岩本康志のブログ

経済,財政の話題を折に触れて取り上げます

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新しいG7/G8

 世界的な金融危機を議論する舞台がG7ではなく,G20となっているのは,新興国を抜きに世界経済の動向が語れなくなったことを意味している。しかし,議論を深めるには,20か国という数は多すぎる。そこで,新しい世界経済の構図を反映するようにG7ないしG8を再編成すべきだという意見がある。その例として,昨年11月の金融サミット開催時にCEPR(Center for Economic Policy Research)が編集した経済学者の提言集「What G20 leaders must do to stabilise our economy and fix the financial system」(http://www.voxeu.org/index.php?q=node/2647 よりPDFファイルがダウンロード可能)に収録されたBuiter教授とEichengreen教授の提案を見てみよう。
 改革の出発点は,フランス,ドイツ,イタリア,英国にかわって,EUの参加とすることである。欧州の立場からは,枠は減るものの,米国を上回る経済圏を代表して発言することで,これまで以上の発言力がもてるという判断が働く。
 これで空いた3つの枠で新興国を迎え入れることになるが,どの国が入るかが悩ましい。Buiter教授案は,
  米国,EU,日本,中国,インド,サウジアラビア,ロシアか南アフリカ
Eichengreen教授案は,
  EU,米国,日本,中国,サウジアラビア,南アフリカ,ブラジル
となっている。カナダがさらに外れ,EU,米国,日本の先進国と新興国を組み合わせる案であるが,どの国が入るかで結論を得るのが難しいかもしれない。
 経済規模(IMFの推計による購買力平価で評価したGDP)で見ると,2007年の上位8か国は,
  EU,米国,中国,日本,インド,ロシア,ブラジル,メキシコ
となる。地域性を考慮すると,アジアから3か国が入ることが問題になるかもしれない。今のところ日本を外すという話にはならないだろうが,インドとの関係を考えると,将来はわからない。今後の経済成長率を考えると,インドが日本を上回る日がやがて来るだろう。国際会議で日本が存在感を見せられず,インドの存在感が高まると,日本がG7/G8から外される事態は荒唐無稽な話ではなくなる。
 財務大臣がG7(7か国財務大臣・中央銀行総裁会議)の場で酔っ払っていては,自分から外してくださいというようなものだ。

(注)
 2005年の購買力平価調査でインドのGDP(購買力平価で評価)が大幅に下方修正されたので,現在は日本が上位にある。それ以前の調査では,いったんインドのGDPが日本のそれを上回ったことがある。

(参考)
「List of countries by GDP (PPP)」
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_GDP_(PPP)
IMF,世界銀行,CIAによる世界各国の購買力平価で評価したGDP順位

VoxEU.org
http://www.voxeu.org/

(関係する過去記事)
「国際比較プログラム」
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/1283807.html

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