よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

地域になくてはならい病院になるために.。そして病院職員が安心して患者さんのために働ける病院となるために

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経営方針の明示と行動

目標をもつことで組織は成果をあげられます。
組織目標は、経営方針やそれを基礎として立案された事業計画、そして事業計画達成のためのアクションプランにより設定されます。マーケティングを行い、SWOT分析を経て戦略を決め、経営方針としたうえで事業計画や行動計画に落とし込むのです。
ここで経営方針は、闘いに勝つために経営目標を文章により具体的に示したものであるといえます。
 
組織内外の分析を通じ、リーダーが決定した経営方針を提示し、事業計画により具体的な数値目標を設定することで、組織は活き活きとして、もてる力を発揮することができます。経営方針のない事業計画は単なる利益計画であるし、事業計画のない経営方針も実効性に欠けます。リーダー自身だけが目標をもっており、組織に経営方針を明示しなくても経営方針はないのと同じです。組織構成員は、日々のルーチン業務は行うものの、具体的な進む方向がわからず、いわれたことをするだけの仕事が繰り返されることになります。
 
ところで、人が何かを行うとき、「知って何かを行う」だけのときよりも、「理解して何かを行う」ときのほうが成果あがるといわれています。
あることを行うときに、何もわからず作業をするのと、理由や目的がわかり、どのようにすればよいのかを把握して作業をするのでは、後者が成果を上げやすいのは当然です。
さらに、その仕事は自分の仕事であると「受容して何かを行う」ときにはさらに成果のレベルが上がります。これは自分の仕事だ、自分しかその役割を担うものはいないという思いは責任感を生み、より高い質で仕事の成果をあげることにつながります。
繰り返しになりますが、何も知らされていないで何かをするのでは、とても期待する成果を上げることはできません。
組織が、誰のために(Whom)なぜ(Why)、誰が(Who)、何を(What)、いつまでに(When)、どのように(How to)、いくらで(How much)仕事をしてもらうのかをはっきりと組織構成員に明示することが重要だとわかります(以上を5WHといいます)。
組織運営には、「経営方針が明示されなければ、適切な組織行動はとれない」というセオリーがあることを、リーダーはしっかりと認識しておく必要があります。
 
               出典:病院診療所マネジメント羅針盤 (文責:石井友二)

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 いろいろな病院で看護部とのミーティングを行う機会が多くあります。生産性向上といった観点からの視点でいえば、リスクマネジメントや感染症対策、マニュアル、クリティカルパス、教育、看護過程といったことがテーマになります。

 生産性を向上させるためには、職員の技術技能を向上させることや、仕事の仕組みの見直しがテーマになりますから、上記に業務改善提案制度を加えることもあります。
 何れにしても、看護部の活動は、業態や看護部の人員により大きく異なることが判ります。ある病院は、看護師が不足しているために、どうしても新しいことに手をつけることができないという状況に置かれています。

 また、看護部長が頑張ろうとしても、一人では何もできないという環境に置かれている病院もあります。看護部の体制として、少なくとも副部長を置き、リスクマネジメントや業務改革、教育、リスクマネジメントを分担できる体制があれば、大きく成果をあげることが可能ですが、看護師が不足しているこういった病院では、なかなか副部長に内部から人材を登用することが難しい状況に置かれることになります。

 このような病院は、どこにも抜け道がありません。人が足りないということから先に進まないという現状があります。
 しかし、このような状況に病院で、業務改善提案制度を導入し、申し送り時間を短縮することができたことをきっかけにあらゆる業務の見直しが行われ、生まれた余裕時間を活用して、さまざまな活動を開始しているところもあります。
 
 過去、業務改善提案制度がないときには、判っているけれども手が付かなかった状況にあったものが、一定のきっかけをもって行動を開始した結果として、新しい動きをとり、成果をあげた事例です。

 申し送りが10分から15分、病棟によっては20分短縮できたことから、1日平均15分×2回=30分×365日と考えるととても大きな時間を捻出できたことになります。
 さらに、看護業務以外の業務を他部署に移管することや、病棟クラークを活用すること、さらには、看護助手への委譲といったことを継続すると、生産性をあげ、また余裕時間を生むことが可能です。

 そこで空いた時間をスタッフの教育に活用。従来、プリセプティングや集合教育が随時行われる程度であったものが、マニュアルによる業務の標準化、職務基準による業務の体系化を通じて、仕事が整理され、職場内教育が円滑に進むという状況になりました。

 これから個人別の教育カルテによる、一人ひとりに光を当てた教育が開始されますが、そのような状況をつくりあげることができたのも、時間が足りない、人がいないというところから、いや自分の仕事を少し見直すと、余裕の時間をつくることができるのではないかという思い、それをバックアップする病院の姿勢、後押しがあったからだと理解しています。

 ここから先、なぜこのようなことをしなければならないのかといった、病院の明確な戦略の提示や目標管理の導入整備が行われ、本来看護部が保有している使命感を高めてもらえるトップの取組があれば、さらに現場活動は成果を得られるようになると考えています。

 もちろん、永年それをやり続けてきた病院があり、そこでは余裕をもった看護部の人員確保ができているために、あらゆる活動に対して手をつけ、そして成果をあげながらさらによい人材を集めるといった連鎖を生み出しています。
 規模が大きいとか、小さいとかではなく、そうした体制をつくることができる病院は、どこかで病院改革をスタートし、その成果を一つ一つ積み重ねながら体制整備を行ってきている過去があります。
 到達点の設定とトップマネジメントの強い思いがあり、さらにそれに呼応する中間管理職がいれば、どのような状況でも変えることができると、私は思います。

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