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ジャカルタ首都圏の急行電車全廃、この衝撃的なダイヤ改定は、実施前日になってドタキャン、辛くも回避されました。今後、計画ダイヤの再評価が行われるため、その施行は7月1日まで延期されるそうです。
そもそも、「急行電車全廃へ」とのニュースが初めてメディアから流されたのは、3月上旬ころのことだったと記憶しています。ところが、いつまで経っても鉄道会社による公式発表は行われず、実施前日になって突然の延期発表 ... 1月8日の「運賃値上げ、当日撤回」を思い起こさせるドタバタぶりです。地元鉄道ファンの間でも、改定延期のニュースが駆け巡ったのは30日午後 … 当局の決定は、ぎりぎりまでもつれたようです。
さて、それでは実施延期となった「幻の4. 1改定ダイヤ」とは、一体どのような内容だったのでしょうか。KCJの公式発表、メディア報道、地元鉄道ファンサイトなどを基に、一部推定を含めて以下にご紹介しましょう。
最も重要なことは、運行会社の分割です。「エコノミー(系)電車」を運行するのは、これまでのKCJからインドネシア鉄道に戻され、一方、「コマーシャル電車」の運行が、引き続きKCJに委ねられます。このように聞くと、非冷房電車がインドネシア鉄道、冷房電車がKCJによる運行と思われるかもしれません。ところが、地元鉄道ファンらによると、実際はもう少し複雑なようです。まず、「エコノミー(系)電車」の定義ですが、これはインドネシア鉄道保有車両を意味します。具体的には、全ての非冷房車、都営6000形、JR103系、東急8000系、8613Fを除く8500系、東京メトロ5000系、東葉高速1000形およびKRL-I系を指します。一方、「コマーシャル電車」はKCJ保有車両を意味し、具体的には東急8500系8613F「JALITA」、東京メトロ05系、6000系および7000系を指します。
次に、列車種別ですが、急行電車が全廃されることにより、全ての列車が「各駅停車」となります。その上で、非冷房車が「エコノミー」、インドネシア鉄道が運行する冷房車が「エコノミーAC」となり、両者を合わせたものが、前述の「エコノミー(系)電車」です。一方、KCJが運行する冷房車が「コマーシャル」となるそうです。冷房車両を用いて運行される各駅停車に、2つの種別(「エコノミーAC」と「コマーシャル」)があることは何とも不思議ですが、両者で運賃も異なるようです(ドタキャン前の最終案で、両者の統一が成っていたか不明)。異なる運賃の場合、ご賢察のとおり、コマーシャルの方が、エコノミーACより高額となるそうです。利用者から見ると、この措置は何とも不便です。強いて日本に例えれば、京王線内を走る電車が、京王電鉄保有車両と都交通局保有車両で運賃が異なるようなものでしょうか。
そして、実際のダイヤですが、地元鉄道ファンサイトに掲載された中央線系統の計画ダイヤでは、エコノミーが1日31往復、エコノミーACが15往復、そしてコマーシャルが56往復となっています。ジャカルタコタ – ボゴール間の所要時間は、これまで急行電車で約55分だったのに対し、全ての列車が各駅停車となることから、全列車でほぼ1時間半となります。なお、日曜、祝日運転の「アンチョール観光急行」も各駅停車化、「アンチョール観光列車」となって、ボゴール – アンチョール – タンジュンプリオク間で運転されることになっています。全線完乗した場合、ジャカルタ首都圏最長となる、2時間以上の長時間乗車となります。
いかがでしたか。何とも摩訶不思議な種別設定、運賃設定、そしてダイヤ設定ですね。実施延期となって良かったと、個人的には思います。これからの3カ月間で、じっくり再評価され、より良いダイヤおよび運賃設定となることを願ってやみません。
最後になりますが ... 2011年のダイヤ改定、実はこれだけに留まりません。第2弾が計画されているのです。次回は、年末に予定されている、再度のダイヤ改定計画について、お話しましょう。お楽しみに。
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先日地元メディアに、ジャカルタの線路生活者についてレポートした記事が掲載されました。ジャカルタ首都圏の鉄道に関わる庶民レベルへの取材では、これまでも劣悪な環境の下で乗車を余儀なくされている、エコノミークラス乗客が取り上げられてきました。しかし、線路生活者に焦点が当てられるのは、珍しいことです。
この記事の中で取り上げられたW夫人は、中央ジャカルタの鉄道線路脇に、バラックを建てて住んでいます。その住処は、竹竿で組み立てられ、ダンボールと新聞紙を敷き詰めただけの粗末なものです。夜間、ゴキブリと蚊を寄せつけないために、ケロシンランプだけが彼女の頼りとなります。線路からわずか2m、列車の警笛に一晩中悩まされながら、眠りにつかねばなりません。彼女は、中ジャワ出身の80歳代、Sさんという69歳の男性と、もう何年もこのような過酷な環境に耐えて暮らしてきました。夫、子供とは、とうの昔に死別したとのことです。
この付近一帯には、彼女のような線路生活者が800名ほど、永年にわたり居住しています。ところが最近、インドネシア鉄道は、彼らの排除を積極的に推し進めています。鉄道会社は、故郷までの無料乗車券を提供するとしていますが、W夫人には行き先がありません。故郷には、最早家族、親戚もいないからです。以上が記事のあらましです。
鉄道会社にしてみれば、彼ら線路生活者は非常に困った存在です。列車運行上、危険であるばかりでなく、信号ケーブル火災の原因ともなっています。また、線増計画の障害でもあります。一刻も早く、排除したいにちがいありません。行政もただ手をこまねいて見ていたわけではないようです。しかし、低所得者用住宅は建設が進まず、完成しても、「都心から離れ、職場へ遠い」、「電気、水道もない」ような住宅は、全く人気がありません。
私も何回か、線路生活者の方々と接したことがあります。中でも、ジャカルタコタ – タンジュンプリオク間のウォーキングイベントに参加した際の経験は、強烈なものでした(フォトギャラリーNo.10)。運行休止中の線路上に立ち並ぶ、おびただしい数のバラック、むせ返るようなゴミの匂い・・・とても耐えられるものではありませんでした。とりわけ印象深かったのは、当日やや体調が悪く、現地でトイレをお借りしたことです。当然のことながら、各戸にトイレはありませんでした。線路脇の井戸のある場所に、彼らは共同トイレを設置していました。お借りしていながら、失礼な言い方で恐縮ですが、その不衛生さは日本人の想像を絶するものでした。
しかし、悪いことばかりでもありません。彼らには何と言うか、「悲壮感」がないのです。インドネシア語には、「気にしない」を意味する、「ティダアパアパ」という言葉がありますが、彼らの生活は、まさに「ティダアパアパ」なのです。
にこやかに暮らすこの人たちは、一体何者なのか・・・私は、いまだにそれが分らずにいます。
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ジャカルタ首都圏では本年(2011年)、合計130両の新規電車導入が計画されています。これはジャカルタ首都圏の電車運行業務を担当するKCJ(PT KAI Commuter JABODETABEK)のマクムール総務部長が、3月18日地元メディアに明らかにしたものです。
マクムール氏は本年2月にも同様の発言をメディアに対し行っており、このこと自体は新事実ではありません。ただ、今回は2010年の達成導入車両数が「118両」であったこと、そのうち「60両」が、既に営業運転に入ったことも、同時に明らかにしました。この発言により、2011年の新規導入計画が、おぼろげながら見えてくることとなりました。以下に解説します。
まず、2010年の達成導入車両数「118両」と、営業運転に入った車両数「60両」の内訳を考えてみましょう。これまでのいくつかの地元報道と、実際に運転されている車両の観察を基に、私は以下のとおり見積もりました。
表: ジャカルタ首都圏における2010年達成導入車両数と営業運転開始両数
この表から分かるのは、現地化改造中、営業運転許可待ち、あるいは製造元からの出荷待ちとなっている、東京メトロ05系30両、東京メトロ6000系20両、そして国産新造電車8両は、2010年達成導入数に含まれ、2011年の新規導入計画両数の中には含まれないことです。言い換えれば、2011年新規導入「130両」の「外数」になっていることになります。
それでは、新規導入「130両」の内訳はどうなっているのでしょうか。以下に推測してみます。
JR東日本203系:
本系列は全て、2011年「新規導入車両」にカウントされているものと思われます。導入のためのテンダーは実施済み、その結果も公表されています。ただし、具体的な導入両数については公表されていません。なお、KCJ社ホームページ上で公表されたビッディングドキュメントでは、導入単位が1編成10両とされていることから、導入両数は10の倍数であり、理屈上は最大13編成130両の導入まであり得ます。
国産新造電車:
ドイツ復興金融公庫の資金協力を得て、ボンバルディア社から主要機器の供給を受け、インドネシア国営鉄道車両製造会社で、40両が製造されることになっています。上記表のとおり、このうち、2010年に4両x 2編成=8両が製造され、出荷待ちとなっているもようです。したがって、2011年には、残り8編成32両まで導入される可能性があります。
その他の系列:
上記以外の新規導入については、今のところ公表されていません。しかし私は、その可能性は大きいと考えます。何故ならば、過去の事例から考えて、同一年に、同一車両系列(JR東日本203系)を、一気に100両以上も導入するのは難しいと考えるからです。その他の車種導入も検討されていると考えるのが、自然ではないでしょうか。ことによると、私たちの未だ知らない「あっと驚くような」車両が、インドネシア行きの候補となっているかもしれません。
最後に上記を踏まえ、新規導入130両を達成するための、考え得る車両組み合わせのうち、可能性の大きそうなものを列挙しておきます。
① 10両(JR東日本203系含む)x11編成+4両(国産新造電車)x5編成=130両
② 10両(JR東日本203系含む)x5編成+4両(国産新造電車)x8編成+8両(新規導入系列)x6編成=130両
③ 10両(JR東日本203系)x1編成+4両(国産新造電車)x8編成+8両(新規導入系列)x11編成=130両
(注)8両編成の導入は、東急8000系、8500系で実績あり
今後のニュースに目が離せません。興味の尽きない「JABOTABEK鉄道」です。
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地元報道によると、ジャカルタ首都圏では4月から急行電車を廃止、全ての電車を各駅停車とした上で、冷房なしの「エコノミー」と、冷房付きの「エクゼクティヴもしくはコマーシャル」の2クラスに集約するもようです。
急行電車を廃止する理由を関係者は、「各駅からの乗車機会を増やすため」としています。確かに電車が全ての駅に停車することで乗車機会が増加、また平行ダイヤとすることで、輸送力も若干増強されるかもしれません。その一方で、速達性に優れた急行電車が無くなり、代わりに運転される冷房つき各駅停車は、混雑が増す可能性が高いと思われます。
何よりも私が残念なのは、ジャカルタ首都圏を快走する「パクアン急行」などの看板列車が、姿を消してしまうことです。日本で言えば、「京急から快特が消滅するようなもの」ではないでしょうか。パクアン急行は、ジャカルタコタ・ボゴール間54.7kmを50分台で結ぶ俊足、しかもこの間、高度にして242mを駆け上がります。これが廃止されると、同区間の所要時間は約1時間半となり、30分も余計にかかるのです。これまで、ジャカルタ市内からボゴールへ気軽に散歩に出かけていたのが、相当億劫になります。
地元鉄道利用者で作る団体、KRLマニア(JABOTABEK鉄道乗客フォーラム)は、早速ホームページ上でこの話題を取り上げ、利用者の不満を掲載しています。それらは、妊婦などの弱者や通勤客のものが多く、「速達性が失われることへの不満」と「少々高い料金を払っても、相対的に混雑の少ない電車に快適乗車したい」との声であふれています。
ところで、急行電車の廃止はダイヤ改定を意味します。最近の改定は、2006年2月、2007年8月、2008年7月そして2010年3月と、11ヶ月ないし1年8ヶ月のスパンで実施されてきました。仮に改定が実施されると、1年1ヶ月ぶりとなります。ブカシ線、スルポン線では中・長距離列車も同一線路上を運行されていることから、ダイヤ改定が実施されるならば、全国規模のものになると思われます。
鉄道会社の公式発表を、待ちたいと思います。
冒頭写真は、方向幕に「パクアン AC(冷房)、ジャカルタ - ボゴール」を表示する、東急8500系8607編成
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先日地元メディアに、ジャカルタのパークアンドライドに関わる取材記事が掲載されました。取材は主に、スルポン線のジュランマング駅を対象に行われています。この駅は、市民にパークアンドライドを奨励するため、インドネシア鉄道とKCJが、新興住宅地の近くに、広い駅前駐車場を確保した新駅を2009年に開業させたものです。その後、一部の急行電車も停車するようになり、今日に至っています。それでは以下に、記事の抄訳を掲げましたのでご覧ください。
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年々悪化する交通渋滞の中で、ジャカルタ郊外居住者は、市内へ通勤するための費用対効果の高い手段が求められています。そのひとつが、個人の乗り物と公共交通機関を組み合わせた「パークアンドライド」です。
通勤者は郊外駅で自家用車を駐車、そこからジャカルタ中心部へは電車で向かいます。これは単に渋滞のイライラを解消するだけでなく、コストと時間の節約にもなります。
「私はこの方法で2時間の時間と、幾ばくかのお金を節約しました。」
そう語るのは、南タンゲランのチプタットからの通勤者Zさんです。彼は午前6時に家を出て、スルポン線ジュランマング駅まで自家用車を運転し駐車、そこからタナアバンまで電車を利用しています。運賃は5,000ルピアです。タナアバンから北マンガドゥアの勤務先までは、約15,000ルピア支払ってオジェック(バイクタクシー)を利用しています。彼は以前、もっと多くのお金をかけて通勤していました。
「かつては、一日に60,000ルピアも通勤交通費にかかっていましたが、今では40,000ルピアで済みます。」
と52歳の彼は語りました。
南タンゲランのビンタロジャヤに住む女性、Dさんは、パークアンドライドで多くの利便性を享受しています。
「市内の道路は込んでいて駄目です。ストレスが溜まるだけです。電車に乗れば、早く帰宅でき、子供たちとの素晴らしい時間を過ごすことが出来ます。」
そう語る彼女は42歳、クバヨランラマの製薬会社に通っています。彼女は、ジュランマングから乗車してパルメラで下車、そこから職場まではオジェックを利用しています。一日の通勤交通費は25,000ルピア、以前自家用車通勤していた時は、70,000ルピアもかかっていました。
パークアンドライドの最も魅力的な点は、何と言ってもそのコストです。駅前駐車場では、一日当たり、たったの5,000ルピアを支払うだけで駐車できます。市内中心部の駐車場代が、1時間あたり2,000ルピアであることを考えれば、その低価格は際立っています。もっとも、最近の需要の高まりによって、郊外の駅前駐車場の利用料金は上昇傾向にありますが。例えば、ジュランマング駅では、最初の3時間まで2,500ルピア、丸一日駐車して6,500ルピアです。
(注) 1ルピア=0.0107円
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いかがでしたか。日本人から見れば、ジャカルタ中心部の駐車場代が、1時間あたり2,000ルピア(約21円)というのは、それでも十分に魅力的です。しかし、問題は都心へ続く道路の大渋滞です。例えば上記のジュランマング駅の場合、スルポン線に併走する道路は、有料の高速道路のみ、しかも毎朝大渋滞しています。時間の節約を考えれば、鉄道利用の方が優れているのは明らかです。
それでは、何故もっと爆発的にパークアンドライド利用者が増加しないのでしょうか?理由はいろいろあると思います。「電車への乗り換えは面倒」、「電車は本数が限られている」、「エコノミーに乗車すると、混雑が激しい」、「エコノミーでは、スリなどの犯罪に遭遇するリスクが高い」、「そもそもパークアンドライドに関する情報が少ない」などでしょうか?スルポン線は比較的輸送力にゆとりがあり、変電所容量の増強などで、まだ電車増発余地もあると思います。あとは、都心側の接続交通手段が、もう少し充実すると良いのですが・・・。
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