児童文学と音楽の散歩道

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オランダのチェリスト、アンナー・ビルスマ氏が亡くなりました。享年85歳。
ピリオド楽器の音色や演奏様式がどうも苦手なネコパパが、とりわけ愛聴するこのチェリストは、ピリオド演奏の第一人者でした。
楽器や奏法を乗り越えて、ただただ素晴らしい音楽が迸ってくる人でした。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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以下、タワーレコードのサイトより引用

追悼 アンナー・ビルスマ(1934年2月17日 - 2019年7月25日)

掲載: 2019年07月26日 12:002019年7月25日(木)

世界の古楽界を牽引したオランダのチェロ奏者、アンナー・ビルスマ氏が亡くなりました。85歳でした。謹んでご冥福をお祈りいたしいます。

ビルスマ氏は1934年2月17日、ハーグ生まれ。父親に音楽の手ほどきを受け、16歳でハーグ王立音楽院に入学。コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者カレル・ファン・レーク・ボーンカンプに師事。バロック・チェロへも導びかれました。1957年、優等賞を得てハーグ王立音楽院を卒業。ネーデルラント・オペラの首席チェロ奏者に就任後、1959年にメキシコで開催されたカザルス国際コンクールで優勝しました。1962年にコンセルトヘボウ管弦楽団の首席チェロ奏者に就任し、6年務めたのち、ソリスト、室内楽奏者に転身しました。

その後はグスタフ・レオンハルト、フランス・ブリュッヘンらとともに、古楽器演奏のパイオニアとして、演奏会に、レコーディングに活躍。バロック・チェロ、モダン・チェロによるレパートリーは、幅広くバロック初期から現代音楽にまで及びました。また、妻でヴァイオリニストのヴェラ・ベス、ヴィオラ奏者のユルゲン・クスマウルと弦楽アンサンブル、ラルキブデッリを結成。古典派からロマン派までの室内楽レパートリーで時代考証による先駆的演奏を示して評論家、聴衆の双方から熱烈に支持されました。

研究者、指導者としてもハーグ王立音楽院およびアムステルダム音楽院教授を歴任、ハーヴァード大学から博士号を授与されるなど音楽界に大きく貢献。著者に、『バッハ──フェンシングの達人(Bach, The Fencing Master)』(1998)、『バッハのセンツァ・バッソ(BACH senza BASSO)』(2012)、『バッハと特権的少数派(Bach and the Happy Few)』(2014)、『落しもの──バッハの《無伴奏チェロ組曲》の最初の3曲のためのノート(Dropping — An Exercise Book for the FirstThree Cello Suites of Johann Sebastian Bach)』(2015)等があり、2016年に発表した渡邊順生との共著『バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る』(アルテスパブリッシング) も大きな話題を集めました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

■「チェロで踊る人」ビルスマの遺産から

♪チェロのためのバロック音楽 1968年 テレフンケン

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ビルスマ最初のソロ・アルバム。グリュネバッヒャー編曲のいわゆる「ボッケリー二のチェロ協奏曲」の室内楽版も含む。見事な技巧を駆使した演奏を披露していますが、まだ「古楽器奏法」の枠内での演奏という感じで、愛聴するにはいまひとつの印象を受けます。

♪バッハ 無伴奏チェロ組曲全曲 1979年 セオン

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ビルスマの名を世にとどろかせた1回目の「無伴奏」。
舞曲を意識した、生き生きと弾んだ演奏は、カザルス以来のこの曲のイメージを一新しました。この記事を書くために聞きなおしてみましたが、いやあ、やっぱり素敵です。聞いていて自然にリズムを取りたくなるような愉しさ。そして綿の手触りを感じさせるガサッとした体温のある響き。
彼は1995年、ヴィヴァルテ(ソニークラシカル)に二度目の録音を行っていて、なんとモダン楽器にガット弦使用という、イッサーリスと同じ方向性の演奏を行っています。そちらはテンポも遅めで、舞曲の楽しみはそのままに、表現の幅を広く取って、また別の魅力を引きだしています。互角の出来。ネコパパはどちらかといえば古いほうをよく聴きますけれど。

♪ヴィヴァルディ:協奏曲集  第1集1990年 第2集1996年  ヴィヴァルテ(ソニークラシカル)

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すごい勢いで飛び出してくる合奏に続いて、それを上回る奔流のようなチェロ独奏が躍り出てくる。激しさと沈潜の対比、激情の音楽。ネコパパの耳に「ビルスマ」の名を刻んだレコードがこのヴィヴァルディでした。以来何度聞いても圧倒されます。
これはジーン・ラモン指揮ターフェルムジークによる協奏曲集に含まれたもの。ビルスマのソロは各アルバムで2曲ずつしか聴けません。それだけが残念です。


♪ボッケリーニ;チェロ協奏曲とシンフォニア 1993年 ヴィヴァルテ

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ヴィヴァルディ同様、このボッケリーニも個性全開、ビルスマのピークを示す演奏です。ヴィヴァルディとは対照的に、やわらかい響きで内省的な音楽を追及。
特に最初に収められたニ長調の協奏曲は、リコーダーのオブリガートを伴った魅力作ですが、第1楽章のカデンツァや第2楽章での弱音部の雄弁さは、薄氷をなでるような、ぞくりとする感触があり、マイルスかシナトラか、と思うくらいです。


♪ハイドン:チェロ協奏曲集   1990年 ドイツ・ハルモニア・ムンディ

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こちらもボッケリーニ同様、雄弁のきわみのハイドンが聞けますが、ボッケリーニに比べるとやや普通というか…ビルスマ、これらの曲にそれほど共感していないような感じもします。自身の手になる解説文を読むと、ハイドンの作品であることを疑って
いる気配もある。そうかなあ。自筆楽譜が残っているのに?

♪ベートーヴェン チェロ・ソナタ全曲  ジョス・ファン・インマゼール(fp) 1999 ソニークラシカル
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♪ベートーヴェン チェロ・ソナタ全曲  マルコム・ビルソン(fp) 1986 エレクトラ・ノンサッチ

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ベートーヴェンのソナタも二度にわたって録音しているビルスマですが、なぜかどちらも、ちょっとかしこまって、きっちり弾いている印象です。特に新しいインマゼール盤は、その感が強い。もちろん、どの曲も、フィナーレあたりになれば、彼らしい活力みなぎるチェロを聴かせてくれるのですが、あのボッケリーニやヴィヴァルディを聞いた耳には「もっとやれるんじゃないか」と、身勝手な感想も抱いてしまうのです。ことによると、共演のビルソン、インマゼールが正統派のピリオドスタイルを頑として崩さないので、つい遠慮したのかも。
というのも…

♪プロシャ王とチェロ  スタンレイ・ホーホランド(fp)  1998年 ソニークラシカル

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こちらのアルバムに含まれたベートーヴェンの変奏曲の二曲でビルスマは、ソナタとは打って変わってはつらつたる躍動のチェロを響かせているからです。

♪ブラームス:チェロ・ソナタ シューマン:民謡風の五つの小品 ランバート・オーキス(P) 1995 ソニークラシカル

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ビルスマのレパートリーは古学にとどまることなく、1990年代以降はシューベルト、シューマン、ブラームスなどにも広がっていきました。メシアンの「世の終わりの四重奏曲」に参加したレコードも確かあったはずです。
このアルバムでの聴きものはブラームスよりもシューマン。カザルスの演奏でも有名ですが、ビルスマの演奏はいっそう軽いステップで、舞曲的要素を強調しています。ビルスマという人は、やはり「チェロで踊る人」だったのですね。

ビルスマは晩年、原因不明の病気による手足の麻痺に悩まされ、チェロが弾けなくなってしまったそうです。
YouTubeには2000年収録のバッハの無伴奏組曲第1番の動画がアップされていて、大変貴重な記録なのですが…


1979年のものとは別人のように、遅く深沈とした演奏です。
もしかするとこの時点で、病気の兆候があったのかもしれません。
あのすばらしいヴィヴァルディやボッケリーニのチェロ協奏曲も、ついに全曲録音は残されず、ぜひ聴きたかったドヴォルザークやシューマンのチェロ協奏曲や、ロマン派の小品の数々も、すべて幻となったのは…悔やんでも悔やみきれません。

せめては残された彼の遺産を大切に聴き、伝えたい。
幸い、未聴のものはまだまだ、あります。未発表録音の発売も期待したいところです。

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ビルスマの演奏は、ほとんど聴いていません。ボッケリーニの協奏曲は、ハルモニアムンディの50枚組BOX、ベートーヴェンのチェロソナタ全曲は60枚組BOXに入っていました。正直、特売で衝動買いしたBOXで、まだどちらも未聴でした。CDの所蔵枚数も多く、整理が悪いため誰の演奏家か、何の曲かも覚えていないCDが多くあります。他にもビルスマの音源があるかもしれません。
いつでも聴けると思っているだけで・・・駄目ですね。近いうちにビルスマの演奏を聴いてみたいと思います。

2019/7/31(水) 午後 1:17 HIROちゃん

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> HIROちゃんさん
ぜひお聞きください。いろいろな曲が入っている場合が多いですが、ビルスマのソロの入っている曲だけを取り出してお聞きになると、彼の演奏の魅力がよく伝わると思います。
ターフェルムジークやラルキブデッリの演奏も決して悪くはないのですが、「ピリオド演奏」の枠組みを超えるものではなく、ビルスマ一人が突出してスタイルを超えた音楽を響かせているように私は思います。

2019/7/31(水) 午後 6:22 [ yositaka ]


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