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先月に行われたユドヨノ大統領によるTanjung Priok 線視察が、思わぬ結果を招いています。5月に入って、大統領の命を受けた(?)スリ蔵相ら関係4閣僚が、急きょ沿線を視察する事態となりました。
ことの発端は、4月28日の大統領によるTanjung Priok 線視察にあります。この時ユドヨノ大統領は、新装なったピカピカのTanjung Priok 駅を視察するだけでなく、専用列車に乗車し、部分開通したTanjun Priok - Ancol 間を経由してPasar Senen まで移動、車中から沿線を視察する機会を得ました。ところが、大統領の目に映ったものは夥しいゴミの山と低所得者のバラック群、ショックだったに違いありません。視察を企画した運輸省、インドネシア鉄道にとっては、沿線住民の生活は守備範囲外であり、結果的にこのことが、大統領にありのままの沿線の姿を見せる結果になったものと思われます。私の記憶では、大統領がジャカルタ首都圏の鉄道に乗車するのは、2007年7月のSerpong 線複線化完工以来ですが、この時は中流層以上が主に居住する、比較的環境良好な沿線が視察対象となりました。 さて、Tanjung Priok 線視察で大統領は、その場でゴミ対策を命令、引き続き閣僚を派遣して、線路際に居住する低所得者対策を指示したようです。その結果、スリ蔵相が、「鉄道再生、沿線の整地、住民への低価格住宅の用意」の3本柱からなる計画を、2週間以内に立案するとの迅速な対応を明らかにしました。同時に蔵相は、運輸省、インドネシア鉄道、ジャカルタ州政府の役割分担についても言及しています。
私は昨年(2008年)8月、Tanjung Priok 線復活のための運動に一鉄道ファンとして参加させていただきました(フォトギャラリー第10回参照)。その時の光景は、今も目に焼き付いて離れません。この国の底辺に暮らす人々の置かれている状況を、目の当たりにしたからです。プライバシーの問題もあり、写真撮影をなるべく控えたために、フォトギャラリーの写真は穏やかなものが多くなりました。けれども、その住環境は、とても私に耐えられるものではありませんでした。おまけに、当日胃腸の調子を崩していた私は、やむを得ず住民の共同便所をお借りするはめになり、そこで見た衛生環境は、特にショッキングなものでした。 線路およびその周辺を不法に占拠する住民にはもちろん問題がありますが、彼らの立場にたてば、他に行く場所がないからやむを得ず占拠しているのです。当時、インドネシア鉄道が不法占拠住民対策として提示した、「故郷への帰郷のための、乗車券支給」に比べれば、今回の政府決定は明らかに一歩踏み込んだものであり、かつ迅速な対応だと思います。インドネシア鉄道も、彼らの予算内でできる限りのことをしたものと思われますが、大統領視察に始まる一連の動きを見ていると、国の東西を問わず、政治家のやるべきことが見えてくる思いがします。
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