JABOTABEK RAILNEWS コラム

ジャカルタの電車を中心に、インドネシアの鉄道をご紹介しています。

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地元メディアによると、ジャカルタ首都圏鉄道車両の「屋根乗車」に対処するため、インドネシア鉄道が来る6月から3年ぶりに、スプレー噴射を実行するとのことです。これは、インドネシア鉄道のプルノモ取締役が地元紙に語ったものです。同氏によれば、スプレー噴射には、毒性の無い着色塗料が用いられ、出発駅で噴射、到着駅で警備員が容易に識別できるようにするとのことです。
 
インドネシア鉄道によれば、屋根乗車に伴う感電と落下による死者は、毎年35から40名に及んでいます。今回は、鉄道職員、ジャカルタ運輸局、警察などからなる合同チームを組織し、取締りを行うもようです。また、スプレー噴射以外に、「ブラックリストへの氏名記載」、「屋根乗車をしない旨の誓約書提出」、さらに常習者へは「3ヶ月の禁固」、または「最大1500万ルピアの罰金」が科せられるとのことです。
 
 同鉄道のアフマッド保安部長によれば、屋根乗車者には異なるタイプが認められるとのことです。それらは、「単なる楽しみ、あるいは危険行為をプライドにする人たち」、「無賃乗車を企てる人たち」、そして「車内混雑を避ける人たち」の3種類です。
 
(冒頭写真は、屋根乗車する人たち、ガンビール駅にて)
 
 
先日地元メディアに、ジャカルタの線路生活者についてレポートした記事が掲載されました。ジャカルタ首都圏の鉄道に関わる庶民レベルへの取材では、これまでも劣悪な環境の下で乗車を余儀なくされている、エコノミークラス乗客が取り上げられてきました。しかし、線路生活者に焦点が当てられるのは、珍しいことです。
 
この記事の中で取り上げられたW夫人は、中央ジャカルタの鉄道線路脇に、バラックを建てて住んでいます。その住処は、竹竿で組み立てられ、ダンボールと新聞紙を敷き詰めただけの粗末なものです。夜間、ゴキブリと蚊を寄せつけないために、ケロシンランプだけが彼女の頼りとなります。線路からわずか2m、列車の警笛に一晩中悩まされながら、眠りにつかねばなりません。彼女は、中ジャワ出身の80歳代、Sさんという69歳の男性と、もう何年もこのような過酷な環境に耐えて暮らしてきました。夫、子供とは、とうの昔に死別したとのことです。
 
この付近一帯には、彼女のような線路生活者が800名ほど、永年にわたり居住しています。ところが最近、インドネシア鉄道は、彼らの排除を積極的に推し進めています。鉄道会社は、故郷までの無料乗車券を提供するとしていますが、W夫人には行き先がありません。故郷には、最早家族、親戚もいないからです。以上が記事のあらましです。
 
鉄道会社にしてみれば、彼ら線路生活者は非常に困った存在です。列車運行上、危険であるばかりでなく、信号ケーブル火災の原因ともなっています。また、線増計画の障害でもあります。一刻も早く、排除したいにちがいありません。行政もただ手をこまねいて見ていたわけではないようです。しかし、低所得者用住宅は建設が進まず、完成しても、「都心から離れ、職場へ遠い」、「電気、水道もない」ような住宅は、全く人気がありません。
 
私も何回か、線路生活者の方々と接したことがあります。中でも、ジャカルタコタタンジュンプリオク間のウォーキングイベントに参加した際の経験は、強烈なものでした(フォトギャラリーNo.10)。運行休止中の線路上に立ち並ぶ、おびただしい数のバラック、むせ返るようなゴミの匂い・・・とても耐えられるものではありませんでした。とりわけ印象深かったのは、当日やや体調が悪く、現地でトイレをお借りしたことです。当然のことながら、各戸にトイレはありませんでした。線路脇の井戸のある場所に、彼らは共同トイレを設置していました。お借りしていながら、失礼な言い方で恐縮ですが、その不衛生さは日本人の想像を絶するものでした。
 
しかし、悪いことばかりでもありません。彼らには何と言うか、「悲壮感」がないのです。インドネシア語には、「気にしない」を意味する、「ティダアパアパ」という言葉がありますが、彼らの生活は、まさに「ティダアパアパ」なのです。
 
にこやかに暮らすこの人たちは、一体何者なのか・・・私は、いまだにそれが分らずにいます。
 
 
 
 

10番ホームの杖

 早朝のジャカルタコタ駅、いつものように「撮り鉄」しながら10番ホームをぶらぶらと歩いて行くと、普段はガランとしているホーム先端に、何やら大きな荷物が置かれているのが目に入りました。それは食料品や農産物などを輸送するための白い布袋と、紺色の大きめのレジ袋のように見えます。近づいてみてびっくり、袋の前にヒトが倒れているではありませんか。
 
さらにそっと近づいてみると、そこにいたのは、小柄で痩せ形の男性、ピクリとも動かず、横向きに倒れています。行き倒れかと心配して凝視すると、わずかに肩が上下するのがわかりました。どうやら呼吸しているようです。まずはホッと一安心したところで、失礼ながらこの男性の持ち物と容貌を、しばし眺めてしまいました。
 
 年齢は20歳くらいにも見えますが、良く見ると40代半ばくらいにも見えます。うまく説明できないのですが、年齢不詳としかいいようがありません。紺色長袖のウインドブレーカーを羽織っていますが、靴やサンダルはなく裸足、手足は泥にまみれて薄汚れています。持ち物のうち、白い袋には空のペットボトルがびっしり、廃品回収が仕事のようです。紺色「レジ袋」の中身は日常品のようですが、中を開けて見るのは、もちろん遠慮しました。
 
 ジャカルタの鉄道駅では、構内のあちこちで寝そべっている人を見かけます。けれども、彼らは屋根の下、タイルなどの床上に寝そべっているのが普通で、屋根のないホームの先端、しかも線路のすぐ脇に寝そべる人はほとんど見かけません。大きな荷物を運んで来て、疲労と空腹で倒れて寝込んだのでしょうか。時折そばを通り過ぎる地元の人たちも、見て見ぬふりをして、無言で去ってゆきます。
 
 インドネシア経済は、毎年6%の成長を続けており、絶好調と言われています。街中には豪華なショッピングモールや高層アパートが次々と建設され、道路には新車が溢れています。しかし、その富が一般庶民まで回ってくるのは、まだまだ先のことのようです。こんな時、いつも心が傷むのですが、自分に何かできることはないだろうかと考え出すと、いろいろな思いが頭の中をぐるぐる回るだけで、結局、何もしてあげられない自分がそこにいるのに気づきます。
 
 さて、そんなことを考えながら、彼と彼の荷物をぼんやりと眺めていると、白い袋の上に一本の棒が乗せられているのが目に入りました。始めそれは廃品回収のための作業棒かと思いましたが、そうではありません。何故なら、廃品回収用の棒は普通金属製で、ペットボトルなどを拾えるよう、先端が「かぎづめ」状だからです。ところが、この棒は木製で直線状、どう見ても杖にしか見えません。ことによるとこの男性は、足が不自由なのかもしれません。
 
 「杖」に近寄って見ると、それは手垢にまみれ、薄汚れていました。ところが、さらに良く見ると、最上部、傘で言えば柄の部分に、何かが彫られています。それは人の顔でした。ちょうど仏像のようであり、あるいはお地蔵さんのようでもあります。とても穏やかな「いい顔」をしており、ちょっと微笑んでいるようにも見えます。
 
 「とっても心暖まる、いい顔だなあ」と思って見ていると、その顔が誰かに似ていることに気づきました。けれども、なかなか思い出せません。そして再び倒れている男性の顔を見た時、ハッと気づきました。そうです。持ち主の男性、その場に倒れているこの男性の顔にそっくりなのです。何故この男性が「年齢不詳」にしか見えないのか、20歳くらいにも見えるし、40代半ばくらいにも思えるのか私にはようやく分かりました。仏像やお地蔵さんが、年齢不詳に見えるのと一緒です。
 
イメージ 1 この男性の日常は、きっと厳しいものにちがいありません。生きていくだけで精一杯に思えます。けれども、どうしてこの「杖に彫られた顔」のように、穏やかな表情をしているのでしょうか。何だか私は、神々しいものを見たような気がしました。
 
 残念ながら、その日は所用があり、私は早々にコタ駅を立ち去らねばなりませんでした。この男性が、その後どうなったのか、どこへ向かったのかは、定かでありません。
 
 
 
 今回は少々重い話題で申し訳ありません。
 地元報道によれば、去る110日、スルポン線クバヨラン駅付近の踏み切りで、飛び込み自殺と思われる事例が発生、女性1名が死亡しました。身元は判明していません。目撃者の話では、この女性は、何度か踏み切り周辺を行き来した後、列車通過直前に踏み切り内に入ったということです。同様の事例は前日の19日にも中央線ドゥレンカリバタ駅付近で発生したそうです。
 ジャカルタ首都圏の鉄道事故犠牲者で最も多いのは、屋根乗車による感電死です。2009年データでは、年間鉄道事故死者40人のうち、20人が感電死でした。一方、鉄道自殺は非常にまれで、ほとんど耳にしたことがありません。仮に二日連続で発生したとすると、異常事態といえます。「ネアカ」で「のんびり屋」が多いと思われていたインドネシアの人々も、経済成長や都市化の流れの中で、次第に心の問題を抱えるようになってきたのかもしれません。
 ちなみに、日本のデータも調べたところ、鉄道自殺件数は、2008年度に年間647件もあり、このうち6割が首都圏で発生していました。内訳ですが、2006年度首都圏データでは、中央線が最も自殺者が多く20名、京浜東北線17名、山手線12名などとなっています。
 果たして経済成長が本当に人々の幸福に繋がるのか、改めて考えさせられます。
 
 

2010年の鉄道事故

 国家運輸安全委員会(KNKT)のクルニアディ委員長は、このたび2010年のインドネシアにおける鉄道事故について、事故件数50、死者60、負傷者189と発表しました。このうち10件が「重大事故」に分類され、同委員会は11件の提言を、運輸省鉄道総局およびインドネシア鉄道に対して行ったとのことです。
 
 インドネシアにおける「鉄道事故」の定義は必ずしも明確ではありませんが、各種資料によると、件数は、2007156件、2008139件、200982件、そして2010年は上記のとおり50件でした。件数のみで言えば、年々減少しています。ところが、死者は、200734名、200845名、200957名、そして2010年は上記のとおり60名で、「右肩上がり」の上昇を続けています。このことは、多くの死者を出すような重大な事故の割合(あるいは件数)が増加していることを示しています。特に昨年(2010年)は、34名の死者を出した102日のジャワ北線プタルカン駅列車衝突事故が記憶に新しいところです。
 
 問題点としてメディアで指摘されているのは、運転士、機関士の信号見落としなどによるヒューマンエラーを始め、その背景となっている保安施設の不備、運転士、機関士不足による超過勤務などです。また、これだけ多くの事故が発生しながら、2010年に国家運輸安全委員会が実際に調査を行ったのは、50件中10件のみ(提言は11件)であり、調査の行われなかった小規模事故や、事故となる可能性があった事例などが、検討もされずに見落とされているとの批判も見受けられます。
 
 事故のない、安全、快適な鉄道に生まれ変わる日が来ることを願ってやみません。
 
 
下図は、2007年から2010年のインドネシアにおける鉄道事故件数と死者、対照的な変化を示している(データ:国家運輸安全委員会HP)。
 
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