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ヒキガエルの産卵には長い時間が必要だ。半日以上掛かる場合もある。
これまで長時間観察中に、一晩が過ぎ朝を迎えても産卵し始めないのを何度か確認した。
確認の方法は、ライトで照らしてずっと追い掛け回すわけではなく、体の色柄や大きさ等の特徴を憶えておいて、数時間ごとにチラッと様子を見るという感じにする。
↑移動しながら産卵する様子。産卵直後と1日経った卵嚢では太さが何倍も違う。
オスはメスの脇の下辺りに抱きつき(抱接)、太い前肢でお腹を締めつけて産卵を促す。
だがメスはすぐには産卵を始めないので、オスは催促するように鳴くことがある。
長い助走時間の後、メスが移動しながら少しずつ産む2本の紐のような卵嚢(らんのう)に、オスが放精して受精させる。産卵の最中なら、産まれた卵嚢を辿ればメスの軌跡を知ることが出来て興味深い。
産卵直後の卵嚢は、透明な細い紐の中に黒っぽい卵が詰まるように入っている。時間が経つにつれて卵を包むゼリー質が水を吸って膨張し、卵の間隔が広がる。
1匹のメスが産む卵塊は5〜10mの長さで、1,500〜8,000個位の卵を含むのが普通だが、小さいメスが産んだ2〜3mの卵塊を見たことがあるし、10mを越える場合もある。
↑産卵を終えて池から上がって来たペア。メスは疲れ切っているのか動きが鈍かった。
メスはオスを背負って動かなければならないし、合戦に巻き込まれると呼吸もままならないから消耗が激しい。産卵後に力尽きたメスの姿は痛々しく、労わりたい気持ちになる。
大仕事を終えたメスの顔が、出産後の母親の美しさを漂わせている気がするのは、僕の思い入れが強すぎるせいだろうか。
↑産卵が終わり静まり返った池の中に幾重にも折り重なる卵塊。何万もの命が宿っている。
ヒキガエルが大量の卵を産むのは、それだけ生き延びるのが難しいことを意味する。
変態するまでの間に散々捕食されてしまうし、運良くカエルになれたとしても、変態直後は1cmに満たない小ささでとても弱い。運動能力が低いので上陸に失敗して溺死したり、上陸後に干乾びて死んでしまったりする。そして子ガエル(幼体)の時は捕食者に狙われやすい。
そうやって物凄い勢いで数を減らしてゆき、成体になって繁殖に参加出来るのは数百分の一から千分の一ほどの少数だ。
彼らが生き残るための道のりは過酷だが、それは宿命であり重要な役目でもある。
食物連鎖の中間に位置して、捕食されたり捕食したりすることで、生態系のバランスを保つ役割を担っているからだ。
自然や生態系について考えると、人間の僕よりヒキガエルのほうがよっぽど役に立っている…生きていても死んでしまっても。。。
産卵の様子を届けて ヒキガエル産卵祭 は一段落。また後日、元気なオタマジャクシの姿を見せたいと思います。では、その時に…。
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2015 ヒキガエル産卵祭
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ヒキガエルの繁殖活動には面白い場面がいろいろある。
その中でも多数のオスたちがメスを巡って争う カエル合戦(ガマ合戦) は、
図体が大きいことも相まって迫力満点で見応えがあり、他のカエルと一味違う。
メス1匹に10匹位のオスが群がるのは珍しい事ではなく、とにかく競争が激しい。
一旦始まると、しばらくは収拾がつかない感じで入り乱れる。
やがて諦めたオスが離れていくと、メスを中心にオスが固まった団子のようになる。
それを僕は カエル団子(ガマ団子) と呼ぶ。
ガマ団子が出来上がると、グルグルと向きを変えながら水面を移動する。
長ければ30分以上もその状態が続くので、メスは苦しい時を過ごす事に…。
中心にいるメスは、強く抱き締められたまま水中にいる時間が長くなり、
息継ぎが出来なくて死んでしまう場合もある。文字通り命懸けだ。
そこには見ていて面白いというだけではないドラマがある。
今まで何度か死んでしまったメスを目撃したが、幸い今年は大丈夫だった。
この池はそれなりに大きいから、熱いガマ合戦が繰り広げられる一方で、
戦いに疲れたオスが休憩所?に集まって、ボーッとしていたりする。
仕事に疲れたサラリーマンが一服する光景とそっくりではないだろうか。
やはり戦士にも休息が必要なんだね。
ただ休んでいるだけなら普通なのだが、ちょっと暗いオーラを漂わせる1匹を見つけた。
やさぐれた感じでたむろするオスの中で、岩に顔面を押し付け外界を拒絶するかのよう…
まさかヒキガエルが悩むなんて有り得ないとは思うが、苦悩する姿に見えてしまう。
心が折れてしまったのか?と心配になるのは気にしすぎか。。。
困難が多いだろうが挫けないでほしい…(お前もな 笑)
そんなこんなで、合戦を勝ち抜いた多分優秀な遺伝子が、次世代へ受け継がれていく。
続きは vol.4で…。
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オスが出動して2〜3日経ってからメスが現れるのが普通だが、何故だろう。
抱接の相手が揃ってから出て行くほうが合理的だからに違いない。これは賢い習性だ。 池へ向かってメスが歩いていれば、待ち構えているオスに見つかる場合が多い。 道中で見つけられなくても、池まで来ればすぐさまモテモテ状態になる。 複数のオスとメスが同じ巣穴で冬眠している姿を観察した事があるので、
そうなると、巣穴近くでペアになってから池まで移動するかも知れない。 いずれにしろ、ペアになった後オスを背負って歩くメスは重労働だ。 池に着いてからは、寄って来るオスどもを追い払ったり カエル合戦 に巻き込まれたり…
何かと邪魔が入る中で産卵しなければならない。
そしてヒキガエルは産卵に長い時間が掛かるので、動き続けていては体力が持たない。
だから忙しい合間にはちゃんと休憩もしている。
毎年この池には沢山のヒキガエルが繁殖しに集まり、100匹近くを確認した事もある。
ここ数年は減少傾向だと感じていたが、今年はこれまで観察した中で最も少なかった。
周辺の整備や木の伐採などで、彼らが生息しにくい環境へと変わりつつある。
このまま先細りに数を減らしていく可能性が高いのでは…と心配してしまう。
それでも集まったヒキガエルたちが、寒さに負けず奮闘する光景には心躍るのだが。。。
この後いよいよ待ちに待った?合戦が始まりクライマックスへ。
続きは vol.3で…。
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毎年早春に繰り広げられるアズマヒキガエルの繁殖活動。
僕が観察する池では2月の最後の一週間に活動が集中し、3月に入るとすっかり静かに。
2回活動が行われることもあるが、今年はあっさりと終了になった。
ちょっと出遅れたのと諸事情により、撮影したのは25・26・28日の3日間の夜。
一年近く休んでいて、いきなり撮影した今回の産卵祭。
難有りの写真もあるけれど、彼らの命の営みの記録としてご覧ください。。。
春の足音が近づく頃、地温が一定以上(6〜7℃と言われる)になる日が続くと、
まずオスが姿を現して、思い思いの位置取りでメスがやって来るのを待つ。
陸で、水辺で、あるいは池の中で。それぞれの個体によって考え(感性)が違う。
そしてずっと同じ場所に留まるわけではなく、しばらく待って駄目なら移動する。
たまに、およそ意味が無さそうな所にいたりするが、個性と解釈すれば面白い。
さまざまな条件と偶然と個性の組み合わせで、子孫を残すチャンスが決定される。
野生の場合、オスの寿命は長くて10年内外で繁殖参加は2年目以降が多い。
メスに対して数は4〜5倍。だから実は子孫を残せない個体が多い。
繁殖期のオスの習性で、手頃な大きさの動くものには何にでも抱きつこうとする。
人の手や靴にだって抱きついて来る位だから、当然オスメスの区別なんてない。
オス同士で抱きつこうとして、くんずほぐれつする場面がしょっちゅう見られる。
間違って抱きつかれたオスは リリース音 という決まった鳴き声を発する。
すると相手がオスだと気づいて離れ、さっきまでの勢いはどこへやら…
白けて解散となる。そんな事をまるでエンドレスかのように繰り返す。。。
続きは vol.2で…。
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