|
昨日は経済界と政界の意識調査を扱ったが、今日はいつもの様に一般国民の意識調査について触れてみよう。
週末、メディア5社が世論調査を行っており、政府与党に厳しい結果が出た。
●内閣支持率
NHK 支持する 16 %(↓ 9 %) 支持しない 68 %(↑11 %) NNN 支持する 16.1%(↓ 8.0%) 支持しない 69.4%(↑ 8.6%) JNN 支持する 17.7%(↓10.4%) 支持しない 81.1%(↑11.7%) 朝日新聞社 支持する 15 %(↓ 7 %) 支持しない 66 %(↑10 %) 時事通信社 支持する 12.5%(↓ 9.4%) 支持しない 71.2%(↑11.6%)
菅総理はストレステストなる物を持ち出して玄海原発の再稼働を延期させてみたのだが、浜岡原発を停止 要請した様な反応は国民に見られなかった。松本前復興相の放言問題の影響も有ったのだろうが、やはり
退陣する様な発言をしながら辞めると言った事は無いという開き直りの姿勢が、国民には許せないのだろう。
退陣時期について国民は下記の様に考えている。
●菅内閣の退陣時期
NHK 今すぐに 38 % 8月末 28 % 年内 14 % 来年以降 10%
NNN 今すぐに 38.5% 8月末 35.1% 年内 10.9% できるだけ長く 9.6% JNN 今すぐに 38 % 8月末 25 % 年内 15 % 年明け 4% 退陣の必要無し 11%
朝日新聞社 今すぐに 31 % 8月末 39 % 9月以降 23% 時事通信社 直ちに 37.6% 引き続き政権運営に当たる 11.4%
今国会会期中の退陣を求める声が過半数となっている。そして菅総理が退陣の条件として挙げている再生
可能エネルギー法案や特例公債法案、第二次補正予算案に対しても国民の反応は冷ややかだ。
●菅内閣の退陣条件
NNN 支持する 34.9% 支持しない 51.3%
朝日新聞社 納得できる 25 % 納得できない 58 %
過半数が花道を用意する事すら拒絶している。菅総理が急遽、持ち出した原発に対するストレステストは
其れほど迄に国民に受けが悪かったのだろうか。
●原発再稼働について
NHK 新たな基準作り 評価する 25% 評価しない 66%
NNN 再稼働に関する方針転換 納得する 30.1% 納得しない 58.7%
NNN 電力供給と原発の安全確保への取り組み 明確な考えに基づく 10.5% 場当たり的 71.9%
JNN ストレステストを実施する方針 評価する 44% 評価しない 47%
朝日新聞社 運転再開をめぐる政府の一連の動き かじ取りできている 9% できていない 84%
設問は各社、異なってはいるが総じて菅総理の原発再稼働に関する対応を国民は評価していないと言える。
再稼働しないという結果が同じでも、過程において信用出来なければ評価が低いという事だろう。5月の浜岡
原発停止要請の時に、ストレステストの実施も発表していれば結果は全く異なったで有ろうし、退陣を求める
声も出なかったろう。
さて経済界では大連立を望む声が多く、政界では逆に否定的だったのだが、国民はと言えば、
NHK 政策ごとの連携 36% 衆議院の解散・総選挙 31% 大連立 15%
と依然として政策連携への期待が高く、大連立には否定的だ。そして総選挙への要望が高まっている。
●衆議院の解散・総選挙時期
NNN できるだけ早く 21.9% 次の内閣が発足したらすぐ 21.6% 今年後半 13.7%
来年 11.3% 任期満了時 21.1%
JNN 今すぐに 16% 年内に 33% 来年以降 23% 任期満了時 22%
と半数前後が今年中の解散、総選挙を求めている。だが菅総理にとって残念なのは、
朝日新聞社 菅首相が辞任しないでの解散、総選挙 納得できる 34% 納得できない 53%
既に菅総理には国民の審判は下っている様だ。
菅内閣への不信任案を否決しながら、党内での退陣論が噴出している状態への批判なのか、それとも
菅総理へ引導を渡せない党への苛立ちなのか、民主党の支持率が著しく下落している。
●政党支持率
NHK 民主党 13.6%(↓6.8%) 自民党 23.4%(↑2.3%) NNN 民主党 18.2%(↓7.3%) 自民党 28.2%(↑3.2%) JNN 民主党 15.0%(↓4.5%) 自民党 18.8%(→0 %) 朝日新聞社 民主党 17 %(↓2 %) 自民党 17 %(↑1 %) 時事通信社 民主党 10.0%(↓2.8%) 自民党 15.0%(↑0.4%)
自民党とは10%近く支持率格差が開いてしまった調査結果も有り、これで総選挙を迎えれば自民党の勝利は
容易に想像出来る。
かつて支持率一桁でも辞めないと言っていた菅総理、支持率にマイナス表示は無いと励ます菅総理夫人、
二人に国民の声は届くだろうか。
|
全体表示
[ リスト | 詳細 ]
|
政治に関する調査と言えばメディア各社が国民を対象に行う世論調査が一般的だが、今回は対象の異なる
二つの調査を取り上げたい。
一つは帝国データバンク社が行った政権の新しい枠組みに関する企業の意識調査で、調査日は先月
20日から30日、対象者は全国22,773社の企業で11,032社から有効回答を得た。おそらく実際の回答者は企業
経営者本人か秘書室長もしくは広報部長の代筆だろう。一世代前の表現で言えば労働者に対する資本家で、
企業のリーダーが回答したと捉えて良かろう。
●新体制へ移行するうえで望ましい選択肢
大連立 43.2% 衆議院解散 28.1% 現与党中心の新内閣 10.6% 分からない 20.1%
民主党と国民新党の連立政権への支持は僅か10%、自民党を政権に組み込む大連立や、民主党が下野する
事を想定したか、それとも直近の民意でねじれ国会を押さえ付けようとしたのか、解散・総選挙の方が遥かに
多い。労働組合の総本山である連合が民主党支持なので、資本家側が自民党についてこの結果という様な
単純な話ではあるまい。民主党政権の政治手腕や行政府のマネジメントなど所謂、統治能力に対しての
不合格点が、この様な数字に表れたのだろう。
●新体制への移行時期
すぐにでも(6月中) 36.4% 7月 19.8% 8月 13.2% 9月 8.5% 10〜12月 4.6% 来年1月以降 3.7%
今は既に7月の1/3が終わった時期だが、今月中の移行希望が56.2%と過半数を上回っている。菅総理が
当初、目論んだ目処の来年1月迄の道程はかなり遠そうだ。今国会会期末の8月迄で69.4%、やはりこの辺が
限界ラインか。
●日本が復興していくために必要なこと
行政府による復興ビジョンの提示 74.7%
インフラの整備 50.4%
行政府による被災地への支援 49.9%
エネルギーの安定供給 48.7%
復興に関する融資制度の充実 46.6%
中長期的な被災者、地域への援助 46.3%
復興構想会議の提言を受けて内閣としてのビジョンを示す予定だったのだろうが、あまりにも表明が遅いと
判断しているのか。復興構想会議の提言内容が特段、報道されない処を見ると内容も目を見張る様な物では
無いのだろう。新内閣は彼等を唸らせる様な復興ビジョンを提示出来るだろうか。
●首相に求められる資質・能力
リーダーシップ 87.8% 外交力 54.5% ビジョン 53.2% 信念 47.2% 説得力 38.4%
調整能力 36.4% 熱意 35.5% 嘘や裏がない 32.9% 国民目線 31.3% 明るさ 12.4%
やはり大なり小なり組織のリーダーからの回答だけあってリーダーシップが9割近い。自己の経験や自分と
比較しての回答でも有るだろう。二番手に外交力が来る辺り、日本企業も国際性が求められての事か、
それとも米国オバマ大統領と鳩山前総理、中国胡錦濤国家出席と菅総理の対談の様子を見ての印象なの
だろうか。三番手には復興同様、ビジョンを求める声が多いのだが、面白いのは嘘や裏が有っても良い、
国民目線が無くても良いと考える企業が多い事だ。此処は一般庶民とは大きく異なる点なのだが、百戦錬磨の
経営陣としては、綺麗事だけではリーダーは務まらないと経験上、痛感しているのかもしれない。
●復興財源確保の方法
復興債(国債)の発行 47.6% 既存予算の組み替え 45.3% 消費税増税 44.5% 特別会計の活用 38.4%
法人税増税 13.3% 所得税増税 10.0%
見解は国債発行、予算組替、消費税増税が競っている。複合的な調達を考えているのだろうか。自分達の
企業に課税される法人税や、自分達が累進課税によってより多く負担する所得税は避けて欲しいという本音も
覗いていたりする。
経済界は大連立を望む声が大きいのだが、当事者の政界は如何だろう。産経新聞社が衆参両院の国会議員
721人にアンケート用紙を配布し、336人から回収した。政党別では民主党163人(回答率40.0%)、自民党102人
(同50.7%)、公明党24人(同60.0%)、共産党8人(同53.3%)、社民党10人(同100%)、みんなの党13人
(同81.3%)、国民新党3人(同50.0%)等となっている。
●震災対応を名目とする「大連立構想」に賛成か
賛成 17.6% 反対 51.5% 分からないなど 30.9%
民自両党以外は存在意義を失うので当然と言えば当然だが、回答者の過半数が大連立構想に反対している。
自民党でも64.7%が反対し、民主党では賛否が共に30%台と拮抗している様だ。自民党としては民主党の
統治能力を補うつもりは無いと言う事だろうか。菅内閣の退陣時期にも因るのだろうが、今国会の8月末とも
なると新内閣は9月に入ってからで震災発生から約半年、もはやタイミングを逸しているのかもしれない。
●政政府や国会での震災対策論議が、被災地のニーズに合っていないと感じたことがあるか
感じたことがある 84.2% 感じたことがない 4.8% 分からないなど 11.0%
被災地を視察したのは312人居るのだが、283人が合っていないと感じているらしい。衆参両議員の実に1/3
以上が合っていないと回答しているにも関わらず、国会は70日間延長され、またも不毛な議論が繰り広げられて
いるのだろうか。この1/3、大政党の若手議員で党執行部や先輩議員の指示に従わざるを得ないのか、それとも
小政党の哀しさで全く無視されているのか分からないが、当事者だけに改善を望みたい処だ。
復興迄はまだまだ遠い道程かもしれない。一般国民はどの様な意識で居るのだろうか。
|

- >
- 政治
- >
- 政界と政治活動
- >
- その他政界と政治活動
|
震災後の菅総理の被災地や被災者に対する言動に心が無いと野党議員は批判して来た。親分が親分なら
子分も子分なのか、昨日、岩手県庁と宮城県庁を訪れた新任の松本龍復興相の現地での発言が物議を醸し
出している。
岩手県庁で達増知事に対し、
「知恵を出したところは助けるけれど、知恵を出さないところは助けない、その位の気持ちを持って。」
助けてくれと差し出された手を払い除けて、助けられ方を考えたら助けてやろうという姿勢が、今の被災地に
必要なのだろうか。被災地では被災者は元より行政担当者も、被災以来の苦労で精も根も尽きているのでは
なかろうか。弱っている者に平気で鞭を振るう、その神経には誰の理解も得られないだろう。
「九州の人間だから東北の何市が何処の県か分からん。」
松本氏は復興相以前に震災前から防災相を務めていた。震災発生以降、防災相としての会見も行わず、
被災地視察も他の閣僚に比べて遅かったと言っても良い。何をしていたかと言えば、官邸に籠り切りだったので
被害状況の把握と救援手配に掛かり切りだったとも思えたのだが、ならば被災地の市町村が何処の県下に
有るかは、多少、物憶えが悪くとも頭に入るだろう。震災前の状態、現在の状況が把握出来ていなければ、
復興などとても出来ないはずだ。
宮城県庁で村井知事に対し、
「県の中でコンセンサス得ろよ。そうしないと我々、何もしないぞ。だからちゃんとやれ。」
他人事感、上から感、一杯のコメントと言えよう。村井知事は漁港の集約化、企業の参入を巡って漁協と意見
対立をしている訳だが、県側が復興での新しい漁業の在り方を模索し、漁協は復旧での従来の漁業様式での
一日も早い回復を望んでいる訳で、復興相としては双方の調整に入り、妥協を促し、着地させる事を試みても
良いでのはないだろうか。そっちで決める事を決めたら、遣ってやるからという一歩、引いた姿勢を見せる様では
被災者どころか国民の期待にも応えられていないと言えよう。ちゃんとやれ等という表現、見下した失礼な言い
回しを平気で使う処に松本氏の人間性を疑わざるを得ない。
「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ。」
確かに仲井眞沖縄県知事は政府要人を迎える際、先に部屋に居たりする。また達増岩手県知事は庁舎の
玄関前で松本氏をお出迎えした。一方、村井知事は今日の会見で会合に遅刻はしていないとしており、
松本氏の到着が予定より早かった可能性も否定出来ない。また客人を応接室に通してから主が現れる
様式も有るだろう。要は松本氏に迎えて貰うのが当然という意識が有るが故の発言に思える。村井知事も
会見で言及しているが、国と地方自治体に主従関係は存在しない。橋下大阪府知事は「地方は中央の
奴隷。」と表現して憚らないが、官僚だけではなく、政府や国会議員にもその様な意識が有るとすれば、
民主党の言う地域主権など紛い物以外の何物でも無い。
「書いたら、もうその社は終わりだから。」
冗談めかして言ってはいるものの、報道各社に対して終わりとは、記者クラブからの除名を指しているのか、
それとも企業そのものを政府の力で潰そうとするのか、何れにしても報道内容に対する圧力と受け取られても
致し方無い。村井知事の行為を皆の前で叱責した事が公になる事が不憫だと思うならば、最初からしなければ
良い迄の話だろう。
何でもかんでも国に頼ろうとする姿勢は確かに諌めるべきだろう。しかし物には言い方と時と場所が有る。
報道陣が構える中、命令口調で発言する事が相応しいのか否か、国民の代表である国会議員として、また戦後
最大の国難に対処する大臣として相応しいのかと言えばそうでは無かろう。松本氏は60歳、衆議院7期目で
ベテラン議員の部類に入る。だが二世議員で有数の資産家と言う点では、過去、何人か見て来たお坊ちゃま
政治家の域を出ていないかもしれない。今の国民は上から目線を極度に嫌う。が故に民主党は国民目線の
政治を掲げた訳だが、松本氏の言動を見る限りそれが体現出来ているとは思えない。国民目線からすれば
国会を軽視したとされる柳田前法相より問題発言とする方は多いだろう。復興相のポストは米国でブッシュ
政権からオバマ政権に交代した際に続投となったゲーツ国防長官の様に、総理や与党が代ろうとも被災地が
復興を遂げる迄は人材を代えない方が良いはずだ。その意味ではポスト菅が民主党主流派の野田財相に
なろうが、反主流派の小沢傀儡政権が誕生しようが、自公両党との大連立政権になろうが、復興相就任の噂の
有った亀井国民新党代表の方が続投は可能で、能力面や苦労人の生い立ちから見ても適材適所だった様に
思う。被災地の首長達と信頼関係が築けなければ復興は有り得ない。松本氏は着任早々ではあるが、手腕
以前の資質という点で更迭した方が、場を収める意味でも最善の策ではないだろうか。
|
|
一昨日の内閣人事、人々の耳目は人寄せパンダとしての賞味期限切れの蓮舫行刷相の退任でもなく、代って
人寄せパンダを命ぜられた細野原発相でもなく、最優先課題の震災復興を担う松本復興相でもなく、一政務
次官人事に集まった。自民党所属の参議院議員、浜田和幸氏の総務政務官への就任だ。彼は民主党政権の
政務三役に就任するにあたり、自民党を離党した。昨夏の参院選に鳥取県選挙区候補者として出馬し初当選、
国会議員歴は1年に満たない。
先週、国会の会期延長を巡って菅総理と民主党執行部、野党の自公両党は激しく対立したばかりだ。50日間の
延長で民自公の三党で合意が出来ていたにも関わらず菅総理は70日でゴリ押し、結果として三党合意は白紙と
なった。其処へ自民党議員の引き抜き騒動、自民党の面々が良い顔をするはずが無い。バラマキ政策の財源と
なる特例公債法案は元より、被災地復興に必要な第二次補正予算案まで反対に回る事を検討し始めている。
国会運営に苦心してきた民主党執行部からも批判の声は出ている。参議院で与党議員の数は過半数を大きく
下回っている以上、たった一人が野党から与党に移った処で大勢に影響は無く、事態は悪化するだけとして
いる。また反主流派を中心に他党の一年生議員にカネとポストを用意した事への批判も出ており、昨日の
民主党両院議員総会でも取り上げた。議員歴1年に満たなければ、政権交代選挙で議席を得た多数の小沢
チルドレンの方がキャリアは長い訳で、不平不満が起きるのは当然と言える。
浜田氏を引き抜いたのは国民新党の亀井代表と民主党の石井一参議院議員だが、特に亀井氏の功績が
大きい様だ。郵政民営化見直しを巡っての菅氏との意見対立から、閣僚も辞した亀井氏だが、此処に来て
急接近しているのは、民主党の主流派反菅グループの画策する民自の大連立構想阻止の為だろう。ポスト菅の
一番手の彼等と自公両党は増税路線で一致しており、反増税路線の国民新党は議席数でも用済みの為、
連立から弾き出される確率が極めて高いが故に、菅内閣の延命に手を貸し、自らの延命も図っていると
思われる。そして今日、亀井氏は1名引抜きの種明かしをした。現在、参議院での民主党や国民新党など、
与党系議員は110名、これに浜田氏を加え、更に社民党の4名と共産党の6名を加えると121名となり、
参議院の過半数を確保する事が出来るというものだ。反原発派の社民党と共産党ならば再生エネルギー
法案で賛成に回るのは確実、第二次補正予算案は被災地用の物なので反対に回るはずもなく、バラマキ
政策の財源である特例公債法案も、富裕層や法人から搾取して庶民に分配する事を党の基本理念としている
社共両党からすれば、庶民にばら撒かれる政策には合意出来るだろう。これで菅総理は退陣の目処が立つ
訳だが、あの性格からしてすんなり引き下がるとも思えない。続投宣言をして物議を醸し出す中、今度は税と
社会保障の一体改革で、国民新党と社共両党を切り捨て、自公両党に擦り寄るかもしれない。何しろ国民が
政策的部分連合を望んでいる以上、菅総理として民意に従っていると嘯く事も可能だ。行き詰まったら解散、
総選挙も充分に有り得るか。
政局の道具にされてしまった浜田氏だが、彼の思いは被災地復興に尽力したい、ただそれだけだったろう。彼が
出馬した昨年、自民党は既に下野しており、政権政党で無いのは理解した上で公認候補として選挙を戦った
はず、しかし当選していざ国会に参加してみるとあくまで立法府の一員、しかも野党では、政府や行政府を
動かす事が無理である事を痛感したはずだ。其処へ未曾有の大震災、それでも何も出来ない状況に、何の為に
政治家に成ったのか分からないと苦悩しても不思議は無い。先日の朝まで生テレビでも自民党の茂木衆議院
議員が、「我々は立法府の人間なので執行は出来ません。」と繰り返し発言していた。出来るのは被災地復興の
為の立法のみ、為政も統治も執行も行政府の人間でなければ成し得ないのだ。720人以上の国会議員、同じ
思いの方々もたぶん居るのではないだろうか。
|
|
先週の政界は茶番劇の第二幕だった。3日間に渡って民主党執行部は菅総理に退陣時期の表明を迫ったが
菅総理は拒絶、自公両党との合意も蹴飛ばして70日間の国会会期延長を強行採決して幕を閉じた。そして
菅総理は此処でも消費税増税、TPP参加に続く思い付きの持病を発症する。それが再生エネルギー特別
措置法なのだが、第一幕の目処では福島第一原発の冷温停止状態とか、被災地の瓦礫撤去とか、仮設住宅
への全員入居とか言っていながら、再生エネルギーについては全く触れていなかった。それが半月の間に、
是が非でも通したい法案の一番に躍り出る。本年度の予算執行中ではあるが国債を発行していない為、資金が
ショートする恐れが有るのだが、それを回避する特例公債法案など全く眼中に無い様だ。
この菅総理の姿勢に早くも財界から異議が出ている。米倉弘昌経団連会長は電気料金の値上げは生産拠点の
海外移転を加速すると牽制した。ソフトバンクの孫正義氏が再生エネルギーでの発電事業に参入する為、
定款を変更させたのとは好対照だったりする。正に新旧経営者の対決なのだが、新経営者と言える三木谷
浩史氏率いる楽天も経団連を退会した。表向きは方向性や哲学の違いとしているが、実際の処、電力業界を
保護しようとする経団連の姿勢が許せなかったらしい。
再生エネルギーによる発電された電力を固定金額で電力会社に買い取らせる制度の実現は、実は民主党の
マニフェストに記載が有るそうだ。其れ処か自民党のマニフェストにも記載されているらしい。また既に経産省が
関係各所の調整に乗り出しているなど、必ずしも菅総理のオリジナル政策では無い。またこの制度の実現を
推進する為の議員連盟、再生可能エネルギー促進法を早期成立を求める議員連盟には202名もの議員が
賛同を表明しているのだが、民主党主流派よりも反主流派の議員の参加が多かったりする。震災前、他国に
新幹線と共に原発を売りに歩いていた主流派に対する対抗措置の様相も感じられるだけに、此処でも政策より
政局の匂いが漂っていたりもするのだが、此処に菅総理が同調した事で更なるネジレと混乱を招きそうだ。
この法案、脱原発への第一歩として期待する国民も多い様だが、現実には逆行しかねない。それは電気料金に
起因する。再生可能エネルギーの内、バイオマスを除く自然エネルギーはいずれも発電量が自然条件に
左右され不安定だ。必然的に発電量が安定していて調節が可能な火力発電か原子力発電に頼らざるを
得ない。原子力発電は事故補償の積立金が新たにコストとして加わるだろうが、それでも火力発電コストよりも
安価だろう。日本社会が再生エネルギー発電でのコスト増と火力発電によるコスト増から来る電気料金の
値上げを、容認する姿勢を見せれば問題は無いのだが、今の風潮は電力会社に厳しく簡単に言い出せる物
ではない。また火力発電の燃料となるLNG、重油、石炭は輸入に頼らざるを得ないのだが、国際価格の変動は
激しく、場合によっては著しいコスト高に見舞われる可能性も否定出来ない。故に民間上場企業である電力
各社は、収益を確保すべく火力発電の割合を減らし、原子力発電での発電量を確保する経営方針を
取るだろう。誠に皮肉な結果なのだが、物事は総合的に進めて行かないと、望み通りには行かないという
好例かもしれない。
もう一つの懸念点はやはり日本経済への影響だろう。電気料金の値上げは消費税増税と同様、全国民に
負荷が掛かる。経済よりも国民の安全を優先する主張に対抗するのは難しい。しかし実際には消費が落ち込む
分だけ景気は低迷し、コスト高と不安定な電力供給を嫌って多くの生産拠点が海外に流出し、雇用機会が
失われる。更に問題なのはこの法案の成立で生まれる新たなビジネスが絶対に損をしない制度を基盤とする点
だったりする。再生エネルギーで発電された電力を固定料金で買い取るのだが、その固定料金は新規事業者の
初期投資額を順調に回収し、日々の運用コストを補い、幾らかの利潤を生み出せる価格に設定されるはずだ。
(でなければ誰も参入はしない。)確実に儲かる話、投資するだけの資産を持っている方々は、事業参入から
出資まで様々な形で関与し、利益を得る事だろう。一方、資産を持たぬ者は高額となった電気料金を支払い、
安全や安心を買ったと自分に言い聞かせるのだが、実は資産家の懐を更に温める事に手を貸しているに
過ぎなかったりする。正に富める者は蓄財を重ね、貧しき者は搾取され続ける資本主義の悪しき図式が
展開されると言えよう。
国民はこのバラ色に見える法案の真相を何処まで理解しているのだろうか。
|


