石丸書店 業務日報

管理人の日常などをつらつらと……

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 こんにちは、アカサカです。

『ファイクエ』の人気投票、一応明日で締め切りですので、ご協力頂けると幸いです……。

 さて、本文の方は、小説版『ファイクエII』の続きと行きたいと思います。
 今回からは第5話となります。


 では、本文スタート!

 トゥエクラニフ化してしまった現実世界(なお、彼らの世界では我々のいる現実世界の事を“ウスティジネーグ”と呼んでいる)をもとに戻すために冒険している石川達だが、四六時中、クリスタルを求めて冒険しているわけではない。
 もちろん、一か月というタイムリミットはあるものの、クリスタルの反応が無い以上は、闇雲にあてもなく結界内を探してみてもしようがない事であるし……。
 主だった事件が無い時には、以前探索したダンジョンに戻って手掛かりが無いか調べてみたり、住宅地の周囲で訓練などをしたり、時には一日、心身を休めるためにのんびりと過ごしている事もあった。
 その日も、一同は住宅地の中心にある広場で朝食をとっていた。
 普段の料理役はオータム、サクラ、ガダメに、たまに上田やセルペンが手伝っていた。
 特にセルペンは、先日の壊滅的な家事でさすがに懲りたのか、現在は素直にサクラ達から料理の手ほどきを受け、だいぶまともな料理を作れるようになっていた。
「せやけど、嬢ちゃんたちの料理、ホンマに美味いなぁ」
 ほとんど胃袋に流し込むような食べ方をしながらクレイが言った。
 モンスター出身とは言え、味覚は人間と大差ないのだ。
「えへへ……有難う御座います」
 サクラが照れたように笑う。
 彼女はブッコフタウンの出身ということもあって、サンドイッチをはじめとする、パンを使った料理が得意だった。
 オータムの方は、むろん魚をはじめとする、海の幸を使った料理が得意だ。
「あたしは、この間ガダメさんが作ってくれた魔界鍋もなかなかだったけどねぇ」
 魔界鍋というのは、動植物性の食用になるモンスターを材料にして作った鍋だ。
 味付けも使われる具材も、その時々によって変わり、決まった形というものが無い。
 要するに、現実世界でいうちゃんこ鍋のようなものである。
「強い身体を作るためには、料理も欠かせない修行の一つだからな。みんなにはその内、私が研究中のコウモリ料理をご馳走して進ぜよう」
「あ、えと……それは遠慮しておきます……」
 そんな他愛もない会話をしながら食事を終えた時、数日ぶりにクリスタルの反応が出たのだった。

「まさか次の目的地がクリーンファクトリーとはね〜……」
 道を歩きながら上田が呟いた。
 クリーンファクトリーは、彼らが住んでいる地域の清掃工場であり、彼らの住宅地からは壱の松原とほぼ同じくらいの距離があった。
 加えて小高い山の上にあるため、距離的にはなおさら遠く感じる。
 五郎川団地の横を抜けて、五郎川を渡り、城野春小学校の近くの道を歩いていく。
 時間にして午前中に出発した彼らだったが、例によってモンスターと戦いながらの旅路であるため、球磨野神社に到着した頃には、太陽はすでに真上に来ていた。
「ここで一休みしようか」
「さんせ〜い」
 石川の提案に、上田と岡野もうなずいた。
 この神社は、かつて図画の授業で彼らが写生に訪れたことがある場所だった。
 住宅地の中にある、小高い森のなかに存在しているという、少し不思議な神社だ。
 不思議なことに、他がトゥエクラニフ化している中、この神社は比較的外見が変わっておらず、以前のままだった。
 また、モンスターの気配なども感じることが無かった。
 もしかしたら、この辺り一帯が不思議な力で護られているのかも知れない。
 体を休めながら、三人はぼんやりとそんなことを考えていた。
 一時間ほど休んだ後、一同は改めてクリーンファクトリーに向かって出発した。
 すでに道のりは半分ほど来てはいるが、ここから先は坂道が続く。
 幹線道路だった街道を上っている三人の前に、突如素早い動きで黒い影が飛び込んできた。
「こ、こいつは……!」
 それは先日、バピロスで交戦したカマと呪いの鎧だった。
 ただし、今回は呪いの鎧がカマの背中に騎乗しているという状態だったが。
 カマを乗りこなせるようになった合体モンスターで、カマライダーという。
 呪いの鎧のパワーに加え、カマの機動力を併せ持つという、なかなかの強豪モンスターである。
「このやろーっ!」
 石川が切りかかるが、敵は素早い。
 何度も切りかかったが、カマライダーは身軽に攻撃をかわし、その鋭い呪いの剣とカマの両腕で逆に切り付けてくる。
「このっ!」
 岡野が籠手でその攻撃を受け止め、拳を叩き込もうとするが、やはりカマのスピードで、その拳の一撃もかわされてしまった。
「くっそー……。あいつら、別々に襲い掛かってくるより強くなってねぇ!?」
 息を切らせながら、岡野が前方に立ちふさがるカマライダーを睨みつける。
 呪いの鎧が見事にカマを操ることで、カマ単体の時よりも、効率的な動きができるようになっているのだ。
「じゃあ、これならどうだ!」
 上田が前に出て、印を結び呪文を唱える。

 オーゾ・ナル・エー!
(時よ、緩やかになれ!)

「減速呪文・スロー!」

 ヴュヴュヴュヴュヴュ……

 上田の掌から音波のような呪文が飛び出し、それはカマライダーに命中した。
「キッ、キキッ……」
 カマが焦ったような鳴き声を上げる。
 チャリンコナイトの時と同じく、素早い相手のスピードを奪うという戦法だった。
 スピードさえ半減してしまえば、もはや遅るるに足らず。
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 岡野は地面を蹴って一気に跳躍すると、渾身の気を込めた拳を繰り出す。
「オーラナックル!」

 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!
 キラッ!

「ギャェェェェェェェェェェッ!」
 気をまとった拳は、カマに正面から命中し、その背中にまたがる呪いの鎧ごと、お空のお星さまに変えたのだった。
 気が付くと、あたりの空には星がいくつが出ていた。
 太陽は西の空に沈みかけ、空も赤く染まっている。
「もう夜か……」
 クリーンファクトリーはほとんど目と鼻の先ではあったが、消耗した状態で突入すれば、返り討ちにあるのは目に見えている。
 ちょうど右手にレストランだった建物があった。
 ここもやはり無人ではあったが、店の中は荒らされた様子もなく、食料もたっぷりと貯蔵されている。
「今夜はここに泊まらせてもらおう」
「そうだね……」
 一同はレストランに入ると、内側から鍵をかける。

 三人は夕食を済ませると、一息ついた。
「あ〜、やっぱりサクラちゃんたちの方が料理上手いよね……」
 今回の調理を担当した上田が嘆息しながら言った。
 たまに手伝いなどをしていたとはいえ、それでもやはり、サクラ達には遠く及ばなかった。
「ガダメ呼んで作ってもらえば良かったかな……」
 ちらりと石川の荷物に入っている、ガダメの召喚アイテムを見ながら上田が呟いた。
「そんな用事で呼んだら怒られるって……」
 そんな上田に、思わず苦笑してしまう石川だった。
 なお、後日そのことを聞いたガダメ曰く、
「なんだ、それならそれで呼んでくれても構わなかったのに」
 意外と気さくなガダメなのであった。



〜つづく〜

閉じる コメント(4)

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タイムリミットは冒険開始から数えて1ヶ月でしたっけ。ここまででどのくらい経ってるんでしょうね?

神社とレストランは変異もしておらずモンスターもいない、とゲームで言えば休憩所やセーブポイントのようですね。
レストランでは非常時とは言え食糧を拝借し厨房も無断使用している事になるので全てが終わって世界が元通りになり、お店の人が減った食材や使いっぱなしの厨房を見て驚きそうです。尤も、性格的に上田は後片付けくらいしそうなイメージですが。

三魔爪は戦闘時以外でも呼び出してよかったんですね。それこそヒロインの召喚アイテムもあれば呼び出した時偶々着替えてたり入浴中だったりしてしずかちゃん的なサービスシーンも拝めただろうに…

2019/7/31(水) 午前 6:01 [ さすりゅ〜 ]

> さすりゅ〜さん
一応、三週間弱……くらいのイメージで考えてます。物語ももう、後半に入ってますし。

一応、レストランの方は外観は変わってます。イメージとしては、『ドラクエ』のほこらみたいな感じで書いてました。
あ、第1話で書いてましたが、元に戻った後は、変異中に起きたことはリセットされるので、減った食材なんかも元通りになります(だからこそ、石川達も無断でご馳走様したわけです)。

ヒロインたちは一般人ですからね。三魔爪達は一応、こちらでいう仙人みたいな存在ですし、トゥエクラニフの一般人視点で見ても、オーバーテクノロジーなアイテムを所持してる、という訳です。

2019/7/31(水) 午後 3:11 [ アカサカ ]

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人気投票はどのような結果になるのか……(ドキドキ)

異世界の料理も気になりますが、クレイの食べ方が想像するだけでも中々面白い感じに思えました(笑)
こういう身近に感じられる行動なども異世界なら興味深そうですねぇ。

それにしても、速さは強さと言いますし、
『減速呪文』はかなり強力そうな魔法に感じますね……!

2019/8/1(木) 午後 7:12 月魔サースィ

> 月魔サースィさん
今回は割と、票が集中したので結果発表はやりやすいかなと……(3位以下はばらけてますが)。

一応、普段は描かれて無いですが、口もあるにはあるんです(笑)。

はい。実は今回は「素早い敵にどう対応するか」が密かなテーマだったりします。(^ ^;)

2019/8/1(木) 午後 11:58 [ アカサカ ]


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