Green W.

遅くなったけれど類、お誕生日おめでとう!(しかしいまだに話は総つく。しかも季節は12月・・・)

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10−14.浸食【1】

 総二郎の口から放たれたことばがじわじわと自分を浸していくような気がして、以前にもまして

落ち着かない日々をつくしは過ごしていた。

 司との連絡も途絶えがちで、類とも顔をあわせづらく、鬱々とした気分でいたそんなある日、桜子から

電話がかかってきた。

 買い物に付き合って欲しいという誘いに、たまにはそういうのもいいかと、つくしは午後の授業を

さぼって出かけることにした。



 久々に晴れやかな気分で、待ち合わせをしている本屋に少し早めに到着した。 
 
 新刊書でもチェックしようかと適当に本を物色していたつくしだったが、男性用の週刊誌がメインの

ラックの前で足をとめた。

 普段なら間違いなく素通りする棚の、ある雑誌の表紙に目が釘付けになる。 

 『茶道の名門を揺るがすお家騒動』の見出し。

 つくしは思わずその雑誌を手にとって目次を開いていた。

 目当ての記事は白黒で見開き1ページにもみたない小さなものだった。

 長男が医者として家を出て行った今、二男と三男の間で流派内を二分する後継者争いが

巻き起こっており・・・と書かれている。

 具体的に『西門』という名前こそ出ていなかったけれど、少しでも事情を知っている人間なら一発で

それがどこの家を指しているのかわかる内容だった。

 さらに続く記事の荒唐無稽に思える内容につくしは唖然とする。

「先輩。」

 その信憑性を疑いながらも食い入るように雑誌を読んでいたつくしは、後ろから呼ばれてあわてて

雑誌を元に戻した。

「こういうの、いい加減なことばっかりだよね。」

 ちらりと桜子が表紙に視線をやったのを見て、ひどく気まりが悪い思いをしたつくしは取り繕うように言った。

 けれどもそれに関して桜子は何も答えず、行きましょうと硬い口調で言い置いてさっさと書店を出ていく。

 つくしは慌ててその後を追った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「気になりますか、さっきの週刊誌の内容。」

 プライバシーが保てる程度の空間が確保されたホテルのラウンジで、紅茶に砂糖を入れながら桜子が

唐突に口を開いた。

 一通り買い物をすませ、休憩がてらデザートを食べに来た二人だったが、ショッピングの間からどこか

気もそぞろなつくしに彼女は気づいていていたようだった。

「気になるっていうか・・・あんまりにもめちゃくちゃなことばっかり書いてるから。」

 桜子は淡々とした表情でカップを手に取った。

「・・・あながち嘘ばかりでもないんですよ。実際、西門さんのお家は後継者問題でいろいろと

ごたついてるみたいですし。先輩、まったく知らなかったんですね。」

「だって記事には・・・」

 つくしはその先を言い淀む。

 さきほどの週刊誌には後継者をめぐる争いだけではなく、そもそもそのきっかけになったとされる

現家元夫人、つまり総二郎の母親の愛人問題についても書かれていた。

 しかも三男はその愛人との間にできた子供ではないかというとんでもない噂にも言及されていたのだ。

「ひょっとして西門夫人のことも何か書かれてました?」

 さらりと口にされた言葉に、つくしは思わず桜子の顔を見た。

 それを見て答えを察した桜子は、ティーカップを手に持ったまま伏せ目がちに話しだした。

「・・・割とこちらの世界では有名な話なんですよ、それは。お家元の浮気やらなにやらに愛想を

つかされた西門夫人が愛人を作られて・・・そのお相手は、実はお家元の弟、つまり西門さんの

叔父上らしいっていう噂。」

 週刊誌に書かれていたことよりもさらにありえない内容に、つくしは絶句する。

「西門さんのお兄さまが家を出られたのも、それが一因じゃないかとまことしやかに言われてますね。

ことの真偽は定かじゃないですけど、でも、実際問題、次期お家元について、西門の流派が二つに

割れていて家元夫人と叔父上は三男派だというのは本当みたいですから。」

「そんな滅茶苦茶な話信じられない。第一、西門さんはあんなに一生懸命・・・」

 ついこのあいだ茶室で会った総二郎のことをつくしは思った。

 いろいろと問題のある人だとは思うけれど、彼の茶道に対する真剣さだけは嘘ではないと断言できる。

 それなのに・・・、と唇をかんだ。

 同時に彼女の脳裏には、かつてあの広大な屋敷でちらりと見かけた美しいけれど冷ややかな総二郎の

母親の顔が浮かんでいた。

「先輩、私がこのことをお話したのは、遅かれ早かれいずれは先輩の耳にも入ると思ったからです。

西門さんのおうちのことは、昨日今日の話ではなくて、もうずいぶん昔から言われていることで、

公然の秘密ってやつなんですよ。ですからいまさら変なことを西門さんに言わないことです。」

「・・・みんな知ってるの?道明寺や花沢類に、滋さんたちも・・・」

 茫然として聞き返すつくしに桜子はどこか冷たくすら思える平静さで言い放った。

「そういう世界ですから。」
 
 もう一度余計なこと言わないようにと釘を刺す桜子の言葉もつくしの耳には入っていなかった。

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お話の更新、今か今かと待っていました♪とってもうれしいです♪
お話なにやら秘密めいていますね・・・このあとの展開はどうなるのでしょうか??
つくしの耳には桜子の忠告が入ってはいないようで・・・行動に移すのも時間の問題ですか???
次回のお話も楽しみです。

2009/12/23(水) 午後 3:39 [ とまと ]

じゃみ様、こんばんは
このお話しは先が読めなくて毎回ワクワクして読ませて頂いてます♪
ダーク総ちゃんとつくしは司たちやらの障害だらけ??ですがいつかは結ばれるんですよね?
スゴイ楽しみです(^O^)/あと、総ちゃんも大〜好きですが…じゃみ様の書く類つくが次には是非×2読みたいですぅ!!
それでは…また来年も更新を応援させて下さいませm(__)m
これにて失礼致しま〜す

2009/12/23(水) 午後 11:07 [ ヨッシ〜 ]

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○とまと さま
今年もよろしくお願いしますv
つくし、桜子のいうこときっと耳に入ってないと思います。
なにせ一生懸命ですから(笑)。
そろそろ後半に入ってきましたので、がんばって仕上げていきます。

○ヨッシ〜 さま
こちらこそ去年はどうもありがとうございました。
この二人の最大の障害は総二郎自信じゃないかといううわさもありますが・・・。
しかし、総つくなので最後にはなんとか!
これが終わったら類つくのノーテンキな話、がんばります。

じゃみ

2010/1/3(日) 午後 11:13 [ jam*_g*e*n99* ]


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