芳住 純の生活実感

こんなこと、皆さんも感じているでしょ?

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【当たり役の宿命】

仕事を取る事は、大変です。サラリーマンの営業も、アポ無し・飛び込みで新規の顧客を得ようと努力します。多くの場合、契約に漕ぎ着けることは出来ません。

ショウビズの世界でも、それは同じです。通常、タレント・俳優は、所属プロダクションが取ってくる仕事に就くのですが、毎日仕事があるわけではありません。数週間も仕事が無いという場合、自分で仕事を探すしかありません。自分で履歴書を書き、オーディションを受け、仕事をもらう。ある連続ドラマの場合、4,000人以上の応募者があるなかで、役をもらえるのは、唯一人だけです。これは、規模の違いはありますが、企業イメージをアピールするキャンペーンガールや、ミスユニバース選考においても同様です。

かつての映画制作現場では、大部屋と言われる俳優たちが、端役の出番を待っていました。斬られ役・撃たれ役、良くて悪役です。映画の最後まで生きていられない役回りです。その役が回ってくるのを、ひたすら大部屋で待っているのです。

希に抜擢されて、主役級の扱いとなる人材が出現します。下積み経験の無い者が、いきなりドラマの主人公として登用されることは、今では珍しくありません。

黒部 進氏、森次 晃司氏は、余りにも有名な子供たちのヒーローとなり、この時代の寵児となりました。シリーズはスポンサー・視聴者の要望によって数クール延長され、ヒット作となりました。しかし、お二人ともその後は悪役俳優に転進し、さだめし心中複雑な思いがおありであったことと拝察致します。それも俳優の宿命であり、寧ろ役者としての真骨頂を発揮できる役柄ではなかったか。それは、観ている方にも十分伝わって来ました。

小池 朝雄氏は個性派のバイプレイヤーで、やはり悪役を演じることがありましたが、当たり役「刑事コロンボ」の声優となってから、ピーター・フォークの声は小池氏となりました。同様の例としては、山田 康雄氏がクリント・イーストウッドの当たり役となった他、ルパン三世としてもお馴染みですね。

渥美 清氏は、喜劇俳優として活躍し、映画「駅前」シリーズでは、独特の人情溢れる役柄を獲得しました。その後、「男はつらいよ」シリーズで寅さんとなった以降、金田一耕介を演じた以外、決して他の作品には出演せず、汚れ役にはなりませんでした。寅さんを観て下さる方の期待を裏切れない、という信念の元、お亡くなりになるまで、俳優渥美 清は寅さんであり続けたのです。

城 達也氏は、生前幅広い活動をされていましたが、ある深夜ラジオのナレーションを引き受けた時から、一切のオファーを断ったそうです。言うまでもありませんが、その番組は「ジェットストリーム」。その語りは素晴らしく、当時イージーリスニングと呼ばれたヒーリング系のメロディと共に、氏の言葉どおり、安らかに眠りにつける、そんな番組でした。現在では、個性派俳優である伊武 雅刀氏が後を継いで、放送を継続しています。

当たり役。それは、俳優にとって、名誉なことなのでしょうか、それとも迷惑なことなのでしょうか。

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