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「プレイボール!!」 ヒーローズは後攻の為、メンバーはグラウンドに散った。 一回表。淀川ボーイズの攻撃は始まった。 昨年度も大阪市長杯に行った強豪の攻撃である。 その打撃は凄まじく、ホームラン、二塁打、ヒットで「アッ」と言う間に6点を取られる。 少年ソフトボールは7回まで。5回を終わった時点で10点差があれば、コールド負けである。 やんちゃでいつも強気な亮介が顔を拭う。半べそ状態である。 後、4点を取られ5回が終了すれば、ヒーローズの夢は、初勝利は消える。 1回表、ヒーローズは相手の凡打やミスに救われ、ツーアウトまでこぎつけた。 あと一人で攻撃に移れる・・・・・。ランナーは1塁。 次のバッターは4番の主砲である。 初球から狙って来た。打球は鋭い勢いでサードを守る「安田」の前に飛んだ。 安田は天地の教えどおり、前に突っ込んだ。本田がバックアップにまわる。 その打球はイレギュラーバウンドし、安田の右目を直撃した。安田はグラウンドに突っ伏し、倒れこんだ。 観客もベンチも息を飲む。 そのサードからこぼれた球をショートの本田が素早く拾い、セカンドでアウトにした。 「スリーアウト!チェンジ!」 しかし、安田は起き上がれない。メンバー、天地は安田のもとに駆け寄った。 メンバーや主審、天地が駆け寄ったその時!安田はゆっくりと顔を上げた。そして・・・・。 「当たっちゃった!。へへ〜ッ!。大丈夫!今度は僕らの攻撃やね。」 泥で汚れた顔は饅頭をつけたように腫れていた。 相手のピッチャーは「ウインドミル投法」で体感速度90キロを超える球である。 ヒーローズの「バント戦法」は球にかすりもしない。それどころか腰を引く有様であった。 その後、一進一退で4回表の淀川ボーイズの攻撃が始まった。 一番目のバッターがキャッチャーフライを打ち上げた。 谷口は片足を引きずりながら、バックネットに突進する。頭からボールに突っ込み捕球した。 そして谷口は・・・・・吼えた!「ワンアウトや〜!」 2番目のバッターがレフトフライを打ち上げた。サードとレフトの中間ぐらいに飛んだ球をショートの本田が追い、滑り込みながら捕球した。 ヨッシャー!本田が・・・・・吼えた!。 「ツーアウト!あと一人や!」 3番目のバッターが、右中間にヒットを放って一塁を回り、2塁に向かった。 ライトの張本の強肩が呻る。矢のようなボールがセカンドに返った。 ショート本田がセカンドベース上でキャッチするとランナーに素早くタッチ。 「アウト〜!スリーアウト!チェ〜ンジ!」 さあ、ヒーローズの4回裏の攻撃である。 天地は少年達と円陣を組み、アドバイスを送った。 「ええか!バント戦法は間違っていない。雨にぬれたグラウンドはこの戦法には有利や。 あの速い球について行ってないだけや!腰をおとしてバットと目線を平行にして前に立て! 玉に合わそうとするな。上から叩くつもりでバントや。ええか!恐くはない!これからヒーローズの反撃開始や。 行け!思いっきりやれ。後で後悔しないように。ボールに集中しろ!ええな!ヨッシャ!行こう!」 亮介に兄の駿介が近寄る。 「亮ちゃん、とられた分、とり返そう!兄ちゃんまで打順を回せ!玉に食らいついて兄ちゃんに回せ!」 その言葉を胸に本田亮介は打席に立った。 そして、1球目。亮介のバントはサード前に転がった。ぬかるんだグラウンドにその打球は直ぐに止まった。 亮介は俊足を生かし、ファーストに駆け出した。 慌てたサードの選手は足を取られ、ファーストに投げた球は暴投になる。 それを見た亮介はセカンドに向かい、滑り込んだ。 「セーフ!」 ノーアウト2塁。 3番。机 真一がバントする。 ファースト前に転がるのを見た机は頭からベースに飛び込んだ。泥水が跳ねあがり、一塁手はひっくり返る。 「セーフ!」 亮介はサードに進塁した。 そして、4番本田駿介。 進塁した亮介に手を上げながらピッチャーを睨む。「来い!!」 駿介はいきなり初球を叩いた。 その球は3段ロケットのようにグングンと伸び、センターオーバーの3塁打。 2点を返し、5番 安田 浩二。3球目を転がした。ピッチャー前に転がしたバントはスクイズとなり、亮介が返った。・・・・・・3点目。 6番 大川がレフト前にポテンヒット!を放つ。本田 駿介が返り、4点目。ランナー2塁。ノーアウト。 そして・・・・・。7番 谷口! 谷口は不自由な足を摩りながら一人ごちた。 「行くぞ!僕はやるぞ!頼むぜ!僕の足・・・・これで動かなくなってもいいから・・・・・」 7番 谷口はツーストライクまでボールを見送った。天地の教えどおり、インコースの高目を待っていた。 5球目 待っていたインコース高目を谷口は全身全霊を込めて振りぬいた。 その打球はメンバーの思いを乗せて天高く舞い上がり、レフトの頭を超えた。 安田が返り、5点目が入った。谷口は不自由な足を引きずりながらもセカンドに到達した。 その顔は晴れ晴れしく、自分を克服した笑顔で最高の輝きを放っていた。 天地はここで、動いた・・・・。 8番 山崎に変えて、代打!「大野 忠志!」 そう、あの難聴で喋れない忠志を打席に送った。 忠志には、そのコールが聞こえる事は無いが天地に肩を叩かれた事で自分の出番を知る。 観客席から怒涛の拍手と歓声が沸き起こる。 忠志を抱きながら、天地は手話と言葉でささやいた・・・・「思い切りいけ!宇宙の果てまでかっ飛ばしてやれ!」 忠志はゆっくりと打席に立つ。そして、大きくバットを回した。 会場は静まり返り、その鍛えられた身体を見つめていた。 小降りの雨に大きな雷が光り落ちるた時、忠志の顔に笑みが舞い降りた・・・・。 ピッチャーから球が投げられた。 左足を大きく踏み出した忠志は今までの差別や苦しみを忘れ、 天に届けとばかり、無心にバットを振りぬいた。 その打球は天空に飛び立ち、風を切り裂き、レフトの金網を・・・・越した・・・・・・・・!! 「ホームラン!」 大逆転である。7点目が入った。チームも観客もお祭り騒ぎである。 観客席の応援団はみんな抱き合い、泣いていた。相手側の応援団も叫んでいる。 その後、お互い三者凡退を繰り返し、7回表の最後の守りである。この回を守りきれば念願の初勝利である。 トップバッターの打球はセンターオーバーの3塁打。いきなりのピンチである。 次のバッターを亮介は三振で切り抜けた。 次のバッターが、レフトフライを打ち上げた。 レフトの机が追いかけ、飛び込んだ! 「アウト。」 ツーアウト。あと一人。 最後のバッターが左中間奥ににヒットを放った。 万事窮すか!・・・・。 センターの一也が追う。その時、なんと・・・・ライトの張本がセカンドベース上まで来ていた。 ボールは一也から張本に中継された。 張本は弓のようにそらせた身体から谷口が守るホームベースに投げた。 その球は矢のような、糸を引くような球であった。 サードランナーがホームベースに突っ込んだ。 谷口はキャッチャーマスクを放り投げ前傾姿勢で両足を踏ん張り声を張り上げた。 「ヨッシャー!来い!」 谷口とのホームベース上でのクロスプレイになった。 泥水が跳ねあがり悲鳴と歓声の中、一瞬ナニが起きているのかも分からない状態に。 そこにいる人々は固唾を飲み、静寂が訪れた。 そして・・・・・・・・・・・、谷口が握り占めたボールを天につき刺し、叫びながら立ち上がった! 「オオ〜〜〜〜〜ッ!」 その顔は、得意満面のすがすがしくも、自信に溢れた顔であった。 ・・・・・・・「アウト〜ッ。ゲームセット!」 主審の声が場内に響く・・・・。 その瞬間、少年達も観客席も大地を揺るがすような歓声を上げた。 少年たちの親は泣き叫んでいる。全ての観客は泣きながら拍手していた。 相手チームもその応援団も拍手し、会場は一つになっていた。 ボロボロになったヒーローズのメンバーは体を引きずりながら、ベンチ前で円陣を組んだ。 天地の言葉を待つように見つめ合う少年たち・・・・。 天地は泣きながら少年達に話しかけた。 「よう、やったな!凄いな!お前達は最高や!ありがとう。監督もみんなも、いっ〜ぱい!幸せや。 ここにいる全ての人々に感動と勇気を与えた!差別や苦しみを乗り越えたお前達の勇気はみんなの心に残る。お前達も明日への希望や夢が持てたはずや!ヨッシャ!観客席に向かっていくぞ〜。」 観客席に向かって、整列したヒーローズは声を限りに叫んだ! 「ありがとうございました!!」 「それでは皆さん!右手を天に突き出し、声を揃えて!」 「せ〜〜の〜〜〜!!」 「ヨッシャー!行くぞー!」 |
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まいめろにゃんさん!遅くなりまして、すみません!
はい。みんな、とっても頑張りました。いつも、ありがとうございます。
2012/3/12(月) 午後 7:06 [ j-spec ]
千葉さん。遅くなりまして、すみません。
はい。執念と言うか何と言うか!頑張りました。
2012/3/12(月) 午後 7:08 [ j-spec ]
アルパカさん!遅くなり、すみませんでした。
感動の連続でした!いつもありがとうございます!
2012/3/12(月) 午後 7:09 [ j-spec ]
陸かめさん!遅くなり、すみませんでした。
そうなんですよ!あの試合の後、又、素晴らしい絆が生まれました。
2012/3/12(月) 午後 7:11 [ j-spec ]
テクちゃん!遅くなりすみませんでした。
みんなで力を合わせて一つの目標にまっしぐらと言うのは色んな感動が生まれますね!
2012/3/12(月) 午後 7:13 [ j-spec ]
たてようこさん!遅くなり、すみませんでした。
はい。忠志のホームラン、そしてみんなの頑張りは奇跡のようなものでした。
2012/3/12(月) 午後 7:14 [ j-spec ]
安寿さん!遅くなりまして、すみません。
はい。その後の少年たちは立派に成長し、何人かは当社に居りますよ!
2012/3/12(月) 午後 7:16 [ j-spec ]
ちーふ兄弟!遅くなり、すみませんでした。
はい。感動の連続でアッシも涙が止まりませんでした(笑)
2012/3/12(月) 午後 7:17 [ j-spec ]
スタージョン兄弟。遅くなり、すみませんでした。
解説者ですか〜・・・・できるかな〜(笑)
2012/3/12(月) 午後 7:18 [ j-spec ]
アラカイトさん!遅くなりまして、すみません。
はい。奇跡のような勝利でした。ありがとうございます!
2012/3/12(月) 午後 7:20 [ j-spec ]
Pマンさん!遅くなりまして、すみませんでした。
はい。みんな、必死でボールに食らいついていきました。ありがとう!です。
2012/3/12(月) 午後 7:22 [ j-spec ]
星紅さん!遅くなり、すみませんでした。
はい。漫画化も嬉しいですね!でも脚本が〜〜〜〜(爆)
2012/3/12(月) 午後 7:23 [ j-spec ]
愛ちゃん!遅くなりました。すみません。
やっとここまで、書けました。これも愛ちゃんが昔から応援して頂いたお陰です。ありがとう!
2012/3/12(月) 午後 7:24 [ j-spec ]
えりんちゃん!おそくなり、すみませんでした。
うん。えりんちゃんにも見て欲しかったな〜。でも、新しい、違う感動を一緒に味わえるように頑張ります。
2012/3/12(月) 午後 7:27 [ j-spec ]
bruceさん。遅くなり、すみませんでした。
一生懸命さは敵も味方もないですよね!感動でした。
2012/3/12(月) 午後 7:28 [ j-spec ]
玄さん。遅くなり、すみませんでした。
はい。努力と流した涙はとっても力を発揮しますね!
2012/3/12(月) 午後 7:30 [ j-spec ]
マグノリアさん!遅くなりまして、すみませんでした。
そうなんですよね!信じきる力と言うのは難しいですが、とっても強く作用しますよね!
2012/3/12(月) 午後 7:32 [ j-spec ]
風さん!遅くなりました。すみません。
はい。まるで映画の中に居るような錯覚を覚える奇跡の連続でした。
2012/3/12(月) 午後 7:34 [ j-spec ]
星紅さん!遅くなり、すみませんでした。
アニメ化・・・・良いなあ(笑) 嬉しいけどな〜。
2012/3/12(月) 午後 7:36 [ j-spec ]
疾風さん。遅くなり、すみませんでした。
素晴らしい言葉ですね!
「動かなくなり不要品として回収された時計でさえ1日2回だけだが魂が甦る時が巡ってくる。」・・・頂きます(笑)
2012/3/12(月) 午後 7:39 [ j-spec ]