よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

地域になくてはならい病院になるために.。そして病院職員が安心して患者さんのために働ける病院となるために

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 27年の介護保険改定、28年の診療報酬改定、29年の消費税改定、30年の医療介護同時改定と、イベントがもりだくさんの現状において、いま、日本の医療や介護はとんでもない環境に置かれています。社会保障費の削減が叫ばれるなか、これから右肩あがりの報酬改定はありません。どこかがマイナスになり、どこかが一時的にプラスになるという改定はありますが、全体として医療費が抑制されるとともに、高齢者が増加するなかで一人当たりの医療費や介護費は引き下げられるということが当然のこととなってきます。

 財政の硬直化、後世への借金の押しつけ、そして金利上昇が現在の財政における問題点としてあげられていますが、貨幣量を増加させ、物価を押し上げること、株価をあげることでそれらを解決しようとしています。基本的に、4月から6月のGDPはマイナスとなり、物価はあがったものの、給与はあがらず、有効求人倍率は維持されているものの、これといった牽引役がないなかでの経済運営が行われています。

 景気上昇はないという前提で、医療費、介護費を削減し、かつ自己負担を徐々に高くしていく日本の医療介護環境のなかで、我々が行うことは増患対策です。医業収益=単価×患者数(診療所はこれに×リピート率が加わります)。単価は前提として引下げらえる政策です。増患により自然に単価があがることはあっても単価にフォーカスして単価をあげようとししても患者数が減るなどの結果、大きな成果をあげられないということが前提となっています。

 結局のところ、増患をどのように行うのかが帰結であり、そのための医療の質向上、生産性向上ということになります。増患するなかで自然に単価はあがり、病院としての業績を維持できます。
 介護においても利用者をどのように増加させるのか、保険外収入をどのようにとるのかが議論の対象となります。医療の質の向上は、仕事の仕組みの見直し、個人の技術技能向上であると永年言い続けていますが、ここがクリヤーできれば、生産性も向上し、新規の患者が増加すれば単価もあがるというながれが生まれます。

 もちろん、病院の外部への告知、介護事業の質を喧伝することも必要です。ただ、まずは仕事の仕組みをみなおし、個人の技術技能を向上させる取組みを徹底して行うことが、大きな成果をあげるための王道であり、少なくとも自院や自施設が残るための必須事項であるということを忘れてはなりません。





ベトナムの政府関係者や医師、病院経営企画担当者を交えての調印式が終わりました。壮大な計画が議論され、大きなビジネスになります。政府の許可を待って(新しいレギュレーションが7月1日が施行され、投資が厳しくなりました。これからが大変です)、診療所の運営参画が始まります。

当初は小児科への経営参画ですが、徐々に他診療所への展開を行い最終的には、ホーチミンシティで10程度の診療所や10程度の薬局への経営参加をしていく予定です。のちに、ダナンやハノイへの展開も含め、ベトナムでもっとも大きな中堅の診療所チェーンとして展開を行うことができたらと考えています。これから随時報告していきますので、ご支援よろしくお願いいたします。

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 日本の財政が逼迫していることは、既に多くの国民が理解しています。しかし、具体的にどのような未来があるのかについて明確な絵柄を描ける人は少ないと思います。
 医療の生末や介護のこれからについても、出生率が低いまま、高齢者が増加すること、就業人口が減少していることから、国民生産は小さくなり、海外での収益を得るにしても、限界がでてくることは誰の目にも明らかです。そのようななか、どのように現状に抗えばよいのか。

 まずは、足元をかため、いま行っている事業をどのように生産性の高いものにしていくのかに注力すること。さらには、国内で人口の多い地域で、医療や介護を行うことが基本的な発想になります。規模の拡大による生産性向上をも含め、できるだけ勢力を大きくする、多様化することが必要です。もちろん、むやみに多角化を行い、採算がとれない事業に手を出すのではなく、現在の事業の延長線上にある、あるいは現事業がよりよい成果を埋める領域への進出が期待されることはいうまでもありません。
 
 結局は人の教育と、仕組みの見直しになります。これを日々の業務に埋没し、手が付けられていない組織が如何に多いことか。我々も同様ですが、やろうということについてどうしても手をつけたり、深く行っていくことが難しい現状にあります。結局はあれもこれもというところからは何も生まれてこないけれど、あれもこれもしなければ、新しい成果を得ることができないというジレンマがあります。結局強い意思により、1日のうち2時間は新しいことに費やすというながれをつくらなければならいのだと考えています。

 我々の立場からすれば、社会保険が壊れかけていく現状において、TPPがまとまれば、すでに萌芽はあるものの、自由診療や混合診療が現実のものになること、そこにおいてはプロフェッショナルな運営主体が多くの病院を管理する要になる可能性があること、ファンドがそれらの病院に資金を出し、再生及び安定的な運営を支援すること。国交省も動き始めていますが、ヘルスケアリートにより資金を広く集め、医療介護に投入すること、などが想定されています。これらについては、既に欧米やアジア、とりわけシンガポールやインドネシアをはじめとしたASEAN国々で行われていることであり、荒唐無稽な話をしているのではありません。
 間違いなくこれからの日本の医療は、世界標準の運営形式にならざるを得ない。という思いがあります。日本のフリーアクセスが守れるかどうか、また廉価②医療を受け続けられるかどうかということについては疑問がありますが、なんとか医療を残す、そして連続したケアのなかで介護を残す試みが徐々に始まります。そのなかで何をしていくのか、大きなテーマがあります。
 何れにしても、それぞれの立場により、現状を俯瞰したうえで、何をしていけばよいのかについて真剣に戦略を練り、内部戦略立案、外部戦略立案を徹底して行うことが期待されています。

 




 以下は、ある法人の経営方針を病院に降ろし、病院がそれを具体的な目標に設定する過程で、病院で説明した資料の一部です。今、医療に求められているのは、医療人一人ひとりの覚醒と行動です。思いをもち、医療に自分の使命を見出し、成果をあげるために日々行動できる職員しか残れない時代になることは間違いありません。病院守り、地域を護る、何よりも患者さんを守るために何をしなければならないのか。自分が成長することをもってしか、その目的を達成することはできないと、私は考えています。

 
1.はじめに
  〇○病院においては、職員の皆さんはそれぞれ課題をもち、活動をしていることがよく分かりました。職員の
皆さんのやる気を感じました。しかし、具体的にどのように進めていくのかといった点での議論がまだできていな
いのではないかという思いはあります。
 
2.目標の設定方法
  したがって、
  (1)法人の方針を達成すること
  (2)院長を中心としてそのための具体的な活動を行うこと
  (3)病院として各部署が共通して行うべきことを行うこと
  (4)各部署がこれを解決していこうという課題を目標化すること  
 といったことが必要です。
そのための具体的なやり方がわからなければ、本部を活用すること、また本部を利用することが必要です。
   
3.法人の方針を達成すること
 法人は、厳しい医療環境を予測して、個々の病院が人材育成を行い、また生産性の向上行うなかで、社会資
である病院を最大限活用してもらうために、増患を行うといったことを各病院に期待しています。 
   
 病院は院長を軸として、職員一人の力により支えられています。職員一人ひとりが成長することでしか病院は
成果をあげることはできません。
 (1)職員全員が一歩でも力をつけ成長すること
 (2)仕事のやり方を見直して、不効率をなくす、無駄をなくす、もっとうまく、はやく、合理的に成果をあげられる
 ようにすること
が必要です。
 
 職員が力をつけるということは、①職員全員が、使命感をもち、他の誰にもまけない患者さんや地域に対する
思いを内心につくりだすこと、②各職種において他病院に負けない技術技能を身に着け、誇りをもった仕事がで
きるようになることを意味しています。
 また仕事のやり方を見直すということは、業務を一つ一つの手順に分解し、ノウハウを整理し、標準化すること
や、標準化されているものが、本当に優れた方法であるのかを常に見直し修正をかけることを言います。
 
 病院は、上記が行われるよう教育システムをつくるし、またマニュアル作成や業務改善を通じて生産性を向上
させることに尽力しなければなりません。法人もそれを支援します。さらに、自分達が優れた医療を提供すること
ができれば、さらに多くの患者さんを受け入れ、患者さんやご家族に喜んでもらうことができます。自分達の行っ
ていることを広く地域や患者さん、ご家族に知ってもらう活動を行い、誇りをもって増患を行う必要があります。
 
4.院長を中心としてそのための具体的な活動を行うこと
 法人は理事会、そして理事長の意思により動きます。最終的に理事長の決定したことは絶対です。それがどの
ような内容であれ、意思決定にしたがった行動をとらなければ組織は成り立ちません。もちろん、意見具申や議
論が否定されるものではありませんし、積極的に行われる組織が風通しのよい組織であるといわれています。
 現場のあり方や考え方を伝え、質問を行うなどのプロセスは必要ですし、それを受け入れるリーダーでなけれ
ばなりません。しかし、一旦決定されたのちはそれに応えていくこと。それが組織の理論であり、決まり事です。
それが行われなければ組織は統一した行動をとれず力を発揮できません。
 
  そして、病院は院長が責任者として全責任を負って運営される仕組みになっています。法人の意を受け、その
具体的展開を院長が決定し、院長が指示し、病院運営が行われます。
勿論、院長がリーダーとしての特性をもち、各部署の責任者が院長の指示を受けるに足る十分な資質をもち、さ
らに各部署責任者が責任をもって自部署の活動を目標達成のために一定の方向に誘導していくことができなけ
れば組織は機能しません。
 それぞれの役割を果たすことが期待されています。
 全職員が院長のもと、同じ志や目標をもって、他者のことを思いやり、仲間として共に行動し、成果をあげるこ
とで共に喜ぶことができる組織でなければ、地域に大きく貢献することはできません。
 院長の元で、利己ではなく利他の思いをもって行動できる仲間なのか、職員なのか、が問われるところです。
 
5.病院として各部署が共通して行うべきことを行うこと
 まずは、病院としての重要事項を達成する。病院としての重要事項を行う必要があります。
  (1)教育
  (2)生産性向上
  (3)増患   
です。この目標を病院としてどのように達成していくのか、具体的な方法を検討する必要があります。各部署を
超えて病院組織全体として行うべき課題です。勿論、各部署は病院が決定した目標を受け入れ各部署の目標
の一つとして達成しなければなりません。
 
6.各部署がこれを解決していこうという課題を目標化すること
 上記に絡めて、各部署がもつ課題を目標化し、達成していく必要があります。
各部署が挙げた課題は、必ず上記3つのカテゴリーに含まれます。したがって、各部署の課題を整理して、上記
のカテゴリーに含めたうえで、各部署の目標とする必要があります。
 
7.まとめ
 上記を勘案すると法人が求める病院、そして各部署の目標は、
  (1)教育システムをつくる
  (2)マニュアルを作成する
  (3)業務改善提案を行う
 ということであるし、
    また、
  (4)各部署が挙げた課題を達成するために、教育、生産性向上、増患のカテゴリーに含めた目標の設定を
  行う
 ことになります。
  (1)〜(3)については法人が制度の導入を提案しますので、各病院、各部署がそれを検討し、病院としてど
のように進めていくのかを検討して下さい。
 また、(4)については、課題を整理した資料を閲覧しながら、各部署の課題を明確にしていく必要があります。
上記の(1)〜(3)とまったく同じになる可能性もありますが、それはそれでよいと考えています。
職員一人ひとりが今より明日、明日より明後日というように力をつけ、皆で成果をあげて喜べる組織運営をして
いくことができれば、各職員の毎日は今にも増して
 遣り甲斐のある、満足できる日々になると考えています。悔いのない毎日を生きることができるよう、皆で力を
合せて成長していきましょう。
     

経営方針の明示と行動

目標をもつことで組織は成果をあげられます。
組織目標は、経営方針やそれを基礎として立案された事業計画、そして事業計画達成のためのアクションプランにより設定されます。マーケティングを行い、SWOT分析を経て戦略を決め、経営方針としたうえで事業計画や行動計画に落とし込むのです。
ここで経営方針は、闘いに勝つために経営目標を文章により具体的に示したものであるといえます。
 
組織内外の分析を通じ、リーダーが決定した経営方針を提示し、事業計画により具体的な数値目標を設定することで、組織は活き活きとして、もてる力を発揮することができます。経営方針のない事業計画は単なる利益計画であるし、事業計画のない経営方針も実効性に欠けます。リーダー自身だけが目標をもっており、組織に経営方針を明示しなくても経営方針はないのと同じです。組織構成員は、日々のルーチン業務は行うものの、具体的な進む方向がわからず、いわれたことをするだけの仕事が繰り返されることになります。
 
ところで、人が何かを行うとき、「知って何かを行う」だけのときよりも、「理解して何かを行う」ときのほうが成果あがるといわれています。
あることを行うときに、何もわからず作業をするのと、理由や目的がわかり、どのようにすればよいのかを把握して作業をするのでは、後者が成果を上げやすいのは当然です。
さらに、その仕事は自分の仕事であると「受容して何かを行う」ときにはさらに成果のレベルが上がります。これは自分の仕事だ、自分しかその役割を担うものはいないという思いは責任感を生み、より高い質で仕事の成果をあげることにつながります。
繰り返しになりますが、何も知らされていないで何かをするのでは、とても期待する成果を上げることはできません。
組織が、誰のために(Whom)なぜ(Why)、誰が(Who)、何を(What)、いつまでに(When)、どのように(How to)、いくらで(How much)仕事をしてもらうのかをはっきりと組織構成員に明示することが重要だとわかります(以上を5WHといいます)。
組織運営には、「経営方針が明示されなければ、適切な組織行動はとれない」というセオリーがあることを、リーダーはしっかりと認識しておく必要があります。
 
               出典:病院診療所マネジメント羅針盤 (文責:石井友二)

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