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伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会
CEF風車事業による住民被害

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第12回 (08.05.13) セットバック(まとめ−2)


3)SBの距離設定の問題点
「構造SB」はその内容が単純であることから、国レベルでの画一的なガイドラインの作成が可能であり、欧米の多くの国、地方の行政・公的機関から出されている。 「構造SB」に関連して、フランスでは、主にブレードの破損に伴う事故を避ける目的から、風電施設の500m以内は一般の立ち入りが禁止されているというケースもある(http://www.caithnesswindfarms.co.uk/)。 確かに、熱川の1.5MWクラスの風電では、1本のブレードだけで長さ37m、重さ6.5tあり、これほどの重量構造物が3本、地上60mで回転しているのである。「構造SB」は、安全確保のために必要な基本的なSBであると考えられる。 しかし、日本ではその直下にまで無制限に近寄ることができ、熱川の場合、町道からの距離が最も近いものでは約20mと頭上真上で風電が回転しているのである。 信じ難いことであるが、これが現実である。

「一般騒音SB」は、各国ともWHO(世界保健機構)のガイドライン(Guidelines for Community Noise 1999年)をベースに、夜間の屋外の騒音は45dB以下という考え方が採用され、それが達成される距離をSBに置いている。 しかし、この考え方には運用上大きな問題が潜んでいるのである。 熱川の経験を踏まえて、2つの問題点を指摘したい。
ひとつは、建設前に行われる環境影響評価の騒音予測の問題である。 このブログでも度々紹介されているように、事業者は(350mの近距離に住宅があるため、350m離れれば騒音が計算上環境基準である45dB以下になるように)風電が発生する騒音を最大騒音104dBでなく平均風速6m時の96.6dB(最大騒音の1/5)を採用し、騒音の減衰を算出しているという点、加えて、行政機関(エネ庁)はこの考え方でも問題無いと判断している点である。 その結果、当然のこととして、実際には環境基準の45dBを大きく上回る騒音が、度々三井大林別荘地では記録されているのである。
ふたつめは、例え45dBの環境基準を超える騒音が発生しても、直ちにそれが問題ということにはならず、それが「受忍限度を超えているのか?」が問われるということを、2008年2月、静岡地裁下田支部の「CEF風車建設禁止仮処分申し立て」の決定で示された点である。 この判断は、裏返せば、「明らかな被害が実際に起こらない限り問題であるとは言えない」ということである。 司法には、被害を未然に防ぐ能力がないということを示したものと言える。 さらに、事業者ならびに国(エネ庁)は、この司法の判断を予想して、間違った環境影響評価のもと事業を推進しているとすれば、これは大きな犯罪と言わざるを得ない。

「風電騒音SB」は、一般的な騒音環境基準をベースにSBを考えるのではなく、風電特有の風切り音(うなり音)、低周波、闇騒音などを考慮しSBを判断するというものである。 この背景には、従来の騒音の考え方では不十分であり、世界各地で風電の騒音による健康障害が発生していることがある。 健康に影響を与えないためには、どの程度の距離を離すべきかという視点からSBを見直す必要があるというものである。 風電の騒音と健康障害に関する医学的研究が充分でなく「風電騒音SB」の考え方は充分認知されているとは言えないが、欧州では英国騒音学会やフランス医学会からの提言があり、またかなりの数の地方自治体には独自のガイドラインが存在する。 米国では、欧州に比べ「風電騒音SB」の採用が遅れており、結果として風電の騒音による健康障害の報道が多い。 今後「風電騒音SB」の考え方が浸透し、風電施設に採用されれば、全ての風電による騒音問題は解決するであろう。

4)SB設定の難しさ
風電事業の推進者である国(県、地方自治体)および風電事業者とすれば、SB距離が長くなればなるほど、周辺の土地利用が制限される、風電が建設できる場所が少なくなる等の問題が出てくる。 従って、風電の騒音による健康障害の問題が高まっていることは承知しているが、健康障害をもたらすという十分な科学的根拠が確立しない限り、あるいは法に触れない限り、SB距離は可能な限り短くしたいという考え方で推進しているのであろう。 その象徴的な例が、熱川の風電施設と考えられる。

今後とも、「風電の騒音による健康障害をどこまで未然に防ぐことができるか?」については、「風電騒音SB」のガイドラインの導入がどこまで進むかに掛かっている。 その導入に向けて、「健康障害の科学的(医学的)根拠のデータ作り」のために熱川で事例を積み重ねるということになるのであろうか? そうならないように、住居地から350mのところに風電施設が完成してしまった熱川では、これからの操業条件について、事業者(CEF)の海外動向をも参考にした誠意ある判断に期待すると同時に、行政(東伊豆町)の指導に期待したい。≪洋≫

第11回 (08.05.12) セットバック(まとめ−1)


欧米には、風電のセットバック(以下SBと略)に関するかなりの量の情報が存在する(興味のある方は、例えば、キーワード“wind turbine setback”で検索してみて下さい)。 その中で、参考になりそうな情報(出来る限り公的機関の情報)を選抜し紹介してきたが、このテーマについては、一旦ここで終了する。 終了に当たり、SBについての筆者なりのまとめを、一部推測を含め、以下2回に分けて述べる。 余談になるが、Googleの日本語版で、キ−ワード“風力発電 セットバック”で検索すると、結果としては、筆者がこのブログに投稿した記事しか出てこない。 それほど、日本では、風電に対するSBの考え方は遅れており、加えて、海外の情報発信も出来ていない。 同じ過ちを繰り返さないためにも、風電先進国の最新情報を積極的に入手し情報発信をすると同時に、日本での事業展開に役立てる責任と義務が、風電事業者および風電を推進する行政機関にはあると考える。

1)SBの考え方にはいろいろある
SBには、大きく2つの考え方がある。 ひとつは、風電の構造的危険性からのセットバックであり、タワーの倒壊、ブレードの破片の飛散などがその対象となり、道路や居住地からどの程度の距離を離して建設するべきか、というものである(以下、これを「構造SB」と呼ぶ)。 もうひとつは、風電が発生する騒音が人の健康に影響を与えないために、主に住宅地からどの程度の距離を離すべきか、ということである(以下、これを「騒音SB」と呼ぶ)。 この場合、重要なことは、騒音を一般的な騒音に関わる環境基準に照らし判断する場合(以下、「一般騒音SB」と呼ぶ)と、風電特有の風切り音(うなり音)、低周波、闇騒音などを考慮し判断する場合(以下、「風電騒音SB」と呼ぶ)の2種類あるということである。 そして、最近「風電騒音SB」の必要性が、騒音被害の発生している欧米の多くの地域で求められ、既に一部の地方自治体では条例として成立している。

2)SBの距離はどの程度か?
具体的なSB距離についてみると、まず、「構造SB」は、最近の大型風電においても300m前後とする考え方が主流である。 そして、「一般騒音SB」は、夜間の騒音環境基準45dB以下を順守する距離として、300〜500m前後が採用されているようである。 そして、「風電騒音SB」としては、健康障害を起こさない距離として1.5Km以上が採用あるいは提言されている。 このように、SBの距離に関わる情報はいろいろあり、何を対象(基準)とし判断したSBであるかが重要になる。 「構造SB」の距離を取り上げ、「風電騒音SB」に当てはめようとすることがあるとすれば大きな間違いである。 ≪洋≫

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                                (つづく)

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