
【写真左から1〜6、12枚目:志和堀発電所の全景。この規模で約171世帯の発電が可能!発電機は60年間近く現役、導水管もコンパクトで建屋も極めて小規模である/7枚目:非常時の待機場所/8〜9枚目:取水口とその巡視路。流れの規模も理解できよう/10枚目:ゴミなどは手作業で取り除く。貴重なムラの仕事である/11枚目:宿泊所。発電所の施設は以上で全て。まさに電力のコンパクトな地産地消施設!】
教員です。
今年に入ってから、喫緊の課題である「脱原発」を具体化するための様々な方策を考えてきました。
私の意見は、以下のパブコメに出したとおり【原発・核燃サイクルの即時廃絶】です(具体的には、
http://blogs.yahoo.co.jp/iwashizemi/53165269.html 及び以下の論文をご一読ください)。
もちろん、自然エネルギー・再生可能エネルギーが原発に代替できれば理想ですし、資源環境の面から将来を見越したときに、大規模な発電方式を地方に立地させること自体を見直し、エネルギー多消費型の経済・エネルギー政策自体を転換させ、「エネルギーの地産地消」を実現する必要があります。
しかし再生可能エネルギーの発電に占める割合は、現在は約3%に満たないことから、それはすぐには無理ですし、その点を強調しすぎることで、逆に【すぐに止めなくてはならない原発を延命させる危険性】があります。
よって当面は、火力発電のガスコンバインドの利用等による効率化や大規模水力発電も含めた既存発電所の稼働率を向上させることにより、原発を停止させることが喫緊の課題ですし、それは十分に可能です。
さて、将来的な「エネルギーの地産地消」に向けた対策として、注目に値するのが「小水力発電」です。ダムを必要とせず一定の流量と簡易な施設による小水力発電(出力30,000kw以下が「中小水力」ですがRPS法の対象になるのは1,000kw以下でダムを要さない流込方式の発電方式)やマイクロ水力発電は、環境を破壊せず災害時の電源にも困らないこと、農業用水が利用できる平地農業地域や水量が豊富な中山間地域など多くの地域で、基本的に枯渇を心配せず、昼夜・季節を問わず常時利用可能で最も効率的な資源利用であり、「電気の地産地消」を促す条件を十分に提供しています。
「過小評価」といわれる資源エネルギー庁の試算でも、30,000kw未満の水力発電開発余力は1,400万kwに達するほか、農業用水だけでも100万kwに達するという見込みもあります)。
なかなかブログで書けませんでしたが、1月の広島県の現地調査、2月の日本大学全学シンポジウム、その後も専門誌への執筆などで、この問題を検討してきました。その一端をご紹介したいと思います。
実は、中国地方の農協等では、1950年代の「農村電化」の際に農協等によって事業化された発電所の多くが、発電機器をメンテナンスしながら「現役」で発電事業を行っています。このことは、他の地区では存在しない中国地方独自の農協事業として異彩を放っていますが、これまでほとんど取り上げられてきませんでした。
ここでは、農協が事業を行う広島県内4か所の小水力発電所を紹介します。
1.志和堀電化農協・志和堀発電所
志和堀発電所は、東広島市の太田川水系河川にある出力95kw、2010年度発電実績は587,530kwh(一般家庭消費換算171世帯相当)、使用水量0.50㎥/s、有効落差25.76mの小規模施設で、1954年9月に運営を開始しています。発電所を運営するのは、組合員約300人の専門農協です。発電専門農協というのも、全国では極めて珍しく、後で述べる理由により、中国地方に集中立地しています。年間売電額は約1,000万円ですが、出資配当を行うような経営状況にはなっていません。
3人の地元在住高齢者を保守員として契約しており、保守員は800円/hの手当で、24時間交代週3日発電所脇の詰め所に待機し、取水口のゴミを取り除いたり荒天時の導水管や水路の確認などを行っています。保守員への手当等諸経費や補修用資金とする一定額の積立金とともに、農協の売電額から支払われますが、農協の場合は積立金が課税対象となるなど厳しい運営となっています。しかし「地域の発電所」として地元に長年認知され、高齢者の「年金+α」所得にもなるなど地域に貢献しています。なお、2010年に約1,000万円を要するオーバーホールを行った結果、発電効率が向上しています。
(http://blogs.yahoo.co.jp/iwashizemi/53169399.html につづく)
※なお、本ブログのレポートは、調査研究成果の一部を要約して報告しています。
詳しくは、高橋巌(2012a)「原発事故と食料・資源・エネルギー問題に果たす協同組合の意義」『協同組合研究』31巻1号,pp.31-37、同(2012b)「再生可能エネルギーにおける農山村の役割−脱原発・オルタナティブとしてのエネルギー地域自給に着目して−」『日本大学学部連携研究推進シンポジウム:21世紀における新たなエネルギーシステムの構築に向けた総合的研究報告資料』(http://blogs.yahoo.co.jp/iwashizemi/53171764.htmlに掲載)、の両論文、及びこれを要約・加筆修正した、同(2012c)「協同組合セクターと再生可能エネルギー−エネルギー分散・地域自給としての小水力発電に着目して−」『協同組合研究誌 にじ』(JC総研:近刊印刷中)、をご一読ください。
日大食品ビジネス学科:地域経済論研究室/高橋 巌
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はじめまして、
詳細な小水力発電のご研究、大変参考になります。
宜しければ、これらの記事を当方のブログで、
紹介させて下さい。
2012/8/28(火) 午前 7:27 [ クールアイランド ]
クールアイランドさま,はじめまして。
私こそ勉強途上の状態です。よろしくご教示のほどお願いします。
こちらのリンク・転載は,出所を明示してあれば結構です(何かに発表するときは直接リンク・urlを明記してください)。
ブログリンクも貼りました。重ねてよろしくお願いします。
2012/8/28(火) 午後 0:37 [ いわしゼミ ]
ブログリンクを登録していただきありがとうございます。
又、いわしゼミ様の記事の転載をご許可いただきありがとうございます。
いわしゼミ様のブログからである事を明示し、転載、紹介させていただきます。
自然エネルギーについて、勉強を始めたばかりの新参者です。
今後とも宜しくお願い致します。
2012/8/29(水) 午前 0:56 [ クールアイランド ]
こちらも改めまして,よろしくです。
2012/8/29(水) 午後 0:36 [ いわしゼミ ]