|
教員です。
日本協同組合学会、日本有機農業学会のML、及び関係者に以下の意見を送りました。
一部抜粋して掲載します。ぜひともご一読ください。よろしくお願いします。
-------------ここから↓---------------------------
信頼する日本協同組合学会・日本有機農業学会会員、ほか関係者の皆様
MLでTPPの情報提供した日大の高橋です。
TPPは、それ単独としての「農業・農産物問題」ではありません。「農協の問題」でも「共済団体の問題」でも、「有機農業存続の問題」でもありません。
TPPが関税撤廃・非関税障壁の撤廃を行おうとする分野は、何も農産物や食品に限定されず、およそ「人間が」(!)生活に必要な全ての物品・領域に渡ります。毒素条項で、日本国憲法を含む全ての国内法規すら否定されるこのTPPを、「聖域で防ぐ」ことなど最初からできるはずがありません。
おそらく、長期的には協同組合の組織・事業の全てを解体・壊滅させる結果をもたらすでしょう。
また、現在の地域農業を守るギリギリに残ったセーフティネットも解体されるでしょう。「付加価値生産」としての有機農業ももちろんのこと、知財によって、場合によれば最低限度の自給の権利、種苗交換すら侵害されることになるし、「高付加価値生産物」を購入する当の「消費者」の所得をも直撃するわけですから、「有機農業者の生き残り」なども難しくなるでしょう。
これらは「研究者的に」言っても、「その確率が極めて高いことは間違いない」と断言できます。
これが言い過ぎだ、あるいは間違っているという方は、是非とも反証材料を用意していただきたい。協同組合と地域農業を解体・壊滅させるであろう論証材料は山のようにあるからです。
もちろん、膨大に流される既存御用「学者」や主要メディアなどの「黄色い紙くず」をいくら積み上げても、それは論証とは申せません。
私は、ちょうど20年前の1993年12月に、中央酪農会議職員として、GATT・ウルグアイラウンドを細川連立内閣が受諾した瞬間を、深夜の社会党(現・社民党)本部前で、多くの農協全国連の仲間と見届けました。早朝、首相の細川は喜々として胸を張って会見を開きましたが、私の目の前は真暗でした。
(参考/当時の記事紹介)
http://blogs.yahoo.co.jp/iwashizemi/51517669.html
しかしその細川ですら、会見の時点でセーフティネットの確保には言及していました。実際、極めて不十分ながら、一部品目に関しては「高関税」というガードを何とか20年間維持してきた。
その「高関税」という最後の防波堤を、全面崩壊させるのがTPPです。
関税撤廃に加えて非関税障壁を直撃するとともに、ISD(S)など毒素条項でガチガチに縛られますから、もちろん、協同組合事業が加盟国投資家・企業の阻害だと(勝手に)判断されれば、片端から提訴されほぼ全て敗訴するでしょう。それ以前に、加盟国からの圧力で現行協同組合法規の大半が、弱体化・変質されることは自明です。もちろん、BSE関連の牛肉規制もGM規制も撤廃されるし、そもそも「GM農産物を使用していない」とする表示すら「全面禁止」されるでしょう。アメリカと同様に。
私は、311以降の原発爆発に加えて、TPP、さらに改憲・戦争の危機という「ショック・ドクトリン情況」=準「戦時下」にあるにも関わらず、東大の鈴木宣弘先生など一部の例外を除き、とりわけ社会科学の研究者の声があまりに小さいと思っています。いや、その小さすぎる声には、日々イラ立ちしか覚えていません。
もちろん、研究者・研究機関だけでなく関係団体・シンクタンクも含めてです。
このまま、座して死を待つことでいいのか。
研究者がいつまでも書斎や研究室に、あるいは関係者が「業界団体の権益」の中に閉じこもって沈黙を続けるままでいいのか。忙しく、日々の仕事に追われる身は全員が共通ではあると思いますが、その仕事自体が全て解体される危険性がある、のだとしたら、その中に在るだけで本当にいいのでしょうか。
自分たちが殺されようとしているのに、「専門外」のことは分からない、考えない、判断しない。社会的な発言を留保する。原稿に書かない。これが優秀な学者・研究者、あるいは「専門家」の姿なのだとしたら、私はそんなものにはなれるはずがないし、なりたくもありません。
多くの諸先輩方が読んでいる場において、大変生意気なものの言い方ではありますが、敢えてこの場を借りて、以上のことを強く訴えたいと思います。
もうこうした訴えを繰り返せる機会すら、いつまで保障されるともわからないのですから。
-------------ここまで↑---------------------------
日大食品ビジネス学科:地域経済論研究室/高橋 巌
|