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どうも、教員です。
私は長年、共済事業に関する調査研究に携わってきました。
共済事業とは、JA共済や全労済など、協同組合等による非営利で相互扶助的な保険事業をはじ
め、根拠法を持たないが健全に運営されてきた「自主的な共済事業」をも含むものです。
ところが、近年、これらの共済事業は、「イコールフッティング」の原則適用により、営利による
保険事業と法律的に「一緒くた」にされ、新「保険業法」と新設された「保険法」で包摂されること
になってしまいました。
このため、共済事業の独自性は認められず、特定者に対する保険行為であるという法的根拠が「剥
奪」されるとともに、自主的な共済事業については、少額短期保険事業者にならなければ廃業を強制
される事態となっています。
「規制緩和」を主張する勢力が、自分たちの利害のためには「規制」を強制するという、倒錯した
構図が見られるのです。
また、今後はJA共済などにおける兼営事業形態も、大幅な制限がかかることが懸念されていま
す。このことは、総合農協の事業・組織の「解体的再編」につながりかねない危険性をはらんでい
ます。
この話を始めると長くなりますし、詳しくは、私が学会や専門誌等で発表・報告したものを読んで
もらうとして*)、要は、今の日本の金融行政は、アメリカの命ずるままに、金融グローバル化に対
応すると称して、この国で行われてきた様々な事情や政策を無視して、「一つの物差し」=イコール
フッティングで測ろうとしていることの現れ、といえます。
このことは、共済・保険事業に留まりません。
ノーベル賞を取った「グラミン銀行」の精神・手法に通じるともいえる、日本型の「マイクロクレ
ジット」たる市民による銀行=NPOバンクも、何と「サラ金」と一緒くたに規制されることになり、
下手をすると、廃業を余儀なくされるというのです。
ここでも、中心となっているのは「規制緩和」を主張してきた勢力です。まさにマンガのような
話です。
このNPOバンクは、通常なら信用力が得られないが環境に優しい事業を興そうとするNPOや、
地域の食・農を守る活動している小規模事業者等に積極的に融資している、「社会的かつ公益的な非
営利の金融組織」です。
ロックバンド・ミスターチルドレンの桜井和寿氏らも、このNPOバンクに関わっているのは有名
な話です。
こういう市民の自主的な力を守り育てるどころか、(結果的に)強権的に潰そうとするとは。。
これが「先進諸国」ニッポンの金融行政の姿だ、と言われれば、返す言葉はありません。
今晩(7月20日)も、NHKで「マネー資本主義」の問題をえぐる内容の番組が放送されましたが、
行き過ぎたマネー資本主義の反省から、【短期的な利害を求める「株主」にではなく、社会の再生産
のためにこそ会社はあるべきだ】、という問いが何度も言われ、NPOが関与し、バングラデシュ等
で敢えて貧困地帯のインフラを買って出る社会的な通信事業企業や、地域の基幹産業である畜産農家
に粘り強く融資を続ける鹿児島銀行などの取組みが紹介されていました。
非営利で運用され、地域資源の維持や環境保全のために融資するNPOバンクや、共済事業など
は、まさにそうした立場で金融に関与し、マネー資本主義の弊害をただす立場の取組みをしているも
のです。
しかし、こういう組織に規制をかけ、(結果的に)潰そうとしているのが、この国の政府の実態で
す。
私は、保険業法、保険法が組まれる過程を、学経委員である共済理論研究会委員としてつぶさに観
察してきた経過から、金融庁の対応とそれを支えるニッポン国の金融行政には、強烈な不信感を抱い
ていますが、またぞろ、という感じです。どこかの作家(「地域金融論」の講義で取り上げたミヒャ
エル・エンデ?)なら、まさに「イコールフッティング教」という宗教にでもとりつかれているよう
な寓話で描くのかもしれません。
しかし、私たちは手をこまねいて見ているわけにはいかないはずです。
今般、私の学会でご一緒している熱心なNPOバンクの関係者の方々が、以下のような集まりを
もたれます。
私は、フィールドリサーチ実習の真最中なので残念ながら参加できませんが、ぜひ1人でも多くの
方の参加を期待したいと思います。
日大食品経済学科:地域経済論研究室/高橋 巌
*)詳しくは、私の最近の業績にある関係文献・論文をご参照ください。
http://kenkyu-web.cin.nihon-u.ac.jp/Profiles/NA/0006803/books_or_papar1.html
http://kenkyu-web.cin.nihon-u.ac.jp/Profiles/NA/0006803/other_achievements1.html
-------------案内ここから↓---------------------------
緊急市民集会
「社会起業家が消える!?〜下支えしてきたNPOバンクの危機」
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●開催概要
日 時:2009年8月3日(月) 13:00〜14:30
場 所:明治大学駿河台キャンパス 12号館2013教室
(所在地)〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1−1
JR御茶ノ水駅、地下鉄御茶ノ水駅・新御茶ノ水駅・小川町
駅・神保町駅より徒歩数分
(自家用車でのご来場に際しては、大学内に駐車場があり
ませんので近隣のコインパーキング等をご利用下さい)
(案内図)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html
対 象:ご関心のある方の参加を広く歓迎します。
主 催:全国NPOバンク連絡会
●お申し込み
申し込みフォーム(下記の*で囲まれた部分)に必要事項を明記の上、
全国NPOバンク連絡会(東京CPB内)
mailto:community-fund@r2.dion.ne.jp
まで、7月29日(水)24時までにメールを送信願います。(当日参
加も歓迎ですが、なるべく事前申し込みをお願いします)
【申し込みフォーム】
************************************************************
お名前:
ご所属:
E-mail:
緊急市民集会への期待・ご要望など:
************************************************************
※頂いた個人情報は、本集会の参加者の確認、本集会の運営、NP
Oバンク関係のイベント等の情報提供のために利用し、全国NPO
バンク連絡会の外には開示しません。
※全国NPOバンク連絡会のプライバシーポリシーは以下をご覧く
ださい。
http://www.npobank.net/privacy.html
●プログラム
13:00〜13:20 問題提起
(田中優(未来バンク事業組合))
13:20〜13:40 貸金業法の問題点についての解説
(加藤俊也(NPO会計税務専門家ネットワーク))
13:40〜14:05 各NPOバンクからのアピール
(5団体程度を予定)
14:05〜14:15 社会起業家からのアピール
(2名程度を予定)
14:15〜14:30 今後の活動の方向性について
●主催者より
2010年6月までに貸金業法が完全施行されるのに伴い、NPOバンクに
は貸金業者として指定信用情報機関に加入する義務が発生します。
これにより、NPOバンクの融資先に関する個人情報は銀行など他の
金融機関に共有されてしまい、その結果、NPOバンクから融資を受
けた個人は銀行から住宅ローンなどの融資を受けられなくなると考
えられます。
こんなリスクを背負い、融資先を苦しめてしまうのでは、NPOバン
クは何のために運営するかわからなくなり、結果として廃業を余儀
なくされてしまいます。
この他にも貸金業法には、常務の役員に3年以上の貸付経験者がい
ることが登録条件となる(そのような専門家をどこから連れてくる
のでしょう?)など、NPOバンクの設立と存続を困難にする規制が
いくつもあり、なんとしても完全施行までにこれら規制からNPOバ
ンクを除外しなければなりません。
一般の金融機関から資金調達を受けにくい社会起業家にとって、N
POバンクへの期待は高いものがあり、NPOバンク自体も志ある
資金を地域で循環させる「金融のソーシャルビジネス」としてマス
コミなどからも注目を集めています。
こうした市民金融の動きが無残につぶされてしまい、社会起業家の
資金調達の基盤が損なわれないためにも、今こそ市民から幅広く声
をあげる必要があります。
ところが、この深刻な問題はまだほとんど知られていません。
そこで今回、NPOバンクが貸金業法によって抱える問題をぜひと
も知っていただきたく、緊急市民集会を企画しました。
多くの方が本集会に参加され、この問題の関心を寄せていただくこ
とを、心より期待します。
お問い合わせ:全国NPOバンク連絡会(東京CPB内)
Tel 03−3200−9270 Fax 03−3207−1945
mailto:community-fund@r2.dion.ne.jp
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いつも田中優さんには、多くのことを学ばせてもらっています。
「エンデの遺言」によって、おカネの持つ根元的な問題に気付いたあとは、
問題を起こさない生き方としての自然農に取り組みながら、
様々な市民活動を通して、カルト教のようなマネー信仰に警鐘を鳴らしてもいます。
そんな中で、高橋巌ゼミのような活動があることは、大きな勇気を得た気持ちです。
これからも頑張り続けてくださいね!
2009/7/21(火) 午前 7:23
イソップさん,訪問とレス・トラックバックありがとうございます。
ただ,学生を含む当ゼミ全体で,問題意識を共有し,全体としてこういう問題に取り組むという形にはまだなっていません。いずれ,問題意識の共有だけでなく,「食」「農」「生活」に関わる大学の地元の様々な地域活動にも関与したいと思っていますが・・・志はもっているというところです。
ブログの内容を興味深く拝見しました。「自然農」も,別の記事にあるように先日初めて接したばかりですが,これから勉強したいと思っています。
「お気に入りブログ」に掲載したいので,相互リンクを張れればと思います。どうかよろしくお願いします。
日大食品経済学科:地域経済論研究室/高橋 巌
2009/7/21(火) 午後 0:07 [ いわしゼミ ]