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先日、隣国マレーシアのクアラルンプール(KL)へ家族旅行で出かけたインドネシア人同僚から、興味深い話を聞きました。「ジャカルタとKLを比較すると、ショッピングモールの規模・豪華さなどではジャカルタに軍配が上がるものの、公共交通機関の発達ぶりでは、ジャカルタはKLに大きく水をあけられている」というのです。私は、ここにインドネシアとマレーシアの国造りの差が特徴的に表れていると思います。社会の富がどのように再分配・再投資されるかは、その国の発展を大きく左右する要素と思われますが、残念ながらインドネシアは、これまで公共交通機関などの社会資本整備が十分でなかったと言わざるを得ません。
最近、インドネシア政府、ジャカルタ特別州政府は、ようやく重い腰を上げ、都市鉄道利用者の増加を重要政策のひとつに加えました。これは、ジャカルタ首都圏の激しい交通渋滞と原油価格の上昇に対応するためです。また、インドネシア鉄道は、首都圏通勤輸送を担当する完全子会社としてJABODETABEK鉄道会社を設立し、旅客数200万人/日を目指すとしています。しかし、現在35万人/日にすぎない旅客数を、わずかの期間で200万人/日にするのは、容易なことではありません。総延長160kmの電気鉄道が200万人/日の旅客を輸送することは、日本で言えば阪急電鉄のようになることを意味します。はたしてそれは、可能でしょうか? 現時点で両者を比較すると、JABOTABEKでも、(1)主要路線が複線化されている、(2)8両編成の電車が運行されているという点で、かろうじて阪急と同格あるいはそれに近いものの、他の状況は、あまりにかけ離れています。「ホーム、駅施設が貧弱で、乗客増に対応できない」、「駅前の整備がほとんどの駅で進んでおらず、他の交通機関との乗り換えが難しい」、「信号・保安施設が貧弱で、ATSなどの安全対策が講じられていない」、「車両数が少ない」等々、数え上げたらきりがありません。にもかかわらず、鉄道会社、関係機関から聞こえてくる具体的な旅客増加施策は、Bekasi 線の複々線化、専用レーンを走行するバスとの共通乗車券の発行計画などにとどまっています。 新生、JABODETABEK鉄道会社の奮起を期待したいと思います。 |
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