児童文学と音楽の散歩道

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こやたちのひとりごと

こやたちのひとりごと
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■作: 谷川 俊太郎
■絵: 中里和人 写真
■出版社: ビリケン出版 
■ \1,575(本体価格:\1,500)
■発行日: 2007年10月
 
>むかしから ずぅっと ここにたっている どこかにいきたいと おもったことはない
 
谷川俊太郎の言葉と、 中里和人の写真が
年月を経て、今にも朽ち果てようとしている、さまざまな形をして、さまざまな場所に建っている、古い「小屋」たちに命をともす。
小屋の材料は、廃材やサビだらけのトタン。板きれ、針金に、コンクリートのかけら。
ありあわせのつぎはぎ。
まだ日本が豊かではなかった時代に、誰か一人の手であわただしく、その場しのぎの物置として作られたものだろう。
昭和の時代、ネコパパの子ども時代には、こんな小屋のある風景がごく普通に、あったものだ。
いや、ネコパパたちだって、作り手だった。あり合わせの材料なんて、探せばいくらでもあったのだから。もっともそんなのは、いつも一日限りのものだったけれど…
そんな小屋たちは今も、忘れられた場所の片隅に、ひっそりと建っている。
 
 
刈り取られた田園に、カラスを留まらせて。
朽ちたトンネルの出口に。
水田に浮かぶように。
街を見下ろして。
古井戸の隣に。
生い茂る葉に覆われて。
立ち尽くす小屋。


中里和人氏は、4年をかけて全国を歩き、小屋の写真を撮りためたという。
彼は、ネコパパと同世代だ。書店でこの本の表紙を見て、思わず手に取り、まよわず購入してしまったのは、この世代独特の郷愁のためかもしれない。
そこに、80歳の谷川俊太郎の思いが共鳴し、小屋たちの思いを言葉とした。
 
>わたしぐらいの としになると くちはてるのも わるくないっておもう

でも、これは大人や老人だけの絵本じゃない。
子どもたちも、手にとってみれば、きっと気に入ってくれると思う。
読み聞かせにも、きっといい。
この手作り感、張りぼて感、そして何かに夢中になって、気付くとふいにひとりぼっちになっているという、
あの酸っぱい気持ち。それは、子どもたちもたっぷり持っているはずの、気持ちだからだ。
子どもに届くことで、小屋たちは息を吹き返す。

>ここにいるよ いつだって ここにいるよ
また あおう

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