マネーゲームとバブル

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バブルの崩壊

  わたしは、一昨年にある本を書いていて、こう述べている。
 
「かつて1990年に日本のバブルが崩壊した時、日本人の多くはなんであんなバカなことをやったんだろうと思ったのではないか。二度とこんなことはしないと誓った人もいただろう。ところが今またバブルが話題となっている。いわゆる「アベノミクス・バブル」と言われる株高である。

アベノミクスでは、金融の「異次元の量的緩和」と称して、日銀がドボドボお金を流通に投じて、円安と株高をもたらしている。しかし、他方で、輸出はたいして増えず、景気に対する効果も薄い。このような状況下で、安倍政権は消費税の引き上げを敢行し、個人消費の大幅な減少と景気悪化をもたらしていった。

 あまりいい材料がないので、だからこそ安倍政権の株高にかける執念は強い。安倍政権は公的年金(120兆円)の株式運用の拡大を株価対策として掲げる。つまり政府は率先して株式バブルを生み出していく」(上条勇『日本を貧しくしないための経済学―ほんとうにだいじなお金の話』ナカニシヤ出版、2015年、115−6頁)。

「アメリカはバブルとその崩壊を繰り返している。今日自動車ローンにおけるサブプライムローンが話題になっている。また、FRBによる金融の「量的緩和」のもとにニューヨーク株式市場が連日のごとく史上最高値を更新している。日本ではアベノミクスのもとで株高がもたらされている。バブルとその崩壊の危険が心配される」(同上、138頁)。

EUのこの景気後退は、中国をはじめとしたアジア主要国のEUへの輸出の減退をもたらした。これは、最近において中国経済が成長の大幅な減速におちいった理由の一端をなしている。現在の中国では不動産バブルが話題になっている。このバブルが破裂したら、中国への経済依存が高い日本は、深刻な経済的打撃を受けるだろう」(同上、173頁)。

「「量的緩和」のもとに、アメリカでも日本でも株価上昇がつづく。これまで我々は、バブルがわき上がってはプッチンと潰れる歴史を幾度となく経験してきた。果たして今回はどうなるのだろうか」(同上、176頁)。

 これは、株価高で浮かれているご時世に書かれたものである。今年に入って、とうとうバブルが崩壊した。わたしは、自分の懸念と見通しが正しかったと思う。

我々は、株をやっている人たちは自業自得だろうが、やってないから自分は関係がないと言えない。バブルの崩壊は、実体経済に深刻な影響を及ぼしていく。


 国際金融危機の時は、アメリカは「量的緩和」、中国は4兆元(約60兆円)の景気対策で対処した。今回は、どんな打つ手があるのだろうか。




 
 今世界経済は、異常気象に見舞われている。逆巻く風はどこに向かうのか。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は210日、最近の金融市場の混乱を受けて、米金融当局が従来想定していた追加利上げの時期を先送りすることを議会で述べた。

 1 円高
 アメリカの利上げは当分ないということで、円高が急速に進んだ。日銀マイナス金利発表時、1ドル=121円を超えていたが、この211日には、112円台に円高となった。これは、日本にとって災難で、日本の株式市場に悪い影響を与えるだろう。

 しかし、アメリカが利上げ意欲を示すならば、新興国からの資金流出を加速化して世界経済に悪い影響を与え、当然アメリカの景気悪化に結びつく。アメリカが金利を上げなくても上げても、日本にとっては大変だ。

 2 原油安
 原油安は一段と進み、とうとう1バレル=30ドル台を切り、27ドルあたりをうろうろしている。原油安は、本当は石油消費国に好影響を与えるはずだ。

 製造業などの企業にとっては、コスト低下を意味する。日本では、このコスト低下によって電力産業が高収益をあげている。消費者にとっても万々歳だ。

 原油安が経済に悪影響を与えるのは、主に石油産出国と石油企業だ。産油国のオイルマネーの引き上げ・減少そして需要減少が世界経済に悪影響を与える。よく言われているように中国の経済減速が石油需要の減少をもたらした時に、シェールオイルなどが加わり、石油の供給が増えた。こうして、原油安となった。

 アメリカは、シェールオイルの生産に力を入れ、2014年には世界最大の石油産出国に成り上がった。あまりの原油安に採算割れで倒産するシェール石油企業もふえている。米石油業界ではすでに約25万人が職をうしなっている。

 シェール企業は、利子の高い債券を発行して資金をあつめシェールオイルを採掘、開発してきた。が、いまその高い利子を恒常的にはらわねばならないためにシェール企業がのきなみ危機に陥っている。

 3 世界の株価時価総額1600兆円が泡と消えた
 中国経済の減速と原油安を背景に、世界的な株安連鎖が続き、世界の株式時価総額が急減している。これまでに最も多かったのは昨年5月末の約71兆ドルであった。それが、直近での推計は約56兆ドル(約6400兆円)となった。

 2015年5月末に比べて14兆ドル(1600兆円)減少した計算になる。世界は、リーマン・ショックの時(6カ月で18兆ドルの時価総額が消失した)に匹敵する株安連鎖に入った(日本経済新聞 電子版、2016/2/111:34)。

 4 日銀のマイナス金利政策の蹉跌
 こうした世界同時株安の連続から、投資家は、リスクテイクを避け、「安全な資産」への投資に向かった。日銀のマイナス金利導入宣言は、株価のテコ入れの点では失敗した。

 むしろ、銀行などは、「安全資産」として国債の購入に走り、国債価格が上がり、長期金利(10年物国債の利回り)がマイナスに陥るといった異例の事態が生じた。

 しかし、国債がそんなに「安全資産」なのだろうか。日銀が買い取ってくれるから、安全だと言われる。しかし、ここに日本経済の問題点があるのではないか。

 5 日本の国債問題                        

 これまで日銀は、「異次元の量的緩和」と称して、大量の国債を銀行などから購入してきた。日銀の保有する国債は、20133月に125兆円の額であった。それが、20149月には229兆円に膨れ上がった。2015年には300兆円を突破した。日銀の国債保有量は全体の3割を超えたのである。

 しかも、今のところ、「量的緩和」と称して、日銀は長期国債の保有残額が年80兆円のペースで増えるよう、市場から買い入れている。

 かつて私は、『日本を貧しくしないための経済学―ほんとうにだいじなお金の話』(ナカニシヤ出版、2015年)で、こう述べた。

 1970年代に入るまでは、日本の財政は超健全財政であった。ところが、とりわけ第一次石油危機後の不況に対処することから始まって、日本の国債残高は、急速に膨らんでいく。1982年当時の鈴木善幸首相は、ついに「財政非常事態宣言」を発するにいたった。もっとも、1981年の国債残高は、82兆円程度だった。今日((2012年度末)の800兆円に比べて、可愛いものだ。日本の国債残高が1000兆円(GDP200%)を超すのも時間の問題である(167頁)。

 去年の201512月末の国の借金は、国債が約9025億円で、これにその他金融機関などからの借入金を合わせると、1044兆円強である(産経新聞、 210()1930分配信 )。

 我々の目の前にあるのは、国のぼう大な借金としての国債である。これは、財政の不健全さを示す。このどこが「安全資産」なのだろう。ムーディーズなどアメリカの格付け会社が、日本国債の格付けを下げたら、ガタガタッときそうな状況だ。

 6 「日銀当座預金」
おまけに、「量的緩和」の結果、国債の300兆円(3割)を日銀が保有している。これは、日銀が引き受ける形での財政赤字の補てんと同じ意味をもつ。本来ならば、経済学者が、その著しい不健全さに警鐘をならしたり、大インフレへの懸念を述べているところだ。

ところが、日銀が国債の購入によって投入するマネーの多くは、使い道がなくて、「日銀当座預金」(ブタ積みという)として日銀に滞留する。その金額は、250兆円以上だ。私は、これを「マネーのダム湖」にたとえてきた。「マネーの腫瘍」に例えることもできる。

 これを背景に日銀は、「日銀当座預金」の一部に「マイナス金利」を適用する。つまり、これ以上マネーが日銀に滞留するのを防ぎ、マネーを街中に追いやろうとしている。株価対策もある。ところが、マネーは、リスクを避け、株ではなく、国債の購入に殺到する。長期金利(10年物国債の利回り)のマイナスをもたらした。異常な事態である。

 マネーの異常な状態が、マネーそのものと信用の体制をどのように傷つけていくのか心配される。

 7 終わりに
 昨日11日イエレンFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)議長は、議会でこう証言している。

 原油安には驚いている。原油価格と為替相場がいつ安定するか予測できない。

 原油価格はとうとう26ドル台に落ちた。日本の株式市場が閉じている間、ニューヨークの株価(ダウ平均)は、2日連続して下落した。「安全な通貨」とみなされて円が買われ、一時110円台まで円高が進んだ。日本の株価は、どうなるのだろう。

 
 最近のニュースを見ると、どうやら経済は不可視領域に足を踏み入れたようだ。これからどうなるかは、わたしも断言できない。

 もともと市場経済は、「不確実性の経済」だ。唯一確かで頼れるものとして、この不確実の経済を取り仕切るのがマネーだ。そういうものとして、マネーは人間を支配する。

 マネーは、増え続ける運動を起こすと、資本となる。資本とは、増えるづけるマネーの運動体である。企業は、この資本を担う組織である。だから、企業の目的は、増えること、つまり利潤追求である。利潤追求のことを「資本の論理」という。

 こうして、経済の目的は、消費のための生産ではなく、利潤のための生産となる。消費は需要をなし、企業が利潤を得るために通らなければならない「関門」となる。人間は、利潤追求の手段となり、そのための「消耗品」となる。

 この事実を端的に示しているのが、最近の東芝の動きである。東芝は、例の不正会計事件をおこした。はっきりといえば粉飾決算だ。東芝の三月期決算の赤字の見通しは、7100億円にのぼる。

 東芝は、これに対処するために、さっそくリストラに着手する。1万人を超えるリストラだ。いつの世も、経営者の、会社の失敗の尻拭いをさせられるのは、労働者だ。東芝の現実は、我々の経済が人間のためというより、企業のため、利潤のために動いているという事実を端的に示している

 我々の社会では、お金がすべてで、お金が人間を支配する。ちょっと想像しがたいが、増えつつけるマネーの際限のない「数量運動」が人間を、社会を支配している

 現在では、しかし、唯一確かで頼れるものであるはずのマネーが、世の中に、世界にあふれ、乱舞している。

 不況対策、景気対策のために、国家は、マネーを投入し、需要を創造して企業を助ける。金融危機の折には、「公的資金」を注入して銀行を助ける。つまり、「市場の失敗」の尻拭いをする。

 こうして、国家は、財政危機に陥っていく。赤字国債がたまる。その一方で、マネーがあふれていく。例の国際金融危機に対処するために投入されたアメリカのマネーは、5兆ドルといわれる。

あふれるマネーは、経済実体から離れ、投機とマネーゲームに向かう。乱舞する中で、マネーも頼りなくなっていく。現在のすべての経済物語は、ここからはじまる。利潤目的から成り立つ「不確実性の経済」たる市場経済の宿命だ。

きのう日経平均は、918円も下がった。去年の大納会(約19000円)から日経平均は、3000円さがった計算だ。

「日銀によるゼロ金利効果」は,今のところ、23日続いたのにすぎない。つまり、投資家は、世界経済の不安もあり、リスクテイクをしないのだ。「日銀によるゼロ金利効果」は、各銀行による定期預金の金利引き下げの拡がり、また、長期金利のマイナスをもたらした。あふれるマネーが「安全資産」として国債の購入に殺到したせいだ。私がこれまで聞いたこともない現象だ。
日銀当座預金のマイナス金利は、216日から適用されます。

2月末の日銀当座預金の額は約260兆円と仮定して、そのうち10兆円ほどがまずは適用されると言います。

その後は、例の「異次元の量的緩和」として今年も年間80兆円の通貨供給がなされますが、これにともなって増える日銀当座預金にマイナス金利が適用されます。ちょっと、ややこしいですね。

 日銀当座預金のマイナス金利の影響が早くもや出ています。国債などで運用する投資信託「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」を扱う国内の資産運用会社全11社が、新規募集の停止を決めました。

 その理由は、日銀によるマイナス金利の発表以来、長期金利が信じられぬほど急速に低落し、運用益がえられなくなることにあります。

「5日の東京債券市場で、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の利回りは、年0・020%まで下がり、3日につけた過去最低の水準(年0・045%)を更新した。マイナス金利の導入決定前の1月28日は年0・220%だったが、その後は急ピッチで低下している」(読売新聞、2月5日()2024分配信)。

長期金利とは、上の引用に示されているように、10年物国債の利回りです。すなわち、理論的には、
 「10年物国債の利回り=配当される利子÷国債価格」
という式で計算されます。

 つまり、国債価格が急速にあがっているのです。日銀当座預金によってマイナス金利という手数料を取られるよりはましだということで、銀行が国債購入に走っているのです。

この長期金利の低下を受けて、メガバンク3行、すなわち、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は、2〜10年満期の定期預金の金利を8日から引き下げることを決めたという話です。

100万円を1年間預けても,税引き後は200円ほどの利子でしょうか。

他方で円高・株安が進み、早くもマイナス金利効果が消えたと言われています。
  1 29日銀は、日銀当座預金(民間銀行が日銀に預ける預金)の一部にマイナス金利を導入すると発表した。これは、実際には、2 16 日から適用される。だが、その影響が、株価以外に、はや出始めた。

 巷では、日銀のマイナス金利政策が金利低下をもたらし、民間銀行の貸出しを増やし、経済を活性化すると説明されている。

 しかし、今回の場合、日銀貸出しによる資金提供ではない。「量的緩和」で日銀による国債などの売却によって民間銀行が手にするお金が対象である。その大半が、使い道がなくて、わずかな金利目当てに日銀に当座預金する(「ブタ積み」という)しかなかった。この「ブタ積み」は、たまりにたまって約250兆円になった。

 この既存の「ブタ積み」ではなく、今後の新規積み増し分の「ブタ積み」にマイナス0.1%の金利(手数料)が適用される。「ブタ積み」の道をふさぐことによって、街中にマネーが出まわるようにし、今後の日銀の「量的緩和策」の効果をあげることが目的だ(ブログ「日銀マイナス金利について――日銀マネーダム湖の放出 」参照)

 どっと使い道のない民間銀行のお金が市中にだぶつく。わたしは、これについて、わたしは、ブログ日銀のマイナス金利がダウ平均を動かす」でこう述べた。

 「日銀からの資金供給ではなく、自己の預金が日銀から追い出されるのだ。だから、それ自体として、金利低下と貸出し増加の誘因に直接的にはならない。強引に言えば、せいぜいダブついたおカネが、需給作用を通して金利を下げるとか、国債価格の上昇により長期利子率(10年ものの国債の利回り)が低下するとしか説明しようがない。」

 この指摘が現実化しはじめた。日銀がマイナス金利の導入を決めたことで、民間銀行が、国債の買いに走りはじめた。その結果、国債の価格が急上昇し、金利が低下した。

   * 長期金利(10年物国債の利回り)=利子配当 ÷国債価格

 きのう東京債券市場で長期金利(10年物国債の利回り)が一時、0.05%と前営業日比0.045%低下し、過去最低を更新した。つまり、1日で長期金利は、半分近く下落した。

 
 長期金利は、129日以前は、02%台で推移してきた。ところが、29日に一挙に0.1%に低落した、そして、さらにその半分近くになったのである。

 その結果、安全性の高い公社債で運用する投資信託MMF(マネー・マネジメント・ファンド)の販売を取りやめる運用会社が相次いで出てきた。あまり利益が出なくなったせいだ。

 「三井住友アセットマネジメントと大和証券投資信託委託は1日以降、三菱UFJ国際投信は2日以降、みずほ投信投資顧問は2日正午以降、それぞれMMFの販売を停止する」。

 預金金利を引き下げる銀行も出てきたという(時事通信、 21()210分配信)。

 定期預金は、完全に「金庫代わり」に預けるものと考えた方がいい。

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