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伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会
CEF風車事業による住民被害

書庫-訴訟-建設禁止仮処分命令申立

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風車建設差止め仮処分の申立て却下 1/2

昨年5月に別荘住民から提出されていた「CEF風車建設禁止仮処分」に対する地裁下田支部の決定が2月13日に出され、15日弁護士さんから届いた。結果はある程度の予想はしていたとおり「却下」だった。決定内容は景観侵害や騒音、低周波音の影響はあるものの、風車建設を差し止めるまでには至らないとしているが、環境影響評価については的確に予測したことにならない疑いがあるとしており、現実に騒音・低周波音による被害が発生しているので、今後の運動に明るい展望が開けそうです。
静岡地裁下田支部から出された「決定」は次のとおり。(原文のまま)

主            文
1 債権者らの申立てをいずれも却下する。
2 申立費用は債権者らの負担とする。
理           由
第1 申立ての趣旨
   債務者は、別紙物件目録記載の土地(38万9004平方メートル)にドイツGE社製、別紙図面1記載の1500キロワットの風力発電機を建設してはならない。
第2 事案の概要
債権者らは、静岡県賀茂郡東伊豆町奈良本所在の三井・大林伊豆熱川温泉別荘地(以下「本件別荘地」という。)に建物を所有し、或いは同所に居住する者であるが、債務者が債権者ら地元住民に対する事前の説明、協議を行わずに計画し、現在建設工事を行っている申立ての趣旨記載の風力発電機により、債権者らに受忍限度を超えた眺望権ないし景観利益の侵害並びに騒音及び低周波音の被害が発生すると主張して、上記風力発電機の建設を仮に差し止めることを求めた。
2 債務者は、東伊豆町奈良本地区における債務者の風力発電事業計画に関し、東伊豆町、奈良本区、奈良本財産区及び債権者ら本件別荘地の住民等に対する説明、協議等を行っており、また、上記風力発電事業は地球温暖化対策が急務とされている現代において極めて公共性の高い事業であるが、債務者が予定している風力発電機の設置により、債権者らの眺望ないし景観についての利益が侵害されることはないし、また、受忍限度を超える騒音及び低周波音の被害が発生する恐れもないなどと主張した。
第3 当裁判所の判断
1 本件記録中の疎明資料並びに審尋の全趣旨によれば、次の事実が一応認められる。
(1) 別紙債権者目録記載番号1ないし37の債権者らは本件別荘地内の建物に居住し、同番号38ないし41の債権者らは本件別荘地内に土地、建物を所有している。
(2) 債務者は、平成18年9月11日、東伊豆町において風力発電施設を建設しその電力を販売すること等を目的として設立された株式会社であるが、北海道根室市昆布盛149番地12に本店を置き、風力発電施設の開発と風力発電による電力の販売等を目的とするクリーンエナジーファクトリー株式会社(以下「クリーンエナジー」という。)の100パーセント出資により設立された同会社の子会社)であり、両会社の代表取締役はいずれも鎌田宏之である。
(3) クリーンエナジーは、風力発電施設を東伊豆町奈良本地区に設置する計画を立てたが、同施設を建設して風力発電事業を遂行するにあたり必要となる行政手続を確認するとともに、協議、説明等を行うべき地元地域を把握するため、平成15年未頃から東伊豆町との協議等を開始した。クリーンエナジーは、その後も、同町の他、奈良本区、奈良本財産区及び大川区を主な対象として上記風力発電事業(以下「本件事業」という。)に関する協議、説明を行い、平成18年5月9日頃、奈良本区及び奈良本財産区の両者からそれぞれ、クリーンエナジーが本件事業計画に係る風力発電施設を建設し、運転開始後20年にわたりこれを運営することについての同意を得、更に、同月23日、東伊豆町からも、東伊豆町土地利用事業の適正化に関する指導要綱に基づき申請及び承認を受けることを前提として、同様の同意を得た。そして、グリーンエナジーは、上記の各同意を得たことにより地元調整を実施したものとして、本件事業計画について資源エネルギー庁から補助金の交付を受けるため、同月26日頃、同庁に対し利用計画認定申請手続をし、同年10月頃、本件事業計画について補助金の交付が決定された。なお、同補助金の交付決定までの間、クリーンエナジーや債務者が、債権者ら本件別荘地の居住者等(これらの者は奈良本区や奈良本財産区等に所属していない。)に対し直接本件事業計画について説明、協議等を行った形跡はないが、債務者らは、同年12月以降翌19年2月頃までの間に本件別荘地の住民らに対して4回にわたる本件事業の説明会を開催したり、現地見学会を実施するなどし、また、同じ頃、本件別荘地の住民らで構成する天目地区風力発電連絡協議会等からの種々の質問に対し、回答書を送付するなどした。
(4) 債務者は(なお、平成18年9月に債務者が設立された後は、本件事業計画について、クリーンエナジーが初期費用を負担し、債務者が風力発電施設の建設及び風力発電事業の管理、運営を行うものとされた。)、同年11月、東伊豆町の前記指導要綱に基づく土地利用計両の承認申請をしたが、その際、同町土地利用委員会に提出した事業概要書によると、本件事業計画は、申立ての趣旨記載の土地に同記載の風力発電機10基(各風力発電機は、タワーの高さが65メートル、3枚ある羽の長さが各33.5メートル、風車の直径が77メートル、基盤から風車の最高点までが103.5メートルとされている。以下、これらの風力発電機を「本件風車」という。)を設置し、総発電量1万5000キロワットとして、17年間の全事業期間を通じ、発電した電力全量を東京電力株式会社に販売するなどとするものである。
(5) 債務者は、本件事業計画について東伊豆町から前記指導要綱に基づく平成19年3月20日付けの事業計画承認通知を受けるとともに(なお、同通知においては、債務者に対し、「騒音、低周波、電波障害等については、事前に実施した環境影響調査の結果について検証を目的として継続的に測定を実施すること。また、調査の結果については、速やかに報告すること。」等が指示されている。)、宅地造成等規制法に基づく宅地造成に関する工事の許可を始めとして、本件事業に係る風力発電施設の建設工事等の実施に必要な許可や届出等の行政的手続を了した上、同年4月中旬から同工事に着工した。
(6) 本件別荘地は、伊豆半島の中程東寄りの、標高約300メートルから約600メートルの山間の南斜面に位置し、ほぼ東から南の方向には、熱川温泉等の町並みを間において、相模湾や伊豆大島から神津島までの島々を望むことができる(なお、このような海方向の眺望に本件風車が重なる可能牲があるのは、本件別荘地のうちの最も西寄りの一部分だけである。)。他方、本件風車は、本件別荘地の西側に、谷を挟んだ山の標高約600メートルから約750メートルの尾根伝いに10基建設され、本件別荘地とは直線で約350メートルから約500メートル離れているが、両者の位置関係は別紙図面2及び3のとおりである。同各図面から窺えるように、本件別荘地の西側及び北側に隣接する山や谷には、これまでのところ人工的な風物は見当たらない。

風車建設差止め仮処分の申立て却下 2/2 へつづく

風車建設差止め仮処分の申立て却下 2/2

風車建設差止め仮処分の申立て却下 1/2 よりつづく

(7) クリーンエナジーは、平成18年2月6日から同年3月6日まで本件事業に係る環境影響評価方法書を、同年8月14日から同年9月13日まで同環境影響評価書(案)をそれぞれ東伊豆町役場で縦覧する手続を経るなどして(なお、上記各縦覧については、同町発行の広報誌によりその都度広告されている。)、本件事業に係る環境影響評価を行ったが、それによると、本件事業における騒音に関する評価は次のとおりである。即ち、本件風車の設置場所の1年間にわたる風速等の実測に基づき同所の年間平均風速を毎秒約6メートル(以下、風速はいずれも秒速である。)と算定した上、同風速に対応する本件風車の騒音パワーレベル96.6dBを前提として、別紙図面2及び3に各表示の1ないし4の各地点における本件風車(10基)の等価騒音レベル(寄与騒音レベル)の予測値を算定し(上記癸韻覆い鍬癸瓦粒特賄世隆麝秦音レベル(昼間及び夜間)は、1が37dB、癸欧34dB、癸海40dB、癸瓦36dBとそれぞれ算定されている。)、他方、上記癸欝擇哭癸欧粒特賄世納詑した現況騒音レベルのデータにより、上記癸韻覆い鍬癸瓦粒特賄世涼覺峙擇嗅覺屬療価騒音レベル(現況騒音レベル)を算定し(上記癸韻覆い鍬癸瓦粒特賄世慮酋形音レベルは、癸欝擇哭癸海いずれも昼間・夜間とも42dB、癸乙擇哭癸瓦いずれも昼間42dB・夜間40dBと算定されている。)、上記癸韻覆い鍬癸瓦粒特賄世隆麝秦音レベルと現況騒音レベルを合成して同各地点における本件風車稼働後の合成騒音レベルを予測すると、癸韻昼間・夜間とも43dB、癸欧昼間43dB・夜間41dB、癸海昼間・夜間とも44dB、癸瓦昼間43dB・夜間41dBとなり、いずれも「騒音に係る環境基準」(平成10年環境庁告示第64号。この環境基準は環境基本法16条に基づき、騒音に係る環境上の条件について、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められたものである。)に示された、専らもしくは主として住居の用に供される地域の基準値(昼間55dB・夜間45dB)を下回っているので、本件事業による騒音の影響は軽微と評価するとしている。なお、クリーンエナジーの調査等に基づく資料によると、6メートルを超える風速の出現率(当該風速が出た時間の1年間総時間に対する比率)は38.8パーセントであり、その場合の本件風車の騒音パワーレベルは風速7メートルでは99.8dB、同8メートルでは102.7dB、同9メートルから同25メートルでは104.0dBとなり(なお、風速が25メートル以上になると、本件風車は停止される。)、また、上記各地点の合成騒音レベル(夜間)の予測値は、風速7メートルでは癸韻韮苅dB、癸欧韮苅dB、癸海韮苅dB、癸瓦韮苅dBとなり、同8メートルでは癸韻46dB、癸欧韮苅dB、癸海韮苅dB、癸瓦韮苅dBとなり、同9メートルから25メートルでは癸韻韮苅dB、癸欧韮苅dB、癸海韮苅dB、癸瓦韮苅dBとなるとされている。そのため、債権者らは、風速6メートルの時の騒音の影響を評価したに過ぎない上記環境影響評価は、不完全なものであって、6メートルを超える風速の出現率は日数に換算すると年間約140日になり、その場合には上記基準値(夜間)45dBを上回る騒音が生じるのであるから、債権者らがこれを受忍しなければならない義務はなく、騒音被害を防止するため、本件風車の建設を差し止める権利を有するなどと主張している。
(8 ) クリーンエナジーが行った前記環境影響評価によると、本件事業における低周波音の影響に関する評価は、次のとおりである。別紙図面2及び3に各表示の癸欝擇哭癸欧粒特賄世G特性音圧レベルの現況を測定し、これにより同癸欝擇哭癸海粒特賄世慮酋G特性音圧レベルを52dBないし69dBと、同癸乙擇哭癸瓦粒特賄世慮酋G特性音圧レベルを52dBないし56dBとし、また、本件風車のG特性パワーレベルを124.5dBとして、同癸韻覆い鍬癸瓦粒特賄世砲ける本件風車の寄与G特性音圧レベルを、癸韻69dB、癸欧68dB、癸海71dB、癸瓦69dBとそれぞれ算定した上、上記各現況G特性音圧レベル及び寄与G特性音圧レベルを合成して、同癸韻覆い鍬癸瓦粒特賄世砲ける本件風車稼働後の合成G特性音圧レベルを、癸韻69dBないし72dB、癸欧68dB、癸海71dBないし73dB、癸瓦69dBとそれぞれ予測し、その結果、「低周波音問題対応の手引書」(平成16年6月環境省公表)に示されたG特性音圧レベルについての「心身に係る苦情に関する参照値」92dBをいずれも下回ったので、本件事業による低周波音の影響は軽微と評価するとしている。
ところで、前記手引書においては、低周波音による苦情は、建具等のがたつき等の物的苦情と、室内における不快感等の心身に係る苦情の2種類に大別され、申し立てられた苦情が低周波音によるものかを判断する目安として、物的苦情については1/3オクターブバンド別の音圧レベルの参照値が、また、心身に係る苦情については1/3オクターブバンド別の音圧レベル及びG特性音圧レベルの参照値がそれぞれ示され(このうち、G特性音圧レベルの参照値は、20ヘルツ以下の超低周波音による心身に係る苦情の評価のみに関するものとされている。)、これらの音圧レベルを測定した結果と参照値を比較して、評価を行うものとされている(なお、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公表した「風力発電のための環境影響評価マニュアル(第2版)」においても、現地調査を実施する場合、低周波音レベルは、必要に応じて1/3オクターブバンド別に調査結果を記載するものとされている。)。そのため、債権者らは、債務者の低周波音環境影響評価はG特性音圧レベルの測定評価をしただけで、1/3オクターブバンド音庄レベルの測定評価を全く無視した不完全なものとなっており、また、G特性パワーレベルを示しただけで、それが得られた時の風速等の条件が開示されていないなどの不備があるなどと批判している。
2 以上の事実により、本件申立てについて検討する。
(1) 債権者らが居住等する本件別荘地の周辺は自然の豊富な景観に恵まれていることが窺われ、本件風車の建設が計画された西側の山等についても、人工的な工作物のない自然の景観それ自体や、本件別荘地からの眺望を維持したいと考える債権者らの心情等は理解できないわけではないが、そのような景観や眺望の維持が他者の土地利用等の自由に対する制約をもたらさざるを得ない場合には、債権者らの主観的心情等から直ちに他者の行動の自由の制約を認めることができないことはいうまでもなく、その景観や眺望自体についての客観的で特別な価値の有無、債権者らの有する景観や眺望についての利益の性質や内容、そのような債権者らの利益に対する本件風車の建設による侵害の態様や程度、当該侵害行為が各種の法的な規制に適合した社会的相当性を備えたものであるかどうか等を総合的に考慮し、債権者らの有する景観や眺望についての利益に対する侵害が受忍限度を超えるときに、始めてその侵害行為の差し止めを求めることができるというべきである。そうすると、前記疎明事実によれば、本件風車の建設が本件別荘地周辺の景観や、本件別荘地からの眺望に影響を与えることが窺われるけれども、既述のような債務者らによる債権者ら地元住民に対する本件事業についての説明、協議等の状況を合わせ考えても(なお、債権者らが主張するように、債務者らが本件別荘地の住民に対し本件事業計画を殊更隠そうとした事実は窺われない。)、本件風車の建設による債権者らの景観や眺望についての利益に対する侵害が受忍限度を超えるものであることまでを窺わせるに足りる資料はないというべきであるから、債権者らの有する景観や眺望の利益の侵害を理由とする本件風車の建設差し止め請求権が存することについての疎明がないことに帰する。
(2) 前記の疎明事実によれば、本件風車の稼働により本件別荘地において騒音や低周波音の影響が生じることが窺われるが、これについても債権者らが被る騒音や低周波音の被害が受忍限度を超える場合でなければ、本件風車の建設の差し止めを求めることはできないというべきである。前記のとおり、債務者は、本件別荘地における騒音や低周波音は騒音についての環境基準の基準値や低周波音についての心身に係る苦情に関する参照値をいずれも下回ることが予測され、その影響は軽微であると評価し、他方、債権者らはこの評価の適正を争っている。確かに、債権者らが主張するように、債務者の年間平均風速に基づく騒音の予測や、G特性音圧レベルのみに基づく予測は、本件本別荘地における騒音や低周波音の被害の状況を的確に予測したことにならない疑いがある(なお、仮に、本件風車の稼働により実際に生じた騒音や低周波音の被害が受忍限度を超えるものと評価され、本件風車の運転停止等の可否が問題となったときに、債務者が十分な環境影響評価を行わずに本件風車を建設、運転したとされる場合には、そのことが一つの事情として考慮されることになろう。)。しかしながら、騒音についての環境基準の基準値や、低周波音による物的苦情及び心身に係る苦情に関する各参照値の趣旨に照らし、仮にこれらを上回る騒音や低周波音が生じるとしても、そのことから直ちに受忍限度を超える被害があると認めることはできず、騒音や低周波音による被害の内容や程度は勿論、地域の環境その他の状況、侵害行為の態様や性質等を総合的に考慮し、被害が受忍限度を超えたものであるかどうかを判断するべきである。そうすると、本件風車の稼働により本件別荘地に生じると予想される騒音や低周波音の被害の状況が必ずしも明らかでないこともあり、既に述べたような債務者による環境影響評価や、債権者ら地元住民に対する説明、協議等の状況を合わせ考えても、騒音や低周波音の被害が、本件風車の建設差し止めを相当とするだけの受忍限度を超えたものであることを窺わせるに足りる資料はないといわざるを得ないから、騒音や低周波音の被害を理由とする本件風車の建設差し止め請求権の存在についても疎明がないことになる。
(3) 以上によれば、債権者らの申立てはいずれも理由がないから、却下することとし、主文のとおり決定する。
平成20年2月13日
     静岡地方裁判所下田支部

裁判官  荒 井 九 州 雄
【5−5】債権者準備書面(3)として、地裁下田支部に提出しました。A412枚、ブログは5部構成です。
平成19年11月9日、静岡地方裁判所下田支部に提出された債権者(住民側)準備書面(3)<債務者の準備書面(2)に対する反論>は、次のとおりです。

3、地元地域・地元住民との協議・説明について

地元住民に対する説明・協議
地元住民に対する説明・協議が欠如していたとの債権者の主張に対して、債務者は地元 地域の実情を踏まえた上で、慎重かつ適切に地元住民に対する説明を行い、協議を尽くしてきたものであり債権者らの主張は事実に反すると反論をする。しかし、債務者は、平成18年5月26日資源エネルギー庁へ補助金申請を提出する以前には、同年4月16日奈良本区総会終了後にCEFの社員が出席し、あいさつ程度に事業概要を話しただけである。この時の経緯については、平成19年3月東伊豆町議会の一般質問で、議員から次のような質問があった
『昨年4月に行われた奈良本の区の総会において、……とおぼしき複数の人が、このたび奈良本でウインドファーム事業をやることになりましたと言う挨拶をしたに過ぎないと言うのが、出席者の認識であると聞いております。このように、区の総会にも正式に同意をとっていないのに、何で区長が同意の印を押すのか、私には全く理解できません。住民に説明もせず、議題にもあげず、ましてや区民の承知をとっていないものに、なぜ区長が同意の判子を押すことができるのですか。そんないい加減な同意書では、私は認めません。』
債務者は、地元住民に対する説明・協議を尽くしたとして言うが、奈良本区住民や本件別荘地住民を対象とする説明会を開催した事実はなく、債務者の慎重かつ適切に地元住民に対する説明を行ったとする主張は、まったくの虚言である。

東伊豆町との協議
本件風車建設の計画を進める中、債務者は平成15年末頃から東伊豆町との協議を開始し、東伊豆町から次のような説明を受け、奈良本区、奈良本財産区及び大川区と協議を行ったとする。
「本件風車の開発地域は奈良本区に属するが、隣接地に奈良本財産臥存在する、奈良本区とあわせて奈良本財産区との調整も願いたい、工事や運搬等で大川区を通行するのであれば、大川区にも話して欲しい」
債務者は、東伊豆町から指示がなかったことを、風車建設地の間近にある本件別荘地やその周辺住民への協議・説明を、行わなかったことの根拠にしているようだが、住民の生活環境や財産を守る立場にある公共団体である東伊豆町が、本件別荘地の住民に対して説明・協議をしなくても良いなどという指導は、常識では考えられず債務者の主張は信憑性が乏しい。

奈良本区との説明・協議
債務者は、「東伊豆町には九つの自治区があり町道の改修工事や地域での防災訓練などを行う際には、当該区との間で協議を行い、実施するのが古くからの慣習となっており、各区の区長は当該区の住民により選出され、実質的にも各区の代表として役割を務めている。」と主張し、奈良本区長と協議して事業に対する合意手続きを進めたことの正当性を主張する。
しかし、町道の改修工事や地域での防災訓練などの、当該区民の生活に蜜着した事柄とは、根本的に異なる本件風力発電事業への、住民の賛否の取り纏めという重大な事柄は、一区長に任せられるというような問題ではなく、当然事業者が当該区の住民や、計画地の周辺住民に誠意を持って説明をして、合意を得る努力をすべき問題である。
地元住民の合意手続きに関しては、債務者の担当者は、平成16年度以前には風車から500m以内の住民すべてから同意書を取っていたと話しており、その経緯から見れば当然、本件別荘地の住民または別荘地を管理する三井不動産株式会社及び株式会社大林組へ、本件風力発電事業計画の説明を行い、説明会の必要性などを打診するのが一般的と思われる。しかし、本件別荘地の住民には一切打診はなく、また両会社が本件事業を知ったのは、CEFに対する資源エネルギー庁が補助金交付を決定した後の、平成18年12月である。
さらに、債務者は奈良本区長に対して、説明会を行う必要性を打診したところ、奈良本区長からは説明会の必要はないが、説明資料を準備するようにとの要請を受け、奈良本区長が機関における議論・討論を通じて区としての総意が形成されると理解し、債務者は区の意向を無視して独断で説明会等を開催することは、区における意思形成に混乱をもたらすものと判断して、奈良本区長に区の合意手続きを任せたと主張している。
つまり、債務者自ら行うべき地元合意のための説明会を一度も開催しなかった手続きの不備を、奈良本区長の指示によるものと責任転嫁しているのである。地元地域の実情を踏まえて、適切な協議及び説明を行ってきたというが、奈良本区長に任せて何もしなかったのが実情である。
なお、奈良本区や奈良本財産区は、風車建設隣接地の土地所有者であり、債務者が奈良本区長に土地管理者としての合意手続きを一任したのであれば、債務者の主張は直ちに誤りとは言えず、実際に奈良本区長が債務者(CEF)に与えた同意書には、奈良本区が管理する奈良本区土地の所在地と地番が、そして奈良本区土地管理者・奈良本区長○○ ○と表記してあり、土地管理者としての同意書であることは明らかである。債務者(CEF)はこの奈良本区長の同意書を、住民組織である奈良本区長の同意書として資源エネルギー庁の補助金申請に添付したものである。
このことに関して、東伊豆町長は平成19年3月議会の一般質問で、次のような答弁をしている。
『この同意書、たしかこのNEDO(資源エネノレギー庁の誤り)に対する同意書は土地管理者となっておりますが、その後区長と話した中で、町長、この同意書に関しては奈良本区の総意だと、‥‥‥土地管理者ではなく奈良本区、その住民の総意と、‥‥‥区長からはっきりと聞いております。』
債務者(CEF)が、土地管理者として奈良本区長と、住民組織代表として奈良本区長の二つの性格があることを知っていて、土地管理者としての奈良本区長の同意書を、住民組織代表である奈良本区長の同意書として資源エネルギー庁の補助金申請に添付したのであれば、これは明らかに詐欺的行為といわざるを得ない。

管理会社の奈良本区への協賛金
本件別荘管理会社の三井不動産株式会社と株式会社大林組が、それぞれの管理事務所を通じて、奈良本区に協賛金を支払っているのは事実である。しかし、これは近隣のマンション等が建設当初の建設協力金として支払った名残であり、本件別荘地でも開発時の昭和47年に町道の使用などのための協力金という名目で、両社とも毎年6万円を支払っているもので、区費としての支払いではなく、本件別荘地住民が奈良本区民である証左ではない。
債務者は、平成18年12月5日の説明会の後、債権者らが奈良本区長のもとを訪問して「なぜ奈良本区として、本件風力発電施設建設・事業運営に同意したのか」を抗議をしたことに対して、債権者らが奈良本区に属するとの認識を有していたこと示すものと主張しているが、事実誤認である。債権者らは、計画地近くに居住する本件別荘地の住民に一言の打診も相談もないまま、事業に同意しそれによって資源エネルギー庁の補助金が決定され、その結果、風車が建設されることにより生活環境が脅かされる恐れがあることに対して抗議をしたものである。
債権者らは、奈良本区に住所を有するが、自治組織の奈良本区の区民でも準区民でもない。奈良本区の構成員であれば役員会や総会など区の会議の中で責任を追及できるが、構成員ではないので、直接奈良本区長に抗議したのであって、これを以って債権者らが区に属していると認識していたとする債務者の主張は見当はずれも甚だしい。

事業計画説明会の開催
債務者は「適切な調査・照会を行った上で、地元地域の実情を踏まえた説明・協議を行ってきたものであり、地元住民に対する説明・協議が欠如しでいたとの債権者らの主張は何ら理由がない。」とする。しかし、債務者は、奈良本区長に対する説明・協議だけを行い、奈良本区民に対する説明会は一度もなく、また最も影響を強く受ける本件別荘地住民に対する説明は、資源エネルギー庁への補助金申請前にはなく、補助金交付決定後の12月5日に債権者らの要請で初めて開催されたものである。以後の経緯については申立書、準備書面(1)などで述べてきたとおりである。債権者ら地元住民に対する説明、同意の手続きのいい加減さは明白である。

工事説明会を開かず着工
平成19年2月10日に開催された説明会では、CEF社長以下全員が1時間40分もの大幅な遅刻をし、用意した資料の説明も出来ずに時間切れとなった。そのため改めて説明会を開催すると約束をしていたが、債権者らに相談も無いまま、勝手に3月3日説明会を計画・会場を確保しておいて、債権者らから連絡がないことを理由にこれまた一方的に延期した。そして、債権者らからの申し出で中止したと、東伊豆町や資源エネルギー庁へ虚偽の報告をした。結局、債権者らが協議に応じないという理由をでっち上げて、本年4月に工事着手を強行したのである。
その後も、債権者らに工事説明もないまま工事を進め、本年8月に本件別荘地内を資材運搬のため通行する旨の文書を持参したので断り、東伊豆町長に仲介を要請して町職員を通じて債務者と協議の場を設けて、工事時間、休工日などを取り決めた
しかし、10月に入ってからは工事の遅れを理由に、毎日夜遅くまで工事を行い、土、日は別荘利用者が多いので工事は行わない、行っても騒音のない工事とする。という取り決めを一切守らないという誠意のない対応を取っている。
※最後までご購読ありがとうございました
【5−4】債権者準備書面(3)として、地裁下田支部に提出しました。A412枚、ブログは5部構成です。
'''平成19年11月9日、静岡地方裁判所下田支部に提出された債権者(住民側)準備書面(3)<債務者の準備書面(2)に対する反論>は、次のとおりです。

第3、本件風力発電施設の立地等について

1、風力発電の公共性について

風力発電事業用地
債務者は、「本件風車事業地は、風力発電に適合した自然的立地条件を備えており、土地開発の法規制に関しても、無理なくその建設を実現することのできる社会的立地条件を備えた適地である。自然条件・社会経済的条件・法的規制条件などを満足する風力発電事集に適した事業用地はどこにでも簡単に確保できるというものではない。」と主張する。
しかし、事業用地が他に簡単に確保できないのであれば、なおさら、周辺住民との合意手続きは誠意を持って行うべきで、今回、CEFないし債務者が東伊豆町で行ったような地元合意手続き(甲34)の仕方は、資源エネルギー庁の指導や、NEDOの風力発電のための環境影響評価マニュアルによる手続きの流れからは完全に逸脱しており、「風力発電所の適地(人家の少ない場所)は他にいくらでもある。」とする債権者の指摘は、全く根拠のない乱暴な議論でもなく、乱暴なのは債務者並びにCEFが行った地元承諾手続きである。

風力発電事業の公共性
公共事業であるごみ焼却施設や斎場などの建設は、無くてはならない必要施設だが、事業計画地の周辺住民にとっては迷惑施設となることが多い。最近では学校、保育園などの教育施設でさえ、近隣住民や施設を利用しない人達にとっては、迷惑施設となり反対運動が起きている。
債務者は、「発電事業と近隣の地域社会の生活環境・自然環境保護とのバランスを考えるうえで、風力発電事業の公共性を、当然斟酌されるべき重要な要素となるもの」と主張するが、自治体が行う公共事業でさえ自然保護や、地域住民の生活環境に対し、充分な配慮をせずには事業の遂行が困難な昨今、地球温暖化対策に有効であるといっても、風力発電事業だけを特別扱いにする理由はない。債権者ら地域住民にとっては、100m超の風車は周囲に圧迫感を与えるとともに景観を損ない、個人の資産価値を下げ、騒音を撒き散らす迷惑施設そのものであるといわざるを得ない。債務者から土地利用の公共性に対する配慮を全く欠落させた住民エゴイズムそのものと非難される理由は無い。

風力発電施設の立地と住民協議
債務者は、本件風力発電施設の建設地は、あらゆる条件を満たした適地であると主張するが、永年、青木あすなろ建設株式会社の不良資産となっていた土地に、巨額の国費を投じて風車を建設して転売(風車の建て売り)するもので、その動機は極めて不純である。
風車建設地に通ずる町道は、過去の開発計画時に拡幅した町道両脇を、仲介した不動産業者に登記され、同社と隣接地の奈良本区(名義は東伊豆町)、奈良本財産区の土地は、何も利用できずいわゆる遊休地となっていたこの土地の有効利用を図るため、永年同社に勤めた社員が奈良本区長、奈良本財産区長と事業者を結びつけ、区の総会、区長同意書の取り纏めに奔走し、債務者の風力発電事業所誘致を実現させたものである。
奈良本財産区の役員の話によれば、区の総会には概略の事業説明があったのみで、奈良本区の住民に対しての説明会は一切なかった。また、建設現場に最も近い本件別荘地住民にも、一切説明も相談もなく、逆に相談を持ちかければ反対されることを十分承知の上で、意識的に地域住民へは内密に進めたもので、補助金申請の決定がなされてはじめて住民に対する事業説明に応じた極めて悪質・意図的な対応であった
また、民主的に選ばれた(選挙)訳でもなく、単に行政連絡員に過ぎない区長が、この大規模なしかも色々解決すべき問題を含んだ事業を、独断で進めて良いはずがない。万が一事故が発生したとき一体誰が責任を取るというのか疑問である。

2、本件風車が景観に与える影響について

景観侵害は確実に起きる
債務者は、「本件風車施設の立地に関し、景観侵害を引き起こすものでもない。」と主張する。本件別荘地は熱川温泉を望む南斜面に現在約400戸の建物が点在しているが、すべて南向きの住宅ばかりではない。大林5地区及び6地区は風車建設地に近く、債務者の風車建設地である天目山に向かう西斜面に住宅を建て、稜線や斜面の緑を楽しむように設計された建物も少なくは無い。
現在、既に3基の風車が組み立てを終わり、天目山の稜線上にその姿を見せているが、大林5地区及び6地区からの風車を望む写真からも判るとおり、ベランダから見ると目の前の山の上に、100m超の風車に見下ろされ、その大きさに圧倒され、その圧迫感は説明会などで聞かされて、想像したものをはるかに超えている。羽が廻り始め夕方その影が家の中に照らし出されることを想像すると、今から気分が悪くなると、既に住民の間では話されている。

風車の出現は景観を損なう
債権者は、天目山の稜線に建設される風車が、面として眺望を遮蔽するから眺望侵害の恐れがあると主張しているものではなく、甲33の写真にあるように標高差300mの稜線上に10基もの風車が立ち並び羽を回転させる様は、本件別荘地の住民に対し景観を損ない、圧迫感や騒音、低周波音などの被害も予測され、資産価値を低下させると主張しているものである。
債務者は、「風車が棒状のタワー部分と細長い板状の羽部分から構成され、面として空間を占拠するような形状の物体ではなく、マンションなどの建築物が面として視界・眺望を遮るものとは根本的に異なる。」と主張しているが、本件別荘地の住民は、天目山の先にある風景が遮蔽されることを問題視しているのではなく、人工物の風車が建って自然景観を大きく改変し、損なうことを問題にしているのである。債務者が、風車とマンションなどの建築物を対比し、面として眺望を遮蔽しないから眺望への侵害は無いとする主張は当たらない。

景観に対する論点
債務者は、本件風車は「本件別荘地の西にあり、その位置関係から海を望む眺望を侵害することはない。」と主張する。しかし、大林5地区及び6地区からは、真南に10号機があり90度の範囲内に7〜9号機が視野に入り、風車が建設されると10基のうち4基から5基は、式根島、神津島の眺望する視野と重なってしまう。式根島、神津島の眺望が風車で遮られて見えなくなるわけではないが、今後は人工物の風車とともに式根島、神津島を眺めなければならなくなるのは苦痛である。
債務者は、本件風車が債権者らの多くが居住する別荘地から海を望む眺望を遮るという位置にはないことをことさら強調し、海を望む眺望を遮るか否かを眺望侵害の争点にしようとしているが、問題点のすり替えに他ならず、債権者は風車そのものの存在が、静かな山の別荘地の景観に相応しくなく、風車の出現に伴う本件別荘地の居住環境の低下、資産価値の減少などを問題としているのである。
【5−3】債権者準備書面(3)として、地裁下田支部に提出しました。A412枚、ブログは5部構成です。
平成19年11月9日、静岡地方裁判所下田支部に提出された債権者(住民側)準備書面(3)<債務者の準備書面(2)に対する反論>は、次のとおりです。

3、細谷・久美原風力発電所について

債権者は、本件風車と同型であることから、愛知県の細谷・久美原発電所付近に赴いて稼働中の風車騒音の実測調査を行ったが、債務者は「暗騒音が適切に排除されているかどうかが不明であり、債権者が測定した実測データを、環境条件の異なる本件別荘地付近に単純に持ち込んで議論することは適当ではない。債権者の立論は、前提に無理がある。」と主張する。しかし、現実に風車が稼動していない状況で、別荘住民がどのような影響を受けるかを予測するためには、稼働している同型機の風車で騒音調査を行い、その実測データに基づいて影響を推測する方法は他に無い。このため債権者は説明会や質問書で債務者に対し、実測データに基づく別荘地への影響に関する資料を求めてきたが、債務者が環境影響評価書を開示しなかったので、やむを得ず愛知県まで出向き調査を行ったのである。

細谷・久美原風力発電所の騒音測定結果
当日の風速は5〜6m/sで、細谷風力発電所の測定結果は風車から200mでは、東:42dB、南:47dB、北:40dBを、西は山で計測なし。500mでは東:39dB、北:38dB、西・南は山で計測なし。700mでは風下の西:45dB、北:38dB、束・南は山で計測なしを記録している。また、久美原風力発電所の測定結果は風車から200mでは、東:47dB、西:50dB、南:46dB、北:46dB。500mでは東:43dB、風下の西:45dB、南:38dB、北は畑で計測なし。700mでは東:42dB、風下の西:43dB、北:44dB、南山で計測なしを記録している。
これら実測データは、NEDOの「風力発電導入ガイドブック」92ページの図5.1−9風車騒音の距離減衰例(資料2)で例示する200m:45dB、300m:41dB、400m:38d丑、500m:36dBを上回っているが、NEDOの例示が何時の間にか風車から200m以上離れていれば騒音の影響受けないとする根拠にされているものの、実際に計測してみると上回っていることが判る。
さらに翌日、風速8〜10/sを期待して現地に赴いたが、生憎風速は前日と同様5〜6m/sで風向も同じ西風であったため、前述の実測データを元に風速8〜10m/sにおける最大騒音レベル104dB時の騒音を算出し、債務者の風車からの影響を推測したものである。
債務者は、この推測方法に誤りがあると主張するのであれば、当然の8m以上の風は吹くことは間違いの無い事実であり、風速7m/s以上の風が吹く率は37.2%、日数で年間136日となり、さらに風車の定格出力は風速10m以上であるから、最大騒音レベル104dB時の風車騒音が本件別荘地にどのような影響を与えるのかを示すべきである。

現在は静かな山の別荘地
本別荘地は、伊豆熱川駅から北西約5km、箒木山の南麓にあって、熱川温泉を見下ろす静かな山の住宅地である。債権者が本年7月2日の早朝に調査したところによれば、本件別荘地における現在の騒音は、別荘地内騒音調査図(甲32)のとおりである。
一部調査地点で、川の流れの音やウグイス・ヒヨドリなど鳥の鳴き声の影響を受けたものの、30〜37dBとなっており、平均すると33.6dBと静かな環境であることが判る。鳥や虫の鳴き声の影響を受けない冬期にはさらに低くなると考えられる。この数値はNEDOの「風力発電導入ガイドブック」92ページの図5.1−10騒音レベルの目安(甲31)及び千葉県環境研究センターの騒音レベルの例(甲31では、寝室や郊外の深夜,ささやき声の騒音レベルに相当しており、現状では大変静かな生活環境にあることが判る。

現況騒音データの比較
債務者は、環境影響評価書で騒音について、本件別荘地内において平成18年4月に実測した現況騒音データをもとに、昼間と夜間における等価騒音レベルを算定し、夜間の現況騒音について42dBとした上で、これに風車騒音のデータを合成した騒音をNo.1地点(大林6地区)では43dB、No.3地点(大林5地区)では44dBであり、住宅地の夜間基準値とされている45dBをいずれも下回っており、「騒音予測は風力発電所の稼動により発生する騒音と現況値を合成すると、いずれの地点も環境基準を下回っていたとあり、本事業による影響は軽微と評価する」としている。
しかし、前述のとおり、債権者が平成19年7月に実測した現況騒音データは30〜37dBであり、平均すると34dB弱と債務者の実測データとは、大きな相違がみられる。その差はNo.1地点が9dB、No・3地点が10dBであり、エネルギーでみれば8〜10倍も、債務者の実測した現況騒音データの方が大きい。これは現況騒音を42dBと実際より高くし、風車騒音を合成してみても43 dB、44dBと、風車からの騒音の影響を少なくするためと、非難されても仕方の無い行為である。債権者は、説明会や質問書などを通じて再三、風況データや本件別荘地内の騒音実測データ及び環境影響評価書の公表を求めてきたが、債務者は企業秘密として一切応じて来なかったのは、このような事情があったからと推測される。

風車騒音の受忍限度
現在、静かな山中での生活環境に住み慣れた、住民にとってはたとえ43dBであっても、街中の住宅地と異なり他の雑音があまり無いところであるから、風車騒音で今の8倍もの騒音状況は想像の範囲を超える。さらに夜間は、現騒音比較すると10倍を優に超える騒音になる。さらに、債務者の資料によれば、年間136日は夜間の環境基準45 dBを上回ると予測されており、住民の受忍限度を大幅に超えるものと確信をもっていうことができる。

4、南淡路ウインドファームについて

債務者は、兵庫県知事が平成18年1月31日付でなしたCEF南あわじウインドファーム事業に係る環境影響準備書に対する助言について」について、同文書は、その冒頭において「風力発電所は、建設に際しての土地の改変面積が小さく、また稼動後の環境負荷が少ないことから、今後の環境適用型社会の形成に資する施設であり整備を推進するべきものである。」と述べているとおり、当事業の推進を前提としてCEFに対する助言・指導をとりまとめたものであって、これを「警告」などとして引用する債権者の主張は極めて意図的な虚偽主張であると債権者を非難している。
しかし、債務者の主張は、兵庫県知事助言の前段の債務者にとって都合の良い部分のみを引用したものであり、騒音についての具体的な助言内容は、次のとおりである。
 ◇ 風力発電所の運転に伴う騒音については、影響はないと予測されているが、近傍の住宅地域において、一般騒音の環境基準(昼間55dB、夜間45dB)を達成させること。また、予測に当たり平均風速を採用しており、強風時において環境基準値を超過するおそれがあるため、供用後環境監視調査を実施し、環境影響の有無を検証すること。
 上記のとおり、兵庫県知事の平成18年1月31日付文書は、助言の形式をとっているがその内容は、「騒音予測に平均風速を採用しており、強風時において環境基準値を超過する恐れがあるため、供用後環境監視調査を実施し、環境影響の有無を検証すること」というものであり、単なる助言・指導ではなく、命令(警告)をしているものである。債務者が主張するようなCEFに対する助言・指導をとりまとめたものではない。CEFは、この知事文書を単なる助言・指導として扱い、その後の事業計画に反映させない企業姿勢が、本件でも問題とされているものである。
 さらに、南あわじウインドファーム事業に係る環境影響評価書においては、「施設の稼動より発生する騒音と現況値の合成結果は、全ての地点で環境基準を満足している。として、本事業による騒音の影響は無い。」としているが、現実には騒音被害を周辺住民に与えている。本件に関しても、南あわじウインドファームとまったく同様な評価手法で行い、「いずれの地点も環境基準を下回っていたとあり、本事業による影響は軽微と評価する。」としている。「影響は無い」と予測評価した南あわじウインドファームで、騒音被害を発生させている点から判断すると、「影響は軽微と評価する」としている、本件風力発電設備では南あわじ以上に、騒音被害が発生する可能性は高いと推測される。

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