣倒閣に向いているのか。
さて国会議員の皆様はどの指に止まるのだろう。
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一昨日、大阪で開催された憲法施行記念式の挨拶で橋下知事が首相公選制に言及した。曰く、「我が日本国
では一度、国会議員を国民が選べば、一国のリーダーは国会議員がフリーハンドで選ぶ。」、「だからこそ、
国民の意識と一国のリーダーの意識、有権者と永田町の意識が乖離するのではないか。此処にこそ、日本の
政治の最大の欠陥が有る。」、「日本国民が自分達のリーダーは自分達で選ぶという権限を、国会議員から
奪っていかなければならない。」、「憲法記念日を機として、しっかりと議論した上で国会議員から内閣総理
大臣を選ぶ権限を国民の元に取り戻す運動が、今の我が国に最も必要な政治運動だ。」等々、新しい改憲の
論点を提示したと言えよう。
近年、民主党と自民党の二大政党制が確立し始めて、国民は政権選択選挙により衆議院議員を選ぶと共に、
総理を選んでいると思える事も有る様に成った。しかし民主党で言えば、鳩山前総理は国民が選んだ総理
だが、菅現総理は国民が選んだ総理では無い。しかも就任して3ヵ月で党代表の任期満了に伴う代表選が
開催され、総理が民主党という一政党内の制度で交代する事も有り得る事が露見した。遡って自民党で言えば
小泉元総理は自民党の総裁選で選ばれ総理の座に就いたものの、国政選挙で国民の信任は得た格好には
成っている。が小泉氏は自民党の総裁任期に従い退陣し、その後の安倍元総理、福田元総理、麻生元総理と
いずれも国民の信任を事後でも得ていない形で就任し、そして退任した。やはり国民としては自らが選んだ
という感覚には程遠いだろうし、一政党の内規で公職の者が職を辞するのは理解が得られないかもしれない。
最初に首相公選制を言い出したのは1961年、後に総理となる中曽根康弘氏だ。当時、彼は河野一郎氏率いる
河野派に所属していたが、岸氏、池田氏、佐藤氏が率いる派閥の比べると小規模感は否定出来ず、総理の
道は遠いと感じたのだろう。その後は自らの派閥を率いるが依然として小派閥に留まる中、自民党は最盛期の
三角大福中時代迎える。角福戦争と称されるこの時期の政争では凄まじいまでの派閥工作で多数派が形成
される中、1978年には総裁選に立候補するも大平氏に敗れ、最終的には大派閥を率いる田中角栄氏の支持を
得て1982年にようやく総理の座に就いた。また小泉元総理も在任中に「首相公選制を考える懇談会」を開催して
制度導入を模索していた。彼もまた若かりし頃、福田派の一員として角福戦争を経験し、その後も事有る事に
田中派、竹下派と対峙して来た。1995年には総裁選に出馬するも、小渕派の橋本龍太郎氏に敗れている。
その後の1998年の総裁選でも小渕派の小渕恵三氏に敗れたが、2001年の総裁選に出馬し、永田町の下馬評
では大派閥の橋本氏有利だったが、一般党員を対象とする予備選で小泉旋風を巻き起こし、本選挙でも
圧勝して総理の座をようやく得る事が出来た。東京都知事の石原慎太郎氏もまた首相公選制賛成派だったり
する。彼は国民の圧倒的人気を受け1968年の参議院選挙全国区で301万票をも得て初当選する。1989年には
総裁選に出馬するが、竹下派の推す海部俊樹氏に敗れ、1995年の議員勤続25年の表彰で辞職を表明し、
国政の場を去った。三人に共通するのは田中派に代表される大派閥に阻まれ、総理の座に就くのにかなりの
苦労を強いられた、もしくは就けなかったというものだ。中曽根氏は微妙だが、小泉氏は国民からの支持が
高かったからこそ総理に就けたとも言え、石原氏も環境さえ整えば国民の支持を背景に総理の座に就く事が
出来たろう。少なくとも小泉氏、石原氏の両名は首相公選制であれば、もっと早く楽に総理の座に就けたに
違いない。
さて橋下大阪府知事は何故にこの様な首相公選制発言を行ったのだろうか。大阪都知事の次は日本国
総理の座を思い描いているのだろうか。ならば少し気が早い様な気がするのだが。
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