岩本康志のブログ

経済,財政の話題を折に触れて取り上げます

一体改革

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歳出歳入一体改革と中期的財政運営の話題です
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「国債発行は減額に,しかし...(図解)」(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/345466.html)の続編。今年度補正予算と来年度予算(財務省原案)の計数を追加した。
 上図は,国の一般会計の基礎的財政収支(対GDP比)の推移を示したもの。2007年度から2011年度まで続く線は,今年1月の「進路と戦略」参考試算によるもの。もうひとつの2007〜2008年度の線は,今年度補正予算と来年度予算(財務省原案)によるもの。GDPも20日に閣議了解された経済見通しに更新している。
 今年1月の見通しに比較して,2007年度は0.1ポイントの赤字増,2008年度は細かく見るとわずかに赤字減だが,ほぼ同じ。前回の記事で指摘した,国の一般会計の基礎的財政収支が改善していかない状況に変わりはなさそうである。来年1月には,経済財政諮問会議に2011年度までの試算が提出されるので,その際にはあらためて上図を更新したい。

 基礎的財政赤字は,2007年度は当初予算4.5兆円から補正後予算で4.9兆円に,2008年度予算は5.2兆円となった。
 補正予算の基礎的財政収支は,「国債費−公債金−前年度剰余金受入」で計算される。今回,新規の国債発行はないが,前年度剰余金8286億円の半分を国債費に回し,半分を他の歳出に向けたことで,収支は悪化した。これは財政法の規定通り(第6条)であるが,そもそも赤字国債を禁止している(第4条)法律だから,赤字国債を発行しているときには,この剰余金は全額を債務返済に向けるべきである。そう規定してもいいくらいだが,法律で禁止していることが生じたときの処置を法律に書き込むのは難しいのかもしれない。

(参考)
2007年度補正予算の情報は,下記のURLに掲載されている。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h19/hosei191220.htm

2008年度予算(財務省原案)の情報は,下記のURLに掲載されている。
http://www.mof.go.jp/genan20/yosan.htm

毎年の経済見通しは,下記のURLに掲載されている。
http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi-taisaku.html

財政法
第四条  国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
○2  前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
○3  第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

第六条  各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。
○2  前項の剰余金の計算については、政令でこれを定める。

予算決算及び会計令
(剰余金の計算)
第十九条  財政法第六条 に規定する剰余金は、当該年度において新たに生じた剰余金から次の各号に掲げる額の合算額を控除してこれを計算する。
一  翌年度に繰り越した歳出予算の財源に充てるべき金額
二  当該年度における所得税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の三十二、法人税の収入額の百分の三十四、消費税の収入額の百分の二十九・五並びにたばこ税の収入額の百分の二十五に相当する金額の合算額が当該年度における所得税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二、法人税の収入見込額の百分の三十四、消費税の収入見込額の百分の二十九・五並びにたばこ税の収入見込額の百分の二十五に相当する金額の合算額として予算に定められた額を超えるときは、当該超過額

 かりに民主党が政権をとったとしたら,財政再建はどうなるかを考えてみよう。
 政府は,2011年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化するために,2007〜2011年度の5年間に14.3兆円〜11.4兆円の間で歳出を削減する一体改革を進めている。一方,民主党は参院選のマニフェストで,年金基礎部分への全額税投入,子ども手当の創設,農業の戸別所得補償等の施策を実現するために,行政のムダをなくして15.3兆円の財源を得るとしている。政府の一体改革の歳出削減と民主党の考える財源が重複すると,基礎的財政収支の黒字化は達成できなくなる。完全な対比が可能ではないが,どうも重複しているようである。

 政府が進める一体改革での歳出削減の内訳は以下の通り。
  社会保障  1.6兆円
  人件費   2.6兆円
  公共投資  5.6〜3.9兆円
  その他分野 4.5〜3.3兆円
 民主党のマニフェストの財源の内訳は以下の通り。
  補助金の一括交付化等によるムダの排除     6.4兆円
  談合・天下りの根絶による行政経費の節減    1.3兆円
  特殊法人・独立行政法人・特別会計等の原則廃止 3.8兆円
  国家公務員総人件費の節減           1.1兆円
  所得税等税制の見直し             2.7兆円

 重複かどうか精査が必要なところとしては,
  両者にある人件費
  政府の公共事業と民主党の談合根絶・特別会計の原則廃止
  政府のその他項目と民主党の各項目
等があげられるが,項目建てが違っているため,より細かな積算の根拠がないと比較検証が難しい。

 財源を明示したマニフェストは,空手形にならない政策の選択肢を国民に与えてくれる,非常に意義あるものだ。次回の選挙のマニフェストでは,国民が賢明な選択をできるように,与野党で対比ができる構成になることを望みたい。具体的には,下記のような改善を与野党に希望したい。

自民党側
(1)国と地方に分けて積算する
 実際の予算編成は国と地方が別におこなう。民主党は国と地方に分けているので,対比させやすくなる。
(2)その他項目を細分化して積算する
 現状では,具体的に何をするのかが見えにくい。行政のムダを排除すべきか否かは与野党の争点にならないはずで,どの程度できるかが争点である。自民党も数字を出すことで,建設的な議論に結びつく。
 できれば与野党で共通の項目建てになれば,格段にわかりやすくなる。選挙を戦うときにそこまで歩み寄れないかもしれないが,第三者が行司役に入れば実現できるかもしれない。

民主党側
(1)基礎的財政収支黒字化の財源を確保する
 どのような政策の実行も,持続可能な財政運営がされた上でのことである。その一里塚である基礎的財政収支黒字化は,政権が変わったらやめていいというものではない。また,新規施策よりも優先度が高い。民主党はその財源を確保した上で,新規施策の財源を示すべきであろう。
 野党のマニフェストは,政府の現行方針を下敷きに,実現したい新規施策と歳出削減を収支バランスした形で追加するのがわかりやすい。
(2)地方の歳出削減を細分化して積算する
 公務員人件費,社会保障,公共事業等に分割して示されると,一体改革と対比させやすい。
(3)社会保障と公共事業の積算をする
 国の予算編成での重要項目であり,これらの項目で積算すると一体改革と対比させやすい。調達や特別会計の改革で公共事業費削減が見込まれると思われるが,これらと公共事業以外の調達も分けて積算した方がいい。

(参考)
一体改革での歳出削減の具体策については,「骨太2006」(下記PDF文書の37頁以降)にある。
http://www.keizai-shimon.go.jp/cabinet/2006/decision060707.pdf

民主党の参院選でのマニフェストは,下記URLにある。
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/index.html

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「国債発行は減額に,しかし...」(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/326995.html)では,歳入歳出一体改革に沿って歳出削減を進めても,国の一般会計の基礎的財政収支は改善しないことを指摘した。このことを図で示す。
 「進路と戦略」参考試算(内閣府)での国の一般政府の基礎的財政収支(国債費−公債金収入で計算)の計数より,2007年度から2011年度までの対GDP比(%)を計算したのが上図である。14.3兆円歳出削減・移行シナリオの場合を示した。このシナリオは収支がもっとも改善する楽観的なものであり,国と地方を合わせた基礎的財政収支は増税がなくても2011年度に黒字化するのだが,そのときでも2009年度にかけて国の一般会計の基礎的財政収支は悪化して,2011年度でも2007年度水準に回復するまでである。

 今年初めの推計なので,その後の経済情勢の変化は織り込んでいない。今年度補正予算・来年度予算案ができた際には,上図を更新した記事を投稿したい。

 福田首相は12日,額賀財務相に2008年度予算の新規国債発行額を今年度(25.4兆円)以下に抑えるように指示した。指示するように首相に指示したのは誰か,という疑問は脇におこう。指示を受けたができませんでした,という茶番を財務省が演じることはまずないので,国債発行額が減額される予算が組めることが財務省で固まったものと観測される。
 歳出歳入一体改革に沿って歳出削減を進めているなかで,国債発行額が増えるのは,イメージ的なダメージが大きい。その意味で越えなければいけないハードルであったが,越えたといって,決して安堵できる状況ではない。
 概算要求段階では,要求額通りの歳出になると 27.6兆円の国債発行額となる見通しであったが,税収が下方修正されるなか,国債発行が抑制されるのは,国債費が大きく減額されることが大きい。これはサブプライム問題の影響で金利が上昇する見込みが薄らいだことによるが,サブプライム問題は日本経済に少なからず悪影響となると思われるので,明るい話ではない。
 財政健全化の指標である基礎的財政収支は,2007年度予算の4.4兆円の赤字から悪化する。歳出歳入一体改革に沿った歳出削減を進めても,国の一般会計の基礎的財政収支は改善していかないことは,あまり語られていないが,重要な事実である。

 12月6日にOECDの新しい経済見通し(Economic Outlook)が発表された。
 そのなかでは,日本の財政収支に関して,下記のように記述されている。

“For Japan, an annual improvement of less than ½ per cent of GDP in the cyclically-adjusted primary deficit is expected, which would leave it at around 2½ per cent of GDP in 2009. This rate of improvement is inadequate to achieve the government’s objective of a primary budget surplus for the combined central and local governments by fiscal year 2011. To achieve this target, which is not excessively ambitious in view of gross public debt of nearly 180% of GDP, the pace of fiscal consolidation will need to be stepped up as the economy emerges from deflation.”

 年当たりGDP比0.5%以下の収支改善では2011年度の基礎的財政収支の目標達成はおぼつかないと見なして,スピードアップを求めている。さらに,その目標も十分ではないとの評価である。この見解には同感である(「財政再建は一休みします」を参照。http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/138599.html)。
 なお,OECDでの基礎的財政赤字の推計値が政府のそれよりも大きくなっているようである。基礎的財政収支等のくわしい計数は月末までに公表されるようなので,あらためてそのときに検討してみたい。

(参考)
OECD Economic Outlook No. 82, December 2007
http://www.oecd.org/document/18/0,3343,en_2649_201185_20347538_1_1_1_1,00.html

日本語資料(上に引用した段落は,こちらの国別レポートではなく,総論部分にあります)
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20071206eo82.pdf

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