酒井 誠(真宗大谷派 道浄寺)

真宗の宗祖、親鸞聖人の教えと、大谷派のお給仕などについて、不定期に書いています。

声明・儀式

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今回は一般的な呉音での御経(おきょう)の作法と読み方について少し書いて行きます。

御経は浄土真宗では正依の経典である、浄土三部経です。無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経です。
釈尊の説法を聞いてゆく、教へをいただく上で大切にされてきました。

作法ですが
先づは導師に合はせ、御経の下部を両手で持ち(左手のみやや上部でも可といふ説あり)、頂戴します。御経の頂戴は上体と頭を下げ、肘を張り御経を額まで頂きます。(大谷派では頭を御経まで下げます。頭を下げずに御経を額まで上げるのではありません)。

次に導師が姿勢を戻し、御経を披いたら?(きん)を打ちます。導師以外は?の1打を聞いて姿勢を戻します。

読誦は経本と上体がみぞおち辺りで45度くらいの角度で、折本なら常に4ページを広げます。読む場所は2ページと3ページで、3ページを終えるところで次のページをめくります。

読み終へたら、経後短念仏がある場合、その二句目で、最初と同じやうに頂戴、三句目の最初で姿勢を戻します。経後短念仏がない場合は、最後の経題の、「経」の節譜の2節目声が下がるところでいただきます。

読み方ですが、御経はいくつかの段に分かれています。
初段目は声を高く、二段目以降はそれより低く、最後の段は高く読みます。凹型とも言はれます。
昭和法要式などで初段目、二段目、最後の段の後に、にそれぞれ初重念仏和讃、二重念仏和讃、三重念仏和讃が入ることから、段々と声を高くして読みたくなりますが、さういふことはありません。最初と最後の段だけ高く、それ以外はやや低く読みます。

各段終へるところの?(キン)は普通の読経は初段目のみ打たず、二段目以降で打ちます。しかし昭和法要式では打つようです。

全体の読み方では、調声の後は暫くゆっくりと読み、次第に速く、各段の終はりでゆっくり収めます。

また句読点の所で息継ぎをした後、声を強く出さないように気をつけます。先生からは「口で音木(おんぎ)を打つな」と教はりました。

御経に限らず、儀式全般ですが、僧侶が、釈尊や宗祖に代わって教えを説く、という姿勢ではなく、声に出しながらもその声を僧侶ご門徒が共に聞いてゆく姿勢です。ですので必ずご本尊の方に向かってお勤めします。
敬いの気持ちを忘れないやうにしたいものです。




草鞋なおし

「草鞋なおし」で検索され、ブログを読んでくださつた方がゐます。
10月に入り、報恩講をお勤めするところも多くなり、またそれに合はせて御遠忌を勤めるところもあるかと思ひます。
この時期の検索ワードも儀式に関したものが多くなります。

草鞋(そうかい)は、内陣出仕に用いられる鞋です。内陣出仕で用いられるものには他に藺草履(いぞうり)があります。藺草履は一般的な法要で用いられます。

末寺の場合で申しますと
草鞋は、御遠忌や落慶など大きな法要時に用いられます。装束も色衣五条差貫、或ひは七条などで、法要も楽が入る場合もあります。また出仕も下臈出仕となります。
このやうな規模の法要になると座支配(式事は本山で用いる)、加役などがつきます。

法要の流れと、草鞋直しを大まかに説明すると
伶倫(楽人)着座
喚鐘
外陣出仕
着座楽
内陣出仕(下臈出仕)
総礼
伽陀
   (伽陀の助音でに入り座支配は導師の草鞋直し。三句目六字目中淘で導師へ起座の合図)
登高座・焼香・表白
賦華籠楽
  (三管合奏後、座支配と加役は華籠を赤い紐が前になるやうに配る。受け取つたら左側に置く。内陣   出仕の者はそれぞれが中啓の柄で左の草鞋から外側へと直す)
漢音阿弥陀経・行道散華
  (導師が下りたのを見て、懐啓、華籠を持ち起座、赤紐、左、右の順で紐を垂らす。次に右足を床に   下ろし、左足右足の順に草鞋を履く)
  (導師が高座に登るのを見て右足から草鞋を脱いで後退し着座、紐を纏めて華籠に戻し、中啓を抜く   )
撤華籠楽
導師下高座
伽陀 
  (導師復座後、楽止め。後発声)
総礼
文類偈 早草  (法要によっては願生偈) 
  (座支配、加役は助音に入り巡讃卓を配卓)
念仏讃 
回向
  (助音で和讃本を一斉に閉じる。後座支配と加役は巡讃卓を撤卓。座支配は導師の草鞋直し)
総礼
退出楽
退出


導師の草鞋直しは座支配や加役が行います。それ以外の人は各自で中啓の柄で左の草鞋から順に外側に向くやうに直します。なほ竪畳への上がり方、下り方は藺草履とは異なります。
先づ右足を脱ぎ、左右の間の床に降ろし、次に左足を脱いで竪畳に上がります。
下りる時は、まず右足を左右の草鞋の間の床に降ろし、次に左足を草鞋に入れます。次に右足を草鞋に入れます。





通夜勤行に用いる御文

「真宗大谷派通夜 御文」の検索でブログを読んでくださった方がゐました。ありがたうございます。

以前、真宗大谷派の通夜について少し書いたことがありましたが、御文については書かなかつたと思ひます。

「御文」は、お朝事では基本的に回り口と言ひ、一帖目一通から順番に読みます。しかし宗祖ご命日や報恩講などでは、それに相応しい御文が決まつてゐます。
また年忌法要のお勤めの基準として広く用ゐられてゐる『昭和法要式』(法蔵館)には数種類の御文が載せてあります。

ですので、法要、儀式にはその意義に相応しいものを適宜選んで用ゐて構わないと思ひます。

私は、現在は、本山で出版されてゐる『真宗大谷派勤行集』を用ゐて同朋唱和で勤めてゐます。御文も「白骨の御文」を、ご門徒さんにも声を出してもらい一緒に拝読してゐます。(基本的に御文は拝読する者は一人で、参詣者は頭を下げてきく習はしになつてゐます)。

もし、白骨の御文以外で、一人で拝読したい場合は、やはり無常感のあるものが良いと思ひます。
例へば、一帖目十一通「電光朝露」、三帖目四通「大聖世尊」です。

しかし、それらの御文そのままでは、お通夜では拝読しにくいといふこともあり、声明の或る先生からは、「「電光朝露」は「安養の浄土なりと、おもうべきなり」で終はりにしてしまふ。つまり「おもうべきものなり。あなかしこ、あなかしこ」と変えて終わらせる。「大聖世尊」は「しかれば、この阿弥陀如来をば〜なににかはせん」は読まない」。と教へられたことがあります。

昔、役僧をしてゐた頃は、そのやうに勤めたことがありますが、今は白骨の御文を全員で拝読してゐます。
ことに、ご家庭でのお朝事の習慣がなくなりつつある現代、お内仏の経机に開かれることのない勤行本が置きつぱなしになつてゐることも珍しくありません。

せめてこのやうな機会に、声が出しにくいのなら本を開いて黙読していただくだけでも、大事なことではないかと思つてゐます。














今までに、短念仏や懸和讃について書いてきました。
今回は、御経の後、懸和讃を用いずに回向で終わる勤め方について書きたいと思います。

一般的な法要ですと、(伽陀)、御経、短念仏、(三重念仏)、懸和讃、添、回向。といふ勤め方が多いかと思ひます。そのときの短念仏は「なまだぶ」と十遍称へるものです。

しかし、枕勤めなどの場合は、御経、短念仏、回向(願以此功徳)となります。
そのときの短念仏は、いはゆる「ムア上げの念仏」といはれる称へ方になります。「なまだぶ」の調声の後、同音で五遍称え、六遍目が「な」でおさめます。七遍目「むあ」が調声、「みだ」から同音、「なむあみだ」と二遍称え最後は「なむあみ」でおさめます。
回向(願以此功徳)は訛りの回向といふ称へ方です。これは同朋奉讃式の回向の節とおなじですが、同朋奉讃式の回向よりも音の動きが大きくなり、そのことを訛るといふやうです。

ついでに、ムア上げの短念仏ですが、昭和法要式の三部経式のやうに、御経の間に短念仏を用いるときは、「ダダナの鏧(きん)」といふ、鏧の打ち方をします。二度目の調声の後、八遍目の念仏の「ダ」で一打、九遍目の「ダ」の節譜の前と後で一だづつです。おそらく回向のやうに一つの区切りを表してゐるのでせう。


検索ワードで、正信偈の速さといふものがありました。
以前に発声「鏧と発声」の記事で、平鏧の打ち方と拍子のこと、発声のことについて触れましたが、今回は具体的な速さについて書いてみたいと思ひます。

正信偈を称えるにあたって、鏧を2打します。その間拍子については以前に書きました。

舌々、中拍子について「得度チャチャン舌々チャンチャン中拍子チャーンチャン」と伝へられていて、得度式の折の舌々、平常時の舌々、中拍子の場合の鏧の打ち方を表してゐます。
舌々は鏧の間が何拍とは数へられないのですが、実際のお勤めも早く、一句を二拍、つまり一行を二拍で称へます。中拍子も同じやうな速さです。しかし声の扱ひは違ひがありまして、舌々が舌の上で音を転がすやうに、吐く息に乗せて朗々と称えるのに対し、中拍子は明瞭に称へます。

中読、草四句目下は二文字一拍です。真読、真四句目下は一字一拍。行四句目下は真四句目下よりも軽く早く称へます。

日常のお朝事のお勤めでは、中読や草四句目下なら四句一息程度。法要時の真四句目下なら一句一息くらゐでせう。

しかし速さは、お勤めの重さ、場所などによって適宜変えてよいと思ひます。たとへば、ご門徒さんとの同朋唱和や大きいホールでのお通夜でしたら、草四句目下でもゆっくり称へるでせう。絶対にこの速さでないといけないといふことではないと思ふのです。 

しかし舌々、中拍子などは、あまりゆっくりとはできないと思ひます。

特に軽いお勤めは、気が抜けないやうに気をつけたいと思ってゐます。大事な聖典をいただくといふ心構へは大切にしたいと思ふのであります。

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