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伊豆熱川(天目地区)風力発電連絡協議会
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第11回 (08.05.12) セットバック(まとめ−1)


欧米には、風電のセットバック(以下SBと略)に関するかなりの量の情報が存在する(興味のある方は、例えば、キーワード“wind turbine setback”で検索してみて下さい)。 その中で、参考になりそうな情報(出来る限り公的機関の情報)を選抜し紹介してきたが、このテーマについては、一旦ここで終了する。 終了に当たり、SBについての筆者なりのまとめを、一部推測を含め、以下2回に分けて述べる。 余談になるが、Googleの日本語版で、キ−ワード“風力発電 セットバック”で検索すると、結果としては、筆者がこのブログに投稿した記事しか出てこない。 それほど、日本では、風電に対するSBの考え方は遅れており、加えて、海外の情報発信も出来ていない。 同じ過ちを繰り返さないためにも、風電先進国の最新情報を積極的に入手し情報発信をすると同時に、日本での事業展開に役立てる責任と義務が、風電事業者および風電を推進する行政機関にはあると考える。

1)SBの考え方にはいろいろある
SBには、大きく2つの考え方がある。 ひとつは、風電の構造的危険性からのセットバックであり、タワーの倒壊、ブレードの破片の飛散などがその対象となり、道路や居住地からどの程度の距離を離して建設するべきか、というものである(以下、これを「構造SB」と呼ぶ)。 もうひとつは、風電が発生する騒音が人の健康に影響を与えないために、主に住宅地からどの程度の距離を離すべきか、ということである(以下、これを「騒音SB」と呼ぶ)。 この場合、重要なことは、騒音を一般的な騒音に関わる環境基準に照らし判断する場合(以下、「一般騒音SB」と呼ぶ)と、風電特有の風切り音(うなり音)、低周波、闇騒音などを考慮し判断する場合(以下、「風電騒音SB」と呼ぶ)の2種類あるということである。 そして、最近「風電騒音SB」の必要性が、騒音被害の発生している欧米の多くの地域で求められ、既に一部の地方自治体では条例として成立している。

2)SBの距離はどの程度か?
具体的なSB距離についてみると、まず、「構造SB」は、最近の大型風電においても300m前後とする考え方が主流である。 そして、「一般騒音SB」は、夜間の騒音環境基準45dB以下を順守する距離として、300〜500m前後が採用されているようである。 そして、「風電騒音SB」としては、健康障害を起こさない距離として1.5Km以上が採用あるいは提言されている。 このように、SBの距離に関わる情報はいろいろあり、何を対象(基準)とし判断したSBであるかが重要になる。 「構造SB」の距離を取り上げ、「風電騒音SB」に当てはめようとすることがあるとすれば大きな間違いである。 ≪洋≫

イメージ 1
                                (つづく)

第10回 (08.05.10) セットバック(その5)


6)カナダ風力発電協会(CanWEA;Canadian Wind Energy Association)
CanWEAは、騒音に特化した風電のガイドラインを開発した(2007年2月)。その中で、業者なりのセットバックの考え方が示されており興味深い。 例えば、1〜2MWの風電が10機以上の施設の場合、“騒音の苦情を無くす”ためには1,000m以上のセットバックが必要であると述べる反面、必要以上のセットバック距離は風電事業展開を制限するものであり、これまでの調査では300m〜600m(サイトの地形により異なる)が適切な距離であると主張している。
WIND TURBINES AND SOUND: REVIEW AND BEST PRACTICE GUIDELINES
http://www.canwea.ca/images/uploads/File/CanWEA_Wind_Turbine_Sound_Study_-_Final.pdf

7)マサチュセッツ州Fairhaven(米国)
マサチュセッツ州Fairhaven(米国)では、風電の騒音被害の実情を紹介するHPを立ち上げている。 その中で、諸外国のセットバック距離を、オーストラリア;1Km、フランス;1.5Km、ドイツ;1.6Km、オランダ;1Km、スコットランド;800m、であると紹介すると同時に、米国のそれは、ニューヨーク;360m、ペンシルベニア;ハブ長の5倍、と近すぎ、騒音が大きな問題であると主張している。 同時に、HPでは「YouTube」を利用し騒音被害の実態をビデオで紹介している。
訳者注):本情報では、国名;セットバック距離 という表現をしているが、訳者のこれまでの調査では、セットバックを国のレベルでガイドライン(規則)として制定しているというものは見当たらない。 従って、この場合も、地方自治体の条例をその国の代表とした、あるいは、フランスの場合は医学会の提言をそのまま引用したものと思われる。
Wind Wise Fairhaven
Setback Issues
http://windwisefairhaven.com/

8)カリフォルニア州エネルギー委員会(California Energy Commission)
頭記委員会では、風電のセットバックに関わる報告書を出している(2006年11月)。 報告書の内容は、ブレードの破片によるリスクを避けることを目的としたセットバックであり、州内の各自治体のセットバックの現状を解析し、頭記委員会としての考え方を整理したものである。 セットバックは、通常はタワーの高さおよびブレードの長さなどから算出されており、その距離は概ね300m前後となっている。
訳者注) 本報告書は、騒音という視点でのセットバックは一切考慮していない。さらに、報告書の中では、「風電の大型化が進み、これまでの“タワーの高さの何倍の距離がセットバックとして要求される”という考え方では、今後の風電開発の障害になる」とも述べており、風電事業推進者の立場からの報告書である。≪洋≫
PERMITTING SETBACK REQUIREMENTS FOR WIND TURBINES IN CALIFORNIA
http://www.energy.ca.gov/2005publications/CEC-500-2005-184/CEC-500-2005-184.PDF
(つづく)

第9回 (08.05.08) セットバック(その4)


4)英国騒音学会(UK Noise Association)
英国騒音学会は、風電の騒音に関する調査研究を行いその結果を報告した(2006年7月)。 その中で、風電の騒音は、他の騒音と比べ騒音レベルが同じであっても不快感を訴える人が多く問題が大きいのは、点滅ライトがブレードに反射して発生するフリッカーのストレスに因るものであることを明らかにした。 また、風電の騒音は、多数の風電が建設され且つ闇騒音レベルが低い農村地域で起こる特有な問題であるとも指摘している。 同報告書(タイトルは、「Location, Location, Location」)は、「風電の騒音問題は、建設の立地を慎重に行えば全て解決する」と主張し、以下を提言している。
・原則として、居住地から1マイル以内には建設すべきでない。
・行政府機関は、闇騒音の低い地域での“より厄介な騒音の性格”(more intrusive nature of noise)を考慮し、風電建設のガイドラインを見直すべきである。
・風電業界は、これまで風電の騒音問題を放置してきたとの一般の認識がある。今後は、窓口を開き、建設的な討議を行うべきである。

1) New Research: Wind Farms are Causing Noise Problems but “sensible siting” of turbines can overcome of the problems
http://www.ukna.org.uk/index_files/page0016.htm
2) Location, Location, Location
An investigation into wind farms and noise by The Noise Association
http://www.countryguardian.net/Location.pdf

5)フランス医学会(French Academy of Medicine)
フランス医学会のワーキンググループは、「風電施設から発生する騒音が、人の健康に悪影響を及ぼさないように、特別の規制を設けるべきである」と提言した(2006年3月)。 風電近くに住む人に、慢性的な騒音精神障害(chronic sound trauma)に似た機能不全が発生している。 風電の騒音がどのような健康障害を起こすかについての研究は不十分であるが、ブレードが発生する低周波に長期間暴露される住民の健康が心配される。 また、ある調査では、施設から1kmの場所でも、しばしば騒音制限を超えていることが明らかとなった。 今後さらに詳細な研究が必要であるが、医学会として、まずは居住地から1.5Km以内の風電施設の建設中止を提言した。
訳者注)フランスでは、2003年から12mを超える風電で、合計出力が2.5MWを超える施設には建設許可が必要になっているが、その建設許可制限では不十分であるとの医学会の判断で、今回の提言に至ったものと推察される。≪洋≫

第8回 (08.05.07) セットバック(その3)


3)オンタリオ州Ashfield-Colborne-Wawanosh 自治体(カナダ)
 上記自治体の議会は、2008年3月の投票で、風電のセットバックを400mから450mに変更することを決定した。 18ヶ月におよぶ住民および議会での論争の結果である。 自治体は、州政府の環境省による“ある研究者の論文(下記の4))”(風電の騒音による不快感は夜間に高まるという内容の研究)の精査結果を待ってこの決定を行った。 州政府の判断は、更に検討の余地はあるが、現状は科学的根拠に乏しいというものであった。 オンタリオ州政府の環境省は、改めて風電の騒音ガイドラインを見直す作業をしたが、現状の騒音レベルを規定した現状のガイドラインは間違っていないと結論し、新たにセットバック距離をガイドラインに設けることはしないとの結論に達した(2008年4月)。

訳者注)州政府の決定とは別に、自治体によっては独自にセットバックを条例として設けており、今回その見直しを行ったというものである。なお、訳者の調査では、Ashfield-Colborne-Wawanosh以外にも、ノバスコシア州ではCumberland自治体でセットバックを500mとする条例を可決し、Pictou自治体で600m以上のセットバックを求める条例が検討されており(下記の5))、かなりの数の自治体に独自のセットバックに関わる条例があるものと推測される。≪洋≫
(つづく)

1) The London Free Press  Wed. March 12, 2008
Regulations for wind turbines decided
http://lfpress.ca/newsstand/News/Local/2008/03/12/4982611.html
2) National Wind Watch March 12, 2008
Council makes change to wind turbine setback
http://www.wind-watch.org/news/2008/03/12/council-makes-change-to-wind-turbine-setback/
3) Dust-up over wind farms
Report: Noise from turbine meet guideline
http://www.torontosun.com./News/Canada/2008/04/30/5426156-sun.html
4) The sound of high winds: the effect of atmospheric stability on wind turbine sound and
microphone noise  Berg, Godefridus Petrus van den
http://dissertations.ub.rug.nl/faculties/science/2006/g.p.van.den.berg/
5) Picou County turbine setbacks

第7回 (08.05.05) セットバック(その2)


2)オンタリオ州(カナダ)環境省
 オンタリオ州政府の環境省は、2005年6月に風電プロジェクトに関わるFAQ(よくある質問)集を提供している(下記URL)。 その13番目に、「騒音制限を順守する目的で、風電と居住地とのセットバック距離を設定しているのか?」の質問があり、その回答として、「1,000m以内ではセットバックが要求されるが、1,000m以上離れていれば、風電の騒音は問題ないので騒音評価は必要ない」がある。 この法的根拠として、「PIBS 4709e」(下記URL)を挙げている。

FREQUENTLY ASKED QUESTIONS FOR WIND TURBINE PROJECTS
http://www.ene.gov.on.ca/envision/gp/5135e.pdf

PIBS 4709e
INTEPRETATION FOR APPLYING MOE NPC TECHNICAL PUBLICATION TO WIND TURBINE GENERATORS(PIBS 4709e)(2004年6月)
http://www.ene.gov.on.ca/envision/gp/4709e.pdf

訳者注)
本官報(PIBS 4709e)は、風電施設の建設にあたり、特に風電が発生する騒音の評価方法などを定めたもののひとつである。その内容は、居住地から1,000m以内に建設する場合は、騒音評価が必要であると定めているものであり、1,000m以上のセットバックが必要であるということではない(セットバックを主旨とするものではない)。 逆に言えば、どんな風電設備も1,000mを離れれば、騒音の影響は無いと結論したものといえる。なお、オンタリオ州では、合計2MW以上の風電設備には、事前の環境影響評価が義務付けられている。 ≪洋≫
(つづく)

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