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1979年に第二次石油危機が生じた時、私は北大の助手であった。そして、旭川の大学の非常勤講師をもしていた。
この大学で、学生に「今一番関心のあることは何か」とアンケートを行った。すると、圧倒的に多かったのが、「石油資源の枯渇問題」であった。
みなさんは、「成長の限界」という言葉を知っているだろうか。これは、ローマクラブの1972年に出した報告書のタイトルである。
これによると、石油資源は後20年で枯渇することになる。この予言は、世界に衝撃を与えた。
ちょうどその直後の1973年10月に第4次中東戦争をきっかけに第一次石油危機が生じた。(OPEC(石油輸出機構)加盟6か国が、原油公示価格を1バレル3.01ドルから5.12ドルへ引き上げることを発表した。さらには、1974年1月から11.65ドルへ引き上げると決定した。
世界はパニックに陥った。日本では、狂乱物価が生じた。この時、人々は、どういうわけかトイレットペーパーと化学洗剤の買いだめに走った。ある総合商社は、「センザイ一遇のチャンス、センザイを隠せ」という社内文書をまわした。そして、国会質問で追求され、冷や汗をかきかき、答弁をするにいたった。
第二次石油危機の時も、「成長の限界」の「石油資源は後20年で枯渇する」という例の予言が残っていたのである。だから、車を運転する学生その他の関心は、「石油資源の枯渇問題」に集まったのである。
奇しくも1980年に原油価格は、今日同様の価格の30ドルに跳ね上がった。この時は、石油の値上がりによる世界不況が吹き荒れたのである。第一次石油危機の時も、石油値上がりによる世界不況が吹き荒れ、日本は戦後初めてマイナス成長に陥ったのである。
それから石油危機から40年ほどたった今日、原油価格は1バレル=30円の前後をうろうろしている。30ドル以下に下落すると、ニューヨークの株が下落し、30ドル以上にあがっていくと、ニューヨークの株が上昇する。
*バレル 昔原油は樽に詰めて運んだ。バレルとは、この樽の意味である。
原油価格は、1880年代から1990年代にかけて、20ドルを挟んで動き、10ドルと40ドルの間で比較的安定した動きをみせていた。この時、私は、例のローマクラブの「石油枯渇」予言は何だったのだろうと思った。世界の石油埋蔵量は増え、枯渇にいたる年限も遠ざかっていく。
2000年代に入って、原油価格は急速に上昇していく。2008年6月には、最高の133.88ドル(2008年7月11日には一時1バレル147.27ドル)に達した。この時、原油価格形成における投機の役割が強調された。価格の3割は、投機によって決まると言われた。
その後、リーマンショック後の2009年2月に39.09ドルまで下落し、そしてすぐに上昇に移り、2010年以降は100ドル台で推移した。ところが、2014年、原油価格は急降下してゆく。中国経済の減速とバブルが明らかになったこともある。そして、今日の30ドルをはさんでの動きとなったのである。
原油価格の下落基調が続くのは、米国のシェールオイル開発や中国経済の減速などが重なって原油が供給過剰になりにもかかわらず、OPEC(原油生産世界の半分ほど占める)による減産調整が行われていないせいであると言われている。
第一次及び第二次石油危機の折は、石油の値上がりが、世界に不況をもたらした。今日、石油の値下がりが、世界の経済不安をもたらしている。アメリカのシェールオイルの採算割れを意識してのことだろうか。産油国つまりアラブやロシアの経済不振を意識してのことだろうか。
経済学的には、原油価格の値下がりは、コストの低下をもたらし、その分だけ企業の利潤を押し上げるから、景気に良い作用をすると一般的に考えられる。今やこの常識が通用しない。
ちなみに、原油安の影響は、日本の企業に明暗を与えている。鉄道や電力の企業は、燃費の低下によって高収益をあげている。そういえば、わたしの住んでいる地域の電力会社北陸電力が高収益をあげたというニュースを聞いた。逆に中国関連の企業は、業績を落としている。
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グローバリゼーション
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「時事通信」は、1月2日付のニュースでこう述べる。
「 日本や中国、韓国、インドネシアなど13カ国が参加する「東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)」が今春にも国際機関に昇格する。主導する日本は、国際金融システムの番人である国際通貨基金(IMF)のアジア版と位置付け、通貨危機の警戒体制強化などを目指す。 こんなニュースでは、事情通の人以外、何のことやらさっぱりわからないのではないか。そもそも「チェンマイ・イニシアチブ」とは何か? じつはこれこそ「アジア版『IMF』」に関連して、生まれた。
かつて日本は、「アジア版『IMF』」を提起したことがある。1997年のアジア通貨危機の時である。この危機を教訓として、各国から資金をプールしてこれを融通することによって今後のアジアの通貨危機に迅速に対処するために、日本政府は、「アジア通貨基金」(AMF, Asian Monetary Fund)構想を提起した。
しかし、これは、日本の国際的活躍を恐れた中国とアメリカの反対により挫折した。とくに、日本はアメリカの言いなりで、アメリカが反対すると、すぐに引っ込めたのだ。
AMFの代わって、代案として登場したのがタイの北都チェンマイで協定された「チェンマイ・イニシアチブ」である。これは、必要とされる互いの通貨を融通し合う「通貨スワップ」の協定である。
AMROは、「経済や金融情勢を調査・分析」機関にすぎず、この「国際機関」化によって、「アジア版『IMF』」が実現されるわけではない。「チェンマイ・イニシアチブ」も応急措置的である。
他方、IMFは、各国出資の資金をプールした「通貨基金」であり、「経済や金融情勢を調査・分析」する機関でもある。
私は、「アジア版『IMF』」への道は遠いと思う。あるいは、今回の動きは、去年の2015年12月に発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の何らかの対抗策を意味するのだろうか。ちなみに、AIIBは、中国主導で設立され、その本部も北京にある。
うーん、ちょっと難しかったかな。そもそもIMFとは何かと問う声が聞こえそうだ。
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激しい雨がバシバシと窓を打っています。ゴオーッと、強い風が時々家を揺らします。新聞を取りに家の外に出た時、ピカッと遠くの空が光りました。まだ真っ暗でした。
この暗い朝は、日本の前途を暗示しているのか、それとも私の前途を暗示しているのか。
この天気の悪い日に、後1時間後、私は、バスに乗って、病院のリハビリに出かけます。ちょっと憂鬱です。
ところで、久々にTPP関連の話をします。2013年5月の政府統一試算によると、TPP参加による農業生産額の減少は、約3兆円だということです。
我が国における農業生産額は、平成2年11兆5000億円、平成12年約9兆円、平成22年約8兆円とこの20年間ですでに3兆円減少しています。政府の試算でも、その少なくなった日本の農業生産額の3分の1以上がTPPによってふっとぶ計算です。
農業就業者も減少しつづけ、2010年より5年間で51万人余り減り、209万人となり、200万人割れ目前だそうです。農業就業者の平均年齢は66.3歳だそうです。(農水省発表、2015年11月27日)
ただでさえ衰退しつつある日本の農業は、TPPによって壊滅的打撃を受けそうです。
TPPによって日本の食糧自給率は、供給熱量ベースで、40%から27%程度に減少するものとみられます。
私は、地球温暖化、砂漠化もあり、将来には食糧危機が生ずると考えています。消費者も、TPPによって農産物が安くなると喜んでばかりいられません。
あまりにも暗い今日の朝のせいで、あまりにも暗い日本の将来を考えてしまいました。
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アトランタにおける閣僚会合で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が「大筋合意」したというニュースがYahoo!ニュースのトップを占める。
相互に妥協し、強引にまとめたという感じだ。
たとえば、知的財産権の分野でバイオ医薬品のデータ保護期間をめぐって、米国とオーストラリアが最後まで対立していた。アメリカは、製薬会社の知的独占利潤を長期にわたって確保しようとする。これに対して、オーストラリアは、これまで安いジェネリック医薬品によって、医療費をおさえてきたからである。
この点、12年のデータ保護期間を主張してきた米国が実質8年とする譲歩案を示した。Yahoo!ニュースは、これで折り合い、交渉全体の決着がついたと語る。
前のニュースでは、アメリカの譲歩案に対して、保護期間5年を主張するオーストラリアとの懸隔が大きく、オーストラリア側が難色を示していると報じられたのだが。オーストラリアが、一転、歩み寄ったと見える。
日本は、農産物について、全面的な関税撤廃は免れたが、関税の大幅削減や輸入枠の拡大を受け入れた。
たとえば、「コメについては現行の関税(1キロ当たり341円)を維持する一方で、米国向けに5万トン、オーストラリア向けに6000トンの主食用米の無関税輸入枠を設定。13年かけて米国向けは7万トン、豪州向けは8400トンに拡大する」(「<TPP>大筋合意 12カ国、GDP世界の4割」、毎日新聞、 10月5日(月)20時36分配信)。
安倍政権は、農業利害を死守することをTPP参加の条件としていた。農業国の比重が圧倒的なTPP交渉では、この条件は貫きとおせないから、まやかしなのだが。今回の譲歩は、日本国内で物議を醸し出すだろう。
さて、ニュースは「今後は各国の国内手続きを経て、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める世界最大の自由貿易圏が誕生する」(同上)と語る。
「……世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった…… しかし、我々は、「この世界の国内総生産(GDP)の約4割」という事実には気をつけなければならない。
じつは、この内83%は、日本とアメリカの2か国で占める(米、60%、日25%弱)。残り10カ国*は、10数%にすぎない。
*シンガポール,ニュージーランド,チリ,ブルネイ、オーストラリア、ペルー,ベトナム、マレーシア,メキシコ,カナダ
だから、TPPの意味は、実質的には、日米といった巨大経済大国同士の合体であるといった方がいい。むしろ、日本経済がアメリカ経済に取り込まれたのではないか。もっと正確には多国籍企業とくにアメリカの多国籍企業の支配に全参加国が取り込まれたと考えられる。
日本の場合、自動車部品などの輸出拡大のために、農業を犠牲にしたといえるかも知れない。
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1.株価にとって不安材料ばかり
中国の不動産・株式バブルの崩壊と経済の減速、新興諸国経済の悪化、アメリカの利上げ問題、フォルクスワーゲンショック、日本の景気懸念などと、大本のところで株価に対する悪材料が転がっている。
この大本のもとに、釈迦の手のひらの上を飛ぶ孫悟空のごとく、株価が乱高下している。少しでもいい材料を捜しては株価をあげようとする。中には株価の「理由なき反騰」も見られる。ただ安値に対する反発に過ぎないものもある。あるいはニューヨーク(NYダウ平均)が上がったから、日本でも上がるという「連れション」(失礼!)的なものもある。
私は、前にも述べたように、何ら根拠のあるものではないが、株価の乱高下は当分つづくだろうと見ている。
問題は、いつ本格的な「アベノミクス・バブル」の崩壊に突き当たるのか、ということにある。2013年初めの時点では8000円台であった日経平均は、2万円を超えた後、1万7000円台に下落した。まだまだ下がる「余力」があるように見える。底が抜けると恐ろしい。
2新興諸国経済の悪化.
ここで「新興諸国経済の悪化」が注目される。
新興諸国とは、昨今では、冷戦終了後、先進国の後を追って急速に発展しつつある諸国と定義できよう。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)が有名である。その他、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシアなどの諸国が注目される。
中国経済の減速に関連して、他の新興諸国の経済悪化が指摘されている。これらの諸国は、中国経済の減速のもとに、中国への部品供給などの悪化で打撃を受けるか、資源価格の暴落によって打撃を受けている。
ASEAN諸国(タイ、インドネシア、ベトナムなど)は、中国への貿易依存率が高く、中国経済の減速によって深刻な打撃を受けている。
またかつて世界の資源を買い漁っていた中国の経済減速は、石油などの資源の深刻な暴落をもたらした。2014年には1バレル100ドルを超えていた原油価格はいまや半分以下の40ドル台になっている。原油に依存するロシアは、EUによる経済制裁に加えて、今や原油価格の暴落によって、深刻な外貨不足に陥っている。
3.新興諸国からの資本流出
何よりも恐ろしいのはこれらの国からの資本流出だろう。韓国の中央日報は、こう伝える。
「ゴールドマンサックスなどは2008年11月〜2014年10月の米国の量的緩和時期に新興市場に流入した資金を2兆〜2兆5000億ドルとみている。」ところが、「オランダの投資諮問会社NNインベストメントパートナーズ(NNIP)は(今年8月)17日に発表した報告書で、『過去13カ月間に中国などメジャー新興国19カ国から流出した外国人資本は9402億ドルに達する』と明らかにした。」すでに半分近く流出したことになる。「NNIPは『最近の資金離脱は米国発金融危機の時より深刻だ』と述べている(中央日報日本語版、2015年08月20日08時50分)。
また、アメリカのウオールストリートジャーナルは、こう述べる。
「新興市場国から海外資本が大量に流出している。
国際金融協会(IIF)の最新のデータによると、(今年)7-9月期に世界の投資家は新興国の株式と債券から400億ドル(約4兆8000億円)の資金を引き揚げた。2008年の世界金融危機以降で最大の規模だ」(The Wall Street Jounal、2015 年 9 月 30 日 15:43 JST )
ちなみに、この大量の資本流出は、新興諸国経済にいっそう深刻な打撃を与える。外貨不足が生ずる。通貨が下落する。すでに新興諸国の深刻な通貨下落は、あっちこっちのニュースから伝えられている。
新興諸国のこの通貨下落は、アメリカや日本の海外資産の目減りのみでなく、海外に展開している企業の利益の減少をもたらす。
アメリカの利上げが新興諸国からの資本流出に拍車をかけることが懸念されている。
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