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伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会
CEF風車事業による住民被害

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37基の風車が住民に健康被害を与え、鶏の卵にも異変が起こっています。
 
 
 
 
 
 

第15回 (08.05.31) 騒音と健康障害(その2)


Nina Pierpont, MD, PhD
Nina Pierpont博士は、コロンビア大学医学部小児科の旧教授であり、現在はNYで病院を経営している。 風電施設近隣に住む多く人に発症する一連の症状に注目し、風車病(Wind Turbine Syndrome)という臨床名を付け、風電の健康被害について積極的な情報発信をしている。彼女のHP(下記の1))には、これまでの報告書、インタビュー記事などが紹介されている。 ここでは、風電が健康に与える影響を扱った報告書のひとつ(下記の2))を紹介する。 類似の報告書としては、下記3)、4)に示すものがある。
風車病とは、風電の稼動が開始した地域の近隣に住む人に発症する一連の複合症状(complex of symptoms)であり、また、患者は風電から離れて生活することで症状が治まるという特徴がある。 症状としては以下のものが挙げられる。
・睡眠障害(sleep problems):可聴騒音や振動や圧力などの肉体的感覚が入睡を困難にし、頻繁な覚醒の原因となる。
・頭痛(headaches):頻度や程度が増加する。
・目まい(dizziness)、不安定(unsteadiness)、吐き気(nausea)
・疲労(exhaustion)、不安神経症(anxiety)、怒り(anger)、興奮(irritability)、気持ちの落ち込み(depression)
・集中力、学習力の不具合(problems with concentration and learning)
・耳鳴り(tinnitus (ringing in the ears))
調査例:
a)ウィスコンシン州Lincoln区
22機の風電が稼動している。 風電から240m〜400mに住む44%、400m〜800mでは52%、800m〜1,600mでは32%、1,600〜3,200mでは4%が騒音被害を受けている。(調査対象者229人)
b)オランダとドイツ国境に建設された風電施設
17機、合計30MWが稼動。 上記1)と同じ傾向であり、1,900mまでの住民が不快感を示している。
c)French St. Crepin Windfarm
6機、合計9MWが稼動。 1,200m以内にすむ83%が何らかの反応を示し、このうち、27%は夜間の騒音が耐え難い(intolerable)と訴えている。(調査対象200人)
調査例でも分かるように、風車病は全ての人に発症するというものではないが、一方で騒音のガイドラインは弱者(子供、老人、病人など)をも配慮すべきであり、風電には最短でも1マイル(1,600m)以上のセットバックが必要である。フランス医学会も1,500mのセットバックを推奨している。

訳者注)本報告書には、低周波に関わる情報も多く解説されているが、それらは別途扱うものとする。≪洋≫
1) Nina Pierpont MD PhD
2) Wind Turbine Syndrome: Noise, shadow flicker, and health
3) Health, hazard, and quality of life near wind power installations
4) Health Effects of Wind Turbine Noise

第14回 (08.05.25) 風電火災(補足)


 風電火災では、ナセルから大量の炎と煙が発生する(第5回 風電事故(その4)を参照)。 個人的には、何故これほどまでに燃えるのか? 何が燃えているのか? など不思議に思っていたが、その疑問が明らかになった。 情報(下記URL)によれば、ナセルには最大で200ガロン(約757リッター)の油圧オイルが載っているとのことである。
 確かに、ローター、発電機には欠かせない資材であると思われるが、これほど大量に載っているとは驚きである。 これが、主に落雷により着火すれば、ナセルが焼け落ちるということも頷ける。
 また、先に報告したように、熱川と同じGE製の風電では、この油圧オイルが7日間に亘り地上に漏れるという事故もあった(第4回 風電事故(その3))が、これだけ大量のオイルが地上にもれるとすれば大きな環境汚染に繋がるであろう。≪洋≫

Health, hazard, and quality of life near wind power installations
How close is too close?
http://www.ninapierpont.com/pdf/Health,_hazard,_and_quality_of_life_3-2-05.pdf

第13回 (08.05.16) 騒音と健康障害(その1)


 今回から、騒音と健康障害に関わる情報を紹介する。はじめに紹介するのは、健康への影響を配慮した場合、騒音レベルはどの程度に抑えるべきか? についての世界的なバイブルともなっているWHO(世界保健機構)の報告書である。
 WHOは、1999年に「環境騒音のガイドライン(Guidelines for Community Noise)」を出している(下記URL)。 報告書の冒頭では、「騒音問題は、他の環境問題とは異なり悪化している。 それに伴い、騒音に曝露されている人々からの苦情も増加している。騒音によって急性的・慢性的な健康影響が生じることを考慮すれば、騒音問題の悪化は看過しえない。」と述べている。 なお、本報告書の日本語訳が、平松幸三京都大学教授らにより行われている(下記URL)。
 ここでは、報告書資料の中で、騒音の「睡眠妨害」および「低周波の影響」に注目し、その概要を紹介する。 風電の事業者およびその推進者である国(エネ庁)も、WHOの報告書の都合の良い部分だけを参考に取り上げ、不都合な部分には眼をつぶるという勝手な解釈をしていることを指摘したい。
「睡眠妨害」:
 等価騒音レベル(LAeq)で30dB(A)程度の騒音から測定可能な睡眠影響が表れる。睡眠妨害の高感受性群に分類される主な人々は、高齢者、交代勤務労働者、身体的/精神的に疾患を持つ者、睡眠に問題を持つ者である。 間欠音による睡眠妨害は、最大騒音レベルとともに増加する。 たとえ全体的な等価騒音レベルがかなり低くても、高い最大騒音レベルの騒音が少しでも発生すれば睡眠に影響が生じる。 したがって、睡眠妨害を防ぐためには、環境騒音のガイドラインは等価騒音レベルだけでなく、最大騒音レベルや騒音の発生回数によっても定められるべきである。 また、たとえば換気騒音のような低周波騒音の場合には、低い音圧レベルでも休息や睡眠を妨害する可能性があることにも注意する必要がある。 睡眠妨害を防ぐためには、騒音が定常的な音ならば、屋内のLAeq は30dB(A)以下にとどめるべきである。 低周波の音が多く含まれている騒音に対しては、より低いレベルが推奨される。 暗騒音のレベルが低い場合、可能な限り、等価騒音レベルの最高値(LAmax)が45dB(A)を超える騒音は制限すべきである。LAeq は、エネルギー加算のみに基づく形式的な等価尺度として作成されているが、これはほとんどの音環境においてその特徴を十分にとらえることはできない。 LAeq の他に、騒音変動の最大値や、できれば騒音の発生回数を測定することも重要である。
筆者注)WHOは、10分間の平均が45dBを越えなければ問題ないとは言っていない。 熱川の調査でも明らかのように、10分間の平均が45dB以下であっても、その間に45dBを大きく超える間欠音が発生している。このような風電の騒音は「睡眠妨害」になるということである。
「低周波の影響」:
 低周波音を多く含む騒音の場合には、本報告書に示すガイドライン値よりも低い値が必要であろう。 低周波成分が卓越している場合、A 特性による評価は不適切である。 C 特性とA 特性のレベル差によって騒音に含まれる低周波成分の概数を把握することができるが、差が10dB 以上の場合は周波数分析を行うことを推奨する。 騒音に低周波音が多く含まれていると、健康影響が増悪する可能性があることに注意すべきである。
 訳者注)WHOは、低周波の健康影響に注意を促している。 そして、A特性と、C特性の差が10dB以上の場合には、低周波の健康影響に注意すべきと指摘している。 熱川の過去の調査では、この差が明らかに10dBを超えている(本ブログの、「風車監視日誌、2008年2月7日を参照」)。

「等価騒音レベル」( Equivalent continuous A-weighted sound pressure Level ) とは、騒音レベルが時間とともに不規則かつ大幅に変化している場合(非定常音、変動騒音)に、ある時間内で変動する騒音レベルのエネルギーに着目して時間平均値を算出したものである。 ≪洋≫

1) WHO Guidelines for Community Noise
http://www.ruidos.org/Noise/WHO_Noise_guidelines_contents.html
2) 環境騒音のガイドライン 実務的抄録
http://www.hkozo.com/link/WHOsummary.pdf

第12回 (08.05.13) セットバック(まとめ−2)


3)SBの距離設定の問題点
「構造SB」はその内容が単純であることから、国レベルでの画一的なガイドラインの作成が可能であり、欧米の多くの国、地方の行政・公的機関から出されている。 「構造SB」に関連して、フランスでは、主にブレードの破損に伴う事故を避ける目的から、風電施設の500m以内は一般の立ち入りが禁止されているというケースもある(http://www.caithnesswindfarms.co.uk/)。 確かに、熱川の1.5MWクラスの風電では、1本のブレードだけで長さ37m、重さ6.5tあり、これほどの重量構造物が3本、地上60mで回転しているのである。「構造SB」は、安全確保のために必要な基本的なSBであると考えられる。 しかし、日本ではその直下にまで無制限に近寄ることができ、熱川の場合、町道からの距離が最も近いものでは約20mと頭上真上で風電が回転しているのである。 信じ難いことであるが、これが現実である。

「一般騒音SB」は、各国ともWHO(世界保健機構)のガイドライン(Guidelines for Community Noise 1999年)をベースに、夜間の屋外の騒音は45dB以下という考え方が採用され、それが達成される距離をSBに置いている。 しかし、この考え方には運用上大きな問題が潜んでいるのである。 熱川の経験を踏まえて、2つの問題点を指摘したい。
ひとつは、建設前に行われる環境影響評価の騒音予測の問題である。 このブログでも度々紹介されているように、事業者は(350mの近距離に住宅があるため、350m離れれば騒音が計算上環境基準である45dB以下になるように)風電が発生する騒音を最大騒音104dBでなく平均風速6m時の96.6dB(最大騒音の1/5)を採用し、騒音の減衰を算出しているという点、加えて、行政機関(エネ庁)はこの考え方でも問題無いと判断している点である。 その結果、当然のこととして、実際には環境基準の45dBを大きく上回る騒音が、度々三井大林別荘地では記録されているのである。
ふたつめは、例え45dBの環境基準を超える騒音が発生しても、直ちにそれが問題ということにはならず、それが「受忍限度を超えているのか?」が問われるということを、2008年2月、静岡地裁下田支部の「CEF風車建設禁止仮処分申し立て」の決定で示された点である。 この判断は、裏返せば、「明らかな被害が実際に起こらない限り問題であるとは言えない」ということである。 司法には、被害を未然に防ぐ能力がないということを示したものと言える。 さらに、事業者ならびに国(エネ庁)は、この司法の判断を予想して、間違った環境影響評価のもと事業を推進しているとすれば、これは大きな犯罪と言わざるを得ない。

「風電騒音SB」は、一般的な騒音環境基準をベースにSBを考えるのではなく、風電特有の風切り音(うなり音)、低周波、闇騒音などを考慮しSBを判断するというものである。 この背景には、従来の騒音の考え方では不十分であり、世界各地で風電の騒音による健康障害が発生していることがある。 健康に影響を与えないためには、どの程度の距離を離すべきかという視点からSBを見直す必要があるというものである。 風電の騒音と健康障害に関する医学的研究が充分でなく「風電騒音SB」の考え方は充分認知されているとは言えないが、欧州では英国騒音学会やフランス医学会からの提言があり、またかなりの数の地方自治体には独自のガイドラインが存在する。 米国では、欧州に比べ「風電騒音SB」の採用が遅れており、結果として風電の騒音による健康障害の報道が多い。 今後「風電騒音SB」の考え方が浸透し、風電施設に採用されれば、全ての風電による騒音問題は解決するであろう。

4)SB設定の難しさ
風電事業の推進者である国(県、地方自治体)および風電事業者とすれば、SB距離が長くなればなるほど、周辺の土地利用が制限される、風電が建設できる場所が少なくなる等の問題が出てくる。 従って、風電の騒音による健康障害の問題が高まっていることは承知しているが、健康障害をもたらすという十分な科学的根拠が確立しない限り、あるいは法に触れない限り、SB距離は可能な限り短くしたいという考え方で推進しているのであろう。 その象徴的な例が、熱川の風電施設と考えられる。

今後とも、「風電の騒音による健康障害をどこまで未然に防ぐことができるか?」については、「風電騒音SB」のガイドラインの導入がどこまで進むかに掛かっている。 その導入に向けて、「健康障害の科学的(医学的)根拠のデータ作り」のために熱川で事例を積み重ねるということになるのであろうか? そうならないように、住居地から350mのところに風電施設が完成してしまった熱川では、これからの操業条件について、事業者(CEF)の海外動向をも参考にした誠意ある判断に期待すると同時に、行政(東伊豆町)の指導に期待したい。≪洋≫

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