JABOTABEK RAILNEWS コラム

ジャカルタの電車を中心に、インドネシアの鉄道をご紹介しています。

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 ジャカルタ首都圏には、「KRLmania」という名の団体があります。日本語に訳すと「電車マニア」です。名前だけから判断すると電車オタクの集まりのように思えますが(確かにそのような人もいますが)、実は「JABOTABEK 鉄道乗客フォーラム」という別名があり、鉄道サービスの改善を目的として、乗客が自主的に運営している団体です。主な活動は、KRLmania.comというインターネットサイトを媒介とする、情報、意見の発信です。

 乗客団体が組織され、自由に意見を公開できる場が存在することは、鉄道会社にとって大きなプレッシャーとなっているようです。現場の職員さんとお話をしていると、「車両故障を起こして電車が遅れると、また、KRLマニアで騒がれるからな」といった発言が聞かれます。鉄道会社はKRLマニアの存在を公式に認知し、両者間でフォーラムも開催されています。乗客団体の存在は、明らかにサービス改善に一定の効果をもたらしているのです。一方、鉄道会社にとって乗客団体は、ありがたい存在でもあります。例えば、Tanjung Priok 線の復旧計画では、KRLマニアが鉄道愛好者の大量動員をかけ、線路上を不法に占拠する住民への移転説得に一役買いました。また、臨時電車の運行やダイヤ改定に際しては、KRLマニアがそれら情報をインターネットサイトを通じて迅速に乗客に伝えています。鉄道会社と乗客団体は、対立ばかりでなく協力関係にもあるのです。

 翻って日本の状況はどうでしょう?鉄道に関する多くのインターネットサイトが存在し、鉄道会社への意見も述べられているようですが、それらは本当に鉄道会社に届いているのでしょうか?仮にサイトの存在には気づいていたとしても、乗客が組織化されていないので、意見は単なる「鉄道オタクの個人的戯言」くらいにしか思われていないのでは?インドネシアのような、「乗客団体」という発想が、日本には欠けているように思えます。

 以前にも記しましたが、インドネシアの鉄道ファン、とりわけ20歳代後半から30歳代の若い人々には、コミュニティ活動としての鉄道ファンが多いように思えます。この世代の人々は、開発独裁と言われる体制が崩壊し、インドネシアが民主化されていく過程で多感な時期を過ごしてきました。そのため、趣味といえども、それを社会と結びつける傾向が強いのかもしれません。鉄道サービス改善のための「乗客団体」という発想は、日本の鉄道ファンも学ぶべきところが多いのではないでしょうか?
 
イメージ 1 本日付のカバーフォトでもご紹介したとおり、ジャカルタにも女性鉄道ファン、通称「鉄子」さんが増えてきました。インドネシアでは比較的堅調な経済と女性の社会進出に伴って、さまざまな趣味を楽しむ若い女性が増えており、鉄子さんもそのひとつと言えましょう。カメラ片手に活躍する「鉄子」さんは、これからもますます増殖していくものと思われます。

 ところで私は、まだ日本にいたころ、鉄子さんが自らの想いを語ったラジオ番組を聞いたことがあります。その中で鉄子さんの一人が、「私は、男性鉄道ファンにない、『かわいい』という視点から鉄道を見ています」と語っていたのが印象的でした。それでは、JABOTABEK 鉄道にも「かわいい」はあるのか?ちょうどいい機会なので、以下に、鉄子さんの目で見た(つもりになって)、JABOTABEK 鉄道をご紹介します。

Rheostat 車の耳(右上写真):
 前照灯の周囲に装着されたこのカバー、正確には何と呼ばれているのでしょうか?耳のようで「かわいい」ですね。前面ガラスを目に例えると、「眉」のようでもあります。ところで、このカバー、KL3-86〜87系セミステンレス車のみに装着されており、
ほぼ同じデザインのKL3-76〜84系鋼製車には装着されていません。どういう理由なんでしょうか?

イメージ 2緑色の台車軸(右中写真):
 日本では車両の全般検査の際、台車の塗り替えは行われているのでしょうか。私には明瞭な記憶がありません。JABOTABEK 鉄道では全検の際、台車の塗り替えが行われています。Rheostat
車の場合、黒あるいは灰色の単色で塗られるのですが、何故かこの編成は車軸部分の外側だけが緑色で塗られていました。ワンポイントアクセントになって「かわいい」ですね。足まわりのおしゃれということで、ネイルアート風の絵が描かれる日が来るかもしれません。

Jakarta Kota 駅の信号扱い所(右下写真):
 日イの大学が合同調査して選んだ、ジャカルタの歴史的建築物のひとつ、「Train Tower=信号扱い所」です。おそらく、オランダ統治時代の建築物と思われます。キノコの笠ような大きめの屋根と出窓が「かわいい」ですね。鉄道模型のジオラマに使えそうです。
 
イメージ 3 いかがでしたか。「そんな、楽しみ方もあるのか」と思うか、「くだらねえ」と思うかは、皆さんの判断にお任せします。けれども、「世の中、いろいろなところに発見や楽しみがあるんだなあ」というのが、私の正直な感想です。些細なことでも、それに気づいて楽しむことができれば、何と幸福なことでしょう。鉄道趣味の奥深さを、また実感した、「鉄子」さん体験でした。
 
 先日、地元英字紙の読者投稿欄に、JABOTABEK 鉄道エコノミー車(冷房なし各駅停車)へ初乗車したジャカルタ在住外国人女性による珠玉のエッセイが掲載されました。ジャカルタ庶民の足であるエコノミー車の姿を素直に著した、その全文を以下にご紹介します(管理人訳)。


「通勤電車の旅人」

 エコノミークラス電車に乗って旅をした日、私はわが街の旅人になりました。私は一見さんのアウトサイダーでした。子供のように目を丸くして、物売り、物乞い、そしてミュージシャンが、車両から車両へと渡り歩くのを見つめていました。Depok からTanah Abang への40分間、私の心は激しく揺さぶられ、そして魅せられてしまったのでした。

 私が座った車両は、大して混雑していませんでした。座席は全て埋まっていたものの、立っている人は数えるほどでした。通路は物乞いが乗客に金を無心するには十分だったし、ストリートミュージシャンが演奏するステージとしても十分なスペースがありました。一人の母親が私たちの車両を歩きまわり、お金をせがみました。彼女の目の前で、足と腕のない幼児が猫のように這いまわったっため、母親は我が子の名を呼んでゆっくり進むように叱りつけました。何人かの乗客が、一瞬その子に注目しましたが、次の瞬間には目線を外していました。私も、同じことをしました。けれども、その子は、私の胸を張り裂けさせたのです。

 新聞少年、いや正確に言うと「新聞中年」が、家のインテリアデザインについて書かれた、古いタブロイドを売っていました。私はそれを1部1,000ルピア(9円=訳者注)で3部買いました。いい買い物でした。

 彼が去ると、今度はその場所に、おびただしい数のヘアピン、ヘアバンド、ブローチ、ネックレス、そしてブレスレットを携えた物売りがやって来ました。彼は商品を、2m ×1.5mくらいの板の両側に、けばけばしく飾りつけていました。その板にはロープが通され、ロープの先端にはフックがつけられていました。彼は、そのフックを私の頭上の手すりに引っかけました。一言も口をきかず、腕を板にもたれかけていました。明らかに彼は、私が商品を手に取るのを待っていました。約30秒後、彼は板の裏表をひっくり返しました。そこにも、けばけばしくカラフルな、もうひとつの商品ディスプレイがありました。私が一切反応しなかったので、彼は他の女性客が座っている席へと向かいました。彼は、商品を身につけるようにと私を悩ますこともなければ、男性に商品を売りつけようともしませんでした。無駄のないクリエイティブなマーケッティングだと思いました。よく考えられています。

 結局、私の乗車した車両へは10分間あまりの間に、2人の果実商、3人のおもちゃ売り、幼児を含む3人の物乞い、一人の新聞少年(あるいは中年)、そして数人のお菓子・飲み物売りがやって来ました。その間、切符をチェックするはずの車掌は、一度もやって来ませんでした。

 Depokから数えて4番目の駅に着いたとき、ドラムス、アコースティックギター、そしてバイオリンを手にした若者の一団が乗り込んで来ました。彼らがポップミュージックを2曲披露する間、もう一人の仲間が車両の隅々まで歩いて、お金を集めていました。なかなか上手だったので、私は1,000ルピアを支払いました。

 次にイスラムの衣装に身を包んだ男がやって来て、マイクとスピーカーを使い、ラマダン(断食月=訳者注)中の「施しの美徳」について説教を始めました。乗客の幾人かは眠りに落ち、他の人々は物思いに耽っていました。それでも私は目を丸くして、彼らが文化的生活を送るための、粘り強い戦いのパフォーマンスに見とれていました。

 また、新たなアクセアリー売りが私の前にやって来て、さらにもう一人のアクセサリー売りと冗談を交わし始めました。彼らは私に商品を見せる間、お互い大声で話し、そして笑っていました。その人生は、とても喜びに満ちたものに思えました。

 エレキギター、バスギター、ドラムセット、タンバリン、スピーカー・アンプボックス、1.5mのキーボード・シンセサイザー、マイクロフォン、そして鉛酸バッテリーとケーブルを持った一団がやって来ました。別のグループは、バックパックからたくさんの種類の竹笛を取り出しました。私は、彼らから目が離せませんでした。彼らは実に効率的に動き回り、ピンク色の箱、大きなキーボードとドラムスを車両中央に設置しました。一人の男が、何本かのカラフルなケーブルを、器用にアンプに差し込みました。ギタリスト、ベイシストそして女性ボーカリストが音声テストをしました。キーボードがちょっとしたイントロを奏でた後、突然ダンドゥット(インドネシアのローカルソング=訳者注)が始まりました。ボーカリストが、波打ちささやくように、典型的なダンドゥットソングを歌います。時々その女性ボーカリストは、たったひとつのマイクを、竹笛を演奏する男に回しました。

 最初の曲が終わる頃、仲間の一人がキャンディバッグでできた料金入れをもって、乗客に近づきました。私はあわてて5,000ルピア(46円=訳者注)札を取り出しました。冗談抜きで、私は彼らに魅了されたのです。数えると、彼らは13人のグループでした。4人が女性、しかも一人は妊娠中でした。彼らは素早く道具を片づけると、隣の車両へと移っていきました。そして、そこでまた、道具を素早くセットして、演奏を再開したのです。

 3曲目が終わる頃、電車は私の目的地、Tanah Abang にさしかかっていました。もう電車は、以前のようには混み合っていません。ダンドゥットの車両は、さらに何曲かリクエストする数人のファンを残し、すっかりガラガラになりました。車両は、あたかも彼らによって、乗っ取られたかのようです。

 私は電車を降り、外の新鮮な空気を吸いました。思えば電車内の空気は、むかつくような湿った空気でした。それは、エキサイティングな経験ではありましたが、魔法の時が終わった今、私はこの電車に毎日乗ることはできないと感じました。もし、毎日この電車に乗ったなら、私はたちまちロマンチックな旅人ではなく、疲れ切った通勤客となってしまうことでしょう。
 
 いかがでしたか。電車の中で必死に生き抜こうとする庶民の戦いが、活き活きと描かれていますね。大人も子供も、男も女も、そして体の不自由な人から妊娠中の女性まで
...。生活は楽ではないけれど、それでも笑いも絶えない ...。このエッセイは、そんなジャカルタ庶民への愛情があふれているように思います。しかし、一方で作者は、乗車体験を「魔法の時」と呼び、「この電車に毎日乗ることはできない」とも、正直に告白しています。とりわけ、豊かな先進国からやって来た外国人にとっては、この車内の独特の雰囲気は、あまりに刺激が強いのも事実なのでしょう。ジャカルタのエコノミー電車とは、そういうものなのです。
 
 日本のTVでも放映されたという「屋根乗車」をはじめ、ジャカルタの電車の乗車マナーには、日本人にとって信じ難いものが数多く見られます。例えば、「制御車間の連結器に乗る」、「電車最後尾の連結器に乗る」、「側面自動ドア脇の手すりにしがみつき、ステップに乗る」等等、何でもありの状態です。加えて、エコノミー車などに見られる、車内のゴミ放置など、目を覆いたくなるような光景に出くわすことがあります。

 しかし、悪いことばかりでもありません。私の経験上、JABOTABEK には、日本の電車より明らかにマナーのいい点が認められます。それは、「席の譲り合い」です。高齢者や体の不自由な人、あるいは妊婦さんが乗車した際、この国の人々は本当に親切です。日本のように、着席したまま寝たふりをするような人は皆無です。誰もが直ちに席を立ち、声をかけて座席を譲ります。

 このちがいは、どこからくるのでしょうか?かつて日本の報道で、「電車の中で高齢者などに席を譲らない理由」として、「言い出すのが恥ずかしいから」がトップだったのを見たことがあります。つまり、日本人が席を譲らないのは、決して優しさが不足しているわけではなく、人と人とのコミュニケーション能力に問題があるのかもしれません。もうひとつ気になるのが、社会心理系の書籍で語られている、「援助行動の地域差」です。いくつかの研究によれば、都市に住んでいる人は、地方に住んでいる人と比較して、「援助行動を積極的には行わない傾向が強い」そうです。ジャカルタの電車内の様子を見ていると、「都市」と「地方」の関係は、そのまま「先進工業国」と「発展途上国」に置き換えられる可能性があります。

 理由はともあれ、ジャカルタで見られる「席の譲り合い」は、日本人として見習いたいマナーの一つです。
 

鉄道珍商売(2010.10.12)

 JABOTABEK RAILNEWS では、これまで「JABOTABEK レポート」、「フォトギャラリー」などのコーナーで、多くの珍商売をお伝えしてきました。しかし、まだまだあります。ここであらためて、謎と驚きに満ちた、いくつかをご紹介しましょうそこには、大都会ジャカルタで生き抜く、庶民のたくましさがあふれています
 
(1) お菓子の小口販売
イメージ 1 混雑するエコノミーの車内、小さな袋を配り歩く人がいます。中身はジンジャーキャンディーや豆菓子など、おやつ一回分(右写真)といったところでしょうか試供品と思ったら大間違い、5分もすると戻ってきて、代金の徴収が始まります。一袋 1,000ルピア(約12円)、要らなければベンダーに返せばよいのです。乗客がお菓子を選択するのではなく、特定のお菓子が配布され、後で乗客が購入するか否かを決めるというこのシステム、なかなかの売れ行きです。私が子供のころ自宅にやってきた、「富山の薬売り」さんがヒントになっているのでしょうか?
 
(2) 謎の家具屋
イメージ 2 昼下がりの閑散としたプラットフォーム、一人の老人が机を2つ持ち込んで何やら作業しています(右写真)。話を聞くと、この老人、駅の近くに住んでいて、これから机をマーケットへ運んで販売するとのことでした。そして、中古品と思われるその机を、黙々と磨いていました。

 ところが、私が5分ほど駅構内を回り再び同じ場所へ戻ってくると、「あら不思議」、老人の姿はもうありません。この間発車した電車は1本もなかったはずです。家具を電車に乗せて、街のマーケットに運ぶつもりじゃなかったの?ひょっとして、ホームは無料で使える、広々とした作業場なのかもしれません。

(3) 踏切の魚屋
イメージ 3 T駅に近い踏切内、パラソルで直射日光を遮って、たくさんの魚を乗せた台が、線路上に置かれています(右写真)。新鮮で値段が安いためか、この魚屋さん結構繁盛しています。
 
 と、その時聞こえた警報器の音、都心方面から電車が近づいてくるではありませんか。「魚屋さん危うし」、と思いきや、彼らは冷静そのもの、大量の魚が乗った台を2人で「ひょい」と持ち上げると、線路わきへ移動
... 続いて電車に接触しないようにパラソルを傾けて、通過を待ちます。やって来たのは旧都営三田線6000形、魚屋さんの軒先、じゃなかったパラソル先をかすめ、駅へと進入して行きました。

 電車が通過すると魚屋さん、何事もなかったかのようにパラソルと台を戻し、商売に余念がありません。
 

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