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診察室に入ると医師がパソコンをじっと見つめていた。
画面には私の血液検査結果とCTの画像が映し出されていた。
「まだすべての検査結果が出てないからなんとも言えない。。
血圧が上がっている直接の原因がまだはっきりしないから。
若いのに何でこんなに血圧高いのかなあ。なんか原因があるはず。。」
そこまで若くはない。。と思うのですが。。。もう人生の半分くらい生きてるし。
それになんか原因があったらってもっと恐くないですか?
医師はこれまでの私の症状や血縁関係者の持病等色々聞いてきた。
確かに父が血圧が高く薬飲んでいるから、私は遺伝的なものだと思うと
軽く受け流して答えた。
実は私が軽く考えていたわけは以前何年かまえ、ストレスからくる不整脈で
別の病院に行ったったとき、
「血圧ちょっと高めだけど、薬のむほどではないから。まだ若いしね。。」
と老医師に軽く言われたから。
だから私自身も深くあまりそこまで気にしてなかった。
「なんで今までほっといたの?とりあえず薬は絶対飲まないと。軽い動脈硬化も見られるし、
腎臓にも負担かかってる。それに。。。」
動脈硬化?腎臓が悪い?ってなんだろう・・・
考えるすきも与えず、その次の医師の言葉に私は固まった。
「脳梗塞した後があるよ。ずいぶん前のものだけど。。右半身麻痺とか
しびれがあったとかろれつがまわらなくなったとかなかった?
けど今のあなた見てると全く症状なさそうだし。。。。」
えっ?脳梗塞?私が?いつ?知らない間に脳梗塞とかありえるわけ?
もしかしたら出産の手術の時?かなり血圧が高かったと言われたけど、
自分自身は麻酔で全く覚えてない。。。。
頭が真っ白になりながら、パソコンを見ると多分自分の頭の画像である
左脳の上側の真ん中に小さい真っ黒な点が確かに映し出されてた。
これってずいぶん前ってことは消えてないって事?
「脳梗塞っていうのは、もうこの部分には血流が通わず機能してない状態だよ。
このままほっといたら、また起こす可能性もあるからね。
とりあえず、脳外科の先生に一度見てもらおう。」
循環器の医師はつぶやく間もなく内線で脳外科の先生と連絡をとりあい、
MRIという検査を3週間後に受けることになった。
詳しい血液検査も3週間後にしかわからないらしい。
検査結果がでるまで、塩分控えめ、酒・運動は一切禁止、ウォーキングさえも
だめと言われた。
ああ、どうせなら。家事もすべて禁止と言われた方が主婦としてはこの際
よかったかも。とだんなの顔を浮かべながら一瞬思った。
それよりまた来なくてはいけないはめになった。。
この病院にきてから4時間近くやっと脱出できると思った。
もう二度と来ることはないと帰るつもりが。。。
頭におみやげまでついて、あげく涙が出そうな検査料を支払い、
そのおかげでさっきまでの体調の悪さはどこかふっとび
しだいに精神的な苦痛へと変わっていた。
私は自分でなんとか車を運転し帰ったのだが、その間中頭には
脳梗塞、脳梗塞、脳梗塞の文字がずっと浮かんで
消えなかった。。。どうなるのだろう。。私の明日は。。。
○H○のテレビで脳梗塞をして暮らしている老人たちの姿が浮かんできた。。
私は、自分の手をつかい、自分の足で歩いたり思うように話したり、自分だけの力で
動くことが出来なくなる日がいつかきてしまうのだろうか。。。
自分が自分ではなくなってしまう。。誰かの力を借りなくては生きていけなくなる。。
もちろん世の中にはそんな人たちが一生懸命頑張っている。すごいと思う。
でも自分もその内の一人になるのだろうか・・・
健康そのものだと思っていた私が。。。。
考えはネガティブな方向へといくばかりだった。。。。
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