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パガニーニの協奏曲にこんな箇所があります。三度重音の連続、とても難しいです。
三度重音のスケールの練習方法として、指は楽譜通り押さえたまま、上の弦だけ(または下の弦だけ)音を出す練習方法があります。シャドウ(shadowing practiceの一種)と呼ぶことがあります。こちら に詳しく紹介されています。
この方法は音の確認という意味では確かに良いのですが、音を出していない方の指が果たして正確な位置を押さえているかどうかまでは分かりません。従って重音三度のそれぞれのポジションに於ける手の位置・角度・指の間隔等を手に覚え込ませることが必要になり、三度重音スケールの練習が不可欠となります。具体的練習方法はたとえば↓の動画が参考になります。
この生徒は三度の響きに注意して弾いています。それは良いのですがト長調のスケール(音階)として音程が本当に合っているかどうかはこの動画では分かりにくいです。
練習方法を真似てみても、不正確な音程で練習を続けると耳も手・指もそれに慣らされ、練習すればするほどヘタになっていきます(悪いクセがつくと言う意味です)。では本当に合っているかどうかをどうすれば確かめられるでしょうか?
先日のレッスンで師からそのヒントを頂きました。
写真の例題はハ長調、A線/E線の1st. Positionでレ・ファ(3/1)とミ・ソ(4/2)の三度重音を交互に弾く練習です(写真上段)。3/1はずっと押さえたまま、4/2を同時に押さえたり離したりします。音程はレ・ファの重音とミ・ソの重音が綺麗に響くとともに、レ・ミの全音、ファ・ソの全音、ミ・ファの半音が正確でなければなりません。
師のヒントとはシャドウ法を2弦に跨って行うものです。云わばダブルシャドウ法です。即ち、左手は写真上段の指を押さえながら、右手・弓は写真下段に示す音だけをレ・ミ・ファ・ソ(3,4,1,2)と弾いてみることです。この時全音と半音がきちっと取れていること(ピタゴラス律)、他の指が隣の弦に触れて雑音を出さないことが肝要です。各指の間隔がすべて全音なのでかなりきつい練習になります。左手はできるだけリラックスさせ、疲れたり手が痛くなったら休むことが重要です。これに逆方向(ソ・ファ・ミ・レ)も加えて繰り返し練習したあと、写真上段の楽譜通り弾くと綺麗な三度重音のスケールの最初の一組ができます。
次に3rd. Posi, 5th Posi・・・で同じ練習をしてこれらをつなげればスケールの出来上がりです。
蛇足になるかもしれませんが、「弦楽器の音律・物理」の書庫で書いたように、「旋律はピタゴラス律で和声は純正調で音程を取る」ことが基本です。これに従えば重音スケールの上の音はピタゴラス律で取り、下の音は上の音の純正和音として取ることになります。しかしこれでは下の音の列はピタゴラス音列にならず、凸凹の音階になってしまいます。実際に計算してみると分かりますが、半音が134セント(ピタゴラス律は90セント)、全音が160セント(同204セント)の箇所が出来てしまい、耐え難い音階が出来上がってしまします。これは長三度が純正律ではピタゴラス律より22セント狭く、短三度では22セント広いことに起因します。
テンポが遅いと縦の和音や響きに耳が集中しますが、テンポが速くなると、縦の和声よりも横の音階が耳に残り、下の音列が不自然に聞こえてきます。重音スケールの練習は速く弾けることが目的ですから、上の音列も下の音列もピタゴラス律に沿うよう音を取る方が合理的なのです。
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2014年03月10日
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