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去る7月1日、JABOTABEK 鉄道は、約1年ぶりとなるダイヤ改定を実施しました。この改定で、最も大きな変更となったのが、「Semi Ekspres (準急)」の廃止です。
しかし、消えゆくものにこそ愛情が湧くのが、鉄道マニアの心理というものではないでしょうか?右上に、今となってはなつかしい「Semi Express(準急)の表示」と、Semi Ekspres (準急)の乗車券」を掲げておきます。
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運輸
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JABOTABEK 鉄道を見ていて感心することの一つに、Gambir 駅の「列車捌き」が挙げられます。
Gambir は、JABOTABEK 鉄道中央線の駅であるとともに、ジャワ島内各地へ向かう長距離客車列車の始発終着駅でもあります。特に長距離列車は、ジャカルタ市内でも発着回数が多く、一日36往復に及んでいます。長距離列車の発着が、「表玄関」Jakarta Kota 駅より、Gambir 駅の方が多い最大の理由は、駅の構造にあると考えられます。Jakarta Kota 駅は頭端式で機関車の付け替え(機回し)が難しいのに対し、Gambir 駅は島式2面4線のため、これが容易だからです。 それでは実際、どのように機関車の付け替えが行われるのでしょうか。下り始発列車の一例を見てみましょう。Manggarai 方面からディーゼル機関車に牽引され、上り回送運転で下り本線ホームへ入線した列車は、ここで客車が切り離されます。その後、ディーゼル機関車だけが下り本線をJakarta Kota 方面へ進みます。折り返し下り退避線を通過後、そのままManggarai 方面へ下り本線を進みます。再び折り返して、下り本線ホームへ入線し、客車とManggarai 方で連結します。その後、下り始発列車として、発車してゆきます。 私が感心するのは、この一連の作業が、JABOTABEK 鉄道の電車運行の合間を縫って行われていることです。例えば17時台の下りを見てみましょう。この時間帯、Gambir 駅では、Bogor、Bekasi 方面へ向かう急行およびエコノミー、合計8本の電車が発着します(実際には、通過するものが多い)。単純計算すると、7分30秒に1本の割合です。一方、この時間帯には、Surabaya、Malang などへ向かう、4本の長距離列車がGambir 駅を発車します。その都度、電車発着の合間を縫って、機関車の付け替えが行われているのです。「限られたインフラで、よくやっているなあ」と正直思います。もちろん、上り下り両方の線路を有効に使って、列車が捌かれてはいますが、それにしても、めまぐるしい忙しさです。 インドネシアの人々は、「時間にルーズでのんびりしている」とよく言われますが、こんな秒刻みの職人芸が行われているところもあるんですね。 |
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2月から本格的に運行を開始した、エコノミーAC(冷房付き各駅停車)の快走が続いています。2月24日時点で1日5,000人だったJakarta Kota - Bogor、Bekasi 間のエコノミーAC乗客数は、その後、急速に増加、現在では20,000人に達しています。また、急行・準急なども併せた冷房車全体の乗客数は、JABOTABEK鉄道全乗客数の20%に達したとの報道も見られます。私もエコノミーACに乗車してみましたが、乗客が多いことに驚かされました。多少、運賃が高くとも、快適な車両に乗車したいという人々が増えていることを示しています。連日、激しい道路渋滞が続き、社会問題化しているジャカルタ首都圏にあっては、自家用車通勤する中流層を電車通勤にシフトさせることができれば、事態はかなり改善されるものと思われます。そのためには、どこの駅からでも乗車でき、涼しく、清潔かつ安全な環境が提供される、エコノミーACの増発が不可欠でしょう。
一方、エコノミーACの運行は、新たな問題も引き起こしています。エコノミー(冷房なし各駅停車)の運行回数が減り、一部乗客、特に所得の低い人たちから不満の声が上がっていることです。JABOTABEK 鉄道では、2010年には、一部列車(例えば、荷物を多く抱えた果物行商人などが乗車するもの)を除き、全車両を冷房化するとの計画を立てています。しかし、乗客の鉄道離れを引き起こすことなく、これを円滑に実行できるか、疑問が残ります。以前、コラムNo. 4でもお伝えしましたが、地元コミュニティサイト「KRL MANIA. COM」で、過去に興味深いアンケートが行われたことがあります。「冷房付き各駅停車の望ましい運賃」を質したところ、3,000ルピア(約38円)と答えた者が55%で最も多く、4,000ルピア(約50円)とする者が21%でこれに次いでいました。これに対し、2月に運行を開始したエコノミーACの運賃は5,000〜6,000ルピア(約63〜75円)であり、かなり高めの設定となっています。冷房車の乗客が増加しているとはいえ、全車冷房化時代を想定すると、もう少し安い運賃、例えば3,500〜4,000ルピア程度に設定する必要があるかもしれません。今まで2,000ルピア(約25円)の低運賃で乗車していた人たちに、いきなり3倍近い5,000〜6,000ルピアを要求するのは、消費者心理から見て無理があるからです。エコノミーACは「リーズナブルな運賃」で利用できて初めて、真に市民権を得られるものと考えられます。 |
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またまた、ドア扱いのお話で失礼します。
私は中学・高校時代、I 線で通学していました。この線には途中、Sというトンネルの谷間の駅があり、当時ホームが3両分しかありませんでした。乗客の増加に伴い編成は3両から4両、そして5両と増えていきましたが、ホームは相変わらず3両分のままでした。ホーム延長にはトンネルの拡幅が必要なのですが、工事が難しく、かつ多額の費用が必要だったためと思われます。そこで S 駅が近づくと、車掌さんは、3両分のドア開閉のみ行い、残り2両分のドアを閉じたままとするための措置、「二車締切」を行っていました。当時、私は、(ヒューマンエラーを防ぐシステムが別途存在しているとは言え)車掌さんが決して忘れずに「二車締切」を行うことに感服していました。なぜなら、注意力に欠けるこの私が車掌だったら、二車締切を忘れ、ホームの存在しない2両分のドアも誤って開放するかもしれないことが、容易に想像できたからです。「責任もって仕事するとは、こういうことなのか」と、当時私は学んだのでした。 さて、前置きが長くなりましたが、JABOTABEK 鉄道では、このような場面でどのような措置が取られているのでしょうか? 答えは、「二車締切なんて、ありません」が正解です。例えば、Bekasi 線のKranji 駅、ここには6両分のホームしかありませんが、8両編成のBekasi 急行が停車する際は、どうするのでしょう。何と、8両分すべてのドアが開放されます。何の前触れもなく突然に ... 。これを、「いい加減な鉄道だ」と思うか、「インドネシアらしくて、おおらかだね」と思うかは、皆さんの判断にお任せします。 |
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2008年1月3日、JABOTABEK 鉄道はManggarai - Depok 間で、旧東葉高速1000形車両を用いた冷房付き各駅停車の運行を開始しました。従来、急行・準急列車には、日本からの冷房付き中古車両が数多く使用されてきましたが、各駅停車にも使用されるのは、これが初めてです。
各駅に停車する冷房付き車両の運行は、かねてより乗客から切望されていました。例えば、地元サイト「KRL MANIA .COM」には冷房付き各駅停車の運行に関するアンケートコーナーがあり、実に89%の人々がその登場を望んでいます。つまり、今回の運行開始は、わずか4往復とはいえ、ようやく乗客の希望がかなったものとなりました。しかし、問題がないわけではありません。同時に行われた運賃に関するアンケートでは、冷房付き各駅停車の望ましい運賃は、3,000ルピア(約40円)とする者が55%で最も多く、4,000ルピア(約55円)とする者が21%でこれに次いでいます。今回運行を開始した列車の運賃は6,000ルピア(約80円)であり、この運賃が乗客に受け入れられるか否か、もう少し様子を見る必要があるでしょう。 なお、参考までに記しておきますが、JABOTABEK 鉄道には各駅停車という種別は正式にはありません。現存する種別は、急行・準急・冷房付きエコノミー・エコノミーの4種類です。このうち、日本で言う各駅停車に相当するのは、冷房付きエコノミーの一部とエコノミーです。Manggarai - Depok 間で運行を開始したのは、冷房付きエコノミーに属します。冷房付きエコノミーには、他にSerpong 線のCiujung 号、環状線のCiliwung 号がありますが、いずれも各駅停車ではなく、主要駅のみ停車、あるいは一部駅を通過する「準急相当」と言えます。それでは何故、準急と呼称しないのか、詳細は不明です。 |





