jack のヴァイオリン練習室

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弦楽器の音律・物理

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独り言です。主に音律関係の話。
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純正律(1)

今回はできるだけ数字抜きで書きたいと思います。参考のためセント値は( )内に表示しましたが、無視されても理解可能だと思います。

バロックで古典調律された鍵盤に合わせて演奏することの少ない現代ヴァイオリンでは、純正律は端的に言えば和音、重音に適用されます。ピュタゴラス(ピタゴラス)律が旋律向けで完全5度をベースにしているのに対して純正律は純正3度がベースになります。

実例で言いますとD線1指は下の弦G線に対して6度純正に、2指は上の弦A線に対して3度純正に取ります。3指、4指はピュタゴラス(ピタゴラス)と同じです。又の無伴奏の重音、アンサンブルの和音では旋律の音に対して3度、6度を純正に取ります。

純正律に基づく音階には全音が2種類、広い全音(大全音)と狭い全音(小全音)が含まれるので、これで旋律を歌ったり演奏するのは大変難しいです。

純正律の音階は例えばこうなります。
ド−レ−ミ−ファ−ソ−ラ−シ−ド
 大 小 半  大 小 大 半
大は大全音(204c)、小は小全音(182c)、半は半音(112c)の略です。

純正長3度(386c)は大全音+小全音、純正短3度(316c)は大全音+半音、完全4度(498c)は大全音+小全音+半音、完全5度は大全音×2+小全音+半音です。

楽譜上の長3度は全て純正長3度ですが、楽譜上の短3度の中、レ−ファは純正ではない狭い短3度(294c)になります。又、楽譜上完全4度に見えるラーレは純正ではない広い4度(520c)になります。又、楽譜上完全5度に見えるレーラは純正ではない狭い5度(680c)になります。音階上にこれら狭い短3度、広い4度、狭い5度の存在する事が演奏を困難にしています。


ちなみにピュタゴラス律の音階
ド−レ−ミ−ファ−ソ−ラ−シ−ド
 大 大 (半) 大 大 大 (半)
大は大全音(204c)、(半)はピュタゴラスの半音(90c)の略です。3度は純正ではありませんが、4度、5度は全て純正になります。又、ドーソ、ソーレの2つの完全5度の音階構造が全く同じ並びになるので、歌いやすく弾きやすいのです。
・ド−レ−ミ−ファ−ソ
  大 大 (半) 大 
・ソ−ラ−シ−ド−レ
  大 大 (半) 大


ここで純正3度や純正(完全)5度のなかの「純正」という言葉の意味ですが、2つの音が綺麗にハモルことを意味しております。音のハモリは倍音構造と深く関連していますので別途説明しますが、純正律の音階の中に純正でない3度、4度、5度が含まれるという事は純正調でありながらハモラない音程があることを示しています。純正調では狭い5度は「ウルフ」と呼ばれ、和声の中では避けますが、鍵盤楽器の古典調律の中では常に問題となります。
ピュタゴラス音律についてもう2題。

増音程、減音程

ピュタゴラス音律に基づく音階は全音204セントと半音90セントで構成されますが、増音程と減音程では半音をもうひとつ追加せねばなりません。それは
204-90=114セント
の広い半音です。これは例えば

A-Ais(A♯) 増1度 114セント
です。
A-B(B♭) 短2度 90セント
とは異なります。
即ち鍵盤楽器とは異なって、弦楽器ではAisとBは別の音程です。

又、
A-As(A♭) 減8度 1086セント(又は-114セント)

A-Gis 長7度 1110セント(又は-90セント)
とは異なります。
即ち鍵盤楽器とは異なって、弦楽器ではAsとGisは別の音程です。


更に半音を狭くとるExpressive Intonation

純正律の話に移る前にピュタゴラス音律を更に強調したExpressive Intonationについて書きます。ピュタゴラス音律に基づく音階の半音(短2度)は90セントですが、Expressive Intonationは半音をさらに狭くとるイントネーションです。チェロのカザルスの「いかなる半音進行も2番目の音は1番目の音を引き寄せる」という仮説が有名です。また、チェロのトルトリエも全音を9等分(9コンマ)し導音を3コンマ(66セント)とする理論を発表しているそうです。

ヴァイオリンでは導音の指は主音の指に「くっつけて」と教わりますが、チェロの場合、指板上における半音の距離が広く指が離れているので、音程をどうとるかを感覚的でなく理論的に教える必要があるのでしょう。

導音を狭くとった結果として長3度はピュタゴラス律より幅広くなります。即ち広い全音も出現するわけです。また短調の短3度はピュタゴラス律より幅が狭くなります。完全4度、完全5度を純正にというピュタゴラス律の性格を確保したまま、狭い導音と広い全音を含む音階を理論的に説明することは難しいです。Expressive Intonationは多分に実践的な味付けで個性の強い音階になりますが、心の琴線に触れる旋律にもなりえます。平均律の対極に位置するもので、この傾向が最も強かったのはヨーゼフ・シゲッティだと思います。

ヴァイオリンのExpressive Intonationについては ここ に詳しく説明されています。この表現技術は専門的・上級者向けで、過ぎると曲によっては強い訛りを感じたり泥臭く成り勝ちですので、適用程度範囲など良き指導者の元で勉強すべきでしょう。また、合奏では個性あるイントネーションは突出するので敬遠されます。約束事が無い限り通常のピュタゴラス音律を適用すべきでしょう。通常はスケールの練習はピュタゴラス音階で行い、ある程度指・手の形が決まってきたらExpressive Intonationに挑戦するのも良いかとは思います。
今回はピュタゴラス音律に基づく音階について書きます。ピュタゴラス音律(1)で各音の平均律からのズレを示しましたが、それを用いて音階を並べます。
ハ長調
A:±0

C:-6 300-6=294 
D:-2 500-2=498
E:+2 700+2=702
F:-8 800-8=792
G:-4 1000-4=996 
A:±0 1200
H:+4 200+4=204

各音程のセント値を計算します。

短2度  C-H=294-204=90, F-E=792-702=90
長2度  D-C=498-294=204, E-D=702-498=204, G-F=996-792=204, A-G=1200-996=204, H-A=204
短3度  F-D=792-498=294, G-E=996-702=294, C-A=294, D-H=498-204=294
長3度  E-C=702-294=408, A-F=1200-792=408, H-G=204-996+1200=408
完全4度 F-C=792-294=498, G-D=996-498=498, A-E=1200-702=498, C-G=294-996+1200=498, D-A=498, E-H=702-204=498
完全5度 G-C=996-294=702, A-D=1200-498=702, H-E=204-702+1200=702,C-F=294-792+1200=702, D-G=498-996+1200=702
短6度  F-A=792, G-H=996-204=792, C-E=294-702+1200=792
長6度  A-C=1200-294=906, H-D=204-498+1200=906, D-F=498-792+1200=906, E-G=702-996+1200=906
短7度  G-A=996, A-H=1200-204=996, C-D=294-498+1200=996, D-E=498-702+1200=996, F-G=792-996+1200=996
長7度  E-F=702-792+1200=1110, H-C=204-294+1200=1110

これを見ますと全音は全て204セント、半音は全て90セントとなっています(増音程、減音程は除く)。ハ長調の例をとりましたが、どの調でもこの関係は変わりません。純正律では全音は大全音(204セント)と小全音(182セント)の2種類ありますので同じ音名でも調性によって高さが異なりますが、ピュタゴラス律ではひとつの音名に対しては一つの高さしかありません。即ち楽譜と楽器上の指の位置が完全に1対1に対応しているので、指や手が自然にその位置や形を覚えるようになり、音程が安定してきます。

ピュタゴラス音律を身につけるためには全音と半音の感覚をまず覚える事です。それが出来ると全ての音程が正しくとれるようになります。音程を耳で聴いて修正する時間の無いハイポジの速いパッセージでも指や手の形が固まると正しい音程で弾けるようになるそうです。


t=204=全音
s=90=半音
の略号を用いて整理しますと

短2度  =s=90
長2度  =t=204
短3度  =t+s=294
長3度  =2t=408
完全4度 =2t+s=498
完全5度 =3t+s=702
短6度  =3t+2s=792
長6度  =4t+s=906
短7度  =4t+2s=996
長7度  =5t+s=1110
8度   =5t+2s=1200

となります。

ピュタゴラス音階は開放弦をベースに作られているので共鳴が起こるため音程がとりやすく響きが明るくなります。E線上でG,D,Aを弾くとG線が共鳴し、E線上でA,D,Eを弾くD線が共鳴、E線上でA,Eを弾くとA線が共鳴します。E線上の各音がG,D,A開放弦にどのように関連付けられているかを図示します。

イメージ 1

左の3つはそれぞれG,D,A線の倍音を示しています。数字は倍音の次数です。一番右はE線上の音階を示しており、黒く塗りつぶした音符のところで他の開放弦が共鳴します。例えばE線第1ポジション2指のGを弾きますとG線が共鳴しその振動が目に見えるはずです。目に見えなくとも弾き切った後、G線に触れると共鳴が止まるので分かると思います。白抜きの音符(F,H,C)はピュタゴラス音律ではG,D,A線はほとんど共鳴しません。G線の第5倍音Hは純正律で用いられるH音です。G線が共鳴するようにHを取るとピュタゴラス音階では低くはずれたHになります。

ピュタゴラス律はヴァイオリンの物理的構造に良く馴染むということがお分かりになったと思います。ピュタゴラス律は音楽の横の流れ(時間軸)即ち旋律には適合しますが、和音、重音は鋭い緊張感を持った響きで時には濁って聞こえます。音楽の縦の関係(和声)を重視し、柔らかいハモッた響きがほしい時は純正律が用いられます。これについては別途書く予定です。
ピュタゴラス律の全ての音程のセント値を 前回 示しました。これを音階の形に並べればピュタゴラスの音階が出来ます。どの調でも長調でも短調でもこのセント値が適用できます。

ピュタゴラス律音階では大全音(204cent)と小半音(90cent)の2つしか用いられず、楽譜上の音高と楽器上の左指の位置は完全に1対1に対応しています。

今回はなるべく数字抜きにしましょう。

ピュタゴラス音律がヴァイオリンの正しい音程を与えるのか?

という疑問に対する答えは、20世紀から現在までに時代を限定し、旋律に用いる音程としてはyesと思います。

時代とともに音楽に対する価値観が変わってきたのでこれからも変化するかも知れません。平島達司著  「ゼロビートの再発見」 p154〜 によりますと、ピュタゴラス音律の発見はギリシャ時代にはじまりヨーロッパでは15世紀までグレゴリオ聖歌など単声で5度・4度の単純な和声を含む音楽に適用されました。16世紀以降、音楽様式が多様化し、ポリフォニーに3度や6度が頻出します。ピュタゴラスの3度は濁って鋭いことから、純正律、ミーン・トーン、ヴェルクマイスター等の和声的・調性的音律(古典調律)が適用されるようになります。19世紀以降は平均律が急速に普及します。20世紀に入ってからピュタゴラス音律が弦楽器の調弦に復活します。又、近年古楽器またはそのスタイルによる演奏も復古し純正律が見直されております。一方アジアではピュタゴラス音律は中国で三分損益法として発明され日本に伝承し子守唄や唱歌に適用されました。従って西洋音楽を数十年来聴いておられる方、子守唄や唱歌を聴いて育った方はピュタゴラス律の旋律は自然に感じられると思います。

横道にそれますが、ケータイの着メロ、街角、駅、TVのCM、BGMなどに氾濫する昨今の電子音はほとんどが平均律です。平均律に使われる全音はピュタゴラス律より少し狭く、半音はかなり広いのです。平均律だけを聴いて育った子供たちには恐らく調性感は芽生えないでしょうし、ピュタゴラス律の旋律を聴くと演歌調で調子はずれに感じ、純正律の済んだ響きには無頓着・物足りなく感じるかも知れません。平島達司は30年前から、平均律に調律されたピアノ・オルガンが世の中に蔓延してきている事を憂い「ゼロビート・・・」を著し警告を発したのでした。私の家のピアノは彼の勧めにより40年来ヴェルクマイスターで調律しております。ヴェルクマイスター調律の白鍵は5度が少し狭い代わりに3度が純正に近いですが、シャープやフラットが増えて黒鍵を多く含むようになると響きがピュタゴラス律寄りになり、転調による調性感の変化が楽しめるというのが彼の持論でした。ドビュッシーまで適用できます。

ピュタゴラス音律の音階の周波数比(2:3)の関係を宇宙の惑星の配置やその公転周期になぞらえ (天球の音楽) 、これをもって根源的とする説がありますが大変神秘的かつ魅力的です。先天的なもの後天的なもの両方の要素があってピュタゴラス音律を美しいと感じるのでしょう。

クリスティーヌ・ヘマン著 「弦楽器のイントネーション」 ではピュタゴラス音律を旋律的、線的イントネーションとして推奨しております。日本語訳本p26の脚注にはアメリカ音響学会誌で6人のプロヴァイオリニストの無伴奏演奏を精密測定した結果、音程はピュタゴラス音律に近かったと紹介しております。また、http://violinmasterclass.com のDr. Sも同様旋律にはピュタゴラス音律を使うよう指導しています。多くのヴァイオリニスや教師はそのように生徒に教えていると思います。

ゴリヤクや御託を並べるのはこのくらいにして、今日は数字なしで

ピュタゴラス音律に基づく音程の取り方


を説明します。これは何も目新しい事ではありません。きちっとレッスンを受けている方は伝統的にそのように教わっていると思います。

開放弦

A線は、音叉または電子チューナーのAを鳴らしてそれに合わせます。他の弦は完全5度に合わせて下さい。これが基本です。合わせ方は2本一緒に弾いてピッタリハモル位置です。あわせた後電子チューナで完全5度に合ったことを確認してください。Aはゼロセント、Dはマイナス2セント、Gはマイナス4セント、Eはプラス2セントです。1から3セント位のずれは無視して構わないと思います。これが出来ない方はピュタゴラスの事は当面忘れてください。
(鍵盤楽器とのアンサンブルでは調弦を鍵盤に合わせる場合があります。特にヴェルクマイスターのような古典調律の場合、DやG線を完全5度に合わせると鍵盤に対して相当低くなります)

第1ポジションの4指

開放弦とユニゾンの位置です。G線の4指はD線の開放弦、D線の4指はA線の開放弦、A線の4指はE線の開放弦、E線の4指はH線の開放弦、おっとH線は無いですが有ると想定するのです。これはA線の4指を正確に真横にスライドさせます。即ち4指はどの弦でも同じ高さ、ギターのフレットと同じなのです。

第1ポジションの3指

開放弦とオクターブの位置です。E線の3指はA線の開放弦、A線の3指はD線の開放弦、D線の3指はG線の開放弦、G線の3指はC線の開放弦、おっとヴァイオリンにC線は無いですが有ると想定するのです。これはD線の3指を正確に真横にスライドさせます。即ち3指はどの弦でも同じ高さ、ギターのフレットと同じなのです。

第1ポジションの1指

開放弦と完全4度の位置です。隣(下)の弦と純正6度でハモルように取るとピュタゴラスでは無くなります。G線の1指はD線の開放弦、D線の1指はA線の開放弦、A線の1指はE線の開放弦、E線の1指はH線の開放弦と完全4度に取ります。おっとH線は無いですが有ると想定するのです。これはA線の1指を正確に真横にスライドさせます。即ち1指はどの弦でも同じ高さ、ギターのフレットと同じなのです。

第1ポジションの2指(シャープ系)

これはちょっと難しいです。基本は隣(上)の弦の1の指と完全4度にハモルように取ります。隣(上)の開放弦と短3度でハモルようにとるとそれは純正律の位置でピュタゴラス律よりかなり(半音の1/5)低くなります。G線の2指(H)はD線の1指と完全4度に、D線の2指(Fis)はA線の1指に、A線の2指(Cis)はE線の1指(Fis)に、E線の2指(Gis)はH線の1指に完全4度に取ります。おっとH線は無いですが有ると想定するのです。これはA線の2指を正確に真横にスライドさせます。即ち2指はどの弦でも同じ高さ、ギターのフレットと同じなのです。

第1ポジションの2指(フラット・ナチュラル系)

これもちょっと難しいです。基本は隣(下)の弦の3の指と完全4度にハモルように取ります。隣(上)の開放弦と長3度でハモルようにとるとそれは純正律の位置でピュタゴラス律よりかなり(半音の1/5)高くなります。E線の2指(G)はA線の3指に、A線の2指(C)はD線の3指に、D線の2指(F)はG線の3指に、G線の2指(B)はC線の3指に、完全4度でハモルように取ります。おっとヴァイオリンにC線は無いですが有ると想定するのです。これはD線の2指を正確に真横にスライドさせます。即ち2指はどの弦でも同じ高さ、ギターのフレットと同じなのです。

完全5度や完全4度のハモリは差音を聴くことで正確に合わせる事が出来ます。完全5度の差音は下の音の1オクターブ下の音、完全4度の差音は上の音の2オクターブ下です。差音については私の過去の 記事 をご参照下さい。

要するにピュタゴラス律は完全5度に調弦された弦楽器で、開放弦を基準に5度または4度のハモリの関係で作られた音律ということができます。ここに純正3度、6度を介在させてはピュタゴラス律にはなりません。

現代のヴァイオリニストが古典〜ロマン派の作品を演奏する際、ピュタゴラス音律が適用される場合が多いです(鍵盤伴奏の場合は鍵盤の音律に合わせることもあります)。バロック音楽では純正律、20世紀以降の近・現代曲は平均律が適用される場合もあります。また、

古典〜ロマン派の作品の場合、旋律にはピュタゴラス音律を、重音やアンサンブルの和音の中での音取りは純正律を採用するというスタイルが多いようです。

音律を規定すると正しいイントネーションは理論的に存在しますが、ある作品を演奏するときにどの音律を適用するかという命題は芸術の領域であり、それが演奏家の個性でもあり時代と共に変わりうると思います。演奏家はある程度聴衆に迎合するものです。そうしないとCDが売れませんしコンサートに足を運んで呉れません。イントネーションも流行のようなものだと思います。その中で例えばBCJのような古楽復興の動きは評価されますし、コンサートホールはいつも満員になります。 

ご意見ご質問歓迎します。
少し時間的な余裕が出来てきたのでヴァイオリンのイントネーション(音程)の話をしたいと思います。皆さん、ご自分の音程に疑問を持ったことはありませんか?先生に聞けば高いとか低いとか指導されますが、先生がいない時、家で練習する時、これでほんとに良いのか迷いませんか?その疑問に対して少しでもヒントになればと思い、私の考えを書きながら纏めて行きたいと思います。

まず弦楽器の基本ともいえるピュタゴラス音律からはじめます。ピュタゴラス律は Wikipedia によりますと、

Pythagorean tuning is a system of musical tuning in which the frequency relationships of all intervals are based on the ratio 3:2. Its discovery is generally credited to Pythagoras.

「すべての音程の周波数の関係が3:2の比に基づく音律」と定義されています。即ちピュタゴラス律ではどの調のどの音階もその音程の周波数比の分母・分子を因数分解すると素数2と3だけで構成されているのです。従って3-limitの純正律とも呼ばれます。純正律(just intonation)にも色々あり、ちなみに日本語の「純正律」は素数2,3,5だけで構成されますので5-limitの純正律です。

周波数比について説明します。オクターブの関係にある二つの音の周波数比は2 で音程のセント値は1200セントです。A線開放弦の周波数は440Hz,E線3指のAは880Hzで周波数比は2です。E線は660Hzで周波数比は3/2(3:2)です。周波数比が3:2に基づく音律とは言い換えれば完全5度に基づく音律なのです。

次にセント値について説明します。人間の感覚は対数的といわれますが、比(掛け算/割り算)よりもその対数 和/差 で音程を認知します。比2の対数を1200セントとして足し算・引き算で音程をあらわすことができます。平均律の例がわかり易いのでそれを使いますと、半音が100セント、全音が200セントです。ドとソの音程は5度で、半音ひとつと全音3つで構成されますが、そのセント値は足し算で得られます。即ち200+200+100+200で700セントです。これを周波数比でやると大変です。半音は2の12乗根で全音はそれの2乗という具合で普通の電卓では計算できません。

それで、今回は結論だけほしい人向けに、ピュタゴラス律の平均律からの偏差を以下に示しておきます。セント値を表示できる電子チューナーであればピュタゴラス律の音程を知ることができます。

A:0
E:+2
H:+4
Fis:+6
Cis:+8
Gis:+10
Dis:+12
Ais:+14
Eis:+16
His:+18
Fisis:+20
Cisis:+22
Gisis:+24

きりがありません。例えばCisの音程を確認したい場合はAを基準音とした平均律のチューナーのセント値が+8であれば、それはピュタゴラス律のCisということです。

ピュタゴラス律のCisとAの音程(長3度)は408セントです。これを周波数比であらわすとスゴイことになります。Aから4回5度上がりますので(3/2)を4回掛け算します。81/16ですね。これを同一オクターブに移すため2オクターブ下げる、即ち4で割ります。ピュタゴラス長3度の周波数比は81/64=1.265....となります。Gisisになりますと12回の掛け算をしなければなりませんから、セント値の有難さ、便利さがわかると思います。また各音程の周波数比が2と3の素数のだけで構成されるという意味がお分かりかと思います。

次にフラット系、
A:0
D:-2
G:-4
C:-6
F:-8
B:-10
Es:-12
As:-14
Des:-16
Ges:-18
Ces:-20
Fes:-22
Bes:-24

これも延々続きますがBesですとフラット8個の調ですからこれ以上はあまり意味がありません。

Desは-16セントでCisは+8セントですからその差は24セントです(この値をコンマと呼びます)。Des,Cisはピアノでは異名同音で同じ音程(同じ鍵盤)ですが、ピュタゴラス律では24セントDesがCisよりも低いのです。これは半音の1/4ですから普通の耳でも認知できますし、転調時などオケの不和の原因にもなります。ところが悩ましいのは純正律ではこれが逆転しDesがCisよりも高くなるのです。このあたりは別項で調べたいと思います。

さあ、あなたのスケールはピュタゴラス律で弾けているのか、チェックして見て下さい。

ご質問、コメント歓迎します。

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