よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

地域になくてはならい病院になるために.。そして病院職員が安心して患者さんのために働ける病院となるために

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いろいろな病院を訪問しますが、以外と職務基準がありません。職務基準は病院の到達すべき能力レベルを示したものです。憲法のようなものだと考えています。それがない組織は、個々のスタッフの能力に依存した病院運営を行うはめになります。優秀な人が辞めると組織の質が落ちる。優秀なスタッフが入ると質があがるといったことを微妙なところで繰り返しながら業務を進めていきます。これで本当によい医療が継続できるのか不安になります。以下、ある病院で使った資料を基礎として、職務基準についておさらいします。
 
 
 
(1)職務基準の考え方
  職務基準は、仕事の基準です。仕事のレベルをどこに置けばよいのかのスタッフの拠り所となるものです。病院においては、従来は、スタッフ一人ひとりの技術技能を評価する、そして課題を発見することができづらいという環境にありました。
 
  しかし、環境変化が激しく質が高く合理的な医療を行うためには、より一層スタッフのスキルが高くなければ、今後環境適合できないことがわかってきました。スキルを高めるために一定の基準を用意することが必要となったなかで、職務基準をその基準とすることが適当です。
 
  マニュアルを背景にもって職務基準を作成しています。勿論すべての職務基準についてマニュアルが準備されているわけではありませんが、まずは職場において教育(スキルを高めるための)環境づくりを行うという意味で職務基準を役立たせていくことが必要です。
 
  職務基準は、スタッフのスキルを高めるための拠り所である、という認識をもっていただきたいと考えます。
 
  なお、職務基準は、職務内容と資格がマトリックスになっています。一般的に難易度により、仕事の割り振りが行われることが職場の行動様式になっているという前提のもと、重要性についても表示することによって、各等級においての優先順位づけをしています。
  現在においては、等級制度を導入しているわけではないので、一般、監督、管理といった概念で整理されていますが、今後は病院全体での資格別のレベルを規定していくことを通じ、それらについてより明確な基準を設けることも考慮していきます。
 仔細な部分については、職務基準を作成する段階で、作成者に説明を行っていますが、理解できない点があれば、ご質問をいただければと思います。
 
(2)職務基準の理解
  職務基準を理解する必要があります。職務基準が上記の考え方であるとすると、それらについて上長はそれを理解していかなければなりません。
  
少なくとも自分の職場にはどのような仕事があり、それはどのような内容をもっていて、誰が行うべき仕事であるのかについて上長はすべてを把握しておく必要があります。それよりもなによりも、上長はこれらすべてについて精通している必要もあります。すべてのスタッフが定められた自ら設定されている職務、仕事について自信をもって対応できるようにしていくことがあります。
 
  その意味で理解というよりも、もっと深い段階での認識、受容が必要です。まずは上長が職務基準を受容し、スタッフ全員が自らの範囲で職務基準を受容することができるよう上長は、あらゆる手段をつかって、部下に働きかけていく必要があります。
  
  ある意味上長は、自ら設計した職務を、自らがすべて理解したうえで、また受容したうえで、職場のなかで徹底し、成果をあげていくことができます。
 
これは上長であるから与えられた権限であり、多くのスタッフを、病院の方針を遵守したうえで、それをどのように達成していくのかといった戦略のもとで、マネジメントすることができるのです。これは誰にでも与えられた権限ではありません。上長にのみ与えらた権限であることをよく理解して、対応していくことが必要です。
 
  勿論、権限の背景には、責任があります。職務基準の理解を前提として、組織を動かすことについての権限と責任
 について十分議論することが必要です。
 
(3)職務基準とマニュアルのリレーション
   現在明らかになっているように、職務基準はすべてのマニュアルによって裏付けられていなければなりません。客観的な指標として病院全体のスキルを規定し、スタッフの教育の標準となるということは、
①客観的でなければならない
②標準化されていなければならない
ということがいえます。
 
 であれば、少なくともマニュアルといったツールによって、誰が利用してもほぼ同じ結果が得られる状況としておかなければなりません。
   そのために職務基準が設定されたのち、必ず当該職務基準についてマニュアルがあるかないかをチェックし、ないものについてはマニュアルを整備しておくことが適当です。
 
   マニュアルが適当でないものについては、チェックシートを整備するところからはじめることも良いと考えます。なお、チェックシートについても作成のための一定のルールを設定することが必要ですから、この部分についても別途議論する必要があります。
 
(4)個人の技術技能と職務基準
   職務基準によって、スタッフ全員の仕事をチェックしてみます。そのことによって、客観的に個人の技術技能を評価し、教育課題を発見します。現状においては教育の対象とするための評価ではありますが、実際には処遇に利用されることもあります。
   まずは問題や課題があったときに、それを早期発見し、適切な教育を行う、というながれをつくりあげていく必要があります。
 
   今後は、一定期間を定め、作成された職務基準とスタッフ全員をチェックし、評価をするところからはじめます。
   なお、マニュアルがなく対応できないケースであれば、マニュアルを作成してからでなければ評価ができないということではなく、まずは上長のレベルで職務基準を理解し、自らの理解で部下の評価を行います。
 
   自ら考えるところによって、部下を評価し、不足するところを発見し、個人カルテに記載することになります。これについては、上長自体が客観であり、標準であるといった解釈を行うことが適当です。
 

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私の講演会のあとのアンケートに学ぶことが、たくさんあります。
▽理解できた
 
▽良かった
 
▽役に立った
という意見は、嬉しくありがたいですが、たぶんに社交辞令が含まれている可能性があります。

それに対して
▽病院戦略の見直しをしようと思いました

▽ギアチェンジできました

▽自分の病院のこれからに不安になりました

▽○○について、もう少し詳細に話を聞きたかった

▽次に進むきっかけになりました

という記述は本当に参考になります。

もう少し具体的にこうすればいい、ということや勇気づける話、さらには整理をして説明することに気がつくことができるからです。

何回も同じテーマで話していると、判っていると思い込み飛ばして話をしてしまうことや、詳しく話過ぎてしまうことがあり、反省することが多くあります。
次はこうしよう。もう少し資料を充実しようと、言う思いにもなります。

話し方に、そして表情に、態度に問題をみつけるいこともあり、私自身のために、話をさせてもらっているという気持ちになります。

そして、時間を割いて来ていただいている方々に意味のある、ご自身のこれからの医療に自信がもてるきっかけとなる講演会ができるよう、研鑽をさらに積んでいきたいと思っています。
 
 
 

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 シリーズ最後です。
 
 組織風土・文化について説明します。組織風土や文化は働いている人の行動様式です。組織のルールは過去のそうした人々の蓄積の結果であり、また、現在においてはそこで働いている人の行動や態度、仕事の姿勢といったことに顕在化するものをさしています。
 
▽よい医療をしようという意識、執着
は、医療の基本的な傾向であり、この方向性がなければ、どこかで自分の行動や医療がもつ機能、性質と合致しないところが露見し、職員の気持ちのなかに違和感が生まれます。
 
何かおかしいなという思いがいつもどこかにあり、しかし自分はそうではないと思いながら仕事をしていると、徐々に組織の考え方と個人の考え方の間にギャップが生まれ、仕事に対する意欲を失うことになります。
 
ことあるごとに「そうではないのにな」ということがあると、行動そのものに納得できず、精一杯力を発揮することもできなくなります。
よい医療をしようという意識がない組織、執着がない組織は、心ある職員に見透かされ離反を招くことが明らかです。
 
人は誰でも、現状を打開し、もっと先に進もうという意欲があるものです。発現していなければそれを阻害するネガティブな何かがある。それに気が付く必要があります。あとで人生が短かったということに気付くのではなく、いま気が付く。そして、残りの人生をどのように生きるのかについて考えれば自分の証跡や歴史をどうつくるのかというところに思いを向けることができるようになると思います。
 
後悔しない。生きた証を少なくとも自分のなかにつくりあげる。そのなかから、よい医療をしようという意識や執着は生まれてくるのだと思います。
 
▽業務改革に対する意欲
 前述したことのなかから必然的に生まれてくる要素です。意識や執着が強ければ強いほど、業務改革に対する意欲も大きなものとなるでしょう。
 
▽ダメだと思うスタッフを支える厳しさと優しさ
そして、最後にダメだと思うスタッフを支える厳しさと、優しさです。厳しさは、そうしたスタッフを放置せず、彼らが力をつけることができるよう評価を行い、教育の場を提供し、そして学習できるように仕向けていくことです。
 
 これには有無を言わせない。徹底的に厳しい仕組みをつくる必要があります。組織で一般的にみられる傾向として、評価を行い教育の機会を提供し、現場で仕事をさせてできなければ低い評価。そして知らず知らずにできない者はオミットされ、放置される、ということがあります。しかし、医療においては、組織に所属しているかぎり、力を発揮してもらわなければならない要請があります。
 
 限られた経営資源で多くの成果をあげ、社会資源としての機能を果たさなければならないからです。厳しくできる仕組みやリーダーの存在が必要です。優しさは慈しみ。もともとの医療の思いは、職員に対しても発揮されなければなりません。組織の思いやり、気遣いの文化風土が患者さんへの一つ一つの対応に昇華されます。相手の立場を思いやる事情を慮(おもんばか)る必要があります。
 
 患者さんにはそうして対応するが、職員にはそうではいということは、少し言い過ぎかもしれませんが、欺瞞だと感じます。忙しさにかまけてそうなることはよく理解できますが、そうではない状況をどうつくりあげていくのか、努力が必要な領域であると考えています。
 
 まとめとして、再度記事に書いたことを思い出して、結論とします。
 
「このようなリーダーや組織があれば、職員がやる気になり、ルールや詳細な仕組みは、自然にできてくるし、また人も育ちます。新しい仕事や環境変化にも柔軟に取り組んでいくことができます。さらに、皆が常に合目的に動くことができるようになります。
 
 ここで書いているリーダーがいたり、病院があるかないかといえば、それは、0100ではなく、どの病院も、よいところを持っているものだし、医師のなかにも、上記を地でいく医師も数多くいます。看護師もコメディカルも事務のリーダーも同様です。
 要は、こうした形をリーダーか志向しているか、あるべき組織をつくろうとしているかどうかが、スタッフのやる気に大きく影響する、ということです。
 そのことを理解し、そこに少しでも近づくよう努力することが大切なのだと思います」。

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人がやる気になるのは、なぜなのか。

とても難しい問題です。
全ての人がやる気になることができる方法があれば、誰もが採用する事でしょう。

ご承知のように動機付け理論や、動機の喚起に対する考え方は沢山あります。ここでは、それらを列挙して検証することはしません。

結論からいえば、あまり、複雑に考えないことがポイントです。

医療における、私の経験に基づく考えを説明します。

【トップマネジメント】
▽リーダーの魅力的な人間性
▽懸命に医療に取り組む姿勢
▽高いマネジメント能力
▽仕事に対する厳しさ、真剣さ

▽戦略の正しさ
▽適切な事業計画
▽実行力

▽潔(いさぎよ)さ
▽相手に対する思いやり
▽礼儀正しい言葉遣い
▽豊かな表情
▽弾む明るさ

【組織風土・文化】
▽よい医療をしようという意識、執着
▽業務改革に対する意欲

▽ダメだと思うスタッフを支える厳しさと優しさ

これだけです。
しかし、こんなにあります。

このようなリーダーや組織があれば、職員がやる気になり、ルールや詳細な仕組みは、自然にできてくるし、また人も育ちます。新しい仕事や環境変化にも柔軟に取り組んでいくことができます。さらに、皆が常に合目的に動くことができるようになります(なぜ、やる気になるのかについては、別項で説明します)。

ここで書いているリーダーがいたり、病院があるかないかといえば、それは、0か100ではなく、どの病院も、よいところを持っているものだし、医師のなかにも、上記を地でいく医師も数多くいます。看護師もコメディカルも事務のリーダーも同様です。

要は、こうした形をリーダーか志向しているか、あるべき組織をつくろうとしているかどうかが、スタッフのやる気に大きく影響する、ということです。そのことを理解し、そこに少しでも近づくよう努力することが大切なのだと思います。

昨日も、ある会合で分野の異なる魅力的な四人の医師と語り合いましたが、さすがにそれぞれ病院や事業のトップとして、成果を上げているだけのことはあると、感心しました。

上記を体現しているリーダーたちであり、多くの示唆を受ける時間を過ごすことができました。

いま沢山の病院が、持てる力を最大限発揮し、日本の医療そして生活を支えています。職員すべてが前を向き、頑張っている証左です。

そうではない病院がなくなるよう、職員全員がいつも「やりきっている」という満足が得られる病院が少しでも増えるよう、私は願っています。

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リスクマネジメントにおいて、もっとも重視されなければならないのは、事故が起こらない仕組みです。誰が対応しても、事故が発生しない、そんな仕組みがあることが理想です。

しかし、100%それが達成できないとすれば、個人の意識やスキルを高めることが必要です。

そのための日常の意識醸成のための活動や、徹底した教育が求められています。

何よりも、何のためにリスマネジメントをするのか、どのような意識により取り組むのかが個人の魂のレベルで造り上げられていなければ、どうしても自ら最高のレベルで医療を行っていこうということにはなりません。

しっかりとした意志があれば、リスクマネジメントの統計から何を学習すればよいのか、どんな考え方によって、またどのような手法によってマネジメントを行えばよいのかが見えてきます。

ただ漫然とレポートをチェックし、対策を考え、マニュアルに記載し、学習会を開催し、一人一人のスキルをチェックして課題を抽出、そして個人個人に個別教育を行うだけでは足りません。

思想や思いが徹底され、上司によりそれが率先垂範され、芯のところで職員が今の質をより高めて行こうとしない限り、どこかでマンネリになるし、そもそも日常での医療の質を高めることができないからです。

羞恥心を与えない、恐怖心を与えない、痛みを与えない、納得してもらう、不便を与えない、不快な思いをさせない、不利益を与えない、という思いが、それぞれの医療機関の理念を背景として職員に浸透していなければならないと考えています。

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