|
平成14年の初夏でした。
家族で外食にでかけた時に、突然娘が「母さんが、右の胸にシコリがあるんだって」と言い出しました。
その時は軽い気持ちで「すぐに検査に行った方がいいんじゃない」と言いましたが...
医者で検査を受けた結果は“悪性の乳癌”とのことでした。
晴天のヘキレキとはこのこと。「なぜ?...」それが最初に湧いてきた気持ちでした。
結婚以来カゼで寝込んだこともない丈夫だけが取り得の家内。
バカ正直で一本気だけど、他人のことを一度も悪く言ったことのない優しくおおらかな人なのに、
なぜ神様はそんな試練を与えるのか。
「自分が痛いのや苦しいのは何も怖くない...ただ、もう少し子供たちと一緒に居てあげたい」と言う家内が不憫で、怒りが込み上げてきました。
結婚当初から土日は図書館で受験勉強。
独立してからも一日12時間以上働いて、年間休日は平均30日。
クライアントの株式公開準備のために経理・財務部長を兼任した時期は、朝7時から夜中の1時まで一日18時間働き続けて、一年半で4日しか休まなかったこともありました。
こんなに働いたんだから老後は二人で田舎でのんびり暮らそう...
そんな夢も全てが本当の夢のままになってしまう...
苦労ばかりかけて何もしてやれないまま家内が居なくなるかもしれない...
そう思ったときに、自分の足下が音を立てて崩れ落ちていくような気分に襲われました。
手術のための一ヶ月半の入院生活とその後の半年間の辛くて苦しい抗癌治療...。
その合間を見つけて毎月一度必ず家内と二人で旅行に行くことを決心しました。
そして、購入して以来忙しさに紛れて放ってあった山の土地に家を建てて、老後の夢だった「森暮らし」を一日でも早く始めることを決心しました。
平成15年の初春のことでした。
|