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以前、このブログで、「JABOTABEK 最古参の車両」と題して、東京メトロ5000系に関わる思い出を記しました。今回は、その続編、「3X年の時を超えて」と題して、東急8000系の思い出をご紹介します。
東急8000系は2005年からジャカルタ首都圏に導入が開始され、現在3編成24両が在籍しています。日本では1969年にデビューしました。世界で初めて回生制動を可能にした「界磁チョッパ制御」や、国内量産車初の「ワンハンドルマスコン」などが採用された、ハイテク電車となりました。
さて、私が8000系と最も濃いつき合いをしたのは、高校時代の3年間でした。東横線沿線の学校に通学していたからです。今から3X年も前のことになります。当時、8000系は最新鋭車両、一方、「雨ガエル」こと5000系もまだ健在で、先端が曲線となる渋谷駅では、かなりのホーム離れがあり、乗降に気を遣ったことを覚えています。
現在ジャカルタにいる3編成、8003F、8007F、そして8039Fは、いずれも当時東横線に在籍、私の高校生活を支えてくれました。ただし現在とは異なり、編成は、たったの5両でした(在学中に一部6連化したと記憶)。このうち、8039編成は、今なお日本時代の方向幕を掲げる唯一の8000系として、特にお気に入りの編成です。しかし、実を言うと高校時代の私は、この編成はあまり好きではありませんでした。何故なら、「冷房取り付け準備車」と称して屋根上に冷房装置の外キセのみを装着していたからです。暑い夏の下校時、屋根上に大きな箱を載せているのが遠くからでも分かることから、「冷房車が来た」と喜んだのも束の間、実は「準備車」と分かった時の落胆は忘れられません。詐欺師です。それに対して、8003Fと8007Fは、「正直者」の善良な車両でした。何故なら、屋根上に見られるのは、小型のベンチレーターのみ、つまり、非冷房車であることが、遠くからでも分かったからです。
異国にいるにもかかわらず、今でも8000系に乗車すると不思議な感覚に陥ることがあります。中央線の高架区間、例えば相対式2面2線のゴンダンディア駅に進入する時は、祐天寺駅に到着する錯覚を覚えます。また、高速道路を含め片側7車線もあるガトットスブロト通りをくぐり抜け、暗がりから解放されてチャワン駅へ進入する時は、同じく上り電車で渋谷隧道を通過して、代官山駅に到着した時のような感覚を覚えます。この電車に乗ると、高校時代の情景が蘇るのです。
それにしても、同級生の女の子が「Aさんは、B君と両思いらしいよ」などと車内でおしゃべりする中、隣で上の空で「今、弱め界磁しているのかなあ」、「回生制動はどこまで効くのかなあ」などと「電動機の気持ちになって」妄想に耽っていた高校時代の私は、今にして思えば相当の変わり者だったにちがいありません。もっとも今でも、「歳のせいか、逆起電力が発生しても、弱め界磁できなくなったなあ(体の疲労を取り払い、さらに頑張ることができなくなったなあ)」などと妄想している点は、本質的に何も変わっていませんが…。
以上、かれこれ3X年のつき合いとなる、旧友への思いを記しました。東急8000系、これからも、私の良き相棒であってほしいと思います。
冒頭写真は、ジャカルタ到着後、まだ「伊豆のなつ」カラーだったころの8007編成、マンガライ駅付近にて2007年12月31日撮影、下写真は、全般検査後の8007編成、ジャカルタコタ駅にて2009年1月3日撮影
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インドネシアの鉄道趣味雑誌である「Majalah KA」の12月号は、運転士(機関士)の特集号です。運転士(機関士)になるための訓練から、彼らの日常、インタビュー記事などが掲載されています。その中のひとつ、彼らを悩ます「沿線住民のバンダリズム」とおなじみの「屋根乗車」、そして「困った乗客」について、以下にご紹介します。
1. 投石
運転士めがけて投げられた石が腕に当たる単純な事例から、中には石が目に当たって失明した運転士もいます。また、投石によって割れたガラスの破片によって眼球を傷つけた乗客がいます。
「Majalah KA」誌編集者の経験では、ボジョングデ - チタヤム間で、制服姿の沿線の中学生たちが投石、客室のガラスが割れたのを見たことがあるそうです(幸い窓にはフィルムが貼られており、破片で怪我することはありませんでしたが)。一方、タナアバン機関区のヘリー機関士によれば、最も恐ろしいのはサッカーの試合が行われる競技場のそばを通過する時だそうです。両チームのサポーターが石の投げ合いをすることがあるとのことです。
2.屋根乗車
ボゴール電車区の指導運転士デディ氏によれば、混雑時の乗客による屋根乗車も悩みの種です。感電や転落はもちろんですが、屋根の強度も心配です。乗務員室窓をステップに使って屋根によじ登る、屋根上から乗務員室側に向かって、前方に物を投げるなどの迷惑行為も後を絶ちません。
3.暴力
前述のヘリー機関士によれば、試合前後にサッカー場へサポーターを運ぶのは、緊張を強いられるそうです。何故なら両チームのサポーターが車内で遭遇し、暴力沙汰になることがあるからです。一方、デディ運転士によれば、乗客が運転士に直接暴力を振るうこともあるそうです。彼の経験では、マンガライ、レンテンアグン駅に停車の際、乗務員室に近づいてきた乗客に平手打ちされ、あるいは顔面を殴打され、床に転がされたそうです。
何ともすさまじいですね。日本では考えられない運転士への脅威です。
投石については、私も中央線乗車中にパサールミング付近で遭遇、こぶし大の石がドア窓から入って来て、客室床に転がったのを見たことがあります。幸い車内が空いていたため怪我人はいませんでしたが、ドアの窓ガラスは、粉々になりました。最も安全なのは、「戸袋窓のない車両の戸袋部分の座席を確保すること」と悟りました。
一方、屋根乗車については、かつて新聞記事で「客車の屋根が陥没して怪我人が出た」との報道を見たことがあります。一体何人が屋根乗車すると、陥没してしまうのでしょう。客車の屋根は、そんなに軟弱に出来ているものなのかと疑問を抱いた覚えがあります。
暴力行為もすさまじいですね。運転士が恨みを買うとしたら、客が乗車中であるにもかかわらず電車を発車させた、非常制動をかけたなどの原因が考えられます。それにしても、平手打ち、殴打までしますかね。
インドネシアには、どちらかと言うと、のんびりとして穏やかな人が多いと思います。しかし、何らかのきっかけで一旦スイッチが入ると、公共道徳を守らなかったり、突然暴力行為に及んだりするのでしょうか。普段の彼らからは、1997年に発生しスハルト退陣のきっかけとなった暴動など、想像もできないことです。それはインドネシア人に限らず、我々人類がもつ影の部分かもしれません。最悪の場合、戦争まで行きついてしまうような…。
運転士さんの憂鬱は続きます。
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地元報道によると、ジャカルタ首都圏の電車、とりわけエコノミー車(冷房なし各駅停車)の運休が相次いでいます。これは、12日(日)から顕在化したもので、13日(月)には、30列車が運休する事態となりました。運休理由について、ジャカルタ首都圏の電車運行業務を担当するPT. KAI Commuter JABODETABEK (KCJ)では「メインテナンス」を挙げており、整備不良により所定数のエコノミー車が確保できない状態に陥っているようです。
KCJでは通勤客の混乱を避けるため、12日の日曜日に翌日予想される運休列車をJABOTABEK 鉄道乗客フォーラム(KRLマニア)へ事前通報、同団体ホームページで、これが公表されました。しかし、地元メディアによれば、13日の月曜日、デポック、デポックバル駅などでは、多くの乗客が長時間電車の到着を待たされ、不満の声があがったもようです。一方、別のメディアは、ボゴール – スカブミ間で朝夕のみ運転され、通常昼間はボゴール電車区に留置されている気動車(KRD)Bumi Geulis号を、都心へ乗り入れさせて車両不足を補うとのアイデアを報道しています。これは13日の月曜日がBumi Geulis号の週一回のメインテナンス日にあたり、ボゴールから、点検が行われるタナアバン機関区まで、回送運転が行われたことをヒントにしたものと思われます。
ところで、冒頭に記した「30列車の運休」とは、実際には何編成が稼働不能に陥ったのでしょうか?手元にある車両運用表によれば、ジャカルタ首都圏で運用されるエコノミー車は1日14編成、このうち運休が事前に公表された各列車をチェックしたところ、3編成が稼働できなくなったことが判明しました。つまり、所望14編成のうち11編成しか稼働させられなかったことになり、異常事態と言えます。
実際、私が観察した限りにおいても、最近のエコノミー車の稼働状況は芳しくありません。例えばKL3-97系「Hitachi」は、4両 x 6編成のうち、実際に稼働を目撃するのは2編成のみです。この2編成は通常併結運転されているので、実質1編成のみ稼働と言えます。Holecについても同様で、正面窓枠が黄色に着色されたKL3-2000204Fとこの併結編成の実質1編成以外、最近はほとんど目にすることがありません。エコノミー電車は、近い将来、日本製中古電車を中心とするエコノミーACに置き換えられるとのことですが、今しばらくは庶民の大事な足として、活躍してほしいものです。
以上、運休相次ぐエコノミー車についてお伝えしました。
冒頭写真は、12月11日に運用が確認されたHolec KL3-2000204F+併結編成、ガンビール駅にて、下写真は、エコノミー車の「代走」として期待されるKRD Bumi Geulis、ボゴール駅にて
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インドネシア唯一の鉄道趣味雑誌である「Majalah KA」の12月号に、鉄道車両のナンバリングに関わる新たな規則が掲載されていましたので、以下にご紹介いたします。この新規則に基づけば、日本製中古電車も、やがて改番されることとなりそうです。
インドネシアの鉄道は、2007年に制定された鉄道規則23号に基づいて運営されており、このうち車両分類については、2009年制定の規則56号に記されています。それによると、同国の鉄道車両は、機関車・客車および特殊装備車両に分類されています。客車はさらに、自走可能な車両(電車・気動車)と機関車に牽引される客車に分けられています。
今回の措置は、上記の車両分類に基づき、統一的なナンバリングを行う目的で制定されたもので、運輸大臣令2010年KM45号として鉄道総局長から公布されました。このうち電車については、例えば以下のようにナンバリングされます。
K1 1 10 02
ここで、「K1」はエクゼクティヴクラスであることを示します。冷房付きの日本製中古電車は、全てこのクラスに属するものと思われます。何故ならば、旧都営地下鉄三田線6000形先頭車化改造車、6151F「Joko Lelono 2」は、衝突事故後改造の際、KL「1」…で始まる番号が付けられているからです。次の「1」は電車であることを表します。ちなみに、「0」であれば機関車牽引の客車、「2」は電気式気動車(KRDE)、「3」は流体式気動車(KRDH)を示します。さらに次の「10」は2010年にインドネシアで運転を開始したことを示します。最後の「02」は車両固有の番号です。K1 1 10 02とは、具体的には2010年に導入された、旧東京メトロ有楽町線7000系7117編成の2号車、7197に充当される可能性が大きいのではないでしょうか?
インドネシア鉄道は、新しい規則に基づいたナンバリングを開始しており、先般デビューした「Argo Jati」号用新型客車は、既にこれに従っています。一方、ジャカルタ首都圏には500両近い電車が在籍していますが、これらを全て改番するにはかなりの時間が必要と思われます。とは言え、今後東京メトロ千代田線から6000系が導入されると、旧都営地下鉄三田線6000形との識別が難しくなることを考慮すると、いずれかの時点で新ナンバリングが適用されるものと予想されます。旧東急東横線8000系「8039」車など、「栄光のナンバー」を有する車両も、改番される日が近づいているようです。
冒頭写真は消え行く運命にある?旧東急東横線8000系、栄光の車番「8039」、下写真は「KL1-」が付けられている、旧都営地下鉄三田線6151先頭車化改造車
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ジャカルタ首都圏の駅構内で、発車案内表示の設置が進められています。
最初に設置されたのはタンジュンバラット駅(冒頭写真)、2009年5月、KCJ(PT KAI Commuter JABODETABEK)がインドネシア鉄道会社から分離独立した際、同駅で開催される記念式典に合わせ、駅舎内とホーム上に設置されました。エコノミー・エコノミーAC・急行の各種別が「何分後に到着するか」と、「今、どこを走行しているか」が示されています。何しろ(おそらく)インドネシア初の導入であり、多くを望むことは困難ですが、表示が見にくいという難点がありました。
次に設置されたのは、ジャカルタコタ駅コンコースと思われます(下写真)。この表示は、日本の多くの駅と同じく、発車時刻、行先、種別となっており、左から2列目のコラムに列車番号も掲示されているのが、強いて言えば日本と異なる点でしょうか。当初は中・長距離列車の発車案内のみ表示されていましたが、後に電車の案内も加わりました。画面の左側半分では動画を見ることが出来ます。インドネシアの鉄道史、インドネシア鉄道会社の宣伝などが常時放映されています。難があるとすれば、掲示位置が高すぎて見にくいこと、発車番線表示が無いことでしょうか。
3番目の設置は、タナアバン駅コンコースと思われます(下写真)。この表示は大型LED画面から成り、日本の一昔前の表示に最も近い印象を受けました。種別、行先、(到着および)出発時刻、の他に、発車番線も表示されています。
最後に、おそらく最近設置されたと思われるブカシ駅ホーム上の表示をご紹介します(下写真)。この表示は発車順序、発車時刻、列車番号、行先、種別(あるいは列車愛称)が表示されており、電車と中・長距離列車の双方が案内されています。空港の出発便案内に近い印象です。雨除けのためアクリル板で覆われているため、見にくいのが難点です。
以上、ジャカルタ首都圏に導入された、発車案内表示についてご紹介してきました。ジャカルタにも発車案内表示が出現し、かつ、多くの駅で導入が進んでいるのはうれしいことなのですが、駅によっては、まだまだ工夫の余地もあると思います。例えば、「掲示位置が高すぎて見にくい」、「表示内容が理解しにくい」、「発車番線表示が無い」、「発車済みの列車は表示から消去してほしい(あるいは、出発済みと表示してほしい)」、「規格を統一してほしい」などです。
近い将来、さらにソフィスティケイトされた表示が進むことを願っています。
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