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2月10日(日)8時02分配信 モーニングスター
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<リバウンドの限界を試す世界の株式市場>

 鈴木一之です。今週の株式市場は世界中でリバウンドの限界を試すような展開が見られました。

 年明けからここまでの展開で私たちが体験している株価の戻り歩調は、実際にはマクロ経済と企業業績のせめぎ合いの下で行われています。マクロ経済の動向に関しては、強弱感が激しく対立しています。

 まず米国は、前週末に発表された1月の雇用統計が非常に好調でした。非農業部門の雇用者数の増加は前月比で30万4000人に達し、市場予想とされていた17万人の伸びを大きく上回りました。12月22日から始まった米国の政府閉鎖の影響は、雇用の伸びにはほとんど見られませんでした。

 これほどの経済の強さが年初からのNY株式市場の上昇につながっていると見られ、世界の株式市場の安心買いに広がってゆきました。

 今週は中国をはじめアジア各国が春節の長い休暇に入っています。したがって目下のところ最大の関心事である中国経済の動きをアジア市場の状況から判断することができません。

 その代わりに米国のボーイングが業績好調から株価が買われ、史上最高値を更新してみたり、同じように化粧品のエスティ・ローダーが好業績から物色されたことで、中国経済は心配したほど悪くはないのだ、という安心感につながりました。


<豪州と欧州の状況が示す、中国の景気>

 ただしそれらも、ごく一面の事実を示しているだけなのかもしれません。これらのニュースと同じように今週、注目されたのが豪州とヨーロッパの状況です。

 オーストラリアの中央銀行であるRBA(豪準備銀行)は、今年の成長率見通しを3%とし、昨年暮れに提示していた3.5%から下方修正しました。

 その上で政策金利を過去最低レベルに据え置いて、経済を下支えするスタンスを打ち出しました。よく知られるように豪州は、鉄鉱石の輸出を通じて中国経済ときわめて密接に結びついています。したがって豪州の景気動向がどれほど好調なのか、あるいは翳りが出ているのか、中国経済の現状を図るひとつのバロメーターになっています。

 現状ではオーストラリアは、「2四半期にわたるマイナス成長」というリセッションの定義を109か月連続して経験しておりません。これは史上最長どころか世界最長の記録だそうです。

 こうなるといつ下方局面に向かっても不思議ではないのですが、しかし現実はすでに大都市の住宅価格が下落基調に入っている模様で、それにつれて消費も弱含んでいます。そこでとられたRBAによる今年の成長率見通しの引き下げです。否が応でも注目せざるを得ません。

 同じように今週は、欧州委員会もユーロ圏の成長率見通しを引き下げました。昨年11月の時点で1.9%としていた今年の実質成長率を1.3%へ、0.6ポイント下げています。ドイツ経済の伸び悩み、イタリアの景気後退をその理由として掲げています。

 フランスも同じく減速傾向にあります。英国のEU(欧州連合)離脱の影響は直接的には考慮していないようですが、欧州経済に影を投げかけていることは疑いの余地はありません。

 とりわけドイツ経済は3年ぶりの低水準に冷え込んでおり、ユーロ圏全体を押し下げています。ドイツも自動車産業を通じて中国と密接に結びついており、その影響が徐々に表面化しています。

 今週は英国でも、イングランド銀行が2019年から2020年にかけての経済見通しを引き下げました。世界経済の不透明感が英国の経済活動を抑えると見ています。

 ドイツ、イタリア、フランス、そして英国。どの国も自動車産業が苦しんでいます。自動車業界が上向けばこれらの国の経済は上向き、反対に自動車産業が下を向けば、各国の景気も下向きになります。まるで日本と同じです。

 日本でも自動車業界のトップ、トヨタ自動車 <7203> が今週、第3四半期の決算発表を行いました。売上高は+3%の伸びで過去最高を更新したものの、当期純利益では29%の減益として従来見通しを引き下げています。


<日本と世界の経済状況は大きな曲がり角に>

 上場企業の決算発表が佳境を迎えていますが、そこでは10−12月期の3か月間で経営環境が様変わりしている様子が如実にうかがえます。とりわけ川上分野でそれが顕著となっており、業績見通しを引き下げた三菱ケミカルホールディングス <4188> や旭化成 <3407> の株価が、決算発表の直後から急落しています。

 日本と世界の経済状況はいよいよ大きな曲がり角に差しかかってきました。今週はそれが一段と明らかとなりました。内閣府から木曜日に発表された12月の景気動向指数でも、先行指数が4か月連続、一致指数が2か月連続でそれぞれ低下しています。

 内閣府は景気判断に関して「足踏みを示している」という表現で据え置きましたが、悪化方向のトレンドに入っていることは経験上でもかなりの確度となります。

 すべて総合して、現状は景気の下り坂で言えば8合目付近ということになるでしょうか。そして株価は9合目に入ったところから反転して上昇局面を迎えます。おそらく景気に対する現状認識が「悪化」の方向にはっきりと変わった時点で、9合目に突入する必要条件がそろうことになりそうです。

 そうであればもう一息です。ですが、本当に厳しいのは8合目から9合目に至るここからの数か月間だと考えられます。油断することなく憶することなく、現状をしっかりととらえて行こうと思います。業績の良好なデジタルアーツ <2326> 、ニチイ学館 <9792> 、SBSホールディングス <2384> 、アルヒ <7198> 、エレコム <6750> に注目しています。

出典:モーニングスター社イメージ 2


※投資の最終的な判断はご自身でお願い致します。
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