高橋巌ゼミブログ

農・食・地域・生活破壊の原発、TPP、改憲、全ての戦争策動、特定秘密保護法廃止!!311被災者支援を!【8.9万アクセス感謝】

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【添付記事/日本農業新聞 2014年5月28日】

教員です。

 以下、手短ですが、直近の情況について簡単な報告をまとめました。
 ご一読ください。

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    安倍政権、ついに協同組合解体攻撃を本格化−我々は対抗策を構築できるか−


 2014年5月14日、自民党安倍政権の枠内で「農業『改革』」を論じる「規制改革会議」のワーキンググループは、「農業改革」と称して「農業・協同組合解体攻撃」を本格化させる内容の提案を発表した。
 
 一連の「提言」は、以下の3点を中心としている1)。

○規制改革会議農業WGの「農業改革3つの柱」

【第1:農業委員会等の見直し】
(見直しの方向性)農業をめぐる社会経済の構造変化に対応して、農業委員会は、遊休農地対策や転用違反対策に重点を置き、これらの業務の積極的な展開を図る。
(1)農業委員の選挙・選任の見直し
 より実務的に機能する者を選任することができるよう、現在の選挙制度を廃止し、市町村長による選任に一元化。農業委員の人数を機動的な対応ができる規模に縮小するとともに、業務内容を見直し、その職務にふさわしい報酬を支払う。
(2)農地利用推進員の新設
 農地集約化や耕作放棄地の状況の調査など、農地の利用調整活動を行う農地利用推進員(仮称)の設置を法定化(1、2名を新規参入サポーターとして新規就農者のコンタクトをワンストップ化)。
(3)権利移動の在り方の見直し
 農地の賃貸借の権利移動は農業委員会の許可制から届出制に緩和。
(4)遊休農地対策・農地転用違反への対応
 遊休農地対策や農地転用違反の処分を実効的に支配するため、農業委員会が首長に対して職権発動を促す仕組みの構築。
(5)都道府県農業会議・全国農業会議所制度の廃止
 農業委員会の自主性・主体性を強化する観点から廃止。

【第2 農地を所有できる法人(農業生産法人)の見直し】
(見直しの方向性)長年にわたり耕作に従事してきた農業者の豊富で有益な経験と新しい世代や異なる地域・業種の知恵・技術・ノウハウをつなぐ。
(1)事業要件・役員要件・構成員要件の見直し
▽事業要件(主たる事業が農業)は廃止
▽役員要件は「役員の過半の過半が農作業に従事」から「役員または重要な使用人のうち1人以上が農作業に従事」に緩和
▽構成員要件は農業関係者以外にも出資を認め、出資上限を1/2未満まで可とする。
(2)事業拡大への対応等
 次に掲げる事項を満たすものとして農業委員会の許可を得た法人(農事組合法人、株式会社のうち公開会社でないもの又は持分会社)には、退出に農業委員会の許可を要する等の規則を設けたうえで上記要件を不要とする。
▽一定の期間、農業生産を継続して実施していること
▽地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。

【第3 農業協同組合の見直し】
(見直しの方向性)各農協が自主的に単独または連携して戦略を策定し、実効的に成果を上げることができる仕組みをつくる。不要なリスクや事務負担を軽減して経済事業の強化を図る。
(1)中央会制度の廃止
 単協が独自性を発揮し自主的に地域農業の発展に取り組むことができるよう「系統」を再構築するため農協法に基づく中央会制度を廃止。
(2)全農の株式会社化
 ガバナンスを高めグローバル市場における競争に参加するため全農を株式会社に転換。
(3)単協の専門化・健全化の推進
 単協が農産物販売等に全力投球し農業者の戦略的な支援を強化するため、信用事業は農林中央金庫(信用農業協同組合連合会)に移管(業務の中止、代理業への移行のいずれかを選択)、共済事業は代理業に移行。
(4)組織形態の弾力化
 単協・連合会組織の分割・再編や株式会社、生協、社会医療法人、社団法人等への転換をできるようにする。
(5)理事会の見直し
 理事への外部者の登用など多様化を図り、その過半が認定農業者及び地域内外の民間経営経験があり実績を有する者とする。

 この「規制改革会議ワーキンググループ」の基本的な内考え自体は、市場原理主義で農業・農協を再編しようというもので、これまでにも本間・神門・山下らの一連の「農協解体攻撃」と同様の内容で全く新しいものはないが2)、戦後農政を覆す破壊力を持ちとりわけ問題になるのが、「第3」の農協=協同組合解体であろう。さらに大きな問題は、安倍政権が本気でこの「答申」を丸呑みし、直ちに実行しようというところにある。
 第3のうち特に大きな問題点をまとめれば、【農協系統のセンターである全中を解散】させ、【全農を株式会社化】させようというところにある。

 いうまでもなく、全中は全国の単位農協・連合会に対し、指導・監査を行う根拠法を有する団体であるとともに、政府に対して、米価・乳価・各種対策など農業者の利益を実現させるための「農政運動」の中核組織であった。
 もちろん、そのことが自民党農林属と結託し自民党農政を補完・再生産させ「自民党の集票マシーンと化してきた」とする批判は根強くあったし、そのことの弊害は各所で論じられてきた3)。筆者はそのことを免罪にするつもりはない。
 しかしながら、全中が、日本最大の協同組合セクターである農協系統のナショナルセンターであることは事実であり、換言すれば、日本における協同組合の中心的組織であることも事実としてある。
 また、全農についても、農協の経済行為の主たる部分を牽引する協同組合事業者として、利潤を最大要因とする企業の行動を一定程度抑制しつつ、日本の「食」「地域」を支えてきた機能は否定できない。
 もちろん、反TPP運動においても、様々な問題を内包しつつも、全中が全国的に最大の運動を組織している実態も認めなくてはならない。

 様々な限界はありながらも、新自由主義的政策のもとで破壊される地域のセーフティネットを、総合農協の事業総合性が辛うじて再構築してきたことは、すでに筆者も論じてきたとおりである4)。総合農協破壊攻撃は、逆の意味で言えば、市場原理主義者からすれば「最大の抵抗勢力」であり地域の市場を確保する非営利セクターへの攻撃であり、丸裸の市場に地域を再編しようとする最大の「ビジネスチャンス」のための願望であった。だからこそ、新自由主義者らの行動も言質も一貫しているのである。
 

 今回の「規制改革会議ワーキンググループ」の「提案」は、自らは現地調査を数回実施したのみで、そこで問題としてだされてもいなかった「全中の指導体制が単協の自由を奪ってきた」などという「実態」など、ろくに事実検証も論証もできないデッチ上げを振りかざしてきている。
 今回、名指しで一民間団体に過ぎない全中を解体しようとし、また協同組合の経済行為を担う全農の協同性を解体しようとしている、そのことを政権党の多数派が公言し、本気で実行しようとしている盲動、ここに我々は、安倍政権のこれまでの政権になかった異常性と狂気を見るのである。

 すでに、世界の協同組合陣営と良心的勢力がこの妄動に驚愕し、行動と発言を開始している。
 別添のように、ICAグリーン会長は、今回の安倍政権の暴挙に対し、はっきりと「組合員が所有し管理するという協同組合の根本的な原則に明確に攻撃」と論じている。自民党農林属のあれこれの中間主義的な解釈では、何の抵抗にもならないことが明白な中で、ICAがいち早くかかる安倍政権の妄動に正確な定義づけを行い、支援を表明したことは極めて大きな意義を持つといえる。

 繰り返すが、これまで共済事業への「保険化」などの攻撃をはじめ、協同組合の「協同性」を破壊しようとする新自由主義者たちの攻撃は一貫してきた。残念ながら、協同組合・非営利セクターは防戦一方で有利な交渉に持ち込めず、小手先の解決策で対応してきたと言われても仕方のない対策に終始してきた5)。
 このことの評価は難しい面もあるが、その結果が今日のこの最終的局面に至る道を形成したという側面も、否定できないのではないのか。

 我々は、産業組合以来の、いや歴史的にはロッチデール以来続いてきたと言ってもいい「資本による協同組合への攻撃」の歴史を改めて総括すべきであるとともに、今回ばかりは逃げられないといってもよい「本丸への攻撃」に対抗する広範な市民による陣形の構築が喫緊の課題になっている。

                                 (2014年5月31日:未定稿)

【資料(全中訳:抜粋)】

                        2014年5月22日
JA全中会長
萬歳 章 様
                        ICA会長
                        ポーリン・グリーン

 日本の農協の構造を変えようとする「農業改革に関する意見」(以下「意見」)に関連した深刻な問題についての萬歳会長の5月21日付のお手紙を読みながら、懸念はますます増大していきました。

 お手紙に書かれたことからすると、会長が非常に心配されるのは当然だと思います。

 日本の農協は、日本の協同組合の中心にあり続けてきました。国際的な協同組合の経験を通じて、また、特にこの2年間に日本を訪問した経験を通じて、私はそのことを見せていただくことができました。日本を訪問した際には、東日本大震災での地震と津波によって絶望的なほど被害を受けた人々のための復興の取り組みに対して、農協がほんとうに大きな貢献をされてきたことを見せていただきました。私の最初の日本訪問のときには、農協の提供した迅速で大事な支援について、また、それがいかに一般の人からの感謝と支援を引き出したかについて、日本のメディア自身が私に語ってくれました。

 日本の農業協同組合は、世界中で発展しており協同組合運動の成功に不可欠な特質、すなわち単位組合を基本に、信用、共済、指導、監査などの事業が総合的に行われているという特質を反映しています。「意見」は組合員が所有し管理するという協同組合の根本的な原則に明確に攻撃を加えています。

 「意見」に対抗する取り組みへのICAの全面的な支援と私自身の関わりをお約束します。6月末の政府の決定に影響を与えようとするための、取り組みの緊急性も十分に認識しています。
 萬歳会長の今回の取り組みが成功することを祈っています。会長には世界中の協同組合運動からの連帯と支援があるのです。

【注】

1)資料は、http://www.jacom.or.jp/news/2014/05/news140520-24218.php による。
2)協同組合の歴史的・実態的な理解を欠落させた「農協批判」等の代表的なものとして、山下一仁(2011)『農協の陰謀』宝島社、神門善久(2006)『日本の食と農−危機の本質』NTT出版、など。
3)多数あるが、古くは安達生恒氏の諸論考、最近では農業・農協問題研究所をはじめとする報告書など。
4)筆者によるセーフティネットに関する論考は、高橋巌(2004)「地域社会におけるセーフティネットと共済事業 ― グローバリゼーション・高齢化の下で ―(上)(下)」『共済と保険』第46巻第11号、16−23ページ、第46巻第12号、16−23ページ。 直近のまとめでは、高橋巌(2014)「農村地域社会におけるセーフティ・ネットとソーシャル・キャピタル−総合農協の事業・活動事例を中心に」真屋尚生編著『社会保護政策論−グローバル健康福祉社会への政策提言−』慶應義塾大学出版会、249-268ページ。
5)注4)などを参照。

              日大食品ビジネス学科:地域経済論研究室/高橋  巌   


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