児童文学と音楽の散歩道

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仏作曲家のピエール・ブーレーズ氏死去=90歳、現代音楽の巨匠
YAHOO NEWS 時事通信 16()2115分配信

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【パリ時事】現代音楽の巨匠の一人とされ、指揮者としても著名なフランスの作曲家、ピエール・ブーレーズ氏が5日、自宅のあるドイツ南西部バーデンバーデンで死去した。
90歳だった。親族が6日、仏メディアに明らかにした。死因は公表されていないが、晩年は病気で外出を控えていたという。
1925年に仏中部モンブリゾンで生まれる。パリ国立高等音楽院で学び、40年代半ばごろから本格的に作曲を開始。55年に代表作の一つである「マルトー・サン・メートル」を発表し、現代音楽家として確固たる地位を築いた。
50年代後半からは指揮者としても活躍し、米クリーブランド管弦楽団や英BBC交響楽団など各国の楽団を指揮した。仏国内では電子音楽の研究施設を創設し、教育活動にも取り組むなど後進の育成に尽力。仏エリゼ宮(大統領府)は声明を出し、「フランスの音楽を全世界にとどろかせた」とその功績をたたえた。
生前はたびたび訪日し、多くの著作が日本語に翻訳された。高松宮殿下記念世界文化賞(89年)、京都賞(2009年)も受賞している。 

ピエール・ブーレーズは高校生のとき、随分聞きました。
休みの日は自宅から電車に乗って、そこからバスに乗り換えて、団地周辺の住宅地にある亡き友の家に遊びにいく。土曜日で学校が昼で終わると、そのまま電車で彼の自宅に直行することもありました。

彼の家は、母親が教員、留守のことが多く、応接間にあった、今は懐かしい家具調ステレオが自由に使うことができました。そこで彼はネコパパが(見知ってはいるけれど)聞いたことがない、ストラヴィンスキーやシュトックハウゼンやシェーンベルク、ドビュッシー、ラヴェルの音楽を次々に掛けたのです。

その多くが、ブーレーズ指揮のCBSソニー盤でした。
最初は、クリーヴランド管弦楽団を指揮した、爆発的に鮮烈なストラヴィンスキーの『春の祭典』

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次はニュー・フィルハーモニア管弦楽団との、暗い深海のように重々しいドビュッシーの『海』

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それから…ニューヨーク・フィル音楽監督就任以降の数々の録音。
バルトークの『管弦楽のための協奏曲
これはライナーに比べると、メカニカルすぎると感じました。
同じバルトーク『中国の不思議な役人』

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恐ろしい音楽。ジャケットデザインとともに「刷り込み」の一枚でしたね。
ラヴェルのクリスタルガラスのような演奏もなかなか魅力でした。たとえば、魅惑の小品『海原の小舟』が素晴らしかった管弦楽曲集。

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ニュー・フィルハーモニアを指揮したベートーヴェンの『第5』という異色版もありましたね。遅いテンポで非情に徹した「『運命』の運命を変える『運命』」とうたわれ、随分話題になりました。これは、彼の作曲家の仕事と同じく、私には駄目でしたが。

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そんなわけで、個人的には若き日の思い出を喚起させる人なのです。

しかし、不思議にその後は、ブーレーズの指揮した盤を愛聴するということはありませんでした。
一度は、指揮の仕事を退き作曲に専念していたのですが、1980年代の半ばごろから指揮者としても復帰して、DGに数多くの録音を再開。ソニー時代のレパートリーもどんどん再録音するばかりか、マーラーやブルックナーの交響曲までも精力的に演奏していったのには驚きました。
そのいくつかは、聴きました。
ところが…どうも私には、「普通に整った演奏」としか感じないものが多かったのです。
批評家界隈では、これを「円熟」と呼んで歓迎していました。レコード賞も総なめ。
でもネコパパは、うーん、この人にその言葉は似合わないな…と思うばかりだったのです。

後年の作品で、ネコパパが愛聴するのはCDではなく、一枚のDVDです。
ベルリン・フィル・ヨーロッパコンサート2003
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DVDの音はCDに比べ貧弱と感じることが多いのですが、これは良好。
ラヴェルの「クープランの墓」は、かつてのクリスタル・トーンとは違うやわらかさが感じられますが、ブーレーズの棒に合わせて、ベルリン・フィルが粒立ちのいい、詩的な音色を奏でています。
続くマリア・ジョアン=ピリスとのモーツァルト「ピアノ協奏曲第20番」も、ピアノと溶け合った快調なバックアップを聞かせます。
ピリス目当てに購入したものでしたが、聴いてみると、ブーレーズの指揮にも、久々に感銘を受けた一枚でした。これなら「円熟」と呼んでも少しもおかしくない。
このような至芸を、モーツァルトやベートーヴェン、ブルックナーでもっと聞かせてくれれば、「若き日の思い出」にならなくて済んだのかな…そんな気がしています。

心からご冥福をお祈りします。

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90歳ですから、何があってもおかしくないですが、ついに来るべきものが来たという感じで寂しいです。

2016/1/7(木) 午後 1:30 [ SL-Mania ] 返信する

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ブーレーズの指揮した演奏は晩年に近づくにつれ「普通に整った演奏」と感じてしまうものが多いですね。私はこれを「ツルツルな演奏」と呼んでいます。
良い意味での「引っ掛かり」が無いんです。

ですが彼が若い頃の作曲した作品は、引っ掛かり満載で私は好きなんです(ただし好きなだけで詳しくない)

2016/1/7(木) 午後 3:55 不二家 憩希 返信する

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SL-Maniaさん、新聞でこのことを知った最初は、「そうだ、こんな人がいたな」という感じでした。それからしばらくして「昔は良く聴いたな。カッコイイ音楽と思っていたよな」という印象がよみがえってきた…そんな按配でした。でもやっぱり、記しておくべき人です。

2016/1/7(木) 午後 4:43 [ yositaka ] 返信する

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不二家さん、なるほど「ツルツル」ですか。確かに…それにしても一時期は、レコード・アカデミー賞など毎年取っていた気がします。選評もぴんと来ず、これは名誉賞かと思ったりしました。もっとはっきり書いてしまうと「音が綺麗に鳴っているだけ」という気もしたのです。だが、そこにこそ彼の求めていた抽象美があったのかもしれません。
曲は「マルトー・サン・メートル」を聞いたような聞かなかったような。彼の曲と私との距離は3メートル以上は絶対あります

2016/1/7(木) 午後 4:51 [ yositaka ] 返信する

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ブーレーズのニュー・フィルハーモニアを指揮したベートーヴェンの『第5番』を初めて購入した時のテンポの遅さには驚きました。このレコードがブーレーズの最初に購入したレコードでした。
その後、ストラヴィンスキーやシェーンベルク、ウェーベルンを多く聴くようになりましたね。
特に春の祭典(新、旧とも)とウェーベルンはお気に入りです。

2016/1/7(木) 午後 11:12 HIROちゃん 返信する

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私は1967年の大阪公演の「トリスタン」で初めて指揮者ブーレーズに接しました。
前奏曲から、ワグナーとは思えない軽い音をN響から引き出してきたのにはびっくりしましたが、その後もその傾向は変わりませんでしたね。
指揮者ブーレーズを見直したのは、CBS録音の「春の祭典」でした。
生々しい録音で仰天させられたことを覚えております。
新ウィーン楽派以降の現代作品の録音でも高い評価を受けているようですが、この軽い音には、最近少々疑問を感じ始めておりました。

作曲家ブーレーズも、前半の頃は意欲的な作風であったように思いますが、最後に入手した「レポン」は、なんか違う方向に行ってしまった印象です。

現代の作曲家・指揮者として高い評価を受けてきましたが、さて死後にどういう風になっていくかなぁという思いもあります。

2016/1/7(木) 午後 11:31 gustav_xxx_2003 返信する

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HIROちゃんさん、あの「第五」が初体験とは。なかなか衝撃の出会いでしたね。
彼のレコードは、ちょっとそのような「衝撃」を、演奏面でも選曲でも、またジャケットデザインでも期待して聞くことが多く、またソニーもそのような売り方をしていたと思います。でもその新鮮さも「役人」「ペトルーシュカ」くらいまでが旬ではなかったでしょうか。今聞くと内容もそのころまではよかった。「春祭」は残る一枚ですし、「第五」も、好き嫌いは別として面白い表現でした。

2016/1/8(金) 午前 8:31 [ yositaka ] 返信する

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グスタフさん、その公演はバイロイト音楽祭の引越し公演ではなかったでしょうか。当事の大阪は、来日クラシック演奏家の公演では、東京をしのぐ勢いがあったと思います。私自身は、まだクラシック開眼前の小学生でしたねえ
「軽い音」は、不二家さんの言われる「つるつるした音」私が当事「クリスタル」と感じ、のちに「綺麗に鳴っているだけ」と感じるようになった音、と通低するものがありますね。
フランスのオーケストラは、わりにハイ上がりの音に聞こえることがあります。ブーレーズの演奏がフランス的だと感じたことはないのですが、音そのものにはフランス的感性が刻印されていた、ということかもしれません。

2016/1/8(金) 午前 8:45 [ yositaka ] 返信する

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