岩本康志のブログ

経済,財政の話題を折に触れて取り上げます

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 拙稿「政府累積債務の帰結:危機か? 再建か?」(http://www.iwamoto.e.u-tokyo.ac.jp/Docs/2012/SeifuRuisekiSaimunoKiketsu.pdf )を私のWebサイトで公開しました。
 以下は,拙稿の概要です。

 政府債務残高が先進国では最高の水準(対GDP比)に達したわが国の財政の将来に関心が集まっているが,拙稿では,政府債務が累増した後に再建を果たすか,デフォルトあるいは高インフレによって破綻の道をたどるのか,について歴史的にどのような経験が蓄積されてきたのかを検討している。
 先進国の多くの経済問題と同様に財政危機の問題でも第2時世界大戦後の経験が念頭に置かれることが多いが,カーメン・M・ラインハート博士とケネス・S・ロゴフ教授の『国家は破綻する』(2011年,日経BP社)は,それよりも古い時代の経験を踏まえることの重要性を指摘して,過去に遡るとともに多くの国を対象にしたデータベースを作成して,先進国もかつては財政危機を繰り返していたことを示した。
 しかし,高水準の政府債務をもつわが国の財政がこれからどう推移していくのかという問題意識は,財政危機に陥った事例を整理したラインハート=ロゴフの問題意識とは視点を異にしており,財政危機の事例の観察だけではなく,政府債務が高まった事例をすべてとらえ,その後の経路を追跡する作業が必要である。
 拙稿ではそうした作業を経て,現状のわが国のような状況から今後破綻にいたる確率を予測するモデルを推定した。きちんと対処すれば財政破綻は避けられるべきものなので,ここでの「確率」とは過去に同様の状況になった国のどれだけが破綻したのかという経験を示すものと理解していただきたい。先進国の最近時の状況は第2次世界大戦以前の過去とは異なるものだという解釈のモデルによると,現状のわが国のような状況から今後破綻にいたる確率は40%程度であると推定された。一方,現在の先進国にも過去の経験が当てはまるという解釈では,今後破綻にいたる確率は70%程度であると推定された。

(関係する過去記事)
日本経済新聞・経済教室「政府債務拡大 どこまで」
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/35673108.html

 拙稿「租税負担と社会保障負担」が収録された『日本の財政をどう立て直すか』(土居丈朗編,日本経済新聞出版社)が発売になりました。
 井堀利宏東大教授の還暦記念出版であり,「先生の薫陶を受けた者が集い,先生の業績にちなんだ分野で各人が執筆した」(はじめに)ものです。構成は,

 第1章 日本の財政政策−−これまでの運営の何が問題だったか(川出真清)
 第2章 コースの定理で読み解く日本の財政システムの問題点(小西秀樹)
 第3章 租税負担と社会保障負担(岩本康志)
 第4章 社会保障と財政(宮里尚三)
 第5章 地方分権と政府間関係(別所俊一郎)
 第6章 財政赤字の政治的要因とその是正−−わが国の年金制度を例に(寺井公子)
 第7章 財政健全化に必要な方策(土居丈朗)

となっています。
 拙稿「租税負担と社会保障負担」の構成は,

1 社会保障負担を考慮に入れて税制を考えるトレンド
2 租税負担と社会保障負担の関係:近年の推移
3 社会保障負担の事業主負担は誰の負担になるのか
4 税・社会保険料と所得再分配
5 税と社会保険料の選択について
6 改革の方向性

となっています。拙稿冒頭部を引用しますと,

「租税理論ではこれまで伝統的に,税制のみに着目して,その負担や所得再分配機能の問題を研究してきたが,現代では社会保障の存在を無視しては,現実に起こっている多くの問題を正しくとらえることができなくなっている。それには,二つの理由がある。
 第一に,わが国の多くの個人で社会保険料の負担が所得税(国税)の負担を上回るなど,社会保障負担が大きくなっている現状では,それがもたらす攪乱効果を無視して,税制がもたらす攪乱効果だけに着目することは適切ではない。第二に,税制と社会保障制度はともに所得再分配機能を果たしており,再分配政策を整合的なものとするには,両者を合わせて考えることは必須である。」

との問題意識をもって,税制と社会保障を同時にみることが必要な4つの課題を,以下のこれまでの筆者の研究を土台にして,議論しています。

Hamaaki, Junya, and Yasushi Iwamoto (2010), “A Reappraisal of the Incidence of Employer Contributions to Social Security in Japan,” Japanese Economic Review, Vol. 61, No.3, September, pp. 427-441.

岩本康志(2009),「社会保障財源としての税と保険料」,国立社会保障・人口問題研究所編『社会保障財源の効果分析』,東京大学出版会,13-35頁

岩本康志(2011),「社会保障財政の長期的課題」,『超高齢化社会における社会保障・財政のあり方』(金融調査研究会報告書[47]),金融調査研究会,9月,19-32頁

岩本康志・濱秋純哉(2006),「社会保険料の帰着分析:経済学的考察」,『季刊社会保障研究』,第42巻第3号,12月,204-218頁。

岩本康志・濱秋純哉(2008),「租税・社会保障制度による再分配の構造の評価」,『季刊社会保障研究』,第44巻第3号,12月,266-277頁。

岩本康志・濱秋純哉(2009),「社会保険料の帰着分析」,国立社会保障・人口問題研究所編『社会保障財源の効果分析』,東京大学出版会,37-61頁

 20日付の日本経済新聞朝刊・経済教室欄の拙稿「経済発展の仕組みに光」について,横山和輝・名古屋市立大学准教授から,「マディソン推計は目下便宜性だけが頼りのデータ。とはいえ,各国の長期経済統計の見直しのきかっけになるのなら,叩かれ覚悟で作られたデータでもある。」というツイートを頂いた(http://twitter.com/ecohis/status/171409724368097280 )。
 その通りであり,マディソン氏による近代以前のデータは多くの大胆な仮定から作られたもので,その時代を緻密に研究している者から見れば,粗いことは間違いない。ただし,使い方によっては十分な利用価値がある。ひとつは,拙稿でも指摘した点だが,
「なぜ欧州が工業化に先んじ世界で優位に立てたのか。ウェーバー以来、数多くの仮説が示された。各国の経済は多様な進化を遂げており、仮説に適合する事実を取捨選択するだけでは仮説の正しさを立証したとはいえない。世界全体の経済発展の姿を示したデータに対する仮説の説明力で検証することが求められる。その意味で諸仮説がマディソン歴史統計で支持されるか否かが重要な試金石となる。」
 もうひとつは,横山教授の指摘するように,その後の研究の誘発効果である。拙稿で「各国のデータ整備が進めば産業革命以前の知見の見直しが迫られるかもしれない」とした点の補足であるが,年次GDPを中世後期にまで遡って推計する研究が現在,欧州各地で進んでいる。私が気づいた研究の現況を以下にまとめておく。

イタリア
Malanima, Paolo (2011), “The Long Decline of a Leading Economy: GDP in Central and Northern Italy, 1300-1913,” European Review of Economic History, Vol. 15, No. 2, pp. 169-219.
http://dx.doi.org/10.1017/S136149161000016X

オランダ
van Zanden, Jan Luiten, and Bas van Leeuwen (2011), “The Character of Growth before ‘Modern Economic Growth’: The GDP of Holland between 1347 and 1807.”
http://www.cgeh.nl/sites/default/files/WorkingPapers/CGEH.WP_.No4_.vanZandenvanLeeuwen.mar2011.pdf

スペイン
Alvarez-Nogal, Carlos, and Leandro Prados de la Escosura (2011), “The Rise and Fall of Spain (1270-1850),” Universidad Carlos III de Madrid.
http://e-archivo.uc3m.es/bitstream/10016/10877/1/wp_11-02.pdf

英国
Broadberry, Stephen, Bruce Campbell, Alexander Klein, Mark Overton and Bas van Leeuwen, (2011), "British Economic Growth, 1270-1870: An Output-based Approach"
http://www2.lse.ac.uk/economicHistory/pdf/Broadberry/BritishGDPLongRun16a.pdf
(データ)
http://www2.lse.ac.uk/economicHistory/pdf/Broadberry/Finaldata12701870.xls

(注)
 欧州を西欧と東欧に2分したマディソン氏のデータにしたがった呼称を使っているので,「スペインは南欧では」という突っ込みは無しにしてください。

(参考)
Angus Maddison氏のホームページ
http://www.ggdc.net/MADDISON/oriindex.htm

(関係する過去記事)
日本経済新聞・経済教室「経済発展の仕組みに光」
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/36818818.html

[2013年9月2日追記]
刊行された研究,新しい研究を以下に追加。

オランダ
van Zanden, Jan Luiten, and Bas van Leeuwen (2012), "Persistent But Not Consistent: The Growth of National Income in Holland 1347-1807," Exploration in Economic History, Vol. 49, Issue 2, April, pp. 119-130.
http://dx.doi.org/10.1016/j.eeh.2011.11.002

スペイン
Alvarez-Nogal, Carlos, and Leandro Prados de la Escosura (2013), "The Rise and Fall of Spain (1270-1850)," Economic History Review, Vol. 66, Issue 1, February, pp. 1-37.
http://dx.doi.org/10.1111/j.1468-0289.2012.00656.x

スウェーデン
Schon, Lennart, and Olle Krants (2012), "The Swedish Economy in the Early Modern Period: Constructing Historical National Accounts," European Review of Economic History, Vol. 16, Issue 4, November, pp. 529-549.
http://dx.doi.org/10.1093/ereh/hes015

 2月20日の日本経済新聞朝刊の経済教室欄に拙稿「経済発展の仕組みに光」が掲載されました。「エコノミクストレンド」での私の担当は今回が最後になります。5年間おつきあいいただき,ありがとうございました。

 最終回なので,気宇壮大な話題をとりあげようとしました。出発点は,日本でも話題になったジャレド・ダイアモンドの『銃,病原菌,鉄』(草思社文庫)が取り組んだ,人類の発展の過程で生じた分岐です。この課題への経済学の取り組みを,理論的枠組みとなるGalor (2011)の統一成長理論と,実証研究の基盤となるMaddison (2001)の歴史統計の2つを軸に展開してみました。この研究の動きは,経済学内部では経済史,開発経済学,マクロ経済学の垣根を取り払うものになり,外部に向けては歴史学,考古学,人類学,生物学,地球科学等の領域とつながっています。最近では,1つの論文にこれらの分野の参考文献が入り交じるような展開が見られています。ただし,新聞社とのやり取りの過程で「エコノミクストレンド」の方針が働いて,経済学内部の話題に戦線が縮小した格好です。出発点の『銃,病原菌,鉄』への言及も割愛されてしまったので,以上を補足しておきます。

 Galor (2011)の関心の広がりは経済学書としては稀有のものですが,紙数の制約で興味深い話題もやむなく省きました。できれば同書は『銃,病原菌,鉄』なみの反響を得てもらいたいのですが,数式が満載なので,一般読者への訴求は難しそうです。拙稿で紹介した近代経済成長への離陸のメカニズムは,本当は数学的に理解していただくのがいいのですが。
 人口の規模効果が離陸の鍵だと解説しましたが,Galor and Moav (2002)は別の仮説も提示しています。マルサスの影響を受けたダーウィンの自然選択のメカニズムによって,マルサスの罠での生存競争によって,人的資本への投資を重視する傾向が強まっていくというものです。この仮説を説明すると,社会的ダーウィニズムか否かを含めて,相当な紙数が必要なため,拙稿に含めることができませんでした。
 記事中,英国とイングランドについては,1707年の連合王国成立をまたぐかどうかで記述を使い分けています。オランダは現在のオランダ王国の地域を指しています。

 最後に,記事で紹介した文献は以下の通りです(登場順)。

Kenneth Pomerantz (2000), “The Great Divergence: China, Europe, and the Making of the Modern World Economy, Princeton: Princeton University Press.

アンガス・マディソン(2004),『経済統計で見る世界経済2000年史』,柏書房。

Oded Galor (2011), Unified Growth Theory, Princeton: Princeton University Press.

Paul M. Romer (1990), "Endogenous Technological Change," Journal of Political Economy, Vol. 98, No. 5, Pt. 2, October, pp. S71-102.

Ola Olsson and Douglas A. Hibbs, Jr. (2005), "Biogeography and Long-run Economic Development," European Economic Review, Vol. 49, No. 4, May, pp. 909-938.

Louis Putterman (2008), “Agriculture, Diffusion, and Development: Ripple Effects of the Neolithic Revolution,” Economica Vol. 75, November, pp. 729-748.

Quamrul Ashraf and Oded Galor (2011), "The "Out of Africa" Hypothesis, Human Genetic Diversity, and Comparative Economic Development," NBER Working Paper No. 17216.

Robert C. Allen (2001), "The Great Divergence in European Wages and Prices from the Middle Ages to the First World War," Explorations in Economic History, Vol. 38, No. 4, October, pp. 411-447.

 その他,出所を言及できなかった規模効果に関する2つの研究が以下のものです。

Michael Kremer (1993), "Population Growth and Technological Change: One Million B.C. to 1990," Quarterly Journal of Economics, Vol. 108, Issue 3, August, pp. 681-716.

Charles I. Jones (1995), "Time Series Tests of Endogenous Growth Models," Quarterly Journal of Economics, Vol. 110, Issue 2, May, pp. 495-525.

(参考文献)
Oded Galor and Omer Moav (2002), “Natural Selection and the Origin of Economic Growth,” Quarterly Journal of Economics, Vol. 117, Issue 4, November, pp. 1133-1191.

「日銀とFRBの『インフレ目標』を比較する(その1)」(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/36800762.html )を書いた時点では,14日の白川方明日本銀行総裁の記者会見は未見であった。そこで,記者会見記録(http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1202b.pdf )をもとに,(その1)の内容を補完する。
 総裁記者会見はときとして重要である。例えば,最初の時間軸政策である「デフレ懸念が払拭されるような情勢になるまで」ゼロ金利政策を継続する,という表現が最初に現れたのは,1999年4月13日の速水優日銀総裁(当時)の記者会見での発言である。
 記者会見記録は声明文より読まれる機会が少ないが,今回の記者会見は一読の価値がある。そのなかで,上記ブログ記事に関係する問答2つを以下に紹介する。

 第1は,1月25日の米連邦準備制度理事会(FRB)の「Longer-run Goals and Policy Strategy」に現れた「The inflation rate over the longer run is primarily determined by monetary policy」の件についてである。金融政策でインフレ率が決まらなければインフレ率の「goal」を設定しても無意味だから,これはそもそも「goal」を設定することの大前提だ。
 長期的にはその通りなのだが,米国もゼロ金利なので短期的には物価のコントロールは極めて難しい。コミュニケーションの過程で「長期的には」が抜け落ちるとややこしくなるので,発信者側の勇気と注意を要する一文である。
 引用する質疑応答には2つの質問が含まれているが,これに関する質問のみ以下に引用する。

「(問) 今のご発言に関連して 2 点お聞きします。1 点目は、先般のFRBの発表では、「物価上昇率は、長期的には主に金融政策によって決定される」という声明が出されていますが、この点について、日銀ないし白川総裁はどのように考えているかお教え下さい。(中略)
(答) まず、1 問目の長期的には金融政策で決まってくるという命題についてどう考えるのかという問いですが、これは、色々な考え方がもちろんあり得ると思います。大学の講義ではありませんので、そういう話をするのもどうかなと思いますが、非常にインフレ率が高い時にインフレを抑制していくということ、これは、景気への影響等を無視すれば、強力に金融引締めをやればインフレ率が下がっていくということで、そういう意味では、究極的、最終的に、金融政策が物価を決定していく、それはその通りだと思います。
また、米国の 1930 年代のように、中央銀行が最後の貸し手として積極的に行動しなかった結果、金融が大きく縮小する場合には、経済活動を大きく縮小させ、その結果、当時のアメリカは、物価が確か 3 割ぐらい下落しました。そういう意味で、金融政策、あるいは中央銀行の行動が、物価の長期的な経路を決めていく上で非常に重要であることは、私はそうだと思っています。
しかし、現在問われている問題は、今の日本経済、物価の上昇率が概ねゼロ近傍という世界で、中央銀行がお金の量を供給することだけで直ちに物価上昇率がゼロから 1%、1%から 2%へ上がっていくかという問いであるとすれば、それは必ずしもそうではないと思います。先程申し上げた、日本経済が直面している様々な構造的な問題、これらへの取組みが必要であると思います。これは決して中央銀行の役割が小さいということではなく、むしろ、中央銀行の役割はしっかりあると思っていますが、成長力を引き上げていく努力と、それを支える金融面の支援、その両方が相俟って、デフレからの脱却は実現していくものだと考えています。(後略)」(7〜8頁)

 政策担当者であるが故に,白川総裁の回答は複雑である。まず,インフレ率が高いときには金融引き締めでそれを下げることができる,と言っている。これは現在の日本の状況とは関係ないので,仮定の話である。つぎは,インフレ率が低いときには,政府・日銀が協調してデフレ脱却に取り組むという現行の政策の枠組みに基づいて,インフレ率を上げることができる,言っている。
 FRBは政府側の取り組みに触れていないから,米国と同じ文脈にするなら「かりに政府が構造問題に取り組まないとしたら,日銀だけでデフレから脱却できるか」が問われることになるが,日銀総裁の立場では政府の重要方針と真逆の議論を展開することは難しいだろう。インフレ率が高いときの話も「大学の講義ではありませんので、そういう話をするのもどうかなと思いますが」と防衛線を張っている。日米比較のための証言をきちんととるなら,質問の工夫が必要だ。また,できないと思っているから言及しない,と勘繰られないようにしたいなら,答弁の工夫が必要だ。
 話がそれるが,大学の講義だとこうなる。この問題は,フィッシャー方程式
  名目金利=実質金利+(期待)インフレ率
から出発して考える。経済学で「長期的に」というのは,短期的な変動要因がなくなって,これらの変数が安定しているという仮想的な状態を指す。そのとき,期待インフレ率は現実のインフレ率に等しくなる。この式を変形すると,
  インフレ率=名目金利−実質金利
となる。つまり,インフレ率の長期での水準は,名目金利の長期での水準から実質金利の長期での水準を引いたものになる。名目金利は金融政策で左右できるので,名目金利がゼロ以上であるという制約と合わせると,インフレ率のある下限値以上は金融政策で実現できる。ゼロ金利制約が問題になるのは実質金利が低い場合で,たとえば実質金利の長期的水準が−3%だとすると,ゼロ金利でもインフレ率は3%になって,FRBが設定した2%の「goal」は達成できない。しかし,実質金利の長期的水準が負になることは現実的には考えられないから,目標水準として現実的に想定される範囲のインフレ率の長期的水準は金融政策で達成できる。

 本題に戻る。
 2番目は,日米の異同についてまとめた5点のうちの最後
(5)【同】 「目標」が達成できない場合の措置は無い。
についてである。

「(問) 先程、政策委員会としての意思を示すという話がありました。安住財務相も「事実上のインフレ目標」というように発言していますが、これが達成できなかった時、中央銀行の信認が低下したり、政府の関与が強まったりという副作用については、どのようにお考えでしょうか。
(答) インフレーション・ターゲティングを採用している各国の運営をみても随分変わってきています。例えば、ニュージーランドは、目標インフレ率が達成されなかった場合の規定が入っていますが、多くの国では、物価上昇率が目標等から乖離した場合に、なぜそれが乖離しているのかを、しっかり国民に対して説明していくとともに、政策の決定過程を明らかにしていくことを通じて、責任を果たしていくというのが今の主流になっています。日本銀行もそうした努力をこれからもしっかり続けていきたいと思っています。」(17〜18頁)

 物価上昇率が目標等から乖離している場合には説明責任を果たす,という世界の主流と日銀は同じ,ということになる。

(参考)
総裁定例記者会見要旨(1999年4月13日)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_1999/kk9904a.htm/

総裁定例記者会見要旨(2012年2月14日)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1202b.pdf

(関係する過去記事)
日銀とFRBの「インフレ目標」を比較する(その1)
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/36800762.html

日銀とFRBの「インフレ目標」を比較する(その2)
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/36803784.html


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