JABOTABEK RAILNEWS コラム

ジャカルタの電車を中心に、インドネシアの鉄道をご紹介しています。

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JALITAって何(2009.9.6)

 旧東急田園都市線8500系8613F ... その派手な赤い顔と並ぶ特徴のひとつに、行先表示器に掲げられた「JALITA」の文字があります。JALITA の意味については、デビュー当時インドネシア語辞書を調べたのですが、そこに求める答えは掲載されていませんでした。そこで地元鉄道ファンに訊いたところ、「Jali-jali Jakarta」の略との答えが返ってきました。何でもジャカルタ周辺に居住する、いわゆるButawi 族のお祭りの意味とか?また別の人に訊くと、jali - jali とは、一種の人形とのことだとか ... 何となく釈然としないものの、それ以上JALITA の意味は追究せずに、時が過ぎました。

 ところが先日、地元鉄道雑誌をパラパラとめくっていたところ、ふと目にした記事の中に、ついに正答を発見しました。それは、KCJ (PT. Kereta Api Commuter JABODETABEK)の新社長、Kurniadi Atmosasminto 氏へのインタビュー記事の中にありました。その中でKurniadi 氏は、8613F のJALITA の意味について、「Jalur Lingkar Jakarta = ジャカルタ環状線」の略であると述べ、その命名者がユスマン運輸相であると明らかにしました。

 正答が判明し、晴れ晴れすっきりした気分に一瞬なった私ですが、次に気になったのは、この着色がもたらす影響です。8613Fは、5月に行われたKCJ の創立記念式典に合わせて、赤色化されました。この式典には、「赤い記念列車」の名付け親である運輸相と、その上司であるユドヨノ大統領も出席が予定されていました(大統領は直前になってキャンセル)。時あたかも大統領選挙の真っ只中、赤は現職大統領ユドヨノ氏の最大ライバル、メガワティ氏率いる闘争民主党のシンボルカラーです。つまり、仮にユドヨノ氏が式典に出席していたら、目の前に、「ライバル政党のシンボルカラーをまとった、ぴかぴかの電車」が現れ、これに記念乗車する羽目になっていたのです。果してジョークで済まされたでしょうか?ちなみに、ユドヨノ氏率いる民主党のシンボルカラーは青、しかもジャカルタの環状線は、「ブルーライン」の愛称で呼ばれており、ここは「青い記念列車」を準備するのが自然の成り行きだと思うのですが ...。

 ユドヨノ政権にあって、ユスマン運輸相は官僚出身、政党政治家ではないので、電車の色まで配慮する必要はなかったのかもしれませんが ...。インドネシア人は、些細なことは気にしない、大らかな人たち ... と果して言い切れるのでしょうか?「たかが色、されど色」です。

注) その後7月に行われた大統領選挙において、ユドヨノ大統領は再選されました。
 今からちょうど9年前の2000年8月25日、ジャカルタ首都圏の鉄道で、日本製中古電車が営業運転を開始しました。旧都営地下鉄三田線6000形です。以来9年間、6000形はこれまで1両の廃車も出すことなく活躍し、今日の日本製中古車両全盛時代と、ジャカルタ首都圏の鉄道近代化の礎を築いてきました。ここに改めて、日イ関係者のこれまでのご努力に敬意を表するとともに、以下に6000形の足跡を追い、今後を占ってみたいと思います。

 そもそも6000形のJABOTABEK 鉄道への譲渡のきっかけは、都営三田線と南北線、東急目黒線の相互乗り入れに伴う、ワンマン運転化計画に始まります。この計画では、ホームゲートと呼ばれる新しい方式が採用されることとなりました。しかし、これに合わせて6000形の改造を行うには多額の費用と工期がかかることから、相互直通規格の6300形を新造することとなり、6000形の引退が決まりました。しかし、6000形は全編成とも大規模修繕工事と冷房化が行われており、「廃車するには惜しい」ため、できる限り再活用する方向で検討が進められました。その結果、このうち72両が、東京都と姉妹都市関係にあるジャカルタ特別州を中心にネットワークを有する、JABOTABEK 鉄道(インドネシア鉄道JABOTABEK事業部)へ譲渡されることとなったのです。その際、車両は全て無償とされ、インドネシアへの輸送と現地における若干の改造工事が、日本の有償ローンで賄われることとなりました。

 JABOTABEK 鉄道への導入に際し、技術的な問題として当時以下の点が指摘され、各々解決法が検討されました。

① 建築限界: 低床ホームで限界が心配された→インドネシア側がホームの改造を行う
② バックゲージ(フランジ内側間隔): 日本側の990mmから、インドネシア側の1000mmへ現地で改造する
③ 全電動車対策: 6000形は全電動車であるが、インドネシア側では変電所容量が不足していた→MT比の変更も検討されたが、最終的には全電動車のまま現地にて限流値調整で対応することとした
④ パンタグラフ集電舟の幅: 現地にて、インドネシアの規格に合わせた幅広のものと交換する
⑤ 連結器高さ: 現地到着時の牽引機関車と100mm のずれ→現地でアダプターを用意する
⑥ 車両幅: 6000形は細身のため、ホーム離れが心配された→現地でステップを設置する

 こうして準備が整い、1999年12月に志村工場からの搬出を開始、川崎埠頭でインドネシア側の国内手続き完了を待った後、2000年4月25日に第1便が出港、以後合計4回に分けて現地への輸送が行われました。一方、インドネシアでは、第1便が5月8日にタンジュプリオク港に到着、インドネシア鉄道マンガライ工場へ搬送して改造が行われ、6月26日から本線試運転が開始されました。そして全ての準備が整い、2000年8月25日、ボゴール発の急行一番列車が、ジャカルタコタへ向けて旅立ったのです。この間、東京都はJICAを通じて短期専門家を派遣する一方、本線試運転後は同じくJICAのシルバーボランティア制度を利用して、故障と定期検査指導を行ってきました。現地に赴いた関係者には多くのご苦労があったと、人伝に聞いています。

 さて、冒頭にも記した通り、以来9年間、6000形が1両の廃車も出さず、今日まで無事に運行されてきたことは、称賛に値します。実際、現地で乗車して鉄道関係者、乗客から話を伺うと、高い評価を得ていることがよくわかります。それまで、故障が多く、不潔で危険だったジャカルタ首都圏の鉄道イメージを、6000形が大きく変えたのです。この信頼性が、後の東急電鉄などからの積極的車両購入のきっかけとなりました。

 それでは、今後6000形はどうなってゆくのでしょうか?譲渡時、東京都は「適切にメイテナンスすれば、10年程度活躍できるであろう」とレターに記したそうです。その10年まであと1年となりました。ほとんどの車両が10年をクリアすることはほぼ確実と思われますが、気になる点もあります。それは、去る8月4日に追突事故を起こした6151Fの動向です。8月16日現在、当該編成はボゴール電車区に留置されていますが、非常に厳しい状況です。何とか復帰することを願っています。また、先日報道されたKCJの車両導入計画では、2013年までに新たに400両の日本製中古車両導入が計画されており、これが順調に進むと、6000形の大部分が廃車される可能性を否定できません。逆に言うと、日本製中古車両が思うように調達できない場合、これから先、2013年以降も6000形は第一線で活躍しなければならないこととなります。

 まだまだ頑張りが期待される6000形です。その責任は重大です。JABOTABEK RAILNEWSでは、これからも6000形の活躍を応援し、その動向に注目してゆきたいと思います。


参考文献
入江圭 2001 インドネシアJABOTABEK で活躍中の都営三田線6000形, 特集東京都営地下鉄, 鉄道ピクトリアル 704, pp 96-100
 今回は、JABOTABEK 圏の話題を離れ、インドネシア鉄道の豪華特別客車、「Kereta Wisata」について記したいと思います。

イメージ 1 インドネシア鉄道はこのほど、Kereta Wisataと呼ばれるグループに属する特別客車3両(Kereta Nusantara、Kereta Bali およびKerata Toraja)のうち、Kereta Bali、Kereta Toraja の2両をジャカルタ - ソロ間の長距離列車用とし、プレミアムクラスとして営業を開始しました。
特別客車が連結されたのは、Argo Lawu 号とArgo Dwipangga 号の上下計2往復で、ともにジャカルタ - ソロ間を約8時間かけて結んでいます。これらの列車は、従来、エグゼクティブクラス客車8両からなる編成でしたが、新たにKereta Bali、Kereta Toraja のいずれか1両が、それぞれの列車に連結されました。

 
特別客車は、これまでいずれも貸切専用として希望者に貸し出され、300KVA以上の電源車を併結した長距離列車に、不定期に連結されていました。しかし、料金が高いこともあり、利用率が思うように伸びないため、うち2両を貸切専用からプレミアムクラスに改め、定期運用することが決断されたようです。その結果、これらの車両を少人数で利用した場合の料金は大幅に引き下げとなり、例えばジャカルタ - ソロ間では、貸切料金が1000万ルピアであるのに対し、プレミアクラス1名分の料金は100万ルピアとなっています。

 続いて、車両について解説します。Kereta Wisata は、いずれも1967年製の車体から成り、1995年 INKA社製のNT60(K-8)と呼ばれる台車を装着しています(文献による、しかし実車を観察したところ、少なくとも Kereta Nusantara についてはK-5、日本名NT-11を履いているもよう
)。内装は、3両それぞれ特徴あるものとなっています。

 Kereta Bali(S67801)は、インドネシアを代表する観光地、バリ島をイメージした内装、Kereta Toraja(S67802)は、コーヒーの生産と独特の文化で有名な、スラウェシのトラジャ地方をイメージした内装からなっています。これら2両は、いずれも定員22名、このうち16席が会議室、6席がコンパートメントとなっています。他に、バー、トイレ、荷物室、オーディオ・ビデオセット、冷房などが装備されています。

 一方、Kereta Nusantara(I 67801、あるいは67501か?)は、インドネシア諸島「ヌサンタラ」をイメージした内装からなっています。定員は19名で、2名分の寝室が装備されています。編成の最後尾に連結され、バルコニーから外の景色が眺められる他、バー、トイレ、荷物室、オーディオ・ビデオセット、冷房などが装備されています。なお、この客車は、これまでどおり貸切専用として使用されるもようです。

 冒頭写真は、朝のGambir 駅に停車中のソロ行き、Argo Dwipangga 号に連結されたKereta Bali です。プレミアムクラスとしての営業開始からまもないためか、この日は乗客がありませんでした。特別客車は、国内線航空機と比べはるかに快適な乗り物と思われますが、速達性に優れる航空機に対抗して、どこまで富裕層の乗客を獲得できるか、今後に注目したいと思います。

1ルピア=0.011円
 
 その後、利用客が少ないため、3両全てが貸し切り用に戻され、プレミアムクラスの運用は行われていないもようです。
 
(2010. 10. 2加筆修正)
 
 
イメージ 1 前回、8月2日付のカバー写真でご紹介した、インドネシア鉄道の軌道検測車EM120(右写真, Foto: Mas Galuh, Jabodetabek Railfan)について、文献、記事を少々調べてみましたので、以下に解説いたします。

 EM120は、ジャワ島の鉄道に在籍する唯一の軌道検測車です。オーストリアのプラッサー&トイラー社で製造され、1995年(?)以来インドネシア鉄道で活躍しています。西ジャワの第2地域事業部(DAOP II)バンドン機関区に所属、380kw/2300rpm ディーゼルエンジンを搭載した自走式車両で、全長約15m、自重は49トンです。両運転台式で、3台車6軸を有し、このうち2台車4軸に駆動輪が取り付けられています。

 軌道の検測は、直径25cmの測定輪を用い、軌間および水準、走行中車体の垂直水平方向の揺れなど7項目にわたって実施されています。運用ですが、ジャワ島内の全ての線区を、4カ月に1回検測しています。検測車の運転から測定まで全てを、インドネシア鉄道保線課の専門スタッフが、6クルー(1クルー 7名: リーダー、運転士2名、解析担当2名、機器担当2名)で担当し、1回につき3週間の作業を行っています。
 
 
 
 

 
 ジャカルタ首都圏の通勤輸送業務を担当するPT KAI Commuter JABODETABEK(KCJ)は、6月5日、ジャカルタ首都圏の鉄道乗客団体である、JABOTABEK 鉄道乗客フォーラム(KRLマニア)と会合を行い、今後の事業計画や乗客サービスについて質疑応答と意見交換を行いました。この様子は、双方のホームページ上で公開されています。このうち、KRLマニア側報道で、KCJ 幹部が語ったとされる、「2013年に冷房電車582両を保有する」との計画は、比較的信ぴょう性が高いと判断されます。そこで以下に、この数字の意味を考えてみたいと思います。582両(現在の冷房車数は244両)を達成するための「頭の体操」です。

 結論から述べると、上記数字を達成するための最もあり得そうなシナリオは、以下のとおり推定されます。

a. 旧都営地下鉄6000形: 12両(60両廃車)
b. 旧JR 東日本103系: 6両(10両廃車)
c. 旧東急8000系: 24両
d. 旧東急8500系: 64両
e. 旧東京メトロ5000系: 24両(6両廃車)
f. 旧東葉高速1000形: 24両(6両廃車)
g. KRL-I 系: 8両
h. 今後の日本からの中古電車導入: 400両
i. 今後の新造車両導入: 20両
合計: 582両

 以下に、解説します。

 旧都営地下鉄6000形(a)は、2013年時点で製造後40年未満の6271Fと6281F(いずれも4次車)2編成のみが廃車を免れ、残り60両は廃車の可能性が高いと思われます。本系列は、2000年に東京都から無償譲渡された際、「10年は使える(逆に言うと、10年以上は難しい)」と都側から説明されていたものです。

 旧JR 東日本103系(b)は車齢45年を超えることとなる低運転台車8両は廃車、高運転台車についても、1975〜1976年製造の旧ケヨE22編成の先頭車2両は廃車の可能性が高いと思われます。この結果、旧ケヨE22編成の中間車2両と、旧ケヨ20編成で新たに6連化され、1978年および1980年製造車のみから成る1編成が、生きながらえるものと推定されます。

 旧東京メトロ5000系(e)と 旧東葉高速1000形(f)は、各々6両ずつの中間車が運用されず、DEPOK車両基地に留置されたままとなっています。これらの車両は、かつては先頭車化を伴う改造を行って運用に供される計画もあったようですが、既に部品取りが進んでいます。したがってこのまま廃車される公算が大きいと思われます。つまり、現行の8両 X 3編成ずつ計6編成が、そのまま使用されると推定されます。

 日本からの中古電車導入(h)は、メディア報道などでは、2009年88両、2010年250両、2011年400両とされてきました。しかし、この数字は、各年次の導入車両数ではなく、2009年以降導入数の累計値のようです。なぜならば、上記のとおり導入すると、それだけで合計738両となり、582両を超えてしまうからです。そこで、2011年までに合計400両導入と読みかえられます。

 新造車両導入(i)は、かねてからのメディア報道のとおり、ドイツ復興金融公庫からの資金協力を得て主要部品を海外から供給を受け、インドネシアにて組み立てられる新造車両20両のことを指します。

 いかがでしたか。582両を達成するための組み合わせは他にもあるかもしれませんが、上記推定は、ひとつのシナリオとして成り立つのではないでしょうか。ただし、これが仮に正しいとしても、現実には多くの不確実性が残ります。例えば、日本からの中古車両400両調達の成否は、旧都営地下鉄6000形などの廃車時期に大きく影響するものと思われます。また、既存車両の全般検査時期などによっても、計画は微妙に変化し得ると思われます。

 以上、冷房車582両達成のための、「頭の体操」でした。あれこれ想像をめぐらし、考えることは、とても楽しいですね。
 
 
 

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