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+++南国フルーツ爆弾!+++
午前の授業が終わっていつものように雲雀と昼食を食べようと綱吉は応接室は向かった。
しかし、いつもなら飛び込むように中に入るのに今日は一瞬躊躇した。
なんだろう、ドアを開けたくない。なんだか中に入りたくない…自分の血がそう言っている。
中に入ろうか、それとも教室へ戻ろうか…でも愛する雲雀はすぐ近くだ。
綱吉は思い切ってドアノブに手をかけた。その瞬間、もの凄い寒気が沸き起こり背中がぞくぞくした。
(ほ、ほんとに今日はなんなんだろう?いつもならこんなことないのにな…)
本当はこのまま回れ右して帰りたかったが、勇気を振り絞ってドアを開けた。
すると中にいたのは……
「やあ、綱吉。今日はちょっと遅かったね」
いつもと変わらぬ雲雀、
と、
「クフフ。お邪魔してますよ綱吉くん」
六道骸だった。
「ええーっ!?なんで骸がここにいんのー!?」
本当ならそのままドアを閉めて一目散に教室へ戻るほうが賢い行動だったが、つい突っ込んでしまっていた。
「雲雀くんに会いたくなって遊びに来たんですよ。ほら、手みやげもちゃーんと持ってきました」
そう言って骸が掲げたものは。
「「パイナップル…」」
つい雲雀とハモってしまう。パイナップルを持ったパイナップルヘアーの骸…。
「ねぇ、それ共食いなんじゃないの?」
雲雀が面倒くさそうに呟く。
「失礼なこと言わないでください!雲雀くんはパイナップルじゃありませんよ」
「いや、骸が…」
骸の勘違いに口を挟みそこまで言いかけると、骸は普段のにこやかな笑顔を捨てて思い切り睨んできた。
元々の顔が綺麗なので凄むとかなり怖い。
綱吉は青くなって口をつぐんだ。これ以上言うと命が無い。
黙って見ていた雲雀が口を開いた。
「ところでさ、これどうやって食べるの?ここには包丁とかないけど」
確かにパイナップルはトゲトゲしていて皮が固そうで、刃物でも無い限り切れそうにない。
まあ、いざとなったら家庭科室から借りてくればいいかな、と綱吉が思っていると骸が笑い出した。
「クフフフフ!僕としたことが包丁を忘れていました。しかし、これでなんとかなるでしょう」
これ、と言いながら取り出したのは骸がいつも使っている武器、三叉の槍だった。
綱吉と雲雀に緊張が走る。骸はこれで人を傷つけることによってその人に憑依出来る。その能力はとてつもなく恐ろしいものである。
骸は顔の強張った二人には気付かず、ごく普通にパイナップルを持ち上げると空中に投げた。
そして目にも止まらぬ速さで槍を一閃。ザシュッ。
パイナップルは綺麗に輪切りになって皿の上に置かれた。
「て言うか輪切り…?」
「さ、どうぞ食べてください!クフ!」
骸がそれは綺麗な笑顔を浮かべて輪切りにしたパイナップルを押し付けてくる。
仕方なく手に取ろうとした綱吉を雲雀が止めた。
「ちょっと骸、これじゃ食べるの難しいよ」
「じゃあ、もう一度今度は縦に切りましょうか?」
「良いよ、僕がやる」
僕がやる、と言って雲雀が取り出したのは雲雀愛用の武器、トンファー。
嫌な予感のする綱吉を余所に、雲雀はトンファーをチャキ、と構えるとパイナップルに向けて一気に振り下ろす。
「ひばりさ…ちょっと待っっ…!!」
いち早く結果を予想した綱吉の静止の声をかけるももう遅い。
ドグシャアッ
鈍い、音が、した。
雲雀がトンファーで思い切り殴りつけたパイナップルは見事に四散して、向かいにいた綱吉と骸にまんべんなく降りかかった。
「うわっ、ぺっぺっ…ひばりさぁん…」
「…何するんですか雲雀くん…」
「ああ、ごめんね。なんとなくこの果物が誰かに見えてね。手加減出来なかった」
ひどいことをさらりと言う。
先程の衝撃に閉じていた目を開けようとして気付く。
顔中パイナップルの果汁がかかっている。今、目を開けたら間違いなく染みそうだ。
気配で隣りに座っている骸も同じような状態だと知れた。
(どうしよう、目開けたら痛いよなやっぱり。雲雀さんに水飲み場まで連れてってもらおうかな)
そんなことを必死で考えていた綱吉の目の前がフッと暗くなる。
え、と思った時には目元に濡れた感触。
耳元に小声で「甘いね」と囁かれてようやく果汁を舐め取られているのだと気付く。
ひばりさん、と名前を呼んで止めようとしたところへまたシィ、と囁かれる。
「あんまり騒ぐと骸に見られるよ」
「……ッ」
びくりとして動きを止めるとまた目許を舐められた。
右の目許、まぶた、などをぺろぺろ舐めると、左へと移る。
隣りでは目を開けられない骸が「ひばりくんひどいですよおしぼり持って来て下さい!」と騒いでいる。
けれど雲雀はそのまま綱吉の顔を舐め続ける。
目が終わると鼻、頬、額、と場所を変えて舌を動かす。
最後に小さくちゅ、とくちびるに口付けてようやく雲雀の顔が離れた。
「目、開けていいよ」
言われて恐る恐る目を開ける。
染みる原因のすっぱい果汁は全部雲雀が舐め取ってくれたようで痛みはなかった。
「ありがとうございます雲雀さん」
恥ずかしかったけどお礼を言った綱吉の声に「ぎゃああああああ」と言う骸の叫び声が重なった。
「い、痛いです!痛いですよ雲雀くん!」
どうやら雲雀から綱吉に向けた「目を開けていい」という言葉を自分へのものと受け取った骸がうっかり目を開けてしまったらしい。
だくだくと涙を流しながらしきりに「雲雀くんひどい!」と繰り返している。
雲雀は深くため息をついて綱吉に向かって水飲み場一緒に行ってきなよ、と骸を指さしながら言った。
かなり染みているのか泣きっぱなしの骸は応接室を出る瞬間雲雀に向けてこう言い放った。
「雲雀くんのばーか!アヒル口!来世でも呪ってやるー!」
「………」
小学生か!と突っ込みたくなるような発言を残して顔を洗いに行こうとした骸を雲雀が俊足で追いかけ、そして。
ドカッ
殴った。
綱吉が雲雀の唾液でべとべとになった顔を洗って戻ってくると何故か骸は応接室の天井からさかさまに吊るされていた。
「っな!?どうしたんですか雲雀さん」
ん?と振り返った雲雀は骸を見て一言。
「パイナップルを保管するときはさかさまにしたほうが良いんだよ」
にやっと笑う雲雀の餌食になってしまった骸が哀れで、綱吉はハンカチで骸の顔を拭うべくもう一度水飲み場へと歩いていった。
〜end〜
どうですか?
お持ち帰りはフリーって事になってます(一様)
もらうときは一様コメ下さい。
by,亜於
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